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矛盾をすすむ。


「経営とは矛盾の追求である。」

いきなりバシーッと言い切っていて、どこかの偉人の
言葉に聞こえるが、なんてことのない僕がいまさっき
整えて書いた言葉だ。

僕は、幼稚園から大学までの教育の中で、人と一緒が
良いという教育を受けてきた。

部活はやったほうがいい。
大学は行った方がいい。
あの授業は受けておいた方がいい。
友達を増やした方がいい。
良い会社に入った方がいい。
あいつの入った会社はこうらしい。ああらしい。
                     etc...

多勢の意見は合っていることが多いから、たしかに
人と一緒の方がいいという場面は多い。

クイズ番組で、AとBの正解の方に分かれてください
という場面では、だいたいが人が多く集まる方が
正解だったりする。

だから、人と同じじゃない = 人と矛盾するのは、
理想のイメージではない、嫌なことが常に付いて
まわったりもするものだ。

ただ、こと経営に関しては、先述の通り、大いなる
矛盾の追求こそが真実である。

数多ある企業の中で、他と一緒ということは、存在
価値がないのと同意義である。

他に同じサービスを提供し、同じものを売っている
企業があるならば、本来2つはいらないのである。

だから、経営において矛盾は、歓迎すべき要件だ。

リセノも創業時は「誰がネットでソファを買うねん」
と言われたりした。

たしかにあの頃は、商品画像を数枚程度だけページ
に載せて売っているお店も多く、僕が勤めていたWeb
制作会社でも「画像を何枚も載せるのは、別料金」
などと、コーダーの若者がのたまわっていた。

でも僕は「この土産物屋さんの商品は、高級なもの
だから、いろんな角度からLightboxで画像を何枚も
見せたい。」「そのためにまず、先方を説得して、
カメラマンもアサインします」などと素人のくせに
社内で強く主張して、よく若者に嫌がられたものだ。
(僕も完全に若かったが)

そんな経験もあって自分で作るサイトには、
「1商品あたり画像をめちゃたくさん載せてやる!」
と鼻息荒く作り出したのが、リセノである。

だれがネットでソファを買うのかは、その時はまだ
分からなかった。

ただ、それはあまり問題ではなく、他にそんなお店が
(少なくともYahoo!で検索した中では)なかったから
満足しながら始めたのである。

その時点で、まわりがやっていることと、少なからず
は矛盾していたのは確かだ。

そこから10年以上が経ち、ネットでソファを買う人
は、かなり増えた。

そして、僕は周知のとおり、ITで創業したのに
実店舗も出し、いろいろと内製でまわし、さらには
自ら家具のデザインもはじめた。

その家具づくりも、他にすでにあるものはやらず、
自分たちにしかない方法で、世の中の常識を疑い、
ありそうでなかった、自分も欲しい家具を作ってきた。

しかも、とっておきの面倒くさい方法でやるから、
一緒にものづくりする会社さんも本当に大変そうだ。
うちの品質管理もしょっちゅう海外や倉庫へ出掛けて
は、自ら修理をしたりしている。

この家具作りも、まわりの会社はいまだにデザインを
主軸に置いてそうだし、そうでなくとも、お客様に
イタコってものづくりをしている会社は、少ない。

だからこそ、僕たちの家具は、お客様から愛されて
いるのだと思う。

経営どころか、家具づくりひとつでさえ、他と一緒
では意味がないのである。

他が効率化を求めて、無難な仕様にするなら、
そこにこそチャンスあり。

今まで常識とされてきたことを、ひっくり返せれば勝ち。

矛盾を深く深く追求していくのである。

その他の事業活動も、うちの会社でやっていることは
他の会社と比べて、たくさん矛盾をはらんでいるし、
だからこそ、業界内の常識を知っている人にこそ
人気が高い。

同業界で働いている若者が、うちの会社にジョイン
したいと言って来てくれることも、ものすごく多い。

業界内での人気は、僕がもっとも大切にするもの
なので、その点でも矛盾の勝利である。

経営者になって、しかも割と最近に、この矛盾という
ものがいかに重要かが分かってきた。

そして、それは経営だけでなく、世の中や人生に
おいても重要な気がしてきている。この考えに
至ったことこそが、経営者としての真の学びなの
かもしれない。

たとえば、働くということ。

一般的には、

・やりがいがあって
・給料が良く
・休みもきちんと取れて
・同僚との仲も良い
・社内の雰囲気は最高

みたいな環境の会社に入ると、非常に恵まれている
と感じると思う。友人にも羨ましがられるだろう。

でも、そんな誰もが憧れる最高の環境で長く働いて
いくと、後にはしんどいことが待っている。

だって、誰もがその環境に憧れるわけだから、
自然と競争は激化する。レッドオーシャンだ。

競争に勝っているうちはいいけれど、何かの拍子に
休憩したり、そこから外れてしまったときには、
つるつるのきれいな手で、世の中をサバイブして
いかなくてはならない。

誰もが憧れることではあるけれど、ずっといいことが
続くなんてことは、人生においてありえないからだ。

「若いうちの苦労は、買ってでもしろ」

なんていうが「誰が苦労をわざわざ買うねん」という
時点で、矛盾の発想なのである。

僕なんかが冒頭で偉そうに言わなくても、ずっと
昔から、矛盾は重宝されていたのである。

だからこそ、仕事にしろ、人生にしろ、なんにしろ、
自分の意図にそわない時間こそが、最大の矛盾であり
その時間こそが、長い仕事や人生においては、最終的
には、充実につながる価値のある時間なのである。

だから、結局の話、今の環境が例え大変だとしても、
隣や友人の芝生が青く見えても、毎日がなんとなく
いびつに思えても、矛盾の観点でみれば、無駄なんて
なく、とにかくにも、10年後から来た自分になった
つもりで未来人的に見れば、むしろ、矛盾どころか
最高の時間なわけだ。

精神論的だけれど、これが僕が経営を通して、実感
している人生訓的なものである。

人と同じではなく、一般的でなくていい。
いびつなかたちでも、自分だけの人生を歩めばいい。

例えすぐに苦しい時間が過ぎ去らなくても、ずっと
思い続けていれば、いつかは良くなる時が来るし、
また、それはある日とたんに目の前が開けるように
なるのである。

「経営とは、矛盾の追求である。
 矛盾を理解した時、独自の輝きを放つのだ」

まったく偉人ではない僕が、40年の経験で得た言葉です。

僕が走り続けて行きついた思いが、誰かの助けに
なればいいなと思って、偉そうに思いながらも、
言い切った文章で今月は、書きました。

来月からは、元に戻します^^

PS.
ちなみに本日2月28日で、41歳になりました。
母ちゃん、ありがとう。おめでとう。

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