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【スタッフノート】ひとりぼっちの課題解決担当者が、チームで成果を上げていくまでの10ヶ月の道のり

書き手 クラシコム 高尾

2020年12月、クラシコムで組織変更があり、「ビジネスプラットフォーム部」という部署が新設され、僕はその責任者となりました。

もともと化学メーカーで研究開発をしていた僕が、2019年に全くの異業種のクラシコムに飛び込んで、少しずつ自分にできることを探して、できることを増やしていったこの2年間。

だんだん責任も負えるようになっていったタイミングで部署が新設されました。そこで新たに向き合ったことが、「一人でやってきたことをどうチームに広げるか」です。

このノートは、いま、そしてこれから、チームの一員として僕と一緒に仕事してくださる方に、「こういう変遷があって、いまの部署の形ができているんだ。これからこんな発展の仕方をしていくんだ」ということを知ってもらいたくて書きました。


物流機能改善からデータ分析、情報セキュリティの整備まで


ビジネスプラットフォーム部の設立の経緯を説明するために、僕がクラシコムに入社してから携わってきた業務について紹介します。

2019年2月に社長室のスタッフとして入社して以来、「ぽてんヒットを防ぐ」役割を拡大してきました。

社長室インタビュー
誰もやらない仕事をすくい取り、価値を生む。異色の人材と新たな可能性を模索するクラシコムの社長室。

たとえば、「北欧、暮らしの道具店」の商品をお客さまにお届けするための物流機能の改善。僕が入社したころは、受注の増加に出荷キャパシティが追いつかなくなっていた状態でした。外部委託している倉庫の方々や、社内のバイヤー、後述するコミュニケーショングループのスタッフに協力してもらって、安定的に出荷できる状態を作っています。

さらに、一年ほど前から、倉庫内業務の効率をより一層高めるために、倉庫で使用しているシステムのリプレイスを含む投資の計画を練っています。改善を通じて、社内のオペレーション、倉庫内のオペレーション、両方について熟知することができました。

データ分析の領域では、社内のwebエンジニアや、業務委託で協力してくださっている外部のデータ分析のプロたちの力を借りながら、BIツールの「looker」の導入を軸にしながら、データ分析基盤の構築に取り組んできました。

経営が見たい数字は何で、それは社内のシステムがこうなっているから、こうSQLを書けば見れる、とか、これを実装しないとみれない、ということを経験し、経営の視点とデータ構造を結びつけて考える機会となりました。データ分析のスキルを使いながら、年度予算や中期経営計画の策定にも知見を活かしています。

情報セキュリティ委員会の一員としては、「怒らない情シス」をモットーに、社内のルール整備やツールの見直しや導入を行ってきました。ツールの導入の際にはマニュアルの展開だけではうまく進捗しないことが多いので、社内のスタッフ全員とコミュニケーションを取る機会が頻繁にできました。

これらの業務は、少し引いた視点でみてみると、会社が健全に成長するために必要なことでした。

それらをまとめて統括する部門として新設されたのが、ビジネスプラットフォーム部です。


クラシコムらしい成長のあり方とは「成長の阻害要因」を取り除くこと


「健全な成長に必要なこと」とは、どういうことでしょうか?

まず、クラシコムにとっての「成長」を考えてみます。

「2年後に事業規模を2倍にするぞー!」とか「ユーザーを1000万人まで増やすぞー!」というような、事業上の高い目標を設定してみんなで「おりゃー!」と向かっていく、というのとはちょっと違います。

ただし、成長を志向していないわけではありません。みんなが意欲高く業務をして、やるべきことをやっていたら、自然と成長できるんだ、というように、社内では捉えられていると感じます。

そのため、ビジネスプラットフォーム部が担うのは、グロース施策ではなくて、「成長の阻害要因」を取り除くことと考えています。

なお、クラシコムの中にも需要面をケアする業務はあって、バイヤーやプランナーはいい商品を仕入れ、企画しているし、編集の部門はコンテンツの魅力を高めることを常に考えているし、どうSNSを展開していくべきか、とか、アプリをたくさんの人に届けるにはどうしたらいいか?などの検討をしている部門もあります。

