AIエージェントが、あらゆる産業のビジネスモデルを再定義し始めています。その変革の最前線で、株式会社ExpreTechが挑戦しているのが、店舗マーケティング領域のAIエージェント「KUROKO AI」。
MEO、AEO、SNSマーケティング、口コミマネジメントなど、従来は複数のツールや専門人材によって分断されていた業務を、一つのAIエージェントで統合。導入企業数は半年で500社を突破し、サービス継続率は98%以上を記録しています。
「導入店舗が増えるほど、最初の1店舗目のお客様への提供価値も高まっていく。そんなデータドリブンな事業構造を確立したい。」
そう語るのは、KUROKO AIの事業成長を牽引する事業責任者。
なぜ、この市場で業界No.1を目指せるのか。AIがコモディティ化する時代に、何を競争優位性とするのか。そして、なぜ最先端のAI事業でありながら、泥臭い営業活動を徹底するのか。その事業戦略と組織に対する思想、そして目指す未来について話を聞きました。
インタビュアー) 長尾
目次
勝算① 圧倒的なデータアセットが、模倣困難な競争優位性を生み出す。
――まず、KUROKO AIが挑戦している市場をどのように捉えていますか?
私たちが挑戦しているのは、店舗マーケティングという巨大で、なおかつ構造的な非効率が数多く残されている市場です。
これまで店舗のマーケティングは、MEO対策会社、SNS運用代行会社、広告代理店、SEOコンサルティング会社など、施策ごとに異なる事業者が支援するケースが一般的でした。
つまり、マーケティングのバリューチェーンが分断されているんです。
さらに、店舗側には各施策を統合的にマネジメントする専門人材が不足している。結果として、施策ごとの部分最適に陥りやすく、十分な成果につながらないという構造的課題があります。
私たちは、この市場に対してAIエージェントという新しいアプローチで挑戦しています。
従来のSaaSは、人間が操作することを前提とした業務支援ツールでした。しかし、AIエージェントは、人間が行っていた業務そのものを代替・高度化できる可能性を持っています。
KUROKO AIでは、競合分析、マーケティング施策の立案、コンテンツ生成、投稿運用、改善提案までを一気通貫で支援しています。
これは単なるDXや業務効率化ではありません。
人間がマーケティングツールを操作する世界から、AIエージェントがマーケティング業務を遂行し、人間が意思決定に集中する世界への転換です。
私たちは、店舗マーケティングのオペレーティングモデルそのものを変えようとしています。
勝算② 1,000店舗目の獲得が、1店舗目のお客様の成功につながる。
―― 導入店舗数を増やすことには、どのような戦略的な意味があるのでしょうか?
ここは、私たちの事業戦略において最も重要なポイントの一つです。
私は、導入店舗数を増やすことと、既存顧客の成功を実現することは、決して相反するものではないと考えています。
むしろ、両者が相互に作用する事業構造をつくりたい。
例えば、最初にKUROKO AIを導入してくださった店舗があるとします。
その後、100店舗、500店舗、1,000店舗と導入が拡大すれば、私たちはより多くの業界、商圏、競合環境におけるマーケティングの知見を得ることができます。
その知見を適切に構造化し、プロダクトに還元できれば、最初の1店舗目のお客様にも、より高度なマーケティング支援を提供できるようになる。
つまり、新しい顧客の獲得が、既存顧客への提供価値を高める。
これが、私たちの目指すデータネットワークエフェクトです。
―― 一般的なSaaSの成長構造とは異なりますね。
そうですね。
一般的なSaaSでは、導入企業数が増えることでARRやMRRが積み上がり、事業の収益基盤が強くなります。
もちろん、それも重要です。
しかし、私たちはその先を目指しています。
顧客が増えることでデータアセットが拡充され、プロダクトの提供価値が高まる。その結果、顧客満足度や継続率が向上し、さらに新しい顧客を獲得しやすくなる。
顧客獲得 → データ蓄積 → プロダクト高度化 → 顧客成果の向上 → 継続・新規獲得
このポジティブなフィードバックループを構築することができれば、事業規模の拡大そのものが競争優位性の強化につながります。
ただし、これは顧客数が増えれば自動的に実現するものではありません。
データの品質管理、成果の検証、顧客情報の適切な取り扱い、プロダクトへの還元までを仕組み化して、初めて成立する構造です。
だからこそ、私たちは営業組織だけでなく、カスタマーサクセスやプロダクト開発にも徹底的に投資していく必要があります。
500店舗目、1,000店舗目、そして10,000店舗目のお客様を獲得することが、最初の1店舗目のお客様の成功につながる。
そんな事業を、本気で創り上げたいと考えています。
勝算③ AI時代だからこそ、泥臭い営業を迷わず実行できる組織が勝つ。
―― 最先端のAIエージェント事業でありながら、営業活動を非常に重視しているのはなぜでしょうか?
