世のエンジニアに問いたい。「あなたのスキルを何に対して使いたいですか?」

結城大輔は、かつてメカエンジニアとして最高峰を目指した。それが、めぐりめぐってfor Startupsに来たのは、世の中にはたくさんの優秀なエンジニアがいるのに、彼ら彼女らが、思う存分に活躍しているように思えなかったから。「自分のスキルを何のために使いたいか」と、かつて自分に問いかけた。結城の答えは「世の中のため」。同じ問いを、今、すべてのエンジニアに発する。

日の目を見ない新規事業。大企業ならではの壁に限界を感じて会社を去る

for Startupsに来る前、結城は、とある有名メーカーでディスプレイ製造装置の開発に携わっていた。素人にはわからない、大変な精密さが求められる世界。メカエンジニアとして、技術の粋を極めようと考え、選んだ就職先だった。希望の部署への配属が叶い、意欲を持って取り組む日々が続いたが、いつしか、結城は企画側に関心を持つようになっていた。というのも、自分の技術を磨き、世のために役立てたいと思うほど、「今、取り組んでいる仕事が本当に世の中に価値をもたらしているか」と疑問に感じたからだ。

それまで、企画の意図を形にすべく、常に仕様に対して正しく作ってきた。だが、もし企画の方向が間違っていたとしたら、自分のやっていることは、世の中に対して無価値になる。実際、「本当にこれでいいのかな」と感じたことも、無くはなかった。だからこそ、企画側に行ってみたいと考えたのだ。

ちょうどそのとき、社内で新規事業をスタートすることになり、メンバーの公募があった。結城は迷わず手を挙げ、参画した。「ユーザー調査から始まり、今までやったことのない仕事ばかりで、最初は楽しかったです」。結城は振り返る。だが、実際に事業化にこぎつけるには、社会的責任や影響力が大きい大企業ならではの強固な壁がある。結論から言うと、この事業は日の目を見なかった。

結城は、この経験を横展開する形で、外部のスタートアップの成長を支援するアクセラレータープログラムの担当に移り、さらにそこから、社内起業家支援制度を立ち上げ、一通りの運営を実施した。しかし、その貴重とも言える経験が、結城を退社へと向かわせることになった。

新しいことに挑戦しようとする意欲はある会社だった。しかし、現実的にはなかなか実を結ばないことを、身をもって体験し、もっと他のやり方があるのではないかと考えたのだ。

力を発揮しきれていないエンジニアたちをもっと活躍させたい。for Startupsへ

前職で手がけた、社内外の起業家支援は、まさに今、for Startupsで取り組んでいることに直結する。志は同じながら、社内ではなく、外に出ることを選んだ。結城は言う。「社内でやるには、時間がかかり過ぎると思いました。時間は減るしかない。『この先、何年かかるのだろう・・・』と気が遠くなるような思いとともに、『自分は残りの人生を何に費やすべきか』と考えたのです。会社のためか。日本のため、世界のためか。自分は世界のために働きたいと思いました。ならば、もっと早く貢献できる道があるだろうと考え、外に出たのです」。

同時に、前職では資金、環境など大企業ならではの素晴らしいリソースがある一方で、人の活用に関しては、課題も感じていた。大企業には優秀なエンジニアがひしめいている。だが結城は、自分が新規事業を断念したように、たくさんの優秀なエンジニアが、様々な制約の下、存分に力を発揮できない状況にあると感じていたのだ。

本気で何かに取り組んでいるスタートアップ企業の役に立ちたい。エンジニアたちの力をもっと世の中のために役立てたい。この2つの思いを叶えるために、結城はfor Startupsにやって来た。

少し遡って、for Startupsの存在を知ったとき、結城は、まずビジョンに共感した。そして実際に人に会ったとき、この人たちと働きたいと感じた。「面接では、『今まで何をしてきたか』は聞きません。自分たちがどんな世界を実現したいかを語るのです。会う人会う人、みんなそうでした。それに対して僕は僕で思いがあるので、いつの間にか議論が白熱している(笑)。皆さんの人柄と、そのカルチャーに惹かれました」。

