皆さんは「開発プロジェクトの要件定義」と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか。
仕様書通りにきっちりコードを書くのがエンジニアの仕事……そう思いがちですが、もしその要件定義書(設計書)自体に「致命的な穴」がいくつも潜んでいたら?
開発プロジェクトを円滑に進めるためには、渡された仕様書をただ受け入れるのではなく、その内容を正しく、かつクリティカル(批判的)に読み解く力が欠かせません。しかし、新人エンジニアが日々の実務の中で、こうした「仕様書を読み解く力」を身につけるのは、そう簡単なことではないのが現実です。
そこで今回、フェリックスは「若手・新人エンジニアに仕様書を読み解く力をしっかりと身につけてもらいたい」という目的のもと、新たな試みに挑戦しました。なんと、あの株式会社カヤックボンド様と合同で、同世代の若手エンジニアが集まり、お互いに切磋琢磨し合う勉強会の企画・開催が実現しました!
テーマは「要件定義フェーズの検証」。
あえて罠だらけに作られた設計書を前に、両社のメンバーはどのように穴を暴き、何を持ち帰ったのか。勉強会後にフェリックスの参加メンバーと、ファシリテーターの巖城(イワキ)を交えてワイワイと、かつ熱く語り合った座談会の模様をお届けします。
(→本勉強会に関するカヤックボンド様側のレポ記事はこちら! )
■ スピーカー紹介
- 天野 規朝(エンジニア)
- 柚木園 容健(エンジニア)
- Trevor Gaffney(エンジニア)
- 中西 裕也(エンジニア)
- 佐藤 優華(エンジニアマネージャー/今回の勉強会企画運営メンバー)
- 巖城 佐奈江(ファシリテーター / デザインチームマネージャー)
# あえて仕込まれた「穴だらけ」の要件定義書
合同勉強会 当日の様子
巖城: 皆さん、カヤックボンドさんとの合同勉強会、本当にお疲れ様でした! 今回は初の他社合同での取り組みでしたが、色々収穫があったようですね。まずは今回の勉強会で使った教材や進め方について、少し振り返ってみましょうか。今回、どんな感じでした?
Gaffney: 今回の教材は、一言で言うと「甘い要件定義(穴のある設計書)」でした。渡された仕様書の中から不備を見つけ出し、その改善案をグループで議論して発表するというミッションです。
巖城: テーマは事前に少し伺ってましたが、いい教材ですよね。フェリックスとカヤックボンド両社員の企画運営スタッフの皆さんが、あえて多くの罠を仕掛けて用意してくれたとか・・・(笑)
佐藤: はい、あらかじめ万遍なく不備(穴)を仕込んでいました。
巖城: 穴には気づけましたか?(他のスタッフを見ながら)
柚木園: 最初ざっと斜め読みしただけだと「どこに問題があるんだろう?」と思って読んでいたんですが、注意深く読み返しているうちに問題を1つ見つけて。1つ問題を見つけると「あれ? そういえばここもおかしくない?」とどんどん繋がっていきました。
佐藤: 個人ワークの段階では発見のレベルに個人差があったかもしれませんが、その後にグループワークを挟むことで、お互いに視点を補完し合えたのが狙い通りでした。最終的には、運営が想定していた指摘ポイントを遥かに超えて、参加者の皆さんが主体的にいろんな切り口の不備を見つけて発表してくれたので、企画した側としても非常に嬉しかったです。
# 他社の同世代エンジニアから受けた刺激
合同勉強会 当日の様子
巖城: 実際に他社の同世代のエンジニアと机を並べて議論してみて、どんな収穫や刺激がありましたか?
天野: フェリックスは少人数の会社なので、社内には自分と同じくらいの経験・レベルのメンバーがどうしても少ないんです。だから今回、他社の同世代エンジニアが「普段どんなことを考えて仕事をしているのか」「どう業務に関心を持っているのか」を直接聞きながら、足りない部分をディスカッションして探していくプロセスそのものが、本当に新鮮で大きな刺激になりました。
柚木園: 同世代が集まるメリットって、やっぱりありますよね。天野さんや中西さんがカヤックボンドのエンジニアさんと楽しそうにワイワイ交流しているのを見て、すごく良い空間だなと思いました。
巖城: 柚木園さんは普段、フロントエンドをメインに担当されていますが、要件定義というフェーズにがっつり取り組んだのはどうでした?
柚木園: 自社プロジェクトでは、他のメンバーが作成してくださった完成された要件定義資料を閲覧するだけで、今回のように不完全な要件定義に対して自分が口を出す経験はありませんでした。だから今回、実際に自分でアウトプットする作業そのものが挑戦で、すごく楽しかったです。それに、テストやセキュリティを担当しているエンジニアの方と同じチームだったんですが、その方々から「そこ、セキュリティ的にリスクがありますよ」といった、自分には全くなかった視点での指摘をいただいて、ものすごく勉強になりました。
巖城: 「自分の専門外の視点」をその場で浴びられるのは、合同勉強会ならではの価値ですね!
# AI禁止令と「日本語の壁」を越えて
巖城: 今回の勉強会には、面白いルールがもう一つありましたよね?
