“すごい人たちのエージェント”集団が目指す、次世代のエンタメ

日本の「ぶっとんだクリエーター」が集うQREATOR AGENT(以下、QA)。きゃりーぱみゅぱみゅの生みの親である中川悠介氏、注目を集める仮想ライブ空間「SHOWROOM」を運営するSHOWROOM代表の前田祐二氏など、そうそうたるメンバーが名を連ねている。QAを2015年に立ち上げたのが佐藤詳悟さんだ。QAでは言葉の通り、独自の専門性を持ったクリエーターたちのエージェント業務を担う。今ではQAからFIREBUG、さらには短尺動画アプリ“30(サーティ)”を展開する。元々吉本興業でマネージャーとして活躍していた佐藤さんはなぜクリエーターたちをネットワークし、矢継ぎ早に新事業を立ち上げているのか。そこには佐藤さんが描く「次世代のエンタメ」への思いがあった。

ユーザーに深く届くのは「嘘のない本人のメディア」

——吉本興業にいた佐藤さんはなぜQAを立ち上げようと考えたのですか?

佐藤:元々はロンブー(ロンドンブーツ1号2号)さんやナイナイ(ナインティナイン)さんのマネージャーでした。会社には10年間いたのですが、最後の3年は新規事業のチームで西野(亮廣)さんとクラウドファンディングをしたり色々なことをしていました。当時の吉本はテレビ局と一緒にコンテンツ(=番組)を作ることは多かったのですが、芸人さんと何かをゼロイチで作って、ビジネスにしていく動きはあまりありませんでした。ですが、その時ちょうどTwitterやFacebookなどのSNSが盛り上がって、クラウドファンディングも世間に浸透し始めました。2010年頃ですね。タレントたちが自分の考えや作品を、テレビを通さずにそのまま自分たちで発信できる時代がやってきて、エンタメ業界の地殻変動を感じ始めていたんです。

——メディアが変わりつつある、と?

佐藤 そうですね。マスメディアの立ち位置が変わってきています。今や、タレントやクリエーターの一人ひとりが“メディア”と言ってもいいかもしれません。彼らが発信するものにファンがついてくる時代になっている。最も多く、深くユーザーに届くのは「本人の言葉で紡がれた本人のメディア」にほかならない。そう思って、当初はビジネスモデルをあまり考えずにとにかく面白い人たちを集めました。とにかく面白い人たちが集まったら何かそこでビジネス生まれるだろう、くらいの気持ちで。今から考えるとものすごい冒険ですね(笑)。

——QAを作ってから2016年にFIREBUGを設立しました。FIREBUGは何をやっている会社なのですか?

佐藤:立ち上げから3年が経って、QAには現在300人ほどのクリエーターが登録しています。今ではFIREBUGの子会社になっていて、FIREBUGの一部署という位置づけです。ちなみにクリエーターを選定する際には弊社で“ぶっ飛んでる人かどうか”が基準になっていますが、QAに所属すること自体は無料です。ホームページにプロフィールを載せるのも無料。それでは何で利益を得てるのか?とよく聞かれることがあります。メディアの出演料や広告料などは正直大きな利益ではありません。大きなビジネスを生んだのは実際にクリエーターたちのつながりです。QAで出会った色んな面白い人たちから紹介していただく企業さんや経営者からさまざまなニーズが見えてきたんです。要するに、クリエーターを通じて生まれた「課題」を解決することがビジネスになっています。

その時、スマホ上での映像コンテンツが流行し始めた時期でした。「何かスマホ向きの映像コンテンツはないか」という依頼を受け、LINELIVEやAbemaTVなどの動画制作を手がけはじめました。例えばLINELIVEだと「さしめし」というコーナーやAbemaTVでは渡辺直美さんの23時間番組など。番組制作だけではなくメルカリやBASEのようなベンチャー企業のマーケティングのお手伝いなどのコンサル的な案件もあります。吉本興業の時から変わらないのは、僕の興味が「人」にあること。面白い人たちに興味があるんです。そんな面白い人たちの実現したいことをエンタメ思考やコンテンツでお手伝いするというのがFIREBUGとQAの立ち位置です。クリエーターやテレビ局やネット企業の事業責任者、ベンチャー企業の経営者って芸人さんと似ているところが多いんですよ。


社員は「専門性」がなくていい

——というと?

