こんにちは、クラビズの本郷です。
前回からスタートした【クラビズの原点:代表・秋葉の軌跡】。
第2回となる今回のテーマは、秋葉の「仕事観」です。
クラビズには、デザイン、Web、広告、街づくりなど、さまざまな領域で仕事をするメンバーがいます。
その中で秋葉が「プロフェッショナルな仕事」として大切にしていることは何なのか。
「美しいものをつくる」だけではない。
「言われたものをつくる」だけでもない。
相手の本当の課題を見つけ、自分の持っているものを掛け合わせながら、まだ見えていない答えをつくっていく。
そんな秋葉の仕事に対する考え方を聞きました。
1. 美しいだけでは価値がない。「本当の課題」を見つける
――最近、社内を見ていて「これはプロフェッショナルな仕事だな」と感じることはありますか?
やっぱり、クラビズはデザインが強みだと思うんですよね。
デザインって不思議なもので、何か目的があってつくるものじゃないですか。
お客さんが思っていることを聞き出して、それを整理して、別の形に置き換える。
言ってみれば、「翻訳」みたいな作業なんですよね。
それがすごく上手にできているなと思うことがあります。
――単純に「デザインの技術が高い」ということとは、少し違うんですね。
そうですね。
もちろん、カッコいいクリエイティブを作ったり、技術的に優れているという部分も大事です。
でも、それだけじゃない。
いくら美しいものをつくったとしても、本当の課題が解決されていなかったら、そこに価値はないと思っています。
だから、一番大切にしなきゃいけないのは、やっぱり「課題を見つけること」なんですよね。
相手が言っている課題ではなくて、相手自身も気づいていないような、本当の課題を見つける力。
そこを伸ばしていきたいと思っています。
クラビズが「ソリューション」という言葉を使っているのも、結局は課題解決だから。
みんなが日々そこを意識してくれているし、その力も少しずつ伸びてきているんじゃないかなと思います。
――でも、相手自身も気づいていない課題を見つけるのは、簡単ではないですよね。
すごく難しいですよ。
例えば、お客さんから「人が採用できないから、採用サイトをつくりたい」と言われたとする。
「じゃあ採用サイトをつくりましょう」と、そのまま受け取ることもできる。
でも、それって本当に問題の根っこなのかな、ということですよね。
相手が言っていることを、そのまま答えだと思わないこと。
僕は、ずっと疑っているんだと思います。
「本当にそうなのかな」
「この言葉の奥に、本当の答えがあるんじゃないか」
そういう疑いを持って聞いている。
――そうすると、課題を見つけるためには、やっぱり相手に泥臭く寄り添い続けることが重要なんでしょうか?
そうですね。
どれだけ相手のことを知るかって、ものすごく重要だと思う。
その人しか知らない情報を、どれだけ聞き出せるか。
そのためだったら、食事に行ってもいいし、夜飲みに行って心を開いてもらうことも必要だと思う。
表面的な関係では出てこないものって、いっぱいあるから。
だから、テクニックというより、どれだけ相手のことを知ろうとするかなんですよね。
2. 課題を解決するために、自分の「引き出し」を増やす
――相手のことを深く知ることに加えて、もう一つ必要なものがあるとすれば何でしょうか?
自分の中に、どれだけ引き出しがあるか。
これもすごく重要だと思っています。
例えば、自分の中に渡せるアイデアが2〜3個しかなかったら、できることって限られるじゃないですか。
でも、いろんな経験をしていて、
「こういう場合だったら、こういうものもありますよ」
「直接ビジネスには関係ないけど、こういう方法もあるんじゃないか」
という引き出しがたくさんあれば、解決できることも増えていく。
例えば、若い人が採用できない建設会社があったとする。
普通なら、採用サイトをつくるとか、求人広告を出すとか、いろんな採用施策を考えると思う。
でも僕だったら、「敷地内にスケボーのパークをつくりませんか」って提案するかもしれない。
「うちの会社に入ったら、いつでもスケボーしていいですよ」と。
昼休みにやってもいいし、仕事が終わってからやってもいい。
それだけで若い人から見たら、「なんか、この会社カッコいいな」と思うかもしれない。
それに、企業のブランディングにもなるし、プレスリリースにもできる。
その中からオリンピックに出るような選手が出てきたら、さらに会社の価値も上がっていく。
こういう発想って、AIでもなかなか出てこないと思うんですよね。
だから、人の課題を解決するためには、自分がどれだけ引き出しを持っているかも大切だと思います。
――その「引き出し」は、どうやって増やしてきたんですか?
