化粧品メーカー研究員からDeNAへ。「“当たり前”から抜け出したかった」私の決断

(この記事は DeNAヘルスケア事業本部サイトからの転載です)

大手化粧品メーカーの研究員として10年あまりのキャリアを積んできた佐々祥子。昨年、はじめての転職先として彼女が選んだのがDeNAヘルスケアのR&Dグループでした。

「同業他社へ転職する方が多い業界でしたが、同業では自分を大きく変えられない、と思ったんです」と笑いながら言います。

「自分で気付けなくなっている当たり前から抜け出したかったし、成長もしたかった。するとDeNAかなって」

化粧品研究員からはじまって宇宙経由(!)でDeNAにたどり着いた、佐々さんのキャリアストーリーとは?

「透明になったビーカー」からサイエンスの道へ。

――大手化粧品グループ会社の基礎研究所に、10年間いらしたそうですね。

佐々祥子(以下、佐々): はい。もともと広島大学の大学院で酵母を用いた寿命の研究をしていまして、新卒で化粧品メーカーへ。

化粧品業界を選んだきっかけは祖母の笑顔だったんですよ。

就職活動をしはじめた頃、祖母が、母に「化粧品を変えたら肌の状態がよくなってね」とうれしそうにワクワクと話しているところを見かけたことがあった。「もう80歳近い女性の表情を明るくして、心踊らせられるってすてきな仕事だな」と感じて、選びました。

――そもそも「酵母の寿命」の研究をしていたのがユニークですね。

佐々: もとをたどると、小学生の頃の「実験好き」が影響しているんです。

理科の授業で使った実験用具を片付けていたとき、白く濁った溶液が入ったビーカーと透明な溶液が入ったビーカーの2つ持っていたんですね。一度に捨てようと、いったん濁った溶液を透明なほうに入れた。当然、濁るだろう…と思っていたら、混ぜた途端、すっと透明になってびっくりして。

――子どもには、魔法に見えちゃいますよね。

佐々: そう。いま思い出しても、感動します(笑)。そんな不思議な科学現象が、手触りをもって感じられるのがたまらなくて、そこから実験好きに。そして、不思議な科学現象が起こる理由への興味から、理系の道を目指したんです。

実験好きとしては「モノをつくるほうがおもしろそうだな」と大学は工学部へ。自分の研究テーマを決めるにあたっては、いかにも難しそうな研究より、理系でない人でも理解してもらいやすい研究に携わりたかったので、酵母の寿命を手掛ける研究室を選びました。

一貫して「手触りがあるサイエンス」が好きなんでしょうね。

――そう考えると、研究が「化粧品」という形あるものになり、人に届くメーカー研究員はベストなキャリアだったのでは?

佐々: そうですね。

前職で携わった研究の一つに、美白化粧品用の医薬部外品素材開発があります。

素材開発は、社内のあらゆる分野のプロフェッショナルがタッグを組む一大プロジェクトで、上市までには数えきれない程のハードルが存在しましたが、10年の開発期間を経て、国からの許可をいただいた瞬間の喜びと感動は今でも忘れることができません。

また、製品化される直前、モニターの方々が「肌の調子がよくなって前向きな気持ちになれました」「娘にきれいになったと言われちゃって」と誰しも晴れやかな顔でおっしゃってくれた。

それが本当にうれしかった。「この仕事を選んで良かったな」と最も感じた瞬間でしたね。

――そんないかにも天職だった化粧品会社を、なぜ10年目に転職しようと?

佐々: ひとつの大きなきっかけは、一昨年「宇宙ビジネス」に携わったことなんですよ。

――宇宙、ですか!?

当たり前を疑うため、今度は“宇宙”へ。

佐々: ええ。前職時代、グループ横断型の経営の基礎を学ぶための社員研修があり、そのテーマが「新規事業を提案せよ」というものだったんですね。

4人1組のチームだったのですが、なかなかアイデアが出ない。私をふくめた多くが10年前後、在籍したメンバーだったので、どこか「化粧品業界」の発想から抜け出せなかった。

「当たり前を疑え!」というのがその研修のテーマで、講師の方からも何度も言われていたので、「それじゃあ、いっそのこと思い切り当たり前じゃない発想をするしかない場所に身をおいてみよう」と考えたんです。

そんなとき、メンバーの一人が提案した「宇宙はどう?」という言葉がキッカケで、『S-Booster(エスブースター)※』という宇宙分野のビジネスアイデアを募るビジネスコンテストがあると知った。チームでそこに参加したんですよ。

S-Booster 2018開催報告

――なるほど。最も当たり前じゃない状況を想定し、ビジネスを考えればいいだろうと。

佐々: とても刺激的な経験でした。宇宙ステーションなどにいくと肌がかゆくなるというデメリットがあるのですが、私たちのチームは、それに対処するスキンケア用品を考え、提案。ファイナリストまでいったんですよ。

宇宙をテーマにした結果、発想がジャンプアップできたことだけじゃなく、JAXAの方々や宇宙飛行士の方々、宇宙ビジネスのスタートアップ企業の経営者など、異分野の方々とお話させていただく機会をもらえたことが、本当に貴重でしたね。

たとえば「肌」の捉え方ひとつでも、私たちとまったく視点が違うことに気づけるわけです。それこそ当たり前なんですが(笑)。

――化粧品メーカー、あるいはメーカーの研究員同士だと揃うコンテクストが揃わない。まさに自分の常識が「当たり前じゃない」ことを体感されたわけですね。

佐々: そうです。だから予想外の角度から斬新なアイデアが出てくる。とても楽しかったと同時に、今まですごく均質な環境にいたことを実感しました。

考えてみたら、化粧品メーカーの研究所って、そこにいる100名以上の人が、みな理系、多くは院卒で、「化粧品を作りたい」というモチベーションをもって入ってきた人ばかり。自分と似た人の中で仕事をし続けるのではなく、自分の「当たり前」が通じにくい環境に身を置くことで、これまで以上に自分を成長させる可能性があるのかなと感じた。

10年という節目だったこと。また開発に携わった新素材を世の中に送り出す場面に携われたこと。さらに、当たり前になっていた状況からあえて抜け出すことへの強い興味が芽生えたこともあって、転職を決めた感じです。

――ただ、ひとまず環境を変えるなら、同業他社が普通に選択肢としてあがると思うのですが、それは考えなかった?

