LINE FukuokaのIT推進室は、「LINE Fukuokaを働きやすさNo.1の企業に」をミッションに、DXを通して様々な部署の業務改善を行っています。 LINEグループで初めてローコード開発ツール「OutSystems」を導入し、同システムを活用した業務改善アプリを15個展開したIT推進室の松尾が、「OutSystems Japan Customer Conference 2021」に登壇したのでその模様をご紹介します。
▼LINE FukuokaのOutSystemsを使ったDX事例
OutSystemsの導入背景 LINEグループの業務改善アプリを開発する上で、セキュリティの点や、外国籍社員が多く多言語対応が必要である点、事業変化のスピードが速いためスピード開発が求められる点など、様々なハードルがありました。『OutSystems』はこれらの開発にあたっての必須要件を満たしているため、導入にいたりました。
「OutSystems」を使った業務改善事例① 紙台帳をDX「備品貸出システム(Renta Box)」
紙台帳だった備品貸出の管理をタブレットアプリでシステム化した事例です。
これまでは貸出状況はいちいち備品棚に置いてある台帳で確認しなければならず、備品を返却していない社員への催促の連絡も手動でした。 備品を借りる際に手書きで名前・借りたい備品名・返却日を記入しなければならない点も、借りる社員側の手間として課題でした。
紙台帳管理のシステム化で、以下3点の業務改善を目指しました。
・『誰が・何を・いつ借りているのか?』をパソコン上で正確に把握 ・催促連絡の自動化 ・借りる側は、社員証をカードリーダーにかざしてボタンを選択するだけで貸し出し手続き完了
『OutSystems』によって、短期間でこれらを実現する備品貸出システム(以下、Renta Box)の開発が可能になりました。
↑は開発したRenta Boxのユーザー導線です。
①カードリーダーに社員証をかざし、個人を識別 ②画面に表示される備品画像一覧から、必要な備品を選択 ③返却日を選択 ④確定。備品貸出手続き完了
↑が、Renta Boxのシステムのイメージ図です。 本システムの構成は大きく分けて、3つ。
・管理者がWeb上で備品を管理できるシステム ・利用者が貸出状況や在庫をWeb上で確認できるシステム ・タブレット用のシステム
個人を識別するために、カードリーダーで社員証を読み取る機能を実装したかったのですが、要件に合うカードリーダとOutSystemsの直接の連携ができないという課題がありました そこで、OutSystemsで開発したタブレット用のアプリにカードリーダのSDKを埋め込み、Webviewで表示させることで、アプリとカードリーダーの連携を実現しました。」
「OutSystems」を使った業務改善事例② 問合わせ対応をDX「無人問合せシステム(Counter Guide)」
先ほどのRenta Boxに、無人問合わせ機能を拡充した事例についてもご紹介します。
弊社には、社員の備品貸出をサポートする問合せカウンターがあり、スタッフが常駐して社員の問合せ対応を行っていました。 問合わせ対応業務では以下の3つ課題がありました。
・問合せカウンターの営業時間外に勤務している社員(深夜/休日勤務)のサポートができない ・カウンターに寄せられた問合わせ履歴の記録作業が負担 ・コロナ禍の感染症対策で、カウンター常駐スタッフの出社を見直したい
そこで、無人問合せシステム(以下、Counter Guide)の開発を企画しました。
↑は、Counter Guideのユーザー導線です。
①Renta BoxかCounter Guideのどちらを使うか選択 ②カードリーダーに社員証をかざす ③問合せをしたいカテゴリや項目を選択 ④問合せに対する回答が表示される。もし、問題が解決しない場合は、タブレット上で担当スタッフにZoomを繋ぎ、直接会話が可能 ⑤メールに問合せの回答コンテンツを送る機能があるので、自席に戻っても改めて回答内容を確認できる
Counter Guideのシステムフローです。
Counter Guideに表示された回答コンテンツを読んでも課題が解決されなかった時に、Zoomでスタッフに質問ができます。 『スタッフ呼出』を選択すると、Slackで担当スタッフに通知が届き、問合せをした社員とZoomで接続する処理がはいります。 また、対応完了後に回答コンテンツを社員にメール配信する機能や、Zendeskで問合わせ内容を記録(チケット化)する機能を盛り込んでいます。
こちらはRenta Boxの機能を含めた、このアプリの全体イメージ図です。
OutSystemsで開発したアプリにZoomのSDKを埋め込み、Zoom画面をWebviewで表示するように設計しています。 ユーザー視点では、RentaBoxとCounter GuideのUIは近い形で設計しているため、慣れた操作感で使えますし、言語選択機能を実装しているので外国籍社員にも使いやすいです。 OutSystemsの特長によって、これらのアプリのスピード開発を実現できたと考えています。 Renta Boxは2019年4月〜2021年7月末までで7,100回以上の備品貸出の対応業務が削減、Counter Guideはカウンター常駐スタッフの問合わせ対応履歴の記録作業の削減と在宅勤務を可能にし、ユーザーの利便性向上だけでなく、バックオフィスの働き方改革にもつながっています。 ローコードツールを触ったことが無いけれど、『OutSystems』を使って社内の改善に取り組んでみたいという方の参考になれば幸いです。
「OutSystems Japan Customer Conference 2021」の登壇レポートを通して、LINE Fukuoka社内のDX事例を紹介させていただきました。
LINE Fukuokaには、そのほかにも多くの社内システム導入・開発プロジェクト事例があり、随時当ブログで発信しています。関心をお寄せいただいた方はブックマークをよろしくお願いいたします!
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