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「医師が世界中の専門医と協力して治療をする仕組みを創ることで、医療の格差をなくす」がミッション。創業者が語る、医師向け情報共有クラウドサービス誕生の物語―ハート・オーガナイゼーション CEO・菅原俊子インタビュー

「医師が 世界中の専門医と協力して治療をする仕組みを創ることで、医療の格差をなくす」をミッションに掲げるハート・オーガナイゼーションは、創業より従事してきたコンベンション事業から、SaaSモデルを軸にした自社開発クラウドサービスへと事業を大きく転換させました。

IT事業転換のタイミングで社内ではどんなことが起きていたのか、またどのような未来を見据えてこの決断をしたのか、菅原俊子さんに語っていただきました。
※この記事は2020/04/03に投稿しました。

菅原 俊子(すがわら・としこ)

外資系航空会社、外資系製薬会社での経験を経て、2000年4月に医学系研究会事務局を運営するコンベンション事業で独立し、医師がもつ治療技術を広めるべく尽力。2004年1月、株式会社ハート・オーガナイゼーションを設立。2014年6月、医師のための症例検討クラウドサービス『e-casebook』をスタート。2019年2月、コンベンション事業を分社化し、クラウドサービス事業に一本化。2019年4月、オンライン研究会「e-casebook LIVE」を公開。

世界各地の医療課題と自分の使命

20代の頃、外資系航空会社に入社しました。「世界各国旅行できる!」という単純な発想と、香港ベースの会社だったので、アジア各国様々なナショナリティの人と一緒に働いて、いろんな経験をしてみたいと思ったのです。

実際に世界各地を見て回って、自分にとって一番センセーショナルだったのが、『貧困国』の存在でした。例えばインドに訪れると、その日暮らしをしている人々が当たり前のように道端に居て、大勢の物乞いの子供たちが一斉にタクシーに群がってくる。そういった光景を目の当たりにして、怖いと感じるのと同時に、これが世界の現実なのだとショックを受けました。

その後、縁があって外資系製薬会社でマーケティングを担当することになりました。そこで知ったのは資本主義における「製薬という医療」の限界でした。市場性のない薬は、医薬品としてのニーズがあったとしても開発に至ることは珍しいのです。発展途上国特有の病気、例えば、黒熱病やマラリアなどで、薬があれば死なずに済む命も、救われないことがある。社会や医療産業の課題について考えずにはいられませんでした。

そんな中、カテーテル治療の普及を目的とした公開治療ライブコース(研究会)を主催していた医師から、「医療技術を広める活動を一緒にやらないか」と声をかけていただきました。心筋梗塞や狭心症など虚血性の心疾患を根本から直すことができる、カテーテル治療の技術を広めたい。医師皆さんの思いに共感して、独立開業を決意しました。

医師の治療技術を広めることの意義

開業した当時は、個人事業として、Complex Cardiovascular Therapeutics(CCT:アジア最大級のカテーテル治療学会の一つ)の受託運営に携わりました。2001年の第1回目の開催時には参加者数が1200人だったのが、数年であっという間に5000人になり、仕事量は製薬会社にいたときの約200倍になりました(笑)。1年目から1人では手が回らなくなり、スタッフもどんどん増えてきたので、2004年に会社を設立しました。

医師の「目の前にいる患者の病気を治す」という思い・熱意(=Heart)、その意志を実現する(=Organize)企業でありたい。そんな気持ちから、社名を「ハート・オーガナイゼーション」としました。

法人化してからも、仕事量は相変わらずで大変だったのですが、医療技術を可視化して共有するのは大変意味のあることだと、改めて実感すると同時に、新たな発見をする毎日でした。医師の傍で仕事をしてみてわかったのは、「最先端の医療技術は日々進化しているので、医師は適切な治療を患者さんに提供する為に、常に学び続けなければならない」ということでした。だからこそ、少なくとも現在行われている医師の経験や治療技術を症例ベースで共有するという仕事に、意味があると感じたのです。