佐藤:経営者やクリエーターなどぶっ飛んだ人たちは世の中に対して表現したいものが明確にあるんです。それが音楽だったり、漫才だったり、会社やプロダクトだったりするんです。そういう意味では僕が今やっていることはずっと一貫していて、何かやりたいことがある人のお手伝いなんですよ。例えば、先述したメルカリだと小泉文明さんという社長がいます。小泉さんとは3年くらい前からメルカリのマーケティングを手伝わせてもらっているんですけど、彼らがやりたいことやテーマ、ターゲットに向かって最短距離で最高のコンテンツを作り出していく。Webでの露出なのか、CM制作なのか、イベントなのか。それも僕らが持っている“カード”の中から最高の組み合わせを選んで提案するんです。

——人材マネジメントから動画やベンチャーへのコンサルまで幅広いですが、社員はマルチな動き方が求められる気がします。どういう人材を必要としているのでしょうか。

さっきも言ったように僕達はプロデューサー集団です。プロデューサーというのは、才能がある人がいて、彼らがやりたいことを一緒に実現していくことが基本であり理想。そう考えると、僕らってあんまり専門性はいらないと思っています。むしろその人のために尽くして、その人がやりたいことを実現していくというサービス業の一番基本的なことがわかっていればそれでいいんです。逆に専門性については、たくさんいる各方面のクリエーターや専門家たちに任せればいい。

——なるほど。


「短尺動画」で勝負をする理由

——メディア業界に目を向けると動画ビジネスが盛んです。

別に動画をやりたくて動画をやっているわけじゃなくて、動画もいろいろな方のお手伝いをして行く中で必要だと思ったサービスのうちのひとつ。クライアントさんとか無数に色んな人と話していると自然とそういうトレンドがあって、ビジネスが動いているのがわかる。だったらうちが動画をうちの会社ができることを提供しようといって始めているのが短尺動画や広告のパッケージだったりします。

——30(サーティ)という新しいスマホ向け動画のアプリも立ち上げましたね。

30(サーティ)はちょうどローンチから半年くらいですね。特化しているのはスマートフォン向けの「短尺動画」です。スマートフォンでは短尺の動画の方が圧倒的にユーザーの人に見てもらえるんですよね。40秒を超えると、途端にみんな見なくなる。今まで映像メディアは居間に置かれた1台のテレビの7チャンネルの奪い合いだった。でも、スマートフォンって天気予報もあれば銀行もあれば買い物もできる。家のテレビじゃない次元でのライバルが多すぎるんです。さらに空いてる5分から10分くらいで取り合っているので、そこによほどの熱量がないとわざわざ押してくれない。

——確かにそもそも見てもらえらないとマネタイズ自体できませんからね。

マネタイズ、すなわち、稼ぎ方も変わってきています。例えばアーティストやクリエーターって企業から広告としてお金をもらうか、メディアさんからお金をもらうか、ファンからお金をもらうかの基本三択しかない。企業とメディアからお金をいただくのはなかなか狙ってできるもんじゃない。今後これだけチャンネルが多様化している時代になってくると、いかに自分のことを見てくれているとか、自分のことを応援してくれるファンを増やしていくかが勝負だと思うんですよ。そう考えた時に、色々考えていくと現状動画にチャンスはまだある。

——言い切りますか。その理由はなんですか?

例えばあるアイドルがいたとします。その方がスマートフォンを媒介に収益をあげようと思うと、多分「文字」ってTwitterやブログとかで無料でどんどん提供しているので、それを今から課金形式にするのは難しい。「画像」もインスタとかでバシバシ撮ってアップしているので難しい。「音声」も、radikoがタダ、というよりラジオ自体そもそもタダだし、音楽もYouTubeにPVがあがっていたり、無料で聴ける部分が多いのでわざわざそれを買う文化がなくなってきています。で、最後に残ったのがインスタのストーリーとか生配信の部分。これを一切やっていないアーティストはまだまだいるので、ファンの方からするとそこでしか見れないアイドルやアーティストの動画があれば、そこに対価を払う必要性を感じてくれるんじゃないかと思っています。

——今、アーティストの稼ぎ方が変わってきているというのは、それってエンタメ業界全体が変わってきているという意味でしょうか?

