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コロナ禍を経てヘルスケア・スタートアップが目指す地平。CEO・CTOが企業の未来を語る

「テクノロジーを通じて医療を一歩前へ」をミッションに、医療における非効率性をテクノロジーで改善してきたヘルスケア・スタートアップのLinc'well(リンクウェル )。コロナ禍の影響もあり激変する社会情勢のなかで、“最高の医療体験”を実現すべく事業を推進してきました。

昨年の11月にはシリーズCにおいて総額約80億円の資金調達を実施*。企業としての、さらなる飛躍を目指しています。今回はLinc'wellの経営を支えてきた、代表取締役CEOの金子和真とCTOの戸本裕太郎にインタビュー。これまでの振り返りと今後の目標を語ってもらいました。

*…本ラウンドでは、米投資ファンドのベインキャピタルをリード投資家とし、Pavilion Capitalに加えて既存投資家であるインキュベイトファンド、DCM Ventures、ニッセイキャピタル等を引受先としています。
代表取締役(共同創業者) 金子 和真(写真右)
2003年より8年間、東京大学医学部附属病院を中心に臨床・研究活動に従事。2011年より7年間、マッキンゼー・アンド・カンパニーにてヘルスケア領域のコンサルティングに従事(元東京オフィス アソシエイトパートナー)。2018年株式会社リンクウェルを創業。代表取締役社長に就任。医師、医学博士(新潟大学医学部・東京大学大学院卒業、糖尿病専門医)。
CTO 戸本 裕太郎(写真左)
中部電力を経てLinc’wellに参画。中部電力ではCIS/ERPシステムの開発後、全社的なICT戦略の立案・実行、AI・ブロックチェーンを使ったオープンイノベーションを推進。2018年Linc’wellにエンジニアとして参画。現在はCTOとして、ハスラー+エンジニア的なムーブをしつつ戦略立案とプロダクトマネジメントに比重を置いて活動。

社会の変化とともに人々の意識変容が起きた

――Linc'wellはプロデュースする「クリニックフォア」の院内オペレーションのDXやオンライン診療をはじめ、複数の事業を展開してきました。創業当初と現状とを比較して、想定と違っていたことがあればお話しください。

金子:最も想定と異なるのは、コロナ禍の影響によって社会全体でデジタル化のニーズが高まったことです。ヘルスケア領域においても、私たちが予想していた以上のスピードでテクノロジーの導入が進みました。

人々の接触をなるべく減らし、密になることを避ける取り組みが求められました。その典型例が、院内オペレーションのDXや各種検査結果をオンライン上で確認できる機能などです。私たちが提供するサービスによって、感染リスクの低減に貢献できた部分が一定以上あったと感じます。

また、社会の変化に伴い人々の意識変容も起こりました。リモートワークやオンラインミーティングの普及など行動様式が変わる過程で、これまで当たり前だと思われていたことに対し、人々が疑問を抱くようになりました。行政手続きの認め印が廃止されたことなどが象徴的ですが、「テクノロジーを活用して仕事や生活をより便利に変えていくべきだ」という意識が、世の中に芽生えてきたように思います。


――戸本さんはいかがでしょうか?

戸本:金子が話したことに加えて、医療サービスを提供するうえでは、世の中の動きや人々の意識に合わせて、提供する機能の“チューニング”をすることが重要だと気づきました。たとえば、Linc'wellはITを徹底活用したスマートクリニック「クリニックフォア*」のプロデュースをしていますが、この試みを好意的にとらえる人もいれば、批判的にとらえる人もいます。

*…これまでのクリニックは「平日夜間や土日などに開いていない」「待ち時間が長い」「情報がわかりにくい・デジタル上で自分の情報を把握できない」などの課題がありました。「クリニックフォア」サービスでは「いつでも予約ができ、夜間や土日の診療が可能」「必要以上に待たない」「患者さんの情報が患者さん自身の手元にある」状態をWEBシステムによって実現し、クリニックのIT化を行っています。

後者の方々は、仮にシステムの導入によってクリニックの利便性が向上したとしても、「医療という行為が軽薄になった」と受け取ってしまう。これは一例ですが、最先端のテクノロジーばかりを取り入れることが、必ずしも事業にとって最善の選択にならないケースも多かったです。

世の中の人々にとって、どれくらいの塩梅でテクノロジーを取り入れるのが“心地良いDX”なのかを、考えながらチューニングしていく必要があります。だからこそ私はCTOとして、エンジニアリングだけではなく世の中の動きとも向き合いながら、各種の方針を策定してきました。

ともに切磋琢磨してきたお互いへの印象

――ここからは両者のお互いへの印象を伺います。まずは金子さんの思う、戸本さんの強みをお話しください。

金子:私は戸本のことを、非常にフェアな判断ができる人物だと思っています。経営陣やビジネスサイド、医療関係者からさまざまな要望が挙がるなかで、その取捨選択を行い、開発組織の状態などをふまえながら適切な落とし所を探る能力に長けています。

そして、開発リソースの都合などでリクエストを100%叶えられない場合でも「第一のフェーズでは○○を、次のフェーズでは○○をやりましょう」という具合に、ステップ論による提案をしてくれます。これは、ビジネスとエンジニアリングそれぞれへの深い理解があり、かつ開発組織を適切にマネジメントしているからこそ、実現可能なことだと思います。

――戸本さんは、なぜその力が身についたのだと思いますか?

