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「情報設計」から「認知科学」まで。rootが選ぶ、UIデザイナーとしての視点を養うオススメ本

今月のrootオススメ本紹介のテーマはUIです。

ユーザーフレンドリーなUIを作るためには、ユーザーが実際に目にするインタフェースのデザインはもちろん、情報を正しく、わかりやすく伝えるための情報設計やユーザーニーズまで、幅広く考える必要があります。

そこで、情報設計から認知科学まで、インターフェースと向き合う上で考えたい様々な知見を得られるオススメ本を、rootのデザイナーが紹介します。

前回のオススメ本の紹介はコチラ

今日からはじめる情報設計 -センスメイキングするための7ステップ

今日からはじめる情報設計 -センスメイキングするための7ステップ

著者:アビー・コバート (著)、長谷川敦士 (監修)

情報設計の専門家アビー・コバート氏による情報の混乱を解きほぐして整理する方法についての本です。著者によると、人が混乱に直面するときの原因となるのは「情報過多」「情報不足」「不適切な情報の混在」の組み合わせによるものとされています。これらが原因で起きる混乱をどうすれば回避できるのかや、プロジェクトとしてどう情報設計を進めるべきかを、端的に図やイラストを交えながらわかりやすく紹介しています。

情報の受け手を混乱させずに意図を伝達するためには、必要なだけの情報を提供できているかや、情報同士の組み合わせ、順列・配置関係の意図を考えて設計する必要があります。そうすることで受け手に、設計側が意図した意思決定や行動を促すことができます。情報設計においてどこまでの情報が「必要」で、どういう配置が「良い」のかは、情報の受け手(ユーザー)やステークホルダー(多くの場合はクライアント)の立場によって良いとも悪いとも定義できてしまいます。届けるべき人に価値ある体験を届けるために何を「必要・良い」とするのかは、デザインに関わる人(主にデザイナー)が主体的に定義するべきでしょう。著者の「取り除かれるものは、加えられるものと同じくらい重要です」という言葉がとても印象に残りました。

(古里 凌哉)

IA100 —ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計

IA100 —ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計

著者:長谷川 敦士

本書はWebにおける情報アーキテクチャの基礎的な知識からユーザー調査の仕方、実際の画面に落とし込むまでの手法までが網羅的に紹介されている一冊です。情報設計において抑えておきたいポイントがよく使われるパターンが100個も紹介されています。情報アーキテクチャ(IA)に留まらずユーザーエクスペリエンス(UX)にまで触れられているので、ユーザーがどんなサイト設計を求めているのかという文脈までを理解しなが読み進めることができます。

私はこの本を辞書のように使うのをおすすめします。例えばUIをデザインしていて、どう情報設計したら良いのかわからない部分が出てきた時に該当箇所を参照し、そこに書かれていることを実践に落としこむといった使い方です。もちろん、本書を一通り読むだけでも十分価値がありますが、読んで得た知識をすぐに手を動かしアウトプットすることで、より自分のスキルとして定着しやすくなるでしょう。悩む時間を減らし、仕事の進捗を早めるために手元においておきたい一冊です。

(赤岩 駿斗)

ノンデザイナーでもわかるUX + 理論で作るWebデザイン

ノンデザイナーでもわかるUX + 理論で作るWebデザイン

著者:川合 俊輔 、大本 あかね、菊池 崇 (監修)

UIやUXに関わる知識や概念を網羅的にまとめた書籍です。UIのTIPS的な内容も掲載されていますが、インターフェースデザインの話だけではなく、その地続きにあるIA(情報アーキテクチャ)の話や、ビジネスモデルのデザインの話まで広くカバーしています。自分が深く理解できていない部分を探したり、強化すべきポイントを探すのに使える参考書のような本です。

デザインの基礎を改めて理解するために適しており、読み返すたびに、新しい気づきを与えてくれます。基礎を確認する時だけでなく、解決法に詰まった時、パラパラとめくれば何かしらのヒントが得られるでしょうし、掲載されている内容の出典を辿っていけば、より深い知識へとアクセスできると思います。

(岸 良平)

誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論

誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論

著者:D. A. ノーマン

インタラクションデザインは「認知科学」そのものです。「誰のためのデザイン?」の著者、認知科学者D.A.ノーマンは1988年に本書を出版した後、1993年からAppleのヒューマン・インターフェイス・ガイドラインの策定に協力していました。認知心理学をベースにしたヒューマン・インターフェイス・ガイドラインは非常に明快です。箱から取り出した後、説明書を読まずとも使い方を理解できるiPhoneはその好例でしょう。

すぐれたUIデザイナーになるには、人間の「認知」を学習することが一番の近道だと考えています。この本を理解するには時間と労力がかかりますが、これから触れる「認知」の世界の広さと深さを知ることができる一冊です。

(古里祐哉)

[買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61

[買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61

著者:中村 和正

C2CやD2Cの盛り上がりや、マーケティングや商品価値訴求の場所がスマートフォンやWebサイトを中心としたデジタル空間へと移行している中、オンライン上で消費者の購買行動を促進させることの重要性が増しています。オンライン上での購買意欲を上げるために心理学的効果を応用したデザイン制作は欠かせません。本書では様々な心理学的効果とデザイン(UI)を紐付け、「売れる」UIとは何なのかを解き明かし、実際のUIに落とし込む方法までを紹介しています。

心理学の解説とそれを実際のデザインに例えたパターンを明示してくれているので、心理学もデザインもまとめて学びつつ、2つの関係性も理解したい人にはうってつけの一冊です。普段何気なく行なっているデザインやUIに、実は心理的学的な効果があることを知り、読んでてハッとする箇所がいくつもありました!

(デザイナー N.T)

“優れたUI”を一概には定義できませんが、メンバーからのコメントにもあるように、人間の「認知」を学習し、どうすればユーザーが達成したい目的まで直感的にたどり着けるかを考え続けることがUIデザイナーには求められていると思います。

UIはユーザーの満足度を左右する重要な要素。ちょっとした工夫の積み重ねが、ユーザーの満足度に大きな影響を与えます。今回紹介した本が、今より良いUIにつながり、ひいては良いユーザー体験につながると幸いです。

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