デザイナーをやめたら、デザイン力があがった話

何か記事を書かなきゃと思いながらも、なかなか書けません。
小学生の頃から作文はよく褒められたし、10年近く前は毎日ブログを書いていたので、自分は文章を書くのが得意だと思っていたのですが、知らなかっただけでした。本当に上手い人が書いた文章を。

さ、これから始まる駄文に対する保険的な前置きはここまでにします。
実際のところ、あまり頭をこねくり回さずに書けるテーマはないかと考えていたところ、ときどき思う「これ、10年前の自分が知ったら『ほぉう』ってなるで」がいいかもと思い、その中のひとつ、“デザイナーをやめたら、デザイン力があがったよ” について書いてみようと思います。
若いデザイナーで、ある時点から伸び悩んでいる人や、「UX/UIデザイン」ってなんなのかわからないという人には、参考になるかもしれません。

これから書くことを伝えたい10年前の自分は、現在務めている株式会社ファーストブランドに入社する直前でした。
長いモラトリアム期間を経て、20代中盤でDTPの世界で組版の基礎を学んだ後、ファーストブランドに入るまでの3〜4年は、制作会社やフリーでWebデザイナーをやっていました。
その頃の自分は、社会問題に対する意識がすごく高くて、デザインで何か変えたい! だけどドロップシャドーの角度や濃さについてこんなにも時間をかけて悩んでたら、大きなことはなにも変えれんぞ! という焦りやもどかしさを抱えていました。
自分にはできないことがありすぎる。一人でできることは少ないし小さすぎる。スターデザイナーでもないし、コミュ力もない。ビジネスの世界もまるでわかってないやつが、社会に影響を与えることなんてできるのか。
そしたら自分に足りない部分は得意な人にやってもらえばいいんじゃないか。そんな人たちに出会え、束ねるスキルが身につく仕事っていったいなんなのか。その答えがWebディレクターでした。

ファーストブランドではじめたディレクター業の日々は、人生トップクラスの大変さでした。
お客さんとの電話も苦手。ビジネス敬語も知らない。バビロン!バビロン! ってディスってた広告代理店のこともなにもわかっていなかった。
自分がこれまでにやってこなかったこと、知らなかったことだらけでした。ビジネスマンとしても本当に未熟だった。

また、それまでに触れたことがなかった思考の人たちとの出会いも衝撃で、かなり戸惑いました。
すごくロジカルで(いろんな意味で)頭が切れている先輩たちや、世界的にマーケティングのお手本とされている外資系企業の仕事で出会ったクライアントや広告代理店の方々。
この人たちとの出会いは、今の自分を形成する要素として非常に大きな割合を占めています。

今まで経験したことがない仕事と、会ったことがないレベルの頭の良さを持つ人たちの中で揉まれること数年、どうにかこうにか少しは役に立てることも増えてきました。
そんな時にふと、Webデザイナー時代の自分から大きく変わってきていることがあるのに気づきました。

● コミュ力UP
● 顧客/ユーザー理解度UP

人見知りで、頭でっかちだった自分が、これまでとは比べものにならない量の出会いを経験して、様々な価値観や事情に触れることができている。
クライアントと直接対話していく中で、どんな思想や哲学を持っていて、どんな人がユーザーで、今なにを達成または解決したいのか。それらがクリアにわかるようになってきていました。

そんな実感もあって、キャリアチェンジの成功をうっすら感じて、さらにディレクター道へ突き進む一方で、やはり、自分の力不足やリソース不足などで、時々デザイン作業をしなければいけない場面がありました。
デザイン実務のブランクがかなりあったので、多少の不安はありつつ、いくつかのデザイン案件をやっていると、Webデザイナー時代にやっていたデザインとは、明らかに違う感覚でデザインするようになっていました。

● ブランド・エクイティを踏まえたデザインができるようになっていた
● 戦略に基づいたデザインができるようになっていた
● ロジカルに説明できるデザインができるようになっていた

Webデザイナー時代も、アウトプットとしてはUIのデザインをしていたことに違いはありませんが、それらは全く戦略や顧客理解に基づいたものではありませんでした。戦略や顧客やユーザーのことを意識はしていたけど、ほとんどの部分が仮定や想像。
まさにGoodpatchの國光俊樹さんが仰っている、“UIビジュアル”デザイナーだったのです。

“UIビジュアル”デザイナーだった自分が、顧客と直接対話し、顧客のブランド・エクイティや戦略、消費者のインサイトやニーズを理解できるようになり、それらを踏まえたUIのデザインができるようになった。
UIビジュアルデザイナーをやめたら、やっとUIデザイナーになれた。

UIと同じく「UX」が近年のデザイン界を代表するトレンドワードとなっています。
正直に言って、僕は「UXとは?」には一言で答えられるほどの理解ができていません。
しかしディレクター業務を通じて知った、顧客視点やブランド・エクイティ理解、データに基づくユーザー理解やフレームワークなどは、UXの文脈で紹介される思考方法やスキルと、ほとんど変わらないのではないかと実感しています。

だとすると、現在“UIビジュアル”デザイナーの人が、UXを踏まえたデザインができるUIデザイナーになるには、ディレクターにならなければいけないのか?
必ずしもそうではないと思います。僕の場合、たまたま、足りていなかったUX的なスキルを、ディレクター職でキャリアを積む中で出会えたお客さんや先輩や同僚のおかげで身につけられただけです。

Baigieの枌谷さんやBasecampの坪田さんが仰るように、UXとはどの職種にも活かせる汎用スキルで、これからは基本スキルになっていくのだと思います。

UXを勉強しようと思えば、今は参考になる記事や書籍、誰でも気軽に参加できる勉強会がたくさんあります。

私も実は「UXっていったいなんなのさ」とずっとモヤモヤしていたのですが、勉強をしたり、UX MILKが主催する「UX JAM」に参加させてもらったことで、UXというのはこれまで自分が学んできたスキルとかなり重なる部分があることに気づき、ようやく輪郭めいたものが見えるようになりました。

人はまだ知らないことを、怖がったり、嫌いになったりするんだと思います。勉強して、実際に経験して、まずは自分が何を知らないのかを知るだけでも、かなり視界がクリアになります。
もし、知識やスキルの幅をさらに広げたいと考えていたり、「UX/UIデザイン」という言葉がいまいちピンとこないというデザイナーで、現在は顧客とのコミュニケーション的距離がある環境でデザインをしている人は、スタイリングとしてデザインの勉強や作業する時間を減らして、以下のことをトライしてみてはいかがでしょうか。

● デザインの担当者および責任者として客先に同行する
● ディレクターになる
● UX/UI関連の勉強会に参加する
 (リアルにいろいろな人に会って、話をしたり聞くことが重要)

どれにトライをしても、デザイナーとして得るものしかないと思います。得るものがなかったという結果も重要な学びです。どんどんトライして、たくさん失敗して、次に活かす。PDCAをいっぱい回していきたいですね。僕もまだまだジタバタしていきます。

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