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クライアントの成果にコミットする。スキルよりもマインドが大切なワケ

インフォバーンで働く社員へのインタビュー企画。今回は、企業のマーケティング支援事業を行うIBX(INFOBAHN EXPERIENCE)部門の鈴木椋介さんです。

インフォバーンに経験者採用で入社する方は、Web制作会社はもちろん、Webメディア企業、出版社、デザイン会社など、その出自となる経歴は多様です。その中でも、鈴木椋介さんは、Webメディアで培った編集経験と、PR会社で養ったプランニング力を活かして、インフォバーンのディレクターとして活躍されています。

音楽好きが高じてイギリスにまで留学し、そこでの出会いから音楽メディアで働いていた人生から転じ、今では「自分が知らないこと、まだ経験していないジャンルを扱うほうが、むしろ仕事としては面白さを感じます」とおっしゃる鈴木さんに、PRという仕事の要諦や、インフォバーンでの仕事の魅力について、語っていただきました。

「リバティーンズ」に人生を狂わされた男

――鈴木さんといえば「The Libertines(※リバティーンズ/イギリスのロックバンド。2000年代のロックンロール・リバイバルを代表するバンドで、2004年に一度解散)」の大ファンで、語り出すとインタビューがそれだけで終わってしまいそうですけど(笑)、やっぱり人生における影響は大きかったですか?

そうですね。僕は「リバティーンズ」によって人生が変わっていった人間なので(笑)。高校生くらいに好きになって、大学も「リバティーンズ」を理解したいがために英文学科に行っているんですよ。在学中にイギリスにも留学しているんですけど、彼らがこういう歌詞を書いた社会はどうなってるのかなとか、実際に見たかったというのが動機としてありました。

僕は1990年生まれなので、リアルタイム世代ではなくて、ちょうど再結成する前の時期から知った後追い世代ですね。リバティーンズが再結成したのは、僕が大学1年生だった2010年なんですけど、再結成したフェスも現場で見ているんです。初海外だったのに、いきなり一人でフェスに行って。復活ライブということで観客のテンションも高く、いまだに人生最高のライブの1つです。

――そこから大学を出て、音楽メディアに?

それも結局はリバティーンズなんですよ。在学中にイギリスに留学したときに、現地で津田昌太朗さんという方と知り合ったんです。『Festival Life』っていう音楽フェス情報メディアをやったり、最近だとサマソニの司会をやっていたりする方なんですけど、あるライブ会場で出会って仲良くなって、大学生時代にそのフェスサイトの運営を手伝っていたんです。そこからの縁で津田さんに、最初に就職した音楽Webメディアの仕事を紹介していただきました。

――じゃあ、一般的な大学生みたいに、就活して入社するというルートじゃないんですね。メディアで働きたいという想いがあったんですか?

それは全然なかったです。音楽が好きだったので、それに関われる仕事ができたらいいなとは思っていたし、ブログ書いたり、フェスメディアの仕事を手伝ったりとかしていたので、編集とか文章を書くことに興味はありましたけど。

――そこからPR会社に移られたのは、何かきっかけがあったのですか?

そこでメディアの編集の仕事をするなかで、PR会社の人からお声かけをいただく場面が多かったんですよ。「こういう情報を掲載できませんか」みたいに。そうすると、PR会社の担当者によって、違いがあることが見えてくるんですよ。

優秀な方だと、「あなたの媒体はこういう音楽を取り上げているから、こういう音楽の切り口で、この旅行の商品を紹介できませんか」みたいに、しっかりリサーチして声かけてくるんですね。一方で、音楽と全然関係なく、「有名人の何々さんが専門学校の校長に就任したので、何か記事を出してくれませんか」みたいに、媒体の特性も何も調べずにお願いしてくる人もいる。

しっかりリサーチをして、メディアにとって有益な情報を持ってきてくれる人と、雑に情報を提供してくる人がいるのを感じるなかで、「メディア側の気持ちがわかる」というのは、強みになるなと考えるようになりました。つまり、メディア側の目線をわかったうえでPRの仕事ができれば、メディアのためになる情報提供をしながら、クライアントが望む情報発信もうまくできるんじゃないかなと。

だから、自分の将来的なキャリアを考えて、新しい領域にも挑戦してみたいと考えたときに、PR会社を選びました。

PR(パブリック・リレーションズ)という不思議な手法

――そのPR会社では、どのような仕事をされていたのでしょうか?