自社開発クラウドサービスへの事業転換の理由

弊社は現在、研究会事務局を受託運営するコンベンション事業からITサービス事業に一本化しています。

その理由は、コンベンション事業で研究会参加者が増えるにつれ、会場に収容できる人数に限界を感じてきたこと。医療以外の業界ではインターネットを活用して、技術などWeb上で共有している。医療業界でもこれからはWebを活用して情報共有を行うことで、もっと効率よくできるのではないかと思っていました。

また、2008年にリーマンショック、2011年に東日本大震災が起こり、次々と研究会が延期や中止になり、会社の経営自体が非常に不安定になりました。これらの出来事が会社のあり方を考えるきっかけとなり、将来も成長が見込めるWebサービス(e-casebook)に着手し始めました。

e-casebookの誕生

事務局として医師の傍らで働いているとき、病院外の医師が専門医に治療についての相談する場面を目にすることが多々ありました。医師たちがどのようにやり取りをしているのかというと、DICOM(ダイコム)という医用画像をCD-Rに焼き付け、それを宅急便で送り、実際の指導は、電話やメールを使うのです。非効率的だと思うのと同時に、時間の節約の為にWeb上にDICOMをアップロードしてやりとりすれば、手軽に早く相談できていいのではないかと思いつきました。

その後、e-casebookのプロトタイプを制作し、当時運営していたライブ研究会で「e-caseobookに登録すると、この研究会で治療する症例について詳しく見ることができます」と宣伝したところ、すぐに500人の医師に登録をしていただけました。使用された先生から「すごく便利なサービスだね」と褒めていただいたことでe-casebookの成功を確信し、正式なサービスとして2014年6月公式にリリースしました。

e-casebook LIVEへの展開

ライブ配信サービスの構想は、すでに2014年に立ち上げていました。当時は小さいエンコーダー(映像・音声データを様々な形式へ変換するためのハードウェア)を購入し、病院のカテーテル室をお借りしてテスト配信を行っていました。その後、2017年と2018年のライブ研究会でインターネット配信を行ったところ、1万PV以上のアクセスがあり話題になりました。視聴者の多数を占めたのは30~40代の地方在住医師でした。部長クラスの医師は研究会参加のために出張できますが、若手医師は病院業務の縛りからなかなか出張できず、学びの機会に参加しづらいという現状が見えてきました。このことから、ライブ配信には若手医師に大きな需要があるという確信を得て、2019年4月に「e-casebook LIVE」をスタートしました。現在ではほぼ毎週ライブ配信を行っており、視聴者からも「日常診療に役立っている」との嬉しい声をいただいています。

フラットでオープンな学びの場を普及させていきたい

2019年12月に行われた末梢血管治療の研究会を、海外Webコメンテーター付きでライブ配信し、今までにない新しい形の研究会が作れたと実感しました。従来の研究会だと参加者の声はなかなか拾えなかったのですが、Web研究会を開催することで、チャット機能やアンケート機能を使って世界中の参加者のコメントを可視化することができました。これからの医療の学会や研究会では、このような主催者と参加者が一つになったオープンな学びの場として、ライブ配信をどんどん広めていきたいです。

現在ハート・オーガナイゼーションは急成長のど真ん中にいます。弊社のミッションである「医師が世界中の専門医と協力して治療をする仕組みを創ることで医療の格差をなくす」に共感できる方、スピード感を持って業務を遂行できる方がいましたら、是非ともご応募ください!

現在ハート・オーガナイゼーションでは、新たな仲間を以下の職種で募集しています。
ご興味のある方は、下記よりお問い合わせください。

■職種
・Webプロダクト開発エンジニア(大阪勤務)
・Webデザイナー(大阪勤務)
・セールス(東京/大阪勤務)
・映像配信エンジニア(大阪勤務)

■採用ページ
https://www.heartorg.co.jp/careers
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