IBMやGREE、PwCを超える「社会的インパクト」を ―3つの大企業を渡り歩いてわかった、ビジョン経営の本質―

社会的インパクトを与えられる仕事がしたい

就職活動シーンを覗くと、そう熱く語って企業に入社する方が多いが、「社会的インパクトの定義」、「それを実現するための組織のあり方」まで考え、落とし込めている人は少ないかもしれない。 フロムスクラッチの福井和典は、大学卒業後に日本IBMにシステムエンジニアとして入社し、その後GREEやPwCを渡り歩いてきた。会社選びに一貫して持ち続けたこだわりが「社会的インパクト」の視点。グローバルカンパニーや国内メガベンチャーで活躍してきた福井が、社会的インパクトを与え続けられる企業の共通項と、そこで求められる組織づくり、ビジョン経営の本質について、自身の経験に基づいて語る。

【目次】 ・今、企業に再び求められる「社会的インパクト」 ・変えたい、でも変わらない組織文化が社会的インパクトから遠ざける ・変革の当事者となる“覚悟”がないと社会的インパクトある仕事はできない ・「戦略的柔軟性」がビジョン経営を推進する ・さいごに   

― まず、フロムスクラッチという会社について教えてください。

フロムスクラッチは、ビッグデータ×人工知能を主軸に事業を展開するデータテクノロジーカンパニーです。現在は、マーケティングテクノロジー領域におけるソリューションである、次世代型マーケティングプラットフォーム「B→Dash」の開発・提供を中心に事業を展開しています。

「B→Dash」は、企業が保有する全マーケティングプロセスのデータを一気通貫して管理・統合・活用できる、類を見ないソリューションです。統合したマーケティングデータに人工知能を活用することで、収益が最大化される施策の自動分析・レコメンドを実現します。

2015年には、シリコンバレーに本拠地を構えるベンチャーキャピタルや、電通デジタルホールディングスらから、総額13億円もの資金調達をしました。ほかにも、元LINE代表取締役である森川さんに戦略顧問に就任いただいたり、世界的な経済誌Forbesの「日本の有望スタートアップ20」にも選出されたりするなど、いわゆる“成長ベンチャー”企業です。

今後は、人工知能の研究開発、海外展開、「B→Dash」の開発強化に加え、「ビッグデータの取得・統合」と「人工知能によるデータ活用」の技術を通じ、様々な領域での事業展開を予定しています。

詳細はこちらの記事をご覧ください。

今、企業に再び求められる「社会的インパクト」

2011年、マイケル・E・ポーター教授などにより、CSR(企業の社会的責任)に代わる新しい概念として、CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)と呼ばれるコンセプトが提唱されたのは記憶に新しい。 CSVは、「社会的な課題の解決」と「企業の営利活動を前提とした競争力向上」を同時に追求する戦略コンセプトだ。 ビジョン/ミッションと呼ばれる企業の存在理由をしっかりと明示し、企業活動に勤しむ企業が増えていることも、CSV経営が少しずつ浸透している傾向の表れだろう。

社会課題の解決=社会的インパクトと定義をすれば、今やほとんどの企業が社会的インパクトの実現を目指して活動していることになる。企業のHPに入り会社概要ページを覗けば、自社の事業がどう社会課題の解決につながっているかを、「ビジョン」や「ミッションステートメント」を掲載して伝えている企業も多い。しかし、実際のところは“言うは易く行うは難し”であり、実現に向けては高いハードルが存在する。特にそれは、企業規模があまりにも巨大化してしまった大企業に顕著に見られる。組織が大きくなればなるほど、企業が掲げるビジョンやミッションは現場まで伝わらず、“お飾りの大義”で終わってしまうケースも見られる。

これまでにIBMやPwC、そしてGREEといった企業を経験してきた福井は、自身の経験を踏まえてこう語ってくれた。

変えたい、でも変わらない組織文化が社会的インパクトから遠ざける

「私の会社選びの基準は、(1)社会的インパクトを与えられる仕事であること、(2)お客様に満足していただける仕事であること、の2つで、これは新卒時の就職活動から社会人になってからの転職活動でも一貫しています。

