長崎の秋を彩る一大行事「長崎くんち」。
その奉納踊の舞台となる長崎市上西山町の鎮西大社 諏訪神社にて、このたび近衞忠大が掛け軸「九重菊」を奉納いたしました。
創建1625年より400年の佳節を迎える諏訪神社に、実に332年ぶりとなる近衞家からの奉納が実現。時を超えて、両者のご縁が再び結ばれたのです。
近衞家と諏訪神社の縁は遡ること江戸時代。
21代当主・近衞基熈(このえ もとひろ)公が関白職にあった際に、「諏方大明神」の書を奉納。その掛け軸は長崎くんちの期間中、貴賓館に展示され、長きにわたり大切に受け継がれているのだそう。
今回、諏訪神社が近衞忠大に新たな書を依頼したのは、元禄の奉納と令和の現在をつなぎ、後世へ受け継いでいきたいという願いからでした。
その想いを受け、近衞忠大が奉納した書画「九重菊」は、先代の掛け軸との“対”となるよう制作され、自筆の和歌と菊の日本画を組み合わせた清らかでモダンな佇まいを見せています。
左:近衞基煕「諏訪大明神」右:近衞忠大「九重菊」
以久へ耳も 多ち可さなり志 菊乃は奈 くんち能ゑにし 九重な羅那牟
幾重にも 立ち重なりし 菊の花 くんちの縁 九重ならなむ
(いくつも立ち重なる菊の花のように、くんちの縁もたくさん重なっていくであろう)
この和歌には、長い時を経て再び結ばれた貴い縁への感謝と、未来へと続く繁栄への祈りが込められています。
諏訪神社の吉村政德宮司は、
「初めて掛け軸を拝見した時は感激で見とれてしまった。時空を超えてこんなご縁があるありがたさ、うれしさを感じた」
と語られ、近衞も「長崎とのご縁が今も続いていることが何よりありがたい」と話しています。
諏訪神社御鎮座四百年記念 特別番組「縁詠のことほぎ 〜次の世代へ」(長崎文化放送)より
また、今回は近衞忠大にとっても“初めての長崎くんち”。
奉納踊を目前で見守り、その迫力と熱気に深く感動を覚えたといいます。
撮影:近衞忠大
この度の奉納にあたり、諏訪神社は近衞を令和七年の「長崎くんち」に招き、鎮座400年をともに寿ぐ機会を設けてくださいました。
そのお祝いと感謝の気持ちとして、いくつかの贈り物を賜っています。
そのひとつが、「長崎くんち」の縁起物として知られる手拭いです。
「長崎くんち」は、10月7日から3日間にわたって町を挙げて催される秋季大祭で、その熱気と賑わいを象徴するのが“まきもの”と呼ばれる手拭い。
令和七年の奉納踊には、西古川町・新大工町・諏訪町・榎津町・賑町・新橋町の6ヵ町が参加し、今年は限定販売の「手拭いセット」も用意され、各町の意匠を一度に楽しむことができました。
令和七年 長崎くんち手拭セット[限定販売]
個性あふれる町の手拭い一覧
このほかにも、瑠璃庵の「ルリ ピッチャーセット」という特別な品もいただきました。瑠璃庵オリジナルの瑠璃色“ルリアンブルー”は非常に美しく、シンプルながら上品な存在感を放ちます。
テーブルに置くと、ガラス越しに差し込む光が柔らかく反射し、澄んだ影を落とすさまは、まるで長崎の海のよう。日常のひとときを、ぐっと格調高く彩ってくれます。
惹き込まれるような青さを放つ るりピッチャーセット
長崎くんちは、町の人々が一年をかけて準備し、神に感謝を捧げ、人と人との絆を確かめ合う、長崎の秋を象徴する“魂の祭り”。
その中心にある諏訪神社は、長崎の人々にとって“守り神”であり、信仰と絆の象徴でもあります。
この度、近衞忠大の奉納を通じて、地域の方々が古くから大切にしてきた伝統と心に触れ、改めて日本文化の深さと温かさを実感いたしました。
弊社は、この「縁」を大切にし、長崎の文化発信の一助となれるよう努めるとともに、伝統の美と精神を未来へと受け継いでまいります。