確かに変わってきています。かつてテレビは基本的には限られたチャンネル数で、限られた時間の中で情報を出していた。要するに最大公約数的な情報でした。日本人が全員同じ情報を持っていたんです。ただ、ネットやスマホなどが登場して情報源が分散し、入ってくる情報が多様化しました。「みんなが知っている」情報が極端に少なくなってしまったんです。それと同時に、人それぞれの趣味嗜好は細分化していく。テレビ番組でこの曲良いですよね、と発信しても、誰もがそれに反応しなくなる時代になってしまった。となると細かく自分のファンを少しずつ積み上げていくしかない。広告やメディアからの収益は、あんまりだんだん見込めなくなってきている。


——やはりファンとの付き合い方ですか。

はい。いかに自分のファンから収益を得られるかが勝負です。ということは今までのようにメディアやクライアントさんに対してペコペコしている必要性は相対的に下がります。本当にファンの人たちを大切にしていく人が勝ち残っていくと思っています。

——細分化されたファンに向けてコンテンツを作るとなるとテレビよりもスマホの方が、相性はいい?

その一面はあります。ですが、テレビという考え方も変わりつつあります。今はごく限られた事業者が流せる電波に乗ったコンテンツをテレビって呼んでいます。ただそこにコンテンツを流せる会社はテレビ局だけではなくなりつつある。おそらく10年後くらいには都心だけではなくローカルのテレビにもインターネットが繋がっている時代になると思うんです。そうなるとスマホとテレビの境目すらもあいまいになる。テレビでももっとパーソナライズで、個人の趣向に沿ったものを見る時代になると思います。もしかしたらスマホではファンのアーティストの動画を短尺で見て、家に帰ったらじっくりしたものをテレビに映して楽しむとか。24時間という限られた時間の奪い合いになると思います。

しかしながら、僕たちのミッションは、「すごい人たちをエンタメでお手伝いすること」で、すごい人たちが世の中をもっと楽しくするということです。30(サーティ)もその1つのサービスにすぎません。もちろん日本だけじゃありません。人種や国境を超えてどんどんすごい人たちのお手伝いをするために様々なサービスを開発していきたいと思っております。

(取材・文:武田鼎+FIREBUG、写真:栗原洋平)

【佐藤詳悟プロフィール】
株式会社FIREBUG 代表取締役/株式会社QREATOR AGENT 代表取締役
2005年に吉本興業株式会社に入社。ナインティナインやロンドンブーツ1号2号、COWCOW、ロバートなどのマネージャーを歴任し、様々な新規事業をプロデュース。2015年2月に独立し、経営者や文化人のPRエージェンシーQREATOR AGENTを立ち上げ、女子高生起業家の椎木里佳や筑波大学の助教の落合陽一など200名以上のPR業務を行っている。2016年2月にはコンテンツのプロデュース会社FIREBUGを立ち上げ、メルカリやBASEのマーケティングのコンテンツプロデュースやテレビ番組、AbemaTV、LINELIVEなどの番組プロデュースも行っている。

株式会社FIREBUG's job postings
Anonymous
Picture?height=40&width=40
Picture?height=40&width=40
23c9b193 bc4e 4f99 bd16 10777b6f1686?1529259376
Bb04b91d 4141 451c 9e69 86434ad3d9eb?1534397288
7e643730 842e 4c7b 8e72 6e122a33c3f9?1518697531
11 Like
Anonymous
Picture?height=40&width=40
Picture?height=40&width=40
23c9b193 bc4e 4f99 bd16 10777b6f1686?1529259376
Bb04b91d 4141 451c 9e69 86434ad3d9eb?1534397288
7e643730 842e 4c7b 8e72 6e122a33c3f9?1518697531
11 Like
16327 860740873987692 2128851020557831860 n
Come visit 株式会社FIREBUG!
株式会社FIRE BUGに興味を持っていただきありがとうございます!様々な職種で新メンバーを募集中です。もしよろし... Show more
16327 860740873987692 2128851020557831860 n
Come visit 株式会社FIREBUG!
株式会社FIRE BUGに興味を持っていただきありがとうございます!様々な職種で新メンバーを募集中です。もしよろしければお気軽にオフィスにお越しください。お待ちしております!
2efc7697 842b 48d7 8dad f3737256e53d?1526456376
Androidアプリエンジニア

ファンビジネスに革命を起こす動画アプリ30のエンジニア募集!
View other job postings

Weekly ranking

Show other rankings

Page top icon