私は新卒で日本IBMに入社しました。IBMは、ITの力で世界のインフラを支える、誰もが認めるグローバルカンパニーです。今でもWatsonなど、革新的なサービス/プロダクトを絶えず生み出し、変わらず社会のインフラであり続けようとする企業姿勢があります。当初はセールスとして応募しましたが、縁もありシステムエンジニアとして入社しました。セールスとしてITを駆使したソリューション提案をお客様に行う立場よりも、エンジニアとして自らの手でITシステムを構築する立場の方が世界のインフラを支えている、社会的インパクトを与えられている、ということを実感できると考えたからです。文系出身の私にとってエンジニアとして社会人をスタートすることはとても高いハードルでしたが、社会に貢献できる仕事ができる、ととてもポジティブな気持ちを持ったことを今でも覚えています。

しかし、入社してから数年経つとモヤモヤを抱えるようになりました。IBMという企業が目指していること・掲げている目標は、崇高で偉大なものなのですが、いざ現場で働くと驚く以上にその熱量が組織に伝播していません。大きな組織なので当然ではありますが、自身の意志とは関係なく仕事は勝手に降りてかかってきます。すると、最初は熱量を持っていた同僚たちも、その仕事のシステムによって次第に、社会に影響を与える仕事なんて考えず、ただもくもくと、まるでひとつの歯車のように仕事をする日々が続いていきます。そうして作られるシステムが一体誰のために役立っているのか、社会や人々の人生を変革するに値するものなのか、このシステムを利用して喜ぶ人はどれくらいいるだろうか、といったことに疑問を抱くようになりました。

いくら会社として素晴らしいビジョンや目標を掲げていても、一度根付いてしまった組織の仕組みや文化は簡単には変わりません。IBMのような世界的な大企業であるとなおさら変わりにくいと思います。IBMが抱えるビジョンや理念にはとても共感していましたが、結局、社会的な価値やインパクトにつながる仕事をしているという実感が持てませんでした。」

福井は同様に、GREEでの経験も語ってくれた。

GREEが掲げている「インターネットを通じて、世界をより良くする。」というビジョンに共感したことに加えて、IBMよりは小さい組織であることから、社会的インパクトを与える仕事ができるのではないかと考え入社をしました。色々世間からは言われることの多い会社ではありますが、GREEも素晴らしい企業でした。個人に与えられる裁量も大きいし、やりがいある仕事に溢れていました。

ただし、GREEではIBMとは異なる違和感があったんですね。ビジョンに共感して入社したのはいいものの、そのGREEが掲げるビジョンをブレイクダウンして生まれていた当時の事業の運営方針が、必ずしもビジョンとリンクしていなかったように見えました。世界をより良くするために生まれたはずの事業とは思いますが、いつしか目の前の営利のみを追求した“売上至上主義”の運営方針になってしまっているように私にはうつりました。そして組織がどんどん大きくなっていく過程で、最も大切にしていたはずのビジョンが浸透せずに、結果としてバラバラな組織になっていったようにも思いました。

このIBMとGREEの経験を通じて、社会的価値を追求するようなビジョンがあっても、それを組織の細部まで浸透させる努力をし、かつ、事業運営においてもビジョンとリンクさせ続ける、ということをやらないと絵空事で終わってしまうということを痛感しました。

変革の当事者となる“覚悟”がないと社会的インパクトある仕事はできない

既に組織ができあがっている企業で、社会的インパクトを追求し続けることの難しさを知った福井は、次にPwCに活躍の場を移した。「IT業界で培ってきたナレッジを活かしたい」といった理由もあるが、「ビジョンの現場への浸透、事業運営とビジョンへのリンクという点は、経営層と関わる機会が多く経営の根幹的課題解決の支援を行うコンサルタントの方が実現しやすいのでは」といった考えを持って転職を決意した。そのときの様子をこう語る。

「PwCでは、社会的インパクトを与える仕事をしていると実感できる会社を1社でも多く増やすんだ、という思いを持って入社しました。が、すぐに自分の考えの甘さを思い知らされましたね。とあるメガベンチャー企業において役員とともに全社的な業務改革を行うプロジェクトに従事したのですが、このお客様と一緒に仕事をできた経験は私の仕事観を大きく変えました。」

その会社は組織や文化づくりに大変強いこだわりを持っていて、これまで私が感じたような“なんちゃって社会インパクト”ではなく、社会を変えたいと“本気”で考える集団で組織が構成されていました。その本気度があるがゆえにビジョンが廃れることなく、組織文化や事業運営が機能し続けるということを目の当たりにしました。

