株式会社ニコリーに入る前
経営に興味をもったきっかけ
一番最初に「経営」や「経済」といったものに興味を持ったのは高校3年生のときでした。
受験勉強のさなか、ふと自宅のリビングにあるミクロ経済学の本を手にとったのがきっかけです。
私の母が翻訳家で、いつもリビングの机には、雑誌から学術書まで幅広い本が平積みにされていたんです。
それまで受験勉強で基礎的な学問ばかり勉強していたこともあり、実社会と結びついた経済の本に、とても知的好奇心をくすぐられたのを覚えています。
そして理系でありながら経済が学べる大学に進学。その他の科目はボロボロでしたが、ゲーム理論やミクロ経済学など、経済が関わる授業はすべて良い成績を残せました。
その後、大学院進学が決まると同時に、ITのベンチャーで長期のインターンシップを初めます。
社長の元で1年間、法人営業を経験させてもらい、そこではじめて、ITという業界の面白さ、スピード感、を体感しました。
インターンシップが終わると、一緒に働いていたメンバーとともに「プログラミングの勉強をしよう」ということで、渋谷に一軒家を借りて、男5人で共同生活をすることに。
これがドウゲンザッカーバーグの前身です。
サービスの企画・開発に没頭する日々
ただプログラミングの勉強をするだけではつまらないので、2週間に1つ自分たちでサービスを作って、それをリリースしよう、と決め、学校に行っている時間をのぞき、日夜サービス開発に明け暮れます。
これが本当に楽しかった。
いま考えるとお粗末なサービスばかりですが、そのときは、サービスをリリースし、ユーザー数がひとり、またひとりと増えていくのを、モニターに映しながら、みんなで喜んでいました。
サービスが爆発、1日で2万人を超えるユーザーが
そんな中、あるサービスがヒット。1日で2万人以上のユーザーが使ってくれました。
そのときの興奮は忘れられません。自分たちが作ったサービスに大量に人が来ている、twitterでどんどん拡散されている、何か凄いことが起こっているんじゃないか。
そんな気持ちでした。
そして、ある企業から、そのサービスを買いたいとのオファーを頂きます。その時に言われたのが、
「大学生からは買えないので、法人化して欲しい」
これがきっかけとなり、株式会社ドウゲンザッカーバーグを設立することになります。
現在
初月から200万円の売上を達成
起業したのは2012年3月。ちょうどスマートフォンの本格普及がはじまるタイミングでした。
私たちは、アンドロイドに焦点をしぼり、いろんなアプリを企画、量産し、収益化していきました。
スマホ普及期で競合が少なかったことも功を奏して、初月からなんと200万円の売上を達成。
翌月以降も順調に売上を伸ばしていきました。
「あれ、俺ら何がしたいんだっけ・・」
月の売上が500万円に差し掛かろうかというころ、「もっと大きなことをしようじゃないか」という話になりました。
たくさんの小さなアプリを大量につくるのではなく、一つの事業に資本を投下して、会社を次のステップに行かせよう、と。
ここからが苦難の日々でした。ゆっても、数カ月前まで学生だった集団が、簡単に月数億円のビジネスを作れるわけがありません。
アプリを企画して、リリースしては閉じて、を何回も繰り返しました。そうこうしているうちに会社に「自分たちは何のために起業したんだっけ」という空気が流れ始めます。
メンズフリマアプリ「bolo」をリリース、最大の失敗に
「自分たちが企画したものは失敗する」
そんな空気さえ流れていたので、
「ここは思い切って、うまく行っているアプリを真似しようじゃないか」
と提案しました。
そのとき見つけたのがフリマアプリです。市場にまだメンズに向けたフリマアプリがなかったので、メンズファッション限定のフリマアプリ bolo(ボロ)を企画し、リリースしました。
結果として1年半ほど試行錯誤しましたが、失敗。
「『うまくいくだろう』で始めた事業はうまくいかなくなったら心が折れる」
ということを痛烈に感じました。そして、何か事業をやるなら、強烈な信念、ビジョンが必要なんだ、という当たり前の事実に気づきます。
1年間、CTOと2人きりで自分探しの旅へ
その後、14人ほどいたメンバーは、CTOの中島と私を除いて全員退社。
広いオフィスにふたりきりで「次、なにをやろうか」ということを話し合っていました。
正直なところ、この時期が人生で一番きつかったです。「やることがわからない」ということがこんなに辛いとは思っていませんでした。
