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女性の働き方を考えるコラム「自立した人間でありたい私が、挫折と再生の先に選んだ生き方」

株式会社Daiyu ウエディングプランナー 水間恵子

子供の頃から「チャレンジすることがあった方が、人生は楽しい」と考えていた水間恵子。自分の頭で考え、自分の足で立つ「自立した人間」であろうとする強い意志と、自分を客観的に見つめる冷静さを兼ね備えた彼女が、どうやって今の生き方を選ぶに至ったのか。その体験と想いを赤裸々に告白してもらった。




結婚式なんて、お金のムダだと思っていた


今は結婚式を創るという仕事に惚れ込んでいる私ですが、実は、もともと結婚式にはまるで関心がなかったんです。それどころか、数時間のパーティーに数百万円の大金を払うなんて、単純にお金の無駄だと思っていました。でも、お金を稼ぎたくてたまたま飛び込んだウエディング会場の仕事で、そんな私の考えはふっ飛びました。年間何百件というお客様の結婚式をお手伝いしていくうちに、「どんな規模であれ、結婚式はやって欲しい」という意識に完全に変わっていったんですね。


結婚式は、大なり小なり、その人にいろんな影響が起きる場で、人生の大きなターニングポイントになる一日だと思います。たとえば、それまで家族内にあった確執とか、ずっと音信不通になっていたけれど、いざ結婚式をすると決めたら会いたくなった昔の友達とか。結婚式をきっかけに、お母さんと5年ぶりにちゃんと話す時間が持てたとか、それによって自分自身を許せるようになったとか・・・人生を歩んできた中で、ちょっと置いて来てしまった大切なものが息を吹き返す一日になったりするんです。


だから結婚式って、単に綺麗なドレスを着てお披露目してお祝いされるだけじゃない。これから人生を共に歩んでいく二人が、通過儀礼としての結婚式を通じてかけがえのない経験を得ることで絆がもっと深まり、人生がより良い方向に変わっていく。私はその価値を、もっとたくさんの人に伝えていきたいと思っています。


それと、これは持論ですが、結婚式の価値はウエディングプランナーによって大きく変わると思っています。一生に一度の結婚式を「誰と作るか」によって、大きく言えば新郎新婦の人生が変わる。たとえば大切な友人や家族以外に、100%以上の想いを持って自分たちを応援してくれる人がいると実感する経験ってあまりないですよね。私は長年ウエディングプランナーをやってきて、結婚するから人生が変わるのではなく、結婚式までのプロセスが人を成長させたり、幸せを実感させてくれたりすると思っています。だからこそ、自分たちの結婚式を共に創り上げてくれるウエディングプランナーは、新郎新婦の人生を豊かにすることができる素晴らしい仕事だと惚れ込んでいるんです。




妊娠出産の先にも、活躍できる道を拓きたい


ところが、ウエディング業界の傾向として、プランナーとして活躍できる寿命は決して長いとは言えないのが実状です。実際、夢と希望を持って飛び込んでも、燃え尽き症候群のように3年程度で辞めしまうことが多い。女性が多い業界なので、妊娠出産をしても続けられる仕事かどうかと言えば、現場の最前線に立ち続けるには確かにリミットがあります。その結果、業界全体として10年選手、いわゆる中堅層が育っていないのです。


でも、私はプランナー経験者のキャリアはもっと先まで繋がっていると思っています。ウエディングプランナーの仕事は、人と人との間に入って深く関わっていくので、特に人間関係の調整能力が養われます。そのスキルと経験は、会社の全体調整やスタッフのトレーニングに役立つので、たとえば研修講師のスキルも身につけておけば、子供を産んでも復帰した時に活躍できる可能性は十分にあります。


実は私も、前職では燃え尽き症候群で辞めそうになったことがあるんです。だからこそ、この業界の中堅層をちゃんと育てたいと思っていて、それをやらせてくれる会社を探していました。そんな時に出会ったのが、Daiyuという会社だったんですね。




鳴り物入りで入社した私が、いきなり使えない上司に


Daiyuとの出会いは2012年の春、埼玉の二葉楼という老舗料亭がウエディング事業を始めるということで、オープニングレセプションに参加したことがきっかけです。正直、こんな場所で婚礼事業を本気でやろうとしているのはすごいと興味を抱いて。面白そうなことにはすぐに飛び込んでみるタイプなので、その出会いから1年後の6月には入社していました。


ただ、ここだけの話。入社してからの2年間は、まさに波乱万丈、挫折の連続でした。前職での経歴と実績を買われてDaiyuに入社したのですが、それまで働いていた式場は年間380件の結婚式を扱う大所帯。仕事の仕組みから設備から、いろんなことが整っていたんですね。一方、配属先の二葉楼は運営をスタートして間もない時期で、コピー機さえない。家庭用プリンターで紙と時間を浪費しながら格闘する日々に、「もうコピー機を入れてくれなきゃ辞める!」と直談判したこともあります(笑)