戸本:Linc'wellの事業がスタートしたばかりの頃は、限られた資金のなかでリアルビジネスとインターネットビジネスの両方に投資する必要がありました。世の中が劇的に変わる状況下で、事業をPMFさせて成長させなければならない環境を経験するなかで、プロジェクトを推進する力が少しずつ養われたように思います。

ステップ論で物事を進めようとすると、ある種の“わりきり”が必要になります。初期のLinc'wellではエンジニアたちに対して「理想の設計や実装は○○だが、そのプランを採用すると市場が求める提供スピード・期待値に合わせることができなくなる。だから今はスピードを優先して別の案を選んでほしい」と伝えなければならない場面がいくつもありました。

その際に大切にしてきたのは、現実主義的な考え方をしつつも、必ずエンジニアに向けて「将来的にシステムをより良く変えるビジョン」と「その目標をいつか実現できるように、今のうちにやっておいてほしい準備」を提示することでした。そうした未来像を提示し、エンジニアたちにモチベーション高く仕事に取り組んでもらえるように工夫してきました。


――戸本さんの思う金子さんの強みについてもお話しください。

戸本:まず、現役の医者でありつつ、前職でマッキンゼー・アンド・カンパニーに勤務していたためビジネスに対する深い理解があることです。その両軸を持っているのは、金子の明確な強みですよね。かつ、コンサルタント業務では多種多様な業界の事業に携わってきたため、それらの知見やノウハウをLinc'wellの事業にも転用できます。

そして、売上を伸ばす施策のみを重視するのではなく、「全ての人々に最高の医療体験の提供」というLinc'wellのビジョンを念頭に置いたうえで、経営の意思決定をしています。たとえば過去には、利益率はそれほど良くないものの「コロナ渦において、多くの人たちの手助けになるから」という理由で実施した施策もありました。

私たちの開発組織には「社会を良くしたい」とか「患者の方々に貢献したい」という思いのメンバーが集まっています。だからこそ、その理念を大切にする金子の意思決定は、メンバーたちの心に響いています。

医療への“思い”を共有できる人がいい

――今後、事業や開発組織をどのように成長させていきたいかを教えてください。

金子:私たちは医療のデジタル化を今後も推進していきます。常日頃から社員たちには「自分の家族に安心して紹介できるようなサービスを作ってほしい」と伝えています。

将来的には、ヘルスケア関係の悩みなどを抱えている方などが、第一想起としてLinc'wellのサービスを思い浮かべてくれるようになってほしい。人々の日常生活のなかに、サービスが自然と溶け込んでいる世界観を目指したいです。

一例ですが、体の悩みを抱えている人がLinc'wellのサービスを使って調べものをした際に、何をしたらいいのかをコンシェルジュのように教えてくれる状態などは理想かなと思います。

戸本:私たちは事業成長を目標にしつつも、エンジニアたちが技術のことを楽しめる環境作りも大切にしたいです。エンジニアリングの世界では、毎年のように新しい技術が登場します。そうした技術を取り入れていくことは、企業の競争力を高める原動力になります。そして何よりも、楽しく働けない環境からはエンジニアは遅かれ早かれ離れてしまいます。

たとえば、エンジニアが何かしら技術的なチャレンジをしたいと申し出て、その提案に妥当性があるならば、意見を尊重していきたい。過去の記事でもお話ししましたが、開発組織全体の戦略については私がわがままを通す代わりに、技術的なソリューションの選択にはボトムアップの意見を尊重するのは当然だと思っています。

また、メンバー同士が技術について意見交換できる場も用意していきたいです。将来的には、R&D的な組織を作ったり、技術検証をするためのプロジェクトを実施したりして、より技術的なチャレンジができるようにしても良いかもしれません。


――その体制を実現するためには、優秀なエンジニアが必要不可欠です。これからLinc'wellに参画するエンジニアに求めるマインドやスキルはありますか?

戸本:技術に対する積極性や探究心は必ずあってほしいです。それから、ビジネスサイドの人たちの考えや業務内容にも興味を持ち、できればそういったメンバーと円滑にコミュニケーションを取れること。また、相手の意見に耳を傾けて傾聴する力も、身につけてもらえると嬉しいです。すべてのことができる人はなかなかいませんが、どれか1つでも持ち合わせ、ほかのスキルも高めていきたいとチャレンジすることが大事だと思います。

それから、私がリーダークラスのエンジニアなどによく伝えているのは、“認める力”の重要性です。企業で一緒に働くメンバーのなかには、自分とは異なる考え方や成功体験を持った人がいます。そんな人に対して「意見が合わない」と反発するのではなく、「そういった相手ほど、自分には無いものを持っている(=尊敬の余地がある)」という前提で向き合ってほしい。相手の強みを理解し協力・支援しあいながら、成果の追求をしてほしいです。

――最後に、今後Linc'wellで働くエンジニアに向けてメッセージをお願いします。

戸本:今は世の中が激変している時代ですから、そういった変化をぜひ楽しんでほしいです。特にスタートアップ企業で働くうえでは、カオスな状況に適応するスキルは、確実に必要になってきます。そして、エンジニアとしての確固たる“芯”を持ち、プロジェクトの進め方や設計・実装の方針などについて、積極的に意見を述べてほしいです。

金子:医療への“思い”を共有できる人と一緒に働きたいですね。Linc'wellで仕事をするうえでは、「テクノロジーの力で医療をより良くしたい」というマインドが何よりも重要です。昨年にシリーズCで約80億という大きな資金調達を実施して、自分たちがやれることの幅も広がっています。リーダーシップのある人や、自ら提案してプロジェクトを推進できるような人を、私たちは求めています。

<Linc'wellはともに働く仲間を募集しています>
・EM(VPoE候補)
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・SRE/インフラエンジニア
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・フロントエンドエンジニア(React)
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・サーバーサイドエンジニア(Ruby on Rails)
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