PRの仕事は、メディアにクライアントの情報を持って行って、それを掲載してもらうのが基本的な仕事なので、どちらかというと編集というより営業の仕事なんですよ。だから、いわゆる営業職から、PR会社に転職してくる方も多いです。

地道に「こういう情報があるんですけど、お話できませんか」とアポを取って会いに行って、「この商品はこんなにいいんですよ」と説明したり、商品のサンプルを渡したりしていました。そこから、たとえば「御社のこのメディアに、ダイエットと絡めたこういう切り口で、記事化できませんか」と提案するんです。訪問ノルマもあったので、その大変さはありましたね。

――クライアントワークでありつつ、メディアとの付き合いも深い業務なので、社内でもクライアント担当とメディア担当みたいに分かれるんですかね?

会社によって担当を明確に分けてる会社もあれば、兼任する体制にしている会社もありますね。僕のいた会社は、クライアント担当とメディア担当をある程度分けていました。とはいえ案件によってという感じで、僕は最初はメディア寄りだったんですけど、徐々にクライアントの担当に寄っていきました。

その会社では、年間契約で月額費用をいただいてPRを請け負っている場合が多かったんです。だから、この時期にはこういう切り口でこういう情報を出そうと最初にプランニングして、それを年間を通して実行していくという付き合い方が多かったです。

基本的には、著名人を起用したキャンペーンとしてのPRというより、マーケティング戦略に基づいて長い時間をかけて実行していく形で、何のためにやるのかというところまで突き詰めて本質的な提案していたので、その面はインフォバーンと共通していますね。

――食やヘルスケアに強いPR会社だったそうですが、音楽と違ってそれ自体にすごく詳しかったわけではないですよね。そうなると、新しく勉強もしなきゃいけないし、やりがいの部分にも作用してくると思うんですけど、そこで何か思うところはありましたか?

もともと興味があるわけではなかったんですが、食やヘルスケアというのは、すごく社会貢献性が高い分野なんですよ。健康に関する情報に触れることで、誰かの体調が良くなる可能性があるじゃないですか。だから、非常にやりがいを見出しやすいジャンルでした。

あと、僕はわりとオタク気質で、もともとは興味がなかったことでも知れば楽しくなっていくタイプなんですよね。それは、いろんな案件にアサインされるインフォバーンでも必要な資質だと思いますが、その資質は僕にあるのかなと思います。

――そのPR会社にいたころに、何か思い出に残っている仕事はありますか?

自分が関わった仕事でインパクトが出せたのは、冷凍レモンのPRですね。もともとレモン汁をメインプロダクトにされている会社さんのPRを担当していたんですけど、その会社さんが新商品として冷凍レモンを出すことになって。

そのときに某エンタメ大手メディアさんに、「レモンサワー・ブームの文脈で、この冷凍レモンが出ることを伝える記事を出せませんか」という提案をしたんですよ。要するに、単純に新商品が出るというだけではニュース性がないところに、トレンド要素を入れる企画を考えたことで、記事を出していただけることになったんです。

新商品の情報解禁と同じタイミングで、そのニュースを出していただいたら、それがYahoo!ニュースのトップページに掲載されて、実際にその新商品に対して、業者さんから「これを仕入れられますか」という問い合わせがたくさん来たんです。

明確に自分が獲得したメディア露出によって、クライアントの売り上げに貢献できたという実感としては、それが一番インパクトを出せた出来事かなと思います。

――PR施策って不思議な手法ですよね。純粋なメディア記事でもないし、広告出稿記事でもないので、コントロールしにくいけど、ハマるといろんな方面に良い影響を及ぼせるという。

そうなんですよ。あくまで掲載の可否は編集判断であって、こちらは編集権には介入できないので、原則として「編集の視点でいいと思ったなら、掲載してくださいよ」というスタンスなんです。

だからこそ、メディアの方の気持ちを想像して、こういう情報だったら取り上げたいんじゃないかと企画したり、KOL(キーオピニオンリーダー)という言葉があるんですけど、そのメディアのためになる、しっかりとしたお医者さんを取材先として紹介したりとか、そういうこともやっていたりします。

