一休には、いわゆる「PdM(プロダクトマネージャー)」という職種が存在しません。代わりに事業を牽引するのは、社長の右腕として、toB・toC両面の戦略を自ら描き、実装までを最短距離で導く「事業部長」「開発部 部長」「マーケティングディレクター」たちです。
今回は、エンジニアから企画・戦略を経て、「マーケティングディレクター」として一休へ入職し、現在はレストラン事業の「ハブ」として活躍する開発部 部長の髙畑夏蓮さんにお話を伺いました。
エンジニアリングは、サービス設計のための「言語」だった
インタビュアー:髙畑さんは新卒で未経験からエンジニアとしてキャリアをスタートされています。当初から企画職志望だったと伺いましたが。
髙畑さん: そうなんです。もともと「ゆくゆくはプロダクトの企画をやりたい」という目標がありました。そのためには、まずプロダクトが作られる「言語」を知らなければ対等に話せないと思い、エンジニアからスタートしました。
最初の1年半はエンジニアとして一人前になろうと必死でした。toC向けのコミュニケーションツールのプラットフォーム開発に携わり、フロントエンドからカード決済システムの組み込みまで幅広く担当しました。
インタビュアー:その経験は、今の一休での仕事にも通じる部分がありますか?
髙畑さん: 非常に似ていると思います。toC向けの画面、プロバイダー(店舗)向けの管理画面、そして社内向けの管理画面。この「三位一体」のシステム構造は、今の一休とほぼ同じです。エンジニアとしてその裏側を理解できたことは、今のディレクション業務の大きな糧になっています。
その後、企画(開発ディレクター)へ転向し、多くの新規サービス開発に携わりました。スピード感をもって次々と新しいものを形にしていくカルチャーは、私に合っていましたね。
戦略の「管理」ではなく、プロダクトを「作る」ことへの渇望
インタビュアー:順調にキャリアを積まれていた中で、なぜ転職という選択をされたのでしょうか。
髙畑さん: 5年目を迎えた頃、全社の「サービス横断チーム」に配属されたのが大きな転機でした。仕事内容は各チームのロードマップ管理や、有料会員を増やすための全体戦略の立案。いわゆる「戦略室」のような役割です。
インタビュアー:非常に重要な役割ですが、そこに葛藤があったと。
髙畑さん: はい。20代半ばだったこともあり「もっと現場で、自分の手でプロダクトを直接作りたい」という想いが強くなってしまったんです。戦略をじっくり考え、重いものをゆっくり動かすことよりも、スピード感を持ってプロダクトを実装し、ユーザーの反応をダイレクトに感じることに飢えていたんだと思います。
当時は戦略立案と現場の実行がうまく噛み合わない時期もあり、少し行き詰まりを感じていました。そんな時に出会ったのが一休です。面接で会う人全員とウェブ開発の「あるある話」が盛り上がり、ここなら「作る」ことに純粋に情熱を注げると確信しました。
アンバサダー施策から始まった、一休での「オーナーシップ」
インタビュアー:一休へは「マーケティングディレクター」として入職されましたが、当初はかなり自由な環境だったそうですね。
髙畑さん: 入社直後は、かなり自由な状態でした(笑)。マネジメントされるのを待つのではなく、自分で仕事を見つけるしかない。幸い、一休には整備されたDWH(データウェアハウス)があり、興味のままにデータを見ることもできましたし、営業同行で店舗さまの生の声をお伺いする機会も得られました。
その中で、「人気店」「予約困難店」にご掲載をいただくために、「アンバサダー施策」を自ら提案して立ち上げました。
インタビュアー:新しいアプローチですよね。
髙畑さん: はい。週7日外食するような真の食通の方々に、彼らが信頼しているお店を紹介してもらう仕組みです。この「現場のインサイトを仕組み化し、ビジネスを動かす」経験を経て、やはり自分はプロダクトの価値を最大化する「開発側」に寄りたいと感じ、現在の役割に繋がっていきました。
クオリティの追求――「とりあえず置く」を許さない美学
インタビュアー:プロダクトに関わる中で、一休に入ってから一段視座が上がったと感じる出来事はありましたか?
