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【レポート】建デポさんとディスカッション! 建築業界向けテックサービスの活用方法

建築業界のIT化が進み、「この流れに乗り遅れたらマズい!」と意識を高く持っている施工事業者さんにお会いすることがあります。

そのような勉強熱心な方々向けに、昨年末に公開をした「建築テック業界 カオスマップ」の解説をします。職人さん向け会員制総合建材店を全国に65店かまえる建デポさん(以下:建)と、株式会社ローカルワークス代表清水勇介(以下:清)の対談を通じて業界の動きをお伝えします。施工事業者さんはもちろん、建築テックの動向に関心がある方も是非ご覧ください。

■盛り上がりを見せる「建築テック業界」のカオスマップをリリース

建) 2017年末、ローカルワークスさんは建築テック業界のカオスマップを発表しましたね。どのような意図でこのマップを作ったのでしょうか。

清)業界のIT化を支援するサービスが登場してきたのは、ここ4、5年でのこと。
今回紹介したカオスマップでは、そうしたサービスがジャンルごとにまとめられています。
知らなかったジャンルやサービスを発見すれば、それを業務に取り込んでいくこともできるだろうと考え、僕らが支援している施工事業者さんがIT化の流れに取り残されないように、このマップを積極的に使っていただきたいと思い作成しました。

■日本ではこれからテックサービスの利用が伸びていく

建)普段のお仕事でITを使うことが少ないとされる施工事業者さんにITサービスは広がっていくのでしょうか。

清)建築業界に向けたテックサービスは、現状では他の業界に比べるとまだまだ少ないですが、その数や利用率は拡大傾向にあります。
建築業界向けのサービスの少なさは、業界従事者のITリテラシーの低さが一因となっていますが、最近では付近の天気や駐車場を検索するなど、スマホを仕事で使う方が増えています。現在の状況は、かつてパソコンが従業員に配られたときに似ています。仕事でOfficeソフトやメールが必須になったのと同じように、業務でカオスマップにあるようなテックサービスを使うのが、間違いなく当たり前になっていきます。それに乗り遅れないように、今からでもサービスを使うことに慣れておきたいですね。


建)海外の建築業界IT化についてはどのようにお考えですか。

清)海外、特にアメリカにおいてテックサービスの種類は、日本のカオスマップとカテゴリが似ている一方、その数や規模は日本をはるかに上回っています。
例えば、建材ECサービスであれば、取引金額の規模もさることながら、建材だけでなく副資材の品ぞろえも優れています。
アメリカの例を見ても、日本の建築業界のIT化が進むことは間違いありません。

■「マッチングサービス」と「金融サービス」をIT化の第一歩に

建)カオスマップには数多くのサービスが掲載されていますが、まずはどれから利用すればよいでしょうか?

清)施工事業者さんの需要が高いものとして、以下の4つのカテゴリがオススメできると思います。
・マッチングサイト
・金融サービス
・建材ECサービス
・メディア
これらのサービスはメリットが分かりやすく、スマホで気軽に利用できます。例えば、建材ECサービスにはショップに行く時間や経費を短縮でき、場合によっては安く商品を購入できるというメリットがあります。
また、施主や元請けなどがネット上で仕事を発注し、それを職人が受注する「マッチングサイト」もオススメできます。マッチングサイトはリフォーム向けのものが多いですが、案件を発注する施主はシニア層が中心となっています。
最近では日常的にインターネットに親しんでいた世代がシニア層へとシフトしており、これが間違いなく追い風になっています。なお、マッチングサイトを利用するうえで、サービスが「B to B」と「B to C」に分かれていることも注目に値します。ここでいう「B to B」は元請けと職人を、「B to C」は元請け・職人と施主をつなぐサービスのことを指します。
「B to B」にカテゴライズされているサービスは、元請けからの仕事の発注を繋ぐサービスなので、発注側にまわれば協力会社や職人を探すときにも役立ち、「B to C」は施主からの仕事の受注を繋ぐサービスで、発注件数の総量はB to Bを上回ります。
ただ、施主との接客も仕事のうちとなり、合い見積もりにおける業者間の競争も厳しくなるので、まずはハードルの低いB to Bのマッチングサイトを利用してみるとよいのではないでしょうか。



建)職人や工務店における潜在的な需要が高いサービスは何でしょうか。

清)金融サービスだと思います。建築業界は二次請け、三次請けの案件が多く、それがキャッシュフローの悪さを招いています。売掛金の回収に時間がかかってしまい、次の案件を受注するための運転資金に苦労する事業者も少なくありません。そこで利用されているのが、いわゆる“ファクタリング”と呼ばれる決済代行サービスです。
これは手数料を支払うことで、売掛債権(売掛金を請求する権利)を現金に換えてくれるというもの。
発注元の支払いサイトが“末締めの翌々月末”といった場合でも、工事が完了したら手早く現金を得ることができます。
売掛金の回収前に発注元が倒産してしまうといった、回収リスクを防ぐことにもつながるんです。
業務のIT化はゼネコンなど大規模な会社向けのものだと思われがちですが、むしろ「事業の発展よりも、小規模でも仕事を続けられること」を重視しているような個人事業者にこそ、利用してほしいと思います。
マッチングサービスを使って営業の手間を減らし、人を雇うことなく人材を確保して、仕入れをオンラインで行って、工事代金の回収をスムーズに行う……。
こうしてテックサービスを駆使すれば、現場仕事以外の負担は一気に軽くなると思います。

■さいごに

沢山サービスがあり、迷うこともあると思いますが、
まずは各種サービスにユーザー登録するところから初めてみてはいかがでしょうか。
多くのサービスは無料で試すことができるので、まずはいろいろと使ってみることをオススメできます。サービスによって得意とするエリア、ユーザー層などは異なります。そのため、複数のサービスを試したうえで、気に入ったものを使って経費削減や売上げアップにつながると、業界自体の成長につながると思うので、是非今回のカオスマップを参考にしてみてください。

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