やっぱり本は大きかったと思います。
それから、音楽とか、スポーツとか、アートとか。
結果的に、そういうものが自分の引き出しを増やしてくれた。
でも、すべての源にあるのは、好奇心だと思っています。
「なんでだろう」と思えるか。
新しいものを見たときに、「面白そう」と思えるか。
知らないことが目の前に現れたときに、「知りたい」と思えるか。
それが大事なんじゃないかな。
例えば、美術館に行くのだって、一瞬「面倒くさいな」と思うことがある。
でも、そこで「いや、今日は動いた方がいいんじゃないか」と思えるかどうか。
そうやって、自分から機会をつくっていく。
機会って、そんなに何度もあるものじゃないから。
今日の夜だって一回しかない。
その一回しかない時間をどう生きるのか。
家でテレビを見るのか、それとも何かを経験するのか。
そういう積み重ねが、自分の引き出しになっていくんだと思います。
3. 「成功」と「失敗」で人生を分けない
――秋葉さんは、前回も「どれだけ失敗できるかが大事」と話されていましたよね。そもそも秋葉さん自身は、失敗をどう捉えているんでしょうか?
僕は、あんまり失敗を失敗だと思わないんですよね。
どんなことにも、プラスとマイナスがあるから。
例えば、受験で行きたかったところに行けなかった。
そのすべてが失敗なのかっていうと、目標に向かってがむしゃらに努力した経験はマイナスではないですよね。
何かにチャレンジして、会社がうまくいかなかった。
お金がなくなって、仕事もなくなって、周りから心配される。
それだけ見れば、失敗に見えるかもしれない。
でも、その中にはすごく大切な経験がいっぱいある。
多くの人は、0か100かみたいに考えすぎているんじゃないかな。
成功か失敗か。
勝ちか負けか。
そうやって分けてしまうと、チャレンジするのが怖くなる。
――確かに、今はSNSなどで「成功している人」が簡単に見える時代でもあります。
そう。
僕は「成功者」っていう言葉自体に、すごく違和感があるんですよ。
成功者って誰なの、って。
例えば、誰かが世間から成功者だと言われていたとしても、僕がその人の人生を送りたいとは限らない。
だったら、自分にとって何が成功なのかを考えた方がいい。
人から見て成功しているかどうかなんて、どうでもいいんですよ。
自分が自分らしく生きられている。
それでいいんじゃないかな。
人の評価ではなく、自分の尺度で生きられる人生の方が、僕にとっては成功だと思います。
だから、周りから見たら失敗に見えることでも、自分にとってプラスなら、それでいい。
そう思えていたら、頑張れるし、チャレンジもできる。
4. 正解のない世界で、何を信じて決めるのか
――会社を経営していると、正解が分からないまま決断しなければならないことも多いと思います。そんなとき、何を判断軸にしているんですか?
短期的なことも、やっぱり考えなきゃいけない。
例えば、会社として今年どうするか、利益をどうするか。
みんなに1円でも多く給料やボーナスを渡してあげたいと思ったら、そのための判断も必要になる。
でも、そこだけを見てしまったら、会社は長く続かない。
だから、短期的な利益と、会社が長く続いていくこと。その両方を判断軸にしなきゃいけないと思っています。
「利益なんて関係ない」と言ったら、それは無責任だから。
利益がなければ、給料も上がらないし、新しい人を雇うこともできない。
でも、利益だけを追い続けても、会社として大切なものが失われてしまう。
その真ん中を、ちゃんと通していきたいんですよね。
――では、「これだけは絶対にやらない」ということはありますか?
