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二人のWebマーケターが語る。データストラテジストに必要な素養

はじめまして。SEOに特化したWebコンサルティングを提供している株式会社クヌギの新城と申します。

弊社では、上位表示のみを目的とせず、SEOを起点としたコンバージョン獲得施策を非常に重視しています。そのためキーワードの分析だけではなく、クライアントの経営やサービス、市場に関わるデータの調査や分析もおこなうので、データストラテジストに近い仕事をしているなと感じています。

『データストラテジスト』とはーー。

似たような職種としては『データサイエンティスト』や『データアナリスト』がありますが、ストラテジスト(strategist)は戦略家という意味を持っているので、サイエンティストやアナリストよりも「戦略を立てる人」という色合いが強い。

今回のテーマは『データストラテジスト』。この記事では、クヌギと一緒にいろんなクライアントのコンサルティングに関わっている株式会社ビタミンの高梨大輔さんと、弊社代表である矢萩浩之に『データストラテジスト』という仕事について語ってもらいます。

高梨 大輔(たかなし だいすけ) / チームビタミン Founder / ビタミン株式会社 CEO

美容業界のHRメディアを運営する株式会社リジョブの創業メンバー/元取締役副社長/CMO。プロダクト・マーケティングを統括する。2014年 じげん社に約20億でM&A後、退任。2015年 ビタミン株式会社を設立、スタートアップ専門のマーケティングアドバイザーとして活動中。チームビタミンを発足し、固定なき”リキッド型チーム”でプロジェクト活動中。@dtakanashi


矢萩 浩之(やはぎ ひろゆき) / 株式会社クヌギ 代表取締役

2004年からSEO業務に携わり、2009年に検索エンジンマーケティング事業にて株式会社クヌギを創業。2012年、さらなる技術研鑚のために株式会社Faber Companyに合流し、2015年4月再独立。SEOポリシーは「経済を語らないSEOは寝言である」(@deadseo

データ分析は手段。いかに会社の戦略にはめられるか

高梨:普段、クヌギと一緒にコンサルティングに入っていると、まさにデータストラテジストの仕事だなと感じます。

新城:うちみたいなSEO特化型のコンサルでも、データストラテジストって言えますか?

高梨:データストラテジストと言えるでしょうね。SEO特化型ではあるんですけど、コンバージョン・売上のことを第一に考えていて、そのためにSEOをやっているというか。施策も科学的で、会社の戦略にカチッとハマるし。マーケティングやデータ分析のスキルって細かく分けるといろいろあるので、その中で一個スペシャリティがあればいいと思っています。SEOはその中のひとつ。

矢萩:ありがとうございます。

新城:データストラテジストというと、Gunosyさんのデータ分析ブログ(※)でアウトプットされているような、ビッグデータ分析などのハイレベルな技術を駆使しているイメージがあります。

※Gunosyデータ分析ブログ http://data.gunosy.io/


▲Gunosyデータ分析ブログ

高梨:Gunosyのデータ分析ブログは、現役のマーケターだけじゃなくて分析が好きな大学生とかも読んでいるらしいです。「マーケターもSQL叩けないとダメだ!」って思わされるくらいマニアックな内容なんですけど。

矢萩:そうか、そもそもデータ分析自体が好きな学生さんがいるんですね。僕の場合はデータ分析が好きなんじゃなくて、SEOをやるためにデータ分析をしなくちゃいけないと思って始めたので、そういう人たちとはデータ分析を始めた動機が違うのかもしれない。「分析が好き」っていうのは僕にとって斬新な感じがします。

新城:SEOから戦略を考えるには、どうしてもデータ分析が必要だったということですね。

矢萩:そうそう。僕がGoogleアナリティクスを勉強しはじめたとき、最初は仕組みがあまり理解できなかったんですよね。だから最初にアナリティクスの仕組みを理解しようとするんじゃなくて、知りたいことや目的に対して「これが欲しい!」というデータをまず決めてから、それをGoogleアナリティクスで取れるか?ということを繰り返していました。なので、Googleアナリティクスの管理画面はあまり見ないで、APIばっかり叩いていました。管理画面だけを見てると、人によっては、それだけで何か分析をやった気になっちゃうので、そこは注意しないといけないですね。。