佐々: 「同業他社なら一緒」「今のキャリアを重ね続けたほうがいい」と思っていたので、まったく考えませんでしたね。

かといってDeNAがゲームしかしていなかったら、考えなかったでしょうね(笑)。ちょうどヘルスケア領域を手掛けていて、過去にDeNAの研究員とディスカッションする機会もあったんです。

そのたびに、みんなすごくロジカルで、頭の回転が早い。「うわー、みんな、カッコイイなー!」というイメージがすごくあって(笑)。

――そこにひるむというか、引くことはなかったですか?

佐々: むしろ「一緒に働きたい」と感じましたね。

私は自分一人でがんばれるタイプじゃないので、できれば自分よりもうんとできる人の中に入って、刺激をもらいたいタイプ。前職に入ったのも、新卒入社試験を受けた中で最も周りのレベルが高く、ここで働けば自分も成長できると感じたから、なんです。

最初はしんどいだろうけれど、周囲についていくことで自分を高めたい。だからDeNAにはまさにそんな理想の環境があるなと感じて、決めました。

――面接の3分後に「合格」をもらったと聞いてます。

佐々: あ、そうなんです。最終面談のときですね。事業部長相手の面談だったのですが、「終わります」と部屋を出ていったあと、3分後に、今の同僚2人と人事の方が部屋に入ってきて「合格です!」と。

「え、もう?」「スピード感すごい」と驚きました。ピラミッド型の組織では、常に確認しながら進めるというのが定番だったので、「どうやら当たり前が違うらしい」と感じましたね。

飛び出したから気づけた「自らの価値」

――いまはヘルスケアサービス部R&Dグループということですが、具体的な仕事は?

佐々: R&Dグループというと、基礎研究をする研究機関のように見えますがDeNAライフサイエンスの場合は少し違うんですね。

MYCODEという遺伝子検査サービスを通じて繋がっている会員のみなさまにご協力いただき、企業やアカデミアとともに具体的なマネタイズの形まで見据え、ビジネスとしてスケールする形を探りながら、共同研究を立ち上げます。

――以前よりぐっと仕事の幅も広がった感じでしょうか?

佐々: そうですね。思った以上に大きな仕事を任せてもらえるなという実感もありますね。いまはR&Dグループの来期戦略を検討する主担当をやらせてもらっているので、やりがいもあるけれど、プレッシャーもそれなりに(笑)。

――中に入ってみて、あらためて気づいたことはありますか?

佐々: 実は初日に驚いたことがあって。ミーティングにはみんなPCを持ち込んでるんですよ。これまではPCは基本的に自分の居室から持ち出せないもの、という認識だったので、私だけ手帳だけで参加して資料が見れなかったという(笑)。

あとは10年間、化粧品メーカーで培った知見が、実はとても価値あるものだということをあらためて感じましたね。業界の中にいたときは気づいていなかった自分の知識や経験が、貴重な知見だということに、当たり前ですけど、気づけました。基礎化粧品の成分や肌のメカニズムをすっと言える人って、美容マニア以外には世の中にあまりいませんからね。自分も含めたいろんなプロフェッショナルが集まっていることが、DeNAヘルスケアの強みで、おもしろみなのかなと思いますね。


――具体的に、いまはどんな案件を手掛けているのでしょう?

佐々: まだオープンにできないので詳しくは言えませんが、私がいた化粧品業界や食品関係と、面白い研究が進んでいます。

MYCODE※のユーザーの方々は非常に積極的に研究参加いただけることに加え、とても質が高いフィードバックをいただけるので、研究者目線でもとても貴重なデータが集まる、その価値を実感しています。

だからこそ、たくさんの研究機関と連携して、研究成果をすばらしい形にしたい。より多くの方々にDelightを感じてもらえるようなことができればいいなと感じています。

一緒にその取り組みを実現する仲間が、もっともっと増えたらうれしいですね。

※MYCODE:一般向けの遺伝子検査サービス

佐々 祥子(さっさ しょうこ)|DeNAライフサイエンスヘルスケアサービス部R&Dグループ

1984年、愛知県生まれ。2010年に広島大学大学院を卒業し、化粧品メーカーに入社。美白研究領域を中心に、基盤研究と素材開発に従事。2019年にDeNAに転職し、現在はR&Dグループの研究企画チームリーダーとしてMYCODEで取得した遺伝情報・ヘルスデータを活用した研究「MYCODE Research」のプロジェクトを企画・推進。趣味は旅行とパン作り。


執筆:箱田 高樹 編集:八島 朱里 撮影:小堀 将生

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

化粧品メーカー研究員からDeNAへ。「“当たり前”から抜け出したかった」私の決断
Juli Yashima
株式会社ディー・エヌ・エー / ヘルスケア事業本部 採用ブランディング担当
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