佐藤: はい。フェリックスもカヤックボンドさんも、普段の業務ではAIツールを積極的に活用していますが、今回はあえて「自分自身の力で仕様書を読み解く」という勉強会の目的に立ち返ってもらいたくて、「AIによる生成」を禁止するルールにしました。
Gaffney: 自分自身もAIを活用しながら業務をしているため、今回の「AI禁止」はちょっとした縛りプレイのようでした(笑)。
巖城: 普段だったらChatGPTや生成ツールで解決できることを、すべて自分の頭とチームの力で突破しなければならなかったんですね!Gaffneyさんは特に、日本語でのコミュニケーションは苦労されませんでしたか?
Gaffney: そうですね。私は技術的な知識はある程度ありますが、日本語のニュアンスを完全に読解するのには課題があります。しかし、私のグループにはエンジニアではないメンバーもいたので、システムの仕組みの言葉に苦戦している参加者の方もいました。だからハンデはお互い様として「互いに助け合って頑張ろう!」という姿勢で臨めたのが良かったです。
巖城: おお!助け合いの精神!素晴らしいですね!具体的にどんなふうに進めましたか?
Gaffney: 私は「理解クン(Rikai-kun)」というブラウザの拡張機能を使って、分からない日本語の専門用語をその場で英語に翻訳しながらドキュメントを読み進めました。チームのみんなと活発にディスカッションをして、設計書の穴を見つけることもできましたし、チームに貢献できたのでとても大きな自信になりました!
# 「個人ワーク ✕ グループワーク」が生むアウトプットの最大化
合同勉強会 当日の様子
巖城: 中西さんは経験者寄りの立場からの参加でしたが、勉強会の「形式」についてどう感じましたか?
中西: 「個人ワークをした後に、グループで議論や発表を行う」という流れが非常に効果的だったと感じています。一人でじっくり考えた後に、他の人の異なる意見や視点を聞くことで、「あ、それならこういうことかも」と自分の頭の中のアイデアがさらに引き出されてアウトプットされる感覚がありました。個人だけで完結せず、議論を交わすこのグループワークのやり方は、次回以降もぜひ継続していきたいですね。
巖城: なるほど良いですね!最初からグループワークだと声の大きい人の意見に流されることもありますが、まず個人で「問い」に向き合った後だと考えも整理されているでしょうし、グループになった時により深い議論に発展しそうですね!佐藤さん、これは次回の企画にもぜひ反映しましょう!
佐藤: ぜひそうしましょう! 参加者の皆さんからこれだけ高評価をいただけて、グループワークを仕込んだ甲斐がありました。
# 単なる「分かりました」を卒業する。明日からのクリティカルな目線
合同勉強会 当日の様子
巖城: 今回の勉強会を経て、明日からの業務の「姿勢」に何か変化はありそうですか?
Gaffney: もらったドキュメントや仕様書に対して、もっとクリティカル(批判的・厳格)な視点を持って穴や問題点を探す姿勢を身につけたい、と強く思うようになりました。ただ「分かりました」と受け入れるだけではなく、「実装を進める上で、何がブロッカー(阻害要因)になり得るか」「この要件に潜むリスクは何か」を、エンジニアの目線から厳しくチェックしていくことが、プロジェクトを成功させるために重要だと実感しました。
巖城: その視点はやっぱりエンジニアとして一つ上のステージに行くには大切な気付きですよね。実装に入ってから「やっぱりこれ作れません」ってなるのは一番苦しいので、要件定義の段階で厳しく精査できるエンジニアがチームにいると、プロジェクトの安定感は劇的に上がりますからね。
# 会社を越えて、お互いに「よいチーム」として混ざり合う
柚木園: フェリックスのように少人数で新人を一気にたくさん抱えられない組織にとって、提携先やカヤックボンドさんのような他社さんと交ざり合って、ワイワイ切磋琢磨できる勉強会は価値が高いと感じました。新人特有の「孤独感」を和らげる意味でも、こういう社外交流は本当に素晴らしい試みです。
天野: フェリックスの社内だけだと、どうしても人間関係も技術的な視野も固定化されがちですが、こうやって新しい風を吹かせてもらうことで、「よそはこんなに熱量高く頑張っているんだな。よし、自分も自分の場所で負けずに頑張ろう」とマインドをリセットできました。
佐藤: 現時点では次回の開催日程は決まっていませんが、今回の素晴らしいフィードバックを関係者に伝えて、ぜひ継続できる形を模索していきたいと思います!
巖城: さて、そろそろ座談会を締めようとおもいますが、お話を聞いて合同勉強会が技術的にも精神的にも大きな成長につながるものだったことがよくわかりました!勉強会に参加した皆さん、そして企画運営してくださった皆さん、本当にお疲れ様でした!(みんなで拍手)
そんなこんなで大成功に終わった合同勉強会と振り返りの座談会でした。
今回のような他社様との交流を通じてお互いを高め合える取り組みを今後も継続していきたい想いです。
企画担当スタッフの皆さん、そして何より快く合同勉強会を共にしてくださったカヤックボンドの皆様、刺激的な時間を本当にありがとうございました!
株式会社フェリックスでは、一緒にワイワイ学び、楽しく働く仲間を募集しています!
今回の勉強会や、私たちの「楽しく働く」「個人の成長を重視する」カルチャーに少しでも共感していただけたら、ぜひ一度カジュアルにお話ししてみませんか?