新城:BIツールもそうかもしれません。

矢萩:仕組みや使い方は、使っているうちに自然に覚えちゃいますから。例えばGoogleアナリティクスでいうと、「セッションとはこういうこと、PVとはこういうこと」って感じで、言葉の定義から覚えるやり方はあまり良いとは思えません。「なぜGoogleアナリティクスを使うのか?」ということを明確にせず、そういう部分から入っていくのは何か違うなと。

高梨:すごく分かります!僕もマーケやり始めたころは、Googleアナリティクスを覚えるっていうよりも「こういう数字ってどうやったら出せるんだろう?」と思ってSQLばかり叩いていました。

矢萩:ツールの使い方を覚えるのではなくて、どのようなデータを取得すれば経営戦略に結びつくのかを考える、そのためにツールを使うという思考はマーケターにとって本当に重要だと思います。

高梨:そうですね。僕がちゃんとしてるなーと思うマーケターって、みんな経営の話ができるんですよ。経営戦略に紐づけてデータを揃えたり、分析したりできる人。やっぱりデキるマーケターってデータストラテジスト的な要素が強いと思いますよ。

マーケターに求められるコミュニケーション力

新城:データ分析と経営戦略を紐づけることができる他に、データストラテジスト、Webマーケターにはどんな要素が大事だと思いますか?

高梨:マーケティングを突き詰めると、結局マネジメントになると思うんですよ。戦略や施策を立てても、実行するにはそれを人に伝える必要があるし、そこに至るまでのヒアリングも重要です。

矢萩:何かを提案するにしても、クライアントのリソースでその提案は実行可能なのか?ということまで考慮しないといけないですからね。コンサル失敗事例でよくあるのが、相手のリソースをまったく考慮していない提案を押し付けてしまったりとか。

高梨:いくら分析力が優れていても、相手の状況を把握できていないと施策として全然意味ないですからね。似たようなところで、レポートだけ出して満足しているマーケターもいますけど、それもダメ。

矢萩:コミュニケーション不足なんだと思います。なので、弊社がコンサルに入るときに最初は、どこからやったらいいのかを大枠で考えます。担当者が社内で置かれている状況や、施策の運用体制も含めてちゃんと全部ヒアリングして把握したうえで戦略の方向性を決定するようにしています。

高梨:担当者同士のコミュニケーションが上手くいかなくて挫折している人や企業ってすごく多いですからね。

データストラテジストに向いているのは、理系よりも文系の人?

新城:つまり二人の考えるデータストラテジストとは、経営戦略に紐づいて全体のマーケティングストーリーを描いたうえで、必要なデータを集めて分析し、かつ相手のことを考えた戦略を立てられる人ですか?

矢萩:そうですね。そして、最終的には、データ分析から売り上げを立てるところまで施作を持っていける人だと思います。そのためには、データ分析を宝探しだと思って楽しめる人が良いのかもしれませんね。計算する、分析するだけではなくてデータを読み解くこと。つまり会社のトップが描いた夢をデータを使って実現するという仕事かなと。

高梨:会社のナンバー2、要は参謀思考の人ですかね。僕が見ている限りでは、シード、スタートアップ期の会社って参謀の不在という問題に絶対にぶつかるんですよ。データを経営に役立てる、トップができないことをする仕事ですね。

新城:では数学的なスキルのある理系の人がデータストラテジストに向いていると思いますか?