私が事業を成長させるうえで、大切にしている考え方があります。
PayPalの共同創業者であり、著名な投資家でもあるピーター・ティールが著書『ZERO to ONE』で語っている言葉です。
「差別化されていないプロダクトでも、営業と販売が優れていれば独占を築くことができる。しかし、その逆のケースはない。」
これは、事業におけるディストリビューションの重要性を端的に表した考え方だと思っています。
どれだけ技術的に優れたプロダクトを開発しても、それを市場に届ける力がなければ、事業として勝つことはできません。
私は、プロダクトの競争力と同じくらい、Go-to-Market戦略とセールス・エクセキューションが重要だと考えています。
特に、私たちが挑戦しているAIエージェント市場は、まだ市場形成の初期段階にあります。
顧客自身が課題を明確に認識していないこともあれば、AIエージェントによって何が実現できるのかを十分に理解していないこともあります。
だからこそ、私たち自身が市場へ出向き、顧客の潜在的な課題を顕在化させ、新しい価値を伝えていく必要があるんです。
―― 具体的には、どのような営業組織を目指しているのでしょうか?
私がつくりたいのは、高度な戦略を描きながら、誰よりも泥臭い営業を迷わず実行できる組織です。
AI事業だからといって、営業活動までスマートである必要はありません。
必要であれば、1日に何百件でも顧客へアプローチする。断られても仮説を修正し、次の顧客へ向かう。責任者であっても、現場に出て自ら商談を行う。
そうした行動を、当たり前に実行できる組織でありたいと思っています。
ただし、闇雲に行動量を増やすだけでは意味がありません。
架電数、接続率、商談化率、受注率といったファネルKPIを徹底的に可視化し、ボトルネックを特定する。そして、データに基づいた改善サイクルを高速で回し続ける。
圧倒的な行動量と、データドリブンな意思決定。この両方を高い水準で実行できることが、強い営業組織の条件だと考えています。
さらに、営業活動を通じて得られる顧客の一次情報は、プロダクトを進化させるための重要なアセットにもなります。
私たちにとって営業は、単に売上をつくる機能ではありません。
市場を開拓し、顧客理解を深め、プロダクトの競争優位性を強化するための重要な成長エンジンです。
最高のプロダクトをつくる。そして、どの競合よりも圧倒的な実行力で市場に届ける。
この両輪を徹底することが、KUROKO AIを業界No.1へと押し上げる原動力になると確信しています。
勝算④ プロダクト、セールス、カスタマーサクセスが一体となる事業構造。
―― 事業をスケールさせるうえで、組織面ではどのようなことを重視していますか?
最も重視しているのは、部門ごとの部分最適ではなく、事業全体の最適化です。
SaaSビジネスでは、新規顧客の獲得だけでなく、導入後の活用促進や継続利用が極めて重要になります。
そのため、営業が受注件数だけを追い、カスタマーサクセスが解約率だけを追うような組織では、長期的な成長に限界があると考えています。
私たちが目指しているのは、顧客のライフサイクル全体を通じて価値を最大化できる組織です。
インサイドセールスが獲得した顧客の課題を、フィールドセールスが深く理解する。
フィールドセールスが把握した導入目的を、カスタマーサクセスが引き継ぐ。
そして、カスタマーサクセスが得た顧客の成功事例や改善要望を、営業と開発にフィードバックする。
こうしたRevenue Operationsの考え方を取り入れ、顧客接点と事業データを横断的につなぐことが重要だと考えています。
―― 顧客の成功と事業成長を同じ方向に向けるということですね。
その通りです。
私たちは現在、サービス継続率98%以上という実績を持っています。
ただ、重要なのはその数字に満足することではありません。
継続していただいている理由を深く理解し、より多くのお客様に同じ価値を提供できるようにすることです。
顧客の成功を再現性のある仕組みに落とし込み、組織全体でスケールさせる。
そのためには、個人の営業力や属人的なサポートだけに依存するのではなく、プレイブックの標準化、オンボーディングプロセスの最適化、顧客データの一元管理、そして部門横断でのナレッジ共有を徹底する必要があります。
さらに、顧客の活用状況や成果指標を可視化し、データに基づいて先回りした支援を行うプロアクティブなカスタマーサクセス体制を構築していきたいと考えています。
私たちが目指しているのは、特定の優秀なメンバーがいるから顧客が成功する組織ではありません。
誰が担当しても高い水準の顧客体験を提供でき、その成功事例が次の顧客の成功につながっていく組織です。
そして、顧客接点から得られた一次情報をプロダクト開発へ還元し、サービスそのものの競争力を高めていく。
この仕組みを確立することが、顧客のLTV最大化と持続的な事業成長につながると考えています。
顧客の成功を属人的な努力で終わらせず、組織のケイパビリティとして蓄積する。
それが、私たちの目指すスケーラブルな事業組織です。
勝算⑤ 業界No.1を実現する、圧倒的な実行力と組織カルチャー。
―― ここまで事業の競争優位性について伺いましたが、最終的に競合との差を生み出すものは何だと考えていますか?
