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日本でキャッシュレス化が進まないのはなぜ?

QRコード決済のPayPayによる、100億円還元キャンペーンで一躍注目されたQRコード決済。こうしたキャッシュレス決済の普及に向けて、経済産業省(2018年4月11日発表)は次のように目標を掲げています。

大阪・関西万博(2025年)に向けて、「支払い方改革宣言」として「未来投資戦略2017」で設定したキャッシュレス決済比率40%の目標を前倒しし、より高い決済比率の実現を宣言する。

こうした施策の中、福岡市においては、LINE社と共同でキャッシュレス実証実験を行い、公共施設や屋台等での利用拡大を進めています。

キャッシュレス決済

キャッシュレス決済とは

キャッシュレス決済とは、「物理的な現金(紙幣・硬貨)を使用しなくても活動できる状態」(経産省『キャッシュレスビジョン』平成30年4月公表より)をいい、クレジットカードや電子マネー、QRコードといった決済を一般的にキャッシュレス決済と呼んでいます。

キャッシュレス化の国際比較

キャッシュレス化を政府が推進する理由は、「訪日外国人への支払い手段提供と、実店舗の無人化省力化、不透明な現金資産の見える化」(経済産業省『キャッシュレスビジョン』平成30年4月公表より)といわれています。

上記より、日本とドイツが各国と比較し、キャッシュレス決済比率が非常に低いことが分かります。ドイツにおいては、キャッシュレス決済が徐々に進んでいることが指摘されているものの、「プライバシー侵害への懸念が強く、権威に弱い国民性」に起因し、キャッシュレス化が進んでいないといわれています(『ドイツの現金至上主義に陰り、決済での利用率が半分切る』ロイター通信 2018年2月15日付より)。

なぜ日本でキャッシュレス決済が普及しないのか

では、日本においてキャッシュレス化が進まない背景には、どのような要因があるのでしょうか。消費者側と事業者側双方の事情を見ながら、原因を考えたいと思います。

消費者側

キャッシュレス社会に「反対」の理由として挙げられているものを見ると、依然として残るがその現金主義背景にあることが分かります。

さらに、その現金主義を支えているのがATM(現金自動預け払い機)の普及です。コンビニ設置のATMを利用すれば24時間いつでも引き出し可能です。こうした利便性から、敢えて非現金での決済をする必要がないというのが、消費者側の理由として考えられます。

事業者側

コスト面

事業者側から見れば、経産省の調査にあるように、手数料の高さ(飲食店で約5%)と、対応する端末の導入にコストがかかることが主な理由と考えられます。クレジットカードの決済機導入には

また、仮に端末を導入しても、肝心の消費者の方でキャッシュレス決済を望んでいない事情もあることから、導入によるメリットを感じられないということも納得がいきます。

乱立する決済手段

日本で主に利用されている決済手段について見てみると、ご覧の通り乱立状態となっています。

【QRコード決済】

楽天ペイ、LINE Pay、d払い、PayPay、Origami Pay、Amazon Pay、Alipay、WeChat Payなど

【電子マネー】

iD、QUICPay、交通系ICカード、nanaco、au WALLET、楽天Edy、WAONなど

こうした乱立する決済手段に、対応したいと考えている事業者にとっても、端末導入費用やスタッフの対応など様々な面において障壁となっていることは言うまでもありません。

キャッシュレス化によるメリット

キャッシュレス化によって得られる消費者側のメリットは、ポイント割引が第一に挙げられます。マイルを貯めたり、キャッシュバックがあったりと、通常の支払に加えて様々な特典を得られるのがメリットといえます。

一方で事業者側のメリットを考えると、支払い手続きの簡素化、店舗でのレジ締めつり銭の補給が不要になるといったことが挙げられます。完全にキャッシュレス化することは多くの障壁がありますが、レジ締めやつり銭の補給など現金を扱う必要がなくなれば、強盗や偽札といった犯罪に巻き込まれるリスクもなくなります。

訪日外国人という点でも非常に利便性が高く、海外で買い物や飲食をする場合、慣れない紙幣や硬貨を出して支払いをするよりも、カードで決済が完了する方が便利であることは想像に難くありません。

さらに、クレジットカード決済の方が、現金決済の場合に比べて購入金額が上がることが日本クレジットカード協会の調査で分かっています。「食べ物」の分野では購入金額が現金決済の3.3倍であり、売上を伸ばすための手段の一つとしても利用できるといえます。

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