前回の失敗を踏まえ、自分たちがやる意義がある、ビジョンの見える事業を探すために、日夜、人に会い、海外の事業を調査し、自分の人生を振り返りました。
そんな日々が1年間続きました。
ようやく出会う、自分がやるべき事業
そして、あるとき、ベンチャーキャピタルの人と話し合っていたときに、いまのニコリー事業を思いつきます。
じつは恥ずかしながら、私が大学生の頃から薄毛で悩んでいて、インターネットで検索したり、病院を調べたりしていました。
でも、ネット上には、個人のブログとか、アフィリエイト目的のサイトとか、信ぴょう性の乏しい情報が蔓延していて、本当に欲しい情報にたどり着かない、という経験をしていました。
そしてそれは薄毛に限らず、様々なコンプレックスの分野で、同じような状態でした。
一方で、スマートフォンの普及のおかげで、コンプレックス系のワードの検索数は軒並み10倍程度に伸びていました。
「これこそ自分がやるべき事業なんじゃないか」
1年の自省の末、ようやく心から腹落ちした瞬間でした。
それから1年、そしてこれから
自分がやるべきことを決めてからは、もう迷うことはなくなりました。
「コンプレックスで悩んでいる人を笑顔に」
というビジョンを掲げ、それ以外のことには目もくれず、事業に没頭しています。
「コンプレックス」という分野はなかなか積極的に取り組む人がいなかったせいか、他のジャンルに比べて、IT化が一歩も二歩もおくれています。
そのためやることは山程ありますが、非常に明確に見えています。
コンプレックスは簡単に人に相談できるものではない分、みんなスマートフォンに助けを求めます。
そこに、行動に繋がる正しい情報を提供することで、ただ悩んでいるだけの現状から、笑顔に向かって歩き出せると考えています。
株式会社ニコリーについて
ドウゲンザッカーバーグを一言で表すと「真面目」
奇抜な社名のため、面白い会社を想像されることが多いのですが、社内のメンバーは全員かなり真面目です。
ビジョンやそこに到達する道が非常に明確なため、各々のメンバーは自分の仕事を本当に一生懸命やっています。
その結果、必ず実績を残してくるので、自分も頑張らねばと思い、より真面目に頑張る、という良い循環が出来ていると思います。
経営スタイルは「ビジョン型」
経営のスタイルはいろんな形があると思いますが、うちはわりとビジョンを強く打ち出している方だと思います。
前述のように、自分が「これをやろう」と決めた、ということもあり、よく全体会議などでもビジョンの話をします。
あらゆる意思決定はビジョンに照らされた元で行われ、いつも「これはコンプレックスで悩んでいる人を笑顔にしているのか?」ということを自問自答しながら、事業を展開しています。
そのため、コンプレックスというところに思い入れがある人が、フィットしやすいのではないかな、と思います。
今後どういうことをしていきたいか
まずは「美容医療」の分野で病院送客数No.1のメディアに
数あるコンプレックスの中で、現在は「女性の外見に関するコンプレックス」にフォーカスして事業を展開しています。
その中で、美容医療/美容整形の病院に読者を送客することで収益化を実現しており、今後は美容医療の病院送客数トップを目指します。
そのためには、
◯口コミをたくさん集める ◯明細書をアップして実際にかかった値段をわかるようにする ◯CGMでユーザーから施術直後の画像等を集める
といった、他の業界のサービスから参考にできることもあれば、
◯インバウンドで中国人顧客を取り込む ◯遠隔医療でカウンセリングの障壁を下げる
といった美容医療特有の施策もあります。こういったことを真面目に1つずつ行っていき、業界トップになることが中期の目標です。
長期的には、いろいろなコンプレックスに展開
美容医療の分野でポジションを確保したあとは、その業界で培ったメソッドを他のコンプレックスの分野にも応用していきます。
女性の外見のコンプレックス以外にも、
◯男性のコンプレックス ◯内面のコンプレックス
とジャンルへの展開を考えています。よりビジネス的に捉えると、コンプレックスの治療はほとんど保険外診療となるため、保険外診療のマーケット、1兆円の市場が私達がビジネスをする主戦場となります。
コンプレックスは人に相談し辛い分野のため、ITが非常に相性が良い分野です。
ITの会社でコンプレックスといえばニコリー、そういった未来をイメージしています。