――そうするとPR会社として怖いのは、クライアントもそうでしょうけど、メディアから信頼を失うことも避けたいところですね。

それは本当に良くない事態ですね。会社単体どころか、PR会社そのものが嫌われてしまうこともあるですよ。「あいつらは変な情報しか送ってこない」と思われてしまって、「PR会社の電話は取り次がない」と決めているメディアもあります。だから、うちはちゃんとやってるのに、いい加減な人がいたせいで、PR会社全体に対する印象が悪くなってしまった、というようなこともたまにありましたね。

――PRはうまくスコンとハマると良い結果を出せる反面、なかなか難しいし、うまくいかないときもありますよね。

PRには、そのデメリットもあるんですよね。情報の出方としてメディアのフィルターを通しているので、非常に信頼性が高い情報として読者/消費者に受け取ってもらえるメリットはあるんですけど、しっかりとした狙いがあったうえで、媒体と情報とのマッチングが設計できていないと、まったくメディアに掲載されないことも、正直あります。

そうした不確実性というデメリットもあるので、そのほかのSNSとか、広告とか、オウンドメディアとか、いろいろな施策のバランスの中で、選んで使わないといけないメディアではあります。

※鈴木椋介さん執筆のオウンドメディアに関する記事
「オウンドメディアをより成長させる、アーンドメディアの使い方」

‟編集者ではない”コンテンツディレクターとして

――鈴木さんはそこから転職してインフォバーンに入られたわけですが、その理由として何がポイントだったのでしょうか?

PR会社だとソリューションの提案がPRしかないというのは、転職理由の一つでしたね。これは広告のほうが効果的なんじゃないか、という案件でも、PR会社だとPR以外の選択肢を取ることは難しい場合もあります。
逆にインフォバーンは、全部を選択肢にできる。マーケティング施策全般を視野に入れて、どれが最適なのかを考えたうえで、クライアントさんに提案できるというのは魅力的でした。

――実際にインフォバーンに入ってみて、印象はどうでしたか?

入社してすぐに、編集力が高い人がいっぱいいる会社だなと思いましたね。僕も音楽メディアで編集の仕事はしていたんですけど、マーケティング戦略に基づいてコンテンツをつくるようなことはしていなかったし、その視点のもとでの編集の仕事をするのは、かなり高度なスキルを求められるんですよ。

そのなかでも良いコンテンツを制作しているのは、編集に対するプロフェッショナリズムがあるからだと思います。コンテンツへのこだわりのレベルが、自分には想像がつかないところにある人がたくさんいました。それが率直にすごいなと。

実は僕は、自分のことを編集者だとは思っていないんです。キャリア的にもPR会社出身なのもあって、どちらかというとマーケター寄りの人間だと思ってるんですよね。

だからこそ、編集者としてすごく力のある人たちがたくさんいることに刺激を受けて、自分もスキルアップしなきゃいけないなと思いつつ、自分の価値を出すためにも、編集スキルとは少し違うところでも力を発揮できるといいなと考えてはいますね。

――インフォバーンは比較的、職能ごとにガチガチに役割を固めずに、適材適所でメンバーの役割を考えていく会社なので、たとえ同じ肩書であってもいろんなプレゼンスの出し方がありますよね。

そうですね。そこは自分にとっても良かったと思います。僕の場合は、PR会社時代の社長の影響をかなり受けているんですよ。クライアントのパートナーとして一緒に併走して、「どれだけ結果を出せるか」ということを第一にして、「なぜこれをやるのか」「どういう露出をとるべきなのか」「どれくらいの量の露出が必要なのか」というようなことを、しっかり突き詰めて考える会社だったんですよ。

そこに非常に感銘を受けるところがあって、「クライアントに寄り添い結果にコミットする」というマインドセットはPR会社時代に教え込まれました。

そのマインドセットは、今のインフォバーンに来てもすごく活きていると思いますね。年間いくらという予算をクライアントからいただいたら、それに見合うバリューを出せているのか、常にROI(※Return On Investment/投資利益率)を考えています。強い当事者意識を持っていることは、自分の強みかなと思っています。

――鈴木さんはコンテンツディレクター(※コンテンツ編集職)として採用されてから、主にその役割を担いつつ、PM(※プロジェクトマネージャー)という立場で案件に関わることもありますが、その違いというのは感じられますか?