さらにダメ押しだったのは、当時のメンバーは全員経験が浅いスタッフばかり。大きな会場ではプランナーと現場キャプテン(結婚式当日のディレクション)は別のスタッフが担当するのですが、二葉楼では自分がキャプテンもやらなくてはならなかった。いわば鳴り物入りで上司になった自分が、新卒1年目のスタッフから「使えないっす。何してるんですか、動いてください!」と本気で言われるも、自分は「何すればいいの???」という感じで。現場メンバーにしてみたら、「すごい人が上司になる」と聞いていたのに使えない。私からしてみたら、思い描いた結婚式のプランニングも、このスタッフで実現するのは不可能だと。もう、お互い気持ちも話も通じない状態で、チームは崩壊寸前でした。


でも、その状態になって初めて気づかされたんです。今までは自分の力で良い結婚式を作っていると思い込んでいたけど、実は周りの人たちの力に生かされていたこと、一人では何もできないということに。正直、自分が置かれている現実と理想とのギャップに苦しみましたが、その場で地団駄をふんでいても未来はない。ならば、今ある環境でやれることを追求してみようと発想を変えました。



逆境をバネに、自分が自分を乗り越えた瞬間


チームの再生のために具体的に何をしたかというと、お客様のことを第一に考えた時、実現できないイメージをプランニングしたり、奇をてらったことを提案するよりは、顔の見えるおもてなしを提供した方が良いと考えました。まずはメンバー全員にお客様の情報を共有して、どのスタッフもお客様ひと組ひと組のことをよく知っている状態を作りました。そして、そのメンバーが全員で、介添えから配膳、両親や親族の付き添いなど、結婚式当日のお世話をさせていただく。そこに価値を感じていただこうと実践し続けました。いつの日か「チームワークこそがうちの強みだ」と胸を張って言えるように。


それでも、結果として「チームワークが強み」だと自信をつけるまでには半年以上かかりました。それまでの私は、決められた枠の中でなら速く走れた。でも、枠やレールを外された時に、どう立ち回っていいか全くわからなくなったんですね。それまで8年間ウエディングプランナーをやって来た経験は何だったのか?と思うと辛かったですね。


Daiyuに入社して、二葉楼を任されて、学んだこと。それは、自分だけが狭い範囲で仕事ができてもダメだということです。この場所では、プランニングだけでなく、マルチに立ち回れないと事が進まない。加えて、自分がマルチに立ち回ることができても、周りの協力を得られなければ良い結婚式は創れない。それまで自分の成績だけを気にしていれば良かったものが、人の成長と助けがないと生きていけないという現実を、正面から突きつけられたのです。でも、その気づきがあったからこそ、二葉楼で「自分のチーム」というものを持てた、ひとつになれたという喜びを得ることができたのも事実です。当時のことを振り返ると、「自分が自分を乗り越えた瞬間」と言えるかもしれません。




「人に依存しない生き方」を選べる女性を増やしたい


そんな挫折と再生の経験をしてきた私が目指しているのは、自立した生き方をしている女性を増やすことです。20代は年齢的にまだ人生の行く先を考えていないので、お嫁さんになるのか仕事を頑張るか、揺れ動く時期ですよね。だからキャリアを考えるときに誰かの意見を参考にすることは賛成なのですが、行き過ぎると依存も発生しがちだと思います。


自立にはいろんな解釈があると思いますが、私の考えでは「人に依存しない生き方」だと考えています。相手への「共感」は大切で必要なことですが、自分以外の誰かが言ったことに左右されて生きるとツラくなる。会社でいえば、社長に憧れて入社したから仕事より社長ありきでものを考えるとか。私と部下の関係で言えば、私が言ったアドバイスを「鵜呑み」にして動くとか。本当は、仕事の現場もお客様のことも一番よく知っているはずなのに、自分の頭で考えずに「そう言われたから」で思考が止まってしまい、自分で答えを出さないようになってしまう。


もちろん、上司に反論をすれば、一時的には怒られるかもしれません。でも、怒られることを恐れて言わないとか、誰かのせいにするのはよくない。自分の頭で考えて発信することの方が大事だと思うんです。人のせいにしないほうが物事を解決しやすいし、自分の力で解決できないことは「できない」と自分を認められます。でも人に頼ってしまうと、「この人はこうしてくれるかも」という期待が生まれて、もし取り合ってもらえなかったら「私を分かってくれてない」などと考えてしまうかもしれない。


私は、誰かのせいにしないことは、仕事だけでなく、何事にもまっすぐ向き合う人としての強さになると思っています。だから同年代の女性には特に、自立するために「人に依存しない生き方」を選んでくれたら嬉しいですね。



新しい家族は、私が育てます


今、私が働くDaiyuでは新しい家族を探しています。出逢いたいのは、仕事の楽しさも、厳しさも、笑顔も、涙も共にできる家族のような人です。私自身、人を喜ばせること、どう喜んでもらうかを考えることが大好きなので、その想いに共鳴してくれる人だったら最高ですね。プランナー未経験だとしても、強い気持ちさえ持って来てくれれば、あとは私が育てます(笑)

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