前職では自ら天井を設けてしまっていた。今はどこまでも高くジャンプできる

会社規模も業種もまったく違う環境にやってきた結城だが、「入社前に思っていたよりも楽しいです」と、晴れやかな表情で言う。「スタートアップの企業と距離が近く、同じ方向を向いている。ご支援できて御礼を言われると嬉しいですし、やりがいを感じます。転職された方が活躍している様子を聞くのも、自分のことのように嬉しいですね」。

「これぞ、for Startups」という支援もできた。とあるものづくり系のスタートアップ、A社での事例だ。当初、A社は量産工場を立ち上げる人材を求めていた。だが、「一人でイチから工場開拓をした経験のある人は、まずいません。難しい要件だと思いました」と結城。先方との話し合いのなかで、結城は新たな視点を提示した。

「知り合いの会社の一つに、ハードウェア系の立ち上げを手がける会社があります。その会社と提携することで、A社の要望を満たせるのではないかと考えました。採用するのは生産現場の経験を持ち、将来的に自ら工場を開拓し量産工程を担える潜在能力のある人。その人が加わり、その会社と提携することでノウハウを蓄積し、将来の生産拡大への道筋をつけるという提案をして、具体的な人物像を一緒に固めました」。

そして、実際に現場経験があり、経営志向のある人材、B氏を支援することができた。B氏は早速、精力的に活動し、活躍しているという。まさに介在価値を存分に発揮した支援事例と言えるだろう。

for Startupsで、結城は毎日、たくさんの刺激を受けている。強い思いを持つ起業家や、支援したB氏のような能力と野心、行動力を持ち合わせたタレントにも出会う。「すごい人たちと対等に話さなくてはいけないタフな仕事ですが、自然と自分の目線が上がります。今、思うと前職では、自分で天井を設けてしまっていました。ここは反対に、自分がどこまでジャンプできるか、限界を試している気がします」。

かつての自分のようなエンジニアに伝えたい。自分の力を世の中のために使ってほしい

結城には、かつての自分のようなエンジニアたちに伝えたいことがある。一つは、今、ものづくり系のスタートアップが次々と誕生し、エンジニアの活躍の場はたくさんあること。もう一つが、このチャンスに「ぜひ挑戦してほしい」ということだ。かつての結城のようにモヤモヤを感じているエンジニアはもちろん、今の仕事に十分満足しながら、より高みを目指したい人にも、自分の力や価値を最大限に上げられる環境に身をおいてほしいと思うのだ。

大企業といえども、今は決して安泰ではない。現に、既存のメーカーの多くが新たな成長領域を探す一方で、リストラも積極的に進めている。究極的に信じられるのは自分の力だけ。

「どこででも通用するスキルと自信、ネットワークを自ら獲得するという思考が、これからは必要になるでしょう」と結城。それらを身につけるに適した場の一つが、スタートアップだ。実際、すでに多くの大手出身のエンジニアが活躍している。

やりがいも大きい。既存の商品を改良、進化させることが中心の大企業とは異なり、スタートアップは、まだこの世にないものを生みだす可能性もある。「誰も見たことも、使ったこともないものをみんなが使うようになる。そんな市場を創出するダイナミックな経験は、なかなかできないと思います」と結城は熱っぽく語る。

自分のスキルを何のために使いたいか。

結城は、かつて自分に発した問いを、今、多くのエンジニアに向けて発する。「僕は、世の中のために使いたかった。エンジニアの皆さんにも、会社のためでなく、市場や世の中のために使ってほしいと思います。僕は、その後押しをします」。それが結城の願いであり、目標だ。多くの人に対して影響力を持てるよう、自分自身をさらに高めていく決意だ。

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