私は、最終的に競争優位性を決定づけるのは、組織の実行力だと考えています。
どれだけ優れた事業戦略を描いても、それを実行できなければ意味がありません。
AI技術の進化によって、プロダクトの開発スピードは飛躍的に高まっています。新しい機能や技術的な優位性は、短期間で競合にキャッチアップされる可能性があります。
しかし、顧客と向き合うカルチャーや、組織全体で成果を出し続ける実行力は、簡単に模倣できるものではありません。
私たちが目指しているのは、単に優秀な人材が集まった組織ではなく、組織としてのケイパビリティが高く、事業成長を再現できるチームです。
そのためには、目標から逆算したKPIマネジメント、データドリブンな意思決定、部門横断でのナレッジ共有、そして圧倒的な実行スピードが欠かせません。
何より大切なのは、メンバー全員が「自分たちが業界No.1のサービスを創り上げる」という当事者意識を持つことです。
―― 事業責任者として、メンバーにはどのような姿勢を求めていますか?
私が大切にしているのは、成果に対するオーナーシップです。
自分の担当業務をこなすことだけが仕事ではありません。
事業目標を達成するために何が必要なのかを自ら考え、必要な行動を起こせることが重要だと思っています。
例えば、営業であれば、与えられたリストに架電するだけではなく、どうすれば商談化率を高められるのか、どのセグメントにアプローチすべきなのかまで考える。
カスタマーサクセスであれば、問い合わせへの対応だけでなく、顧客の事業成長に必要な施策を自ら提案する。
そして、現場で得た一次情報を積極的にプロダクトへ還元していく。
私は、役職や年齢に関係なく、こうした主体的な行動が評価される組織を創りたいと考えています。
もちろん、事業を成長させる過程では、思い通りにいかないことも数多くあります。
しかし、そこで立ち止まるのではなく、課題を特定し、仮説を立て、改善を実行する。
戦略の解像度を高めながら、誰よりも速く、誰よりも泥臭く実行する。
このカルチャーを組織全体に浸透させることができれば、私たちは必ず強い事業を創れると考えています。
業界No.1は、目標ではなく、実現すべき未来。
―― 改めて、KUROKO AI事業部が目指す未来について教えてください。
私たちが目指しているのは、店舗マーケティング領域における圧倒的なNo.1です。
ただし、私たちにとってNo.1とは、単に導入店舗数が最も多いことではありません。
顧客への提供価値、プロダクトの完成度、蓄積されるデータアセット、そして組織の実行力。
あらゆる面で競合を凌駕し、店舗マーケティングの新しいスタンダードを確立することです。
その実現に向けて、私たちは今後も導入店舗数を拡大していきます。
なぜなら、新しい顧客を獲得することは、既存顧客への提供価値を高めることにもつながると考えているからです。
10店舗より100店舗、100店舗より1,000店舗、そして1,000店舗より10,000店舗。
導入店舗が増えるほど、多様な業界や商圏におけるマーケティングの知見が蓄積される。
その知見をプロダクトに還元することで、最初に導入してくださった1店舗目のお客様に対しても、より高度なマーケティング支援を提供できるようになる。
私たちは、事業が成長するほど、すべてのお客様への提供価値が高まっていく事業構造を創りたいんです。
そのためには、競合を圧倒する規模のデータアセットを構築し、AIエージェントの精度と実用性を高め続ける必要があります。
そして、それを実現するためには、プロダクト開発だけでなく、圧倒的な顧客獲得力を持つ営業組織が欠かせません。
最先端のテクノロジーと、徹底的に泥臭い実行力。
この両方を武器に、店舗マーケティング市場のゲームチェンジャーになりたいと考えています。
完成された組織ではなく、業界No.1の組織を創る側へ。
―― 最後に、これからExpreTechへの入社を考えている方へメッセージをお願いします。
私たちは今、非常に面白いフェーズにいると思っています。
導入企業数500社を突破し、事業としての成長基盤ができ始めています。
一方で、営業戦略、組織体制、プロダクト開発、パートナー戦略など、まだまだ進化させなければならないことが数多くあります。
つまり、これから入社するメンバーにも、事業や組織のあり方そのものを変えていくチャンスがあるということです。
すでに完成された組織の中で決められた役割を担うのではなく、自分自身が事業を創り上げる当事者になる。
自分の意思決定や行動が、事業の成長に直接つながっていく。
この環境は、キャリアにおいて非常に価値のある経験になると思っています。
私たちが求めているのは、現時点で完璧なスキルを持っている人だけではありません。
高い目標に本気で挑戦したい人。
自分の成長だけでなく、チーム全体の成果に責任を持てる人。
そして、難しい課題から逃げず、泥臭い行動を積み重ねられる人。
そうした仲間と一緒に、業界No.1のサービスを創り上げたいと思っています。
業界No.1の企業に入るのではなく、業界No.1の企業を、自分たちの手で創る。
その挑戦にワクワクできる方と、一緒に働けることを楽しみにしています。