人の役に立たないことは、いくらお金を積まれてもやりたくないですね。
例えば、本当は価値のないものを、価値があるように見せて高く売るとか。
自分が儲かればいい、という考え方では仕事をしたくない。
別に、お金が欲しいわけじゃないんですよ。
昔はもちろん、少しでも豊かになりたいと思っていたし、贅沢したいと思っていた。
でも、今はそれよりも、自分たちがやっていることが誰かの役に立っているかどうかの方が大事になってきた。
だから、儲かるからやる、という判断を自分がすることは、たぶん一度もないと思います。
5. 「自分のため」から「誰かのため」へ。働く意味が変わった
――最後に、秋葉さんにとって「働くこと」には、どんな意味がありますか?
もちろん、生活するためという意味はあります。
自分には莫大な資産があるわけでもないから、仕事をしなければ家族を養えない。
それは絶対にある。
でも、それだけで仕事をしているつもりはないですね。
今は仲間も増えて、経営者としてここにいる人たちの家族をある意味で支えていく責任もあると思っています。
会社が良くなれば、給料も上がる。
そうすれば、そこで働いている人たちの家族や子どもたちが、少しでも良い教育を受けられる可能性も増える。
だったら、自分たちはもっと仕事をしなきゃいけないし、自分自身のパフォーマンスももっと上げなきゃいけない。
それが、今の自分が仕事をする意味の一つだと思います。
そして、それは会社の中だけじゃない。
自分たちはこれから、街の子どもたちと関わる機会も増えていくと思う。
サッカーチームを運営することもそうだし、街のイベントをやるとかもそう。
一見すると会社にとっての利益とは関係ないように見えても、その子どもたちに何か新しい経験を与えられるかもしれない。
何かの分断をなくすきっかけになるかもしれない。
平和について考えるきっかけになるかもしれない。
そういう意味で、自分は仕事をする意味を見出しているんだと思います。
――20代の頃と比べて、「働く意味」は変わりましたか?
全然変わりましたね。
20代の頃は、自分のことしか見えていなかったと思う。
まずは自分が生きていくこと、自分がどうなりたいかで精一杯だった。
でも、立場が変わると見える世界も変わってくる。
自分のためだけじゃなくて、仲間のため、家族のため、その先にいる人たちのため。
さらに広げれば、街のためとか、社会のためとか。
その時々の立場によって、自分が背負うものや、果たすべき役割は変わっていくんじゃないかなと思います。
だから、今はあまり自分自身には興味がないんですよね。
高級ブランドの服を着たいとか、ギラギラした腕時計が欲しいとか。
そういうことよりも、自分たちが何をつくれるか。
誰に何を渡せるか。
そっちの方が自分にとってはずっと面白いですね。
編集後記
今回のインタビュー中、何度も出てきたのが、「自分ではない誰か」という言葉でした。
顧客の本当の課題を見つけること。
相手のために、自分の引き出しを増やすこと。
失敗を、自分にとっての経験として捉えること。
会社の仲間や、その家族の生活を背負うこと。
そして、その先にいる街の人たちのために仕事をすること。
一見すると、それぞれ別の話に見えます。
でも、その根底には、「自分のためだけに生きない」という一つの価値観があるように感じました。
20代の頃は、自分のことだけで精一杯だった。
そこから立場や環境が変わり、少しずつ「自分以外の誰か」に視点が広がっていった。
それは、前回の記事で語られていた「熱源をつくりたい」という思いにも、強く結びついているように思います。
そしてもう一つ、今回強く印象に残ったのが、「正解を探しすぎない」という姿勢です。
世の中には、成功者の姿や、正しいキャリア、安定した人生についての情報が溢れています。
けれど、誰かにとっての正解が、自分にとっての正解とは限らない。
だからこそ、自分で考え、自分で選び、その選択を少しでも良いものにしていく。
クラビズが大切にしている「自分で考え、挑戦する」という姿勢も、こうした自身の仕事観から生まれているのかもしれません。
ぜひ、次回もお楽しみに。