需要の創出をそちらで行ってくれているので、「成長の阻害要因」として残ってくるのは、供給側、社内オペレーションのボトルネックの排除となってきます。

受注の伸びに追いつかせるように出荷キャパシティを上げることも、安心して経営に取り組めるようにKPIをウォッチできるダッシュボードを作成することも、情報セキュリティを担保した上で業務に取り組める状態にするのも、成長の阻害要因の排除でした。

部の新設に伴い、この役割を担う上でキーとなる「コミュニケーショングループ」を管掌することになりました。


カスタマーサポートにとどまらない、コミュニケーショングループの役割


対外的にコミュニケーショングループのことを説明する際には、「カスタマーサポートのような部署」と説明してしまうことが多いのですが、実際は、このグループの役割は多岐にわたります。

毎日、お客さまから受注した注文を、システム上でデータを整理したり、お客さまとやりとりしたりして、倉庫が出荷作業可能な形に整える。商品の不具合が発覚した際に、卸元に仕様の確認や対策の相談をする。お客さまからくるあらゆる問い合わせの窓口となり、社内へのヒアリングやシステムでの調査を通じて回答する。メールマガジンの編集、執筆を担当しており、お客さまに読み物としてのメルマガをお届けする。

数年前、カスタマーサポートにとどまらない「お客さまとクラシコムのコミュニケーションを担う部署」として作られたグループとして、その役割を全うしています。

グループのメンバーは自分たちのことを「お客さま係」と称することがあるのですが、僕はその呼び名が本当にぴったりだな、と感じます。

お客さまとあらゆるコミュニケーションを重ね、社内のほとんどすべての部署と関わりを持ち、社内の基幹オペレーションやシステムに精通していること。

これが、コミュニケーショングループの「強み」であり、だからこそ、クラシコムの成長の阻害要因を取り除く上で、キーになってくる部署でもあります。


「お客さま係」の領域を広げる絵がみえてきました


キーとなる部署を管掌することになりながらも、実は、最初の頃は、僕が抱えてきた仕事をどうやって部署の仕事にするのかというイメージが湧いていませんでした。

物流も、データも情報セキュリティも、全部が関連し合っているものだから、入社以来、クラシコムの業務全体への理解を深めてきた自分だからこそできるものであって、一部を切り出してだれかに渡すことはできない。「自分の分身みたいな人がいないと業務は分担できないんじゃないか」と少しうぬぼれたことを考えていたからかもしれません。

しかし、部署設立後の数ヶ月間、自分も実際に「お客さま係」としての業務を経験し、部署のみんなと働きながら、このグループの強みを深く体感したことで、チームで仕事を進めるイメージを持つことができるようになりました。

転機となったのは、コミュニケーショングループが日々使っているシステムのリプレイスです。一部のスタッフに僕の業務を代わってもらったところ、想像よりもスムーズに進んだことが、気づきのきっかけとなりました。

ここから、「お客さま係」というこれまでに最も重要だった役割をベースとしながら、少しずつ、業務の領域を広げていくイメージが描けるようになりました。(もしかしたら、僕が入社してからの2年間、上司だった代表青木も同じような気持ちで見守ってくれていたのでしょうか?)

物流は、お客さまに荷物をお届けするための手段として。
情報セキュリティは、お客さまからお預かりしている個人情報の適切な管理を通じて安心を提供するための手段として。
そして、データ分析は、お客さまの行動の軌跡を可視化して事業に活かすための手段として。

さらに、お客さまを軸にして、こんな領域にも広がっていくのではなないかと未来のことを想像できるようにもなりました。

お荷物のお届け側だけでなく、倉庫に荷物が届くまでのところの流れも最適化する、サプライチェーンマネージメント。
情報セキュリティ業務を通じて、SaaSを用いた社内の業務ハック。
商品のお届け前に不備に気がつけるようにする検品体制の強化や、商品選定や開発時に不備のでにくい品質に作り上げるところをサポートする、品質管理の業務も。

お客さまが当店の利用で困ったことがあったら解決を手伝うという受け身のサポートから、お客さまが困ることがない、あるいは、自力で解決できることをめざすUI/UXの改善やCRE(Customer Reliability Engineering)の役割も担えるかもしれません。

ちょっとずつ、「部」としての形がみえてきて、これからどうなっていくのか本当に楽しみになってきました。システムのリプレイスがどう進行したのか、とか「お客さま係の領域はどう広がったのか」をまた報告させてください。

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