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セールス活動をモデリング。統計的に打ち手探索をしよう。

こんにちは。scoutyのセールスマネージャー中島です。
私は8月からscoutyにジョインし商談やセールスKPI・打ち手設計などを行っています。
スタートアップでは短いスパンでPDCAを回す為、常に早とちりリスクと隣合わせの意思決定が要求されますが、同時にscoutyでは『推測より計測』を合言葉に合理的な意思決定を目指しています。

この記事では実際の打ち手探索において私が行っている思考方法と検証方法を一部紹介し、セールス活動をモデリングすることの重要性を書いてみたいと思います。

セールスあるある グウゼン、ドレダケ、コジツケ

セールスの方なら頷いていただけると思いますが「n=1判断」のようなたまたまを考慮しないグウゼン、「笑顔大事」のようなKGIに対する効果の大きさを無視したドレダケ、「関係なさそうに見えて相関してる!」のような手元にあるデータだけで無理やり判断してしまうコジツケは、データを蓄積しにくいセールスにおいてありがちなミスです。母から以前「トマトを食べて痩せた!」と自慢されたことがありますが、仕事である以上、私の母のようなグウゼン、ドレダケ、コジツケを意識しない意思決定は避けるべきです。

「データが最強!」ではない そもそもデータとは

上記では一見「データを元に意思決定しろ」というメッセージに見えるかもしれませんが、実はそうではありません。あくまでメッセージとしてお伝えしたいことは、「データの中身と使い方に注意を払う」ということです。

そもそもデータとは何でしょうか。データとは事象から一部の側面で切り取ったモノです。例えば「商談:1」というデータを考えると、これは「中島(性別男性、身長173cm、出身地大阪……)が、11月15日(晴れ、気温18度……)に、山田さん(部署人事、年齢35歳、独身……)と商談(オンライン、キーメッセージは〇〇……)した」という事象を「商談:1」に凝縮したわけです。

モデリングとは

上記のようにデータとは事象から様々な情報が削ぎ落とされたモノですが、そのデータをうまく扱う必要があります。そこで私がおすすめする概念が「モデリング」です。

※この記事内の「モデリング」とは専門的な用語ではなくあくまでこの記事内だけの抽象的な概念として使います。


具体例として、以前お付き合いしていた方に「いつも違う香水付けてる人は信用できない!」と言われたことがありますが(確か西野カナさんが歌った何かの曲の歌詞に影響されたみたいです)、これは「信用できる人か否か」を判断する要素として「複数種類の香水を使ってるか否か」という単一要素で判断をした、彼女の“信用判断モデル”です。

同じようにセールスでは「受注するか否か」にどんな要素がどのように関係しているのか関係式を作る必要があります。つまりゴール指標に対して、各アクションに関連する要素の確率と効果の度合いを考えていこうというのが私の言うモデリングです。

意思決定プロセスとアクションの関係性を物理法則のように定式化しよう!因果関係や効果の大きさを考えよう!ということです。

実際の思考STEP

ということで実際に私が作った図を元に、思考ステップを紹介したいと思います。

まずは大まかな指標から。scoutyではマーケティングとセールスとカスタマーサクセスに分かれておりセールスは受注数をKGIに設定しています。


この活動の中でモデリングする為に関連度の高そうな、因果関係にありそうなものを羅列し、その中から今やるべきこと、検証すべき事をピックアップしていきます。これが”仮説”になります。


こうやって図式化をすると、意外に見えていなかったものが仮説としてでてくるのでおすすめです。またその打ち手が最終目標(KGI)のためのなのものか、次のKPIのものなのか関連性も見えてきます。何より社内やチームメンバーとの議論もしやすくなります。

ここまでのステップをまとめるとこのような考え方です。


検証し、モデル化してみる

上記のように図式化し、受注するかどうかのモデルとして以下のような要素が関連度が高いのでは?と仮説を建てたとします。

仮説

・オンライン商談より実際にお客様に訪問する方が受注しやすいのでは?
・人事部より開発部の方が製品を理解してくれ受注しやすい?
・顧客の製品やサービスの分類によって相性があるのでは?
・他社のダイレクトリクルーティングを使ったことがある担当者の方が受注しやすいのでは?
・問い合わせよりイベントに力を入れたほうが良いのでは?

上記を念頭にセールス活動を記録していくとこんなデータが出来上がります。


これを分析してみましょう。基本的にそれぞれ集計して見ればよいのですが、多変量の効果をそれぞれ見たい場合はいくつか手法を試してみても良いかもしれません。

例えば今回は数量化2類、判別分析などが挙げられます。量的な変数であれば重回帰など。


ある程度集計から読み取れれば、社内への共有や全体の俯瞰として決定木などもわかりやすくておすすめです。


これにより人事部なのか否か、過去ダイレクトリクルーティングツールの利用経験があるか否か、あたりからなにか見えてきそうです。この解析で受注する確率が割り出せる一つのモデルが作られました。

<受注する確率 = 係数×訪問か否か + 係数×人事部か否か + 係数×ダイレクトリクルーティング経験ありか否か…… >

※わかり易さ重視の為上の出力結果とは関係ありません。あくまでイメージとして。


こう見ると相対的にどの要素が重要でこのモデルではどれだけ説明がつくのかが分かります。

こういった検証を重ねることで、各仮説の重要度、関連度合いが分かりますし、どの程度不確からしいモデル式なのかが分かれば別の重要な要素を探すのか、不確からしさも考慮した上でまずは打ち手の比較として考えるのか等の戦略が見えてきます。

まとめ 大事なのは仮説を持ってデータ記録を行い合理的な判断をすること。

上記で小難しそうな解析の図を貼りましたが、大事なのはあくまで現場の知見をモデル化し考え、その仮説に沿ってデータを溜め、検証しようということです。もちろん既に現場でデータに基づいた意思決定をしている企業が多いかと思いますが、意外に仮説に基づいた新しいデータをログしていこうという企業は少ないように感じます。しかし意識せずに取れるデータには限界があります。その点を意識すると、検証できるのはクライアント部署や競合製品の導入有無だけにとどまりません。例えば入社時の性格テスト、営業テクニックの有無、商品の訴求点のパターンなど、結果的に採用や研修、マーケ戦略にも打ち手が拡張できます。

少し蛇足ですが、私は営業の本質は、サービスの“風吹けば桶屋が儲かる”モデルが確立することがゴールだと考えています。つまり5W1Hの中で「Who」の要素に依存しないモデルが作れれば、極論WEB上のLPや動画コンテンツのみでクロージング活動は完結でき、勝手に売れていく仕組みづくりも可能だと考えています。

少し話が大きくなりましたが、日々の業務でグウゼン・ドレダケ・コジツケを防ぐためにもセールスKGIに対して、どのような顧客属性・アクション・商品・その他季節性等が因果関係にありそうかを事前に考え、あなたのサービスの販売モデルを作ってみてください。

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