高梨:学生の時に現代文が得意だった人ですかね!特に勉強しなくても現代文の点数良かったって人は向いてるかも。人の気持ちがわかる、意図やコンテキストを読み解くスキルが高いと思うので、データを用いた戦略やストーリー作りに長けていると思います。

矢萩:同意見です! データをただの数字として扱っていたら、データをもとに経営レベルまで戦略や施策を考えることはできないです。うちの場合だと、もともとライターで採用した社員に能力試験を行ったところ、文章だけではなく数学の点数も良かったので試しにアクセス解析の仕事をしてもらったら、二か月くらいでめちゃくちゃ分析や改善ができて、CV率を大幅に上げれるようになった事例があります。

矢萩:もともとライターだったから、データの悪いところをコンテンツの「文脈」から見つけ出して改善することが感覚的にできるんです。Googleアナリティクスの数値施策ベースでしか物事を話せない人は、データストラテジストとは言えないかもしれませんね。

データストラテジストの二人から見た二人のデータストラテジスト

新城:高梨さんと矢萩さんは、一緒に複数の会社のコンサルに入っていますが、データストラテジストとして見たとき、お互いどういう印象を持っていますか?

高梨:何を質問しても絶対論理的に返ってくるし、すべての分析や施策がちゃんと経営と繋がっていてすごいなと。あと、よくSEOやれるな!といつも思ってます。

新城:というと?

高梨:Webマーケをやってる身からすると、SEOって一番難しいから足を踏み入れたくない領域なんですよ。一緒に仕事をしていると、マジでSEO好きなんだなって伝わってきますよね。あとはとにかく明るくて前向きなので、一緒にマーケティングやっててこっちも楽しくなります。

矢萩:自分のサイトと思って、分析したり戦略立てたりするのめちゃくちゃ楽しいんですよ!マーケティングは「自分ごとにする」意識が大切だと思っています。

高梨: SEOはハッキリ言って一番難しい分野だと思うし、向き合わないといけないデータがめちゃくちゃ多いんです。だけど、これができる人は絶対に他のこともできます。

新城:矢萩さんはどうですか? 高梨さんをどう見ていますか?

矢萩:打ち手をいろいろ持っているWebマーケターですね。ある業界では常識でも、他の業界では非常識かもしれない。それをうまく混ぜて繋ぐのが高梨さんです。これは普通できないです。

高梨:ありがとうございます。確かに、入る業界によって見ているピースは全然違いますね。

矢萩: 同じ業種でも全然違うコンテキストがあって、それぞれに多様なストーリーがあります。そのストーリーを把握していることもデータストラテジストとしては重要な要素かなと思うのですが、これはいろんな会社に呼ばれてコンサルした経験があって初めて身につくスキルですね。なので、マーケティング業界が長い僕にとっても、高梨さんのような方は、滅多に出会うことのない貴重な人材ですね。

高梨:ありがとうございます、僕からも最後にいいですか? SEOに課題があるサービスや企業に出会うと、頭に浮かぶのは矢萩さんなんですよね。その延長線でクヌギ社をコンサル会社としても信頼してるんです。「とりあえず採用する」ということをしないのも、コンサルの質が担保される背景なんだろうなと思ったり。個人的にもっとクヌギ社を紹介したいのですが、コンサルタント不足なのを知っているので、今はセーブしてるんですよね。なので、早くクヌギ社にコンサルタントが増えてほしいです!

矢萩:確かに狭き門ではありますが、うちが積極的に目立とうとしていないから、そもそも知られてない説が強いかもです。

高梨:その説ありますね、業界内では有名なんですけどね(笑)
僕のSEOの師匠が矢萩さんなので、矢萩さんがいる環境で学びながら実践できるのって、僕からみたら質の高い環境だなって思うんです。 特にコンサルのように専門性を発揮する仕事って、何かに突き抜けているものを持ってる人がいる環境での経験有無が、その後のスキルやキャリアに大きく影響しますから。ちなみに、学生のインターンもOKなんでしたっけ?

矢萩:学生さんであっても、学習意欲が高い方は歓迎ですよ!

高梨:なるほど、良いこと聞けました。個人的にクヌギ採用PRしていきます、クヌギ社のコンサルタント増えたら、スタートアップ全体への貢献に繋がるので(笑)

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