そこも完璧に分断されているわけじゃないと思います。一応、コンテンツディレクターは、コンテンツを制作をする役割、プランナーやPMは全体の戦略を考える役割と分けられますけど、基本的には全体の戦略に則って、みんなでコンテンツをつくっていくので、分かれているというより、線でつながってるようなイメージが僕の中ではあります。

先ほどのマインドセット的な話でいうと、コンテンツディレクターでも戦略を考えることは必要です。一つの記事の良し悪しを取っても、その軸がないと判断がつかないじゃないですか。

だから、全体の戦略の中で、どういう役割を果たしているコンテンツなのか、このコンテンツによってどういう効果を出せているのか。それはPMでも、コンテンツディレクターとして実制作をしている人でも、常に考えていかないといけないところですし、それで価値を提供するのがインフォバーンだと思っています。

それと、そうした考えを持って仕事をしたほうが、働いていて楽しいんですよ。何か言われたことだけをやっていると、やらされ感が出てしまって、やっぱり仕事は面白くならないんですよね。仕事に人生における多くの時間を使うんだったら、自分事化して考えて、成果にコミットしたほうが楽しいということに、ここ数年で気づきました。

チームのリーダーや後輩のトレーナーもやらせていただいているのですが、そうしたマインドがある人はすごく伸びていくんですよね。なぜかというと、「しっかり結果を出さないといけない」と本質的に考えている人は、必然的にコンテンツの質にもこだわっていくからです。そのマインドセットがあると、スキルはあとからでもついてくるということは、新入社員の指導などをさせていただくなかで、わかってきたところです。

――なるほど。どうしても忙しくなると、目の前の仕事をこなすことが優先になって、全体戦略を考える俯瞰的な視点は見失いがちになりますが、大事なことですよね。

忙しいなかでも「どうやって自分のケイパビリティを示すか」みたいな視点を持つことは重要だと思うんですよね。忙殺されているなかでも、ちょっと引いて考えてみて、戦略に沿うように工夫したり、「こうしたら戦略的にもいいんじゃないか」と意見を出したりすると、周りの方も見てくれているんですよ。

インフォバーンは、周りの人がよく見てくれていて、頑張れば役割をどんどん与えてくれる環境なので、指示を待ってやらされ感を抱きながら働くんじゃなくて、自分で積極的に考えて工夫してみると良いと思います。

実際に僕が最初にPMを担当したときも、その前にPMを担当されていた上司から、「鈴木さんはたぶんできるから、PMは鈴木さんで」って、後任の担当者として僕を指名してくれたんです。それは、普段の仕事ぶりから、僕を信頼していただけていたというのがあると思いますし、周りのことをしっかり見てくださる姿勢がある方だったからだと思います。

――最後に、インフォバーンへの入社を考えている方に向けて、メッセージをお願いします。

インフォバーンは、クライアントの業界や業種にしてもさまざまですし、提案するソリューションもさまざまなので、そこを苦に感じない人がインフォバーンに向いてる人じゃないかなと思います。

たとえば僕も、最初に金融機関の案件にアサインされたんですけど、資産運用もまったくしていない人間だったんです。でも、自分でもやってみていち読者にはなっちゃったほうが良いなと思ったので、そのタイミングで「つみたてNISA」を始めたりしました。

それはPR会社のときも同じで、もともと食やヘルスケアにめっちゃくちゃ興味があったわけじゃなかったんですが、メディアの人にお伝えするには知識がないといけないので、提案するために勉強することで、必然的に詳しくなっていきました。

僕は今は、「このジャンルの仕事をやりたい」っていう発想はないですね。音楽とか、前職で扱った食やヘルスケアといったジャンルなら、ある程度の知識やノウハウは持っていますけど、むしろ今は全然知らないこと、たとえばネジのプロモーションのような仕事でも、面白さを見出すことができると思います。

僕にとって仕事のやりがいは、ジャンルや内容というよりは、しっかりと結果を出して、クライアントさんに喜んでもらえるとか、読者に対して面白い情報を提供できたとか、そういうところにあるんです。

だから、そういうふうに、なんにでも広く関心を持つことができて、そこから自分で興味を持つポイントを見つけられる人が、インフォバーンには向いていると思いますね。

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