髙畑さん: サイトコントローラー(飲食店の在庫管理システム)のプロダクトに関わっている経験が、私の中で一つのブレイクスルーになりました。新しい機能を追加する際、画面設計で「ボタン」の配置を考えていた私に、CTOが「本当にここでいいの?」「エンジニアが考えただけのボタンの位置になってないか?」と、徹底的に細部までクオリティを問うてきたんです。
インタビュアー:ボタン一つの位置にまで、妥協を許さない。
髙畑さん: はい。「とりあえず動くからこれで出そう」ではなく、ユーザーにとっての「理想」はどうあるべきかを追求する。その積み重ねが一休のプロダクトなんだと骨身に沁みました。この時培われた「ベストのさらに先」を考える執着心は、一休で得た能力かもしれません。
「ビジネス」と「開発」を分断させない組織への挑戦
インタビュアー:開発部 部長となった今、特に意識していることは何でしょうか。
髙畑さん: 一休のエンジニアは「自分たちが作ったものが、どう成果に出たのか」を驚くほど気にしています。一方で、ビジネスサイドも「開発は言われたものを作るだけでいい」というスタンスではありません。この両者の関心を滑らかに繋げることが、私の最大のミッションだと思っています。
インタビュアー:具体的にはどのような議論が行われるのですか。
髙畑さん: 「何のためにこれを作るのか」というビジネスのコンセプトを、私自身が解像度高く理解するまで議論し、それを開発チームへ共有しています。逆に、開発チームから「そのビジネス課題を解決するなら、この仕様の方が効果的では?」と提案することもあります。ビジネスと開発が分断されず、対等にディスカッションをして同じゴールを目指す。それができて初めて、アウトプットに「成果」が伴うのだと確信しています。
自律して「越境」するチームを育てる「3つのフェーズ」
インタビュアー:そうした「ビジネスと開発が融合した状態」を作るために、マネジメントで大切にしていることはありますか?
髙畑さん: チームが自律的にビジネスに関与し、スピーディに動けるようになるには、必ず踏まなければならない「3つのフェーズ」があると考えています。
- 遠慮の時期: 一見仲は良いが遠慮があり、個々人が単独で動いていて、進捗やリスクの報告が不透明な状態。
- ハレーションの時期: 設計や進め方について議論が生じ、摩擦や面倒くささを感じる状態。チーム期待値のすり合わせが進んでいく時期でもある。
- 自律の時期: 状況の共有が当たり前になり、阿吽の呼吸でリスクを回避しながら爆速で動ける状態。
髙畑さん: このステップを1〜2年かけてじっくり踏むことで、初めて「ビジネスの狙い」と「開発のアウトプット」が滑らかにつながるチームづくりが出来ていくと思います。経営陣と対等に議論し、現場のエンジニアが納得感を持って最高のクオリティを追求する。その「翻訳」を完遂するのが私の重要で面白い仕事の一つですね。
妥協のない議論を、オープンマインドで楽しむ
インタビュアー:最後に、これから一休へ応募される方へメッセージをお願いします。
髙畑さん: 一休には、厳密なロールの制限はありません。データやロジックはもちろん大切ですが、自由な発想で観光や飲食の活性化に向けて施策を推進できる方が活躍できる場所です。
活発な議論に飛び込めるオープンマインドな方、フィードバックをポジティブに受け止め進化していける方。そして、この難解な飲食業界のDXというパズルを一緒に解いてくれる方をお待ちしています。
この対談を通して、当社のカルチャーや目指す方向性について、より深く理解していただけたでしょうか? この想いに共感し、共にレストランや宿泊業界の未来を創っていく仲間を心待ちにしています!
この想いに共感し、共にレストランや宿泊業界の未来を創っていく仲間を心待ちにしています!
プロフィール
新規事業本部 RESZAIKO台帳事業部 部長 兼
RESZAIKO台帳開発チーム チームリーダー 兼
レストランプロダクト開発部 部長
髙畑 夏蓮
一橋大学 社会学部 卒業
2013年 株式会社ドワンゴ 入社
2018年 株式会社一休 マーケティング部 入社
2019年 株式会社一休 システム本部 CTO室
2020年 株式会社一休 システム本部 CTO室 兼 新規事業本部 ZAIKO事業部
2021年 株式会社一休 新規事業本部 RESZAIKO 事業部 プロダクト開発チーム チームリーダー
~ 一部 省略 ~
2025年 株式会社一休 新規事業本部 RESZAIKO台帳事業部 部長 兼 RESZAIKO台帳開発チーム チームリーダー 兼 レストランプロダクト開発部 部長 (現任)