“自立した生活”を守る―丹野智文の語るMe-MAMORIOと認知症

若年性アルツハイマー症を発症しながらも、通常勤務や日常生活を生き生きと暮らす丹野智文さん。宮城県の認知症当事者を対象とした総合相談窓口「おれんじドア」の実行委員会代表も務める丹野さんは、多くの認知症当事者の声を聴いてきました。Me-MAMORIOのひとりのユーザーとして、認知症とMe-MAMORIOの関係について考えていることを取材しました。

なくし物が日常にとけこむ日々―MAMORIOとの出会い

丹野智文さんは39歳の時に若年性アルツハイマー症と診断されました。診断されたことに対する不安を抱えながらも、丹野さんは変化した日常生活にどのように適応するか考えてきました。

若年性アルツハイマー症と診断されてから約5年。丹野さんは現在、担当する業務の内容や勤務時間などを調整することで仕事を続けています。

丹野 「外出する時に必要なものは全て1つの袋にまとめて管理しています。その袋さえ持てば、忘れものをしないように。それから、会社に行くための駅名を忘れてしまうことがあり、人に聞いて助けてもらう為に『認知症本人です。ご協力お願いいたします。』と自身の利用する駅名を定期入れに入れてカバンにつけています。こういった工夫は、日常生活のトラブルから生み出されたものです」

あらゆるものや情報が記憶から消え去ってしまうなかで日常を営むことが、どれほど大変なことかがそれらの工夫から伝わります。

自身での気付きから持ち物への工夫を重ねていた丹野さんは、エーザイ株式会社からの紹介でMe-MAMORIOの存在を知りました。

丹野 「まずは使ってみようと思いました。一番なくしてはならない財布にMe-MAMORIOをつけています。会社に行く時に、財布がなくてパニックに陥ったことがありましたから。Me-MAMORIOを利用するようになって、“ある”ということがわかるようになりました。これはとても大きい安心です」

なくし物が日常にとけこむ日々の中で、大切な物の位置がわからない状態の不安はより一層大きいものです。Me-MAMORIOの利用は、丹野さんの生活から不安をひとつ取り除きました。更に、丹野さんはMe-MAMORIOの利用は利用者本人だけでなく利用者の家族にも影響があると続けます。

家族との関係性を守るのは“信頼”―MAMORIOができること

丹野 「若年性アルツハイマー症や認知症などの症状が確認された当事者の多くが、自身の所有物を持ち歩くことを制限されます。これは家族の心配から起こることですが、その優しさが当事者には逆効果となることもあります。私がMe-MAMORIOをつけている財布というアイテムは、特に家族から“なくすからもたないで”と言われることの多くなるものです。ですが、財布を外に持ち歩けないということは、ほとんどの経済的自由を奪われることにつながりますよね」

丹野さんは、認知症と診断された人々の不安を軽減することを目的とした総合相談窓口「おれんじドア」の実行委員会代表を務めています。

当事者同士が出会い話をすることを行っており、認知症当事者の家族だけではなく本人とコミュニケーションをとることにこだわる丹野さんは、その中で多くの声を聴いてきました。

丹野 「認知症と診断されると、家族や周囲の人から別人のように扱われることがよくあります。何もできないと思い込まれ、行動や物を取り上げられてしまうのです。ですが、本来認知症の症状で重度になるまでは本人の工夫次第で自立した生活を送ることが可能です。だから家族の方には、本人の声をできる限り聴いてほしいのです」

“認知症当事者の自立した生活”に対して強い想いのある丹野さんは、講演会などを通じて認知症に関わる家族や周囲の人へ言葉を紡ぎ続けています。

丹野 「Me-MAMORIOはそういった家族の不安を取り除き、本人の自立した生活を守るためのアイテムにもなると考えています。たとえ物をなくしても場所がわかること。これが家族との関係性と本人の自立を守る信頼につながるのではないでしょうか」

ご自身の活動の中で、Me-MAMORIOの存在を認知症当事者や家族の方に広めてくださっている丹野さん。家族と認知症当事者の関係性の難しさについて触れる中で、丹野さん自身の家族とのエピソードも教えてくれました。

丹野 「私が若年性アルツハイマー症と診断されて、妻もいろいろな葛藤があったでしょう。それでも、“失敗しても怒られない環境”があることが支えになりました。私が利用する駅や路線を