社会や人の役に立つ仕事というのは崇高なビジョンがあって、それに基づく組織文化や事業運営が必要ということは当然ですが、結局はそこで働く人の”覚悟“や”本気さ“がすべてを決める。これまで私は社会的インパクトある仕事ができないことを組織文化や事業運営のせいにしていましたが、結局は自分の”覚悟“が足りないだけ。何かをやりとげるために何かを捨てたこともない、何の覚悟もなかった私が「社会的インパクトを与える」など大それたことを言う権利はないんだと痛感しました。

この思いはすぐに焦りにつながりました。今のままではだめだ、このまま行くと問題が起こっても人のせいにして結局は何も実現できないまま人生が終わってしまう、目が死んでおり何のために働いているかもよくわからない人になってしまう、という危機感を持ち背筋が凍るような思いをしました。

そう悩んでいる時に出会ったのがフロムスクラッチでした。フロムスクラッチの掲げているビジョンやミッションにも共感しましたが、何より組織全体とそこ働く人の熱量がものすごい。全社員が本気で世界を変えようとしている。外野から見たら笑われるようなことを本気で言って、本気で目指している集団でした。そうして気づいた時には入社していました(笑)」

「戦略的柔軟性」がビジョン経営を推進する

どうすれば創業時に掲げたビジョンを廃らせることなく、組織に浸透させ続け、そこで働く人が“本気”になることができるのか。IBM、GREE、そしてPwCと、多種多様な経験を培ってきた福井は1つの方向性を示した。

「商品のライフサイクルは早まるばかり。テクノロジーの進化に伴って不確実性は増す一方。明日何が起きるかわからない、そんな激動の時代のビジネスでは、組織体制や事業を柔軟に変えられる=成功を捨てられる企業こそが勝ち続けるんだと思います。世界はもちろん、日本にも社会に大きなインパクトを残すために素晴らしいビジョンを掲げて創業する会社はたくさんあります。そのビジョンを実現するためには、外部環境の変化や組織拡大にも柔軟に対応できる「戦略的柔軟性」を、組織に取り入れなければいけないと考えています。

戦略的柔軟性を持った企業、すなわち変化に対応する企業になるためには、“変化できる人”を採用すれば良いのです。変化できる人に決まって共通することは、“ビジョン実現に対する覚悟”があるということです。事業や職種といった手段にしか満たない部分へのあこがれではなく、会社が描く世界を実現させたいという強い思いがあるかどうかこそが大切だと思うんです。

「なんでもやります!」という人に対して、「じゃあ今営業やってもらってるけど、バックオフィスが足りてないから異動して欲しい」というと難色を示す場合も多いと思いますが、これはビジョン実現に対して覚悟がないとも言えるかもしれません。

これは私がフロムスクラッチに入社した時に実際に言った自己紹介でもありますが、もし社会にインパクトを与える・お客様に満足いただくことにつながるのであれば、私はお弁当の買い出しでも掃除でもどんな仕事でも喜んでやります。ビジョン実現のために、“どんなことでもする”という考え方を持った人を集めることができれば、それはいずれ組織文化となります。そうした組織が「戦略的柔軟性」を持ち、どんな変化にも対応できるし、組織が肥大化しても各メンバーが柔軟に変化をして、ビジョン実現のために適切な役回りを演じられます。これこそが、大きな組織になっても熱量を高く保ち続けられる、社会的価値を追求し続けられる組織条件の1つなのではないかと思います。」

さいごに

「ここで改めてお伝えしたいことは、会社の本質的な価値は事業ではなく、ビジョン・ミッションで決まるということです。この絵を社員全員で描ききれない=ビジョンの共感がないということであり、また各人が強い達成意欲を持ち合わせていなければ、社会インパクトを起こすなんてただの言葉遊びで終わってしまいます。かつて栄光を浴びていた多くの大企業が苦戦しているのは、こうした組織全体の熱量の欠如なのではないかと、自身の経験から推察します。熱狂し続けられる組織・熱狂し続けられる社員がいてこそが、社会インパクトを起こすと私は信じて疑いません。

そしてフロムスクラッチでは、ビジョンに共感していてそれを実現する熱量を持った方を歓迎しています。我こそは、という方はぜひオフィスに足を運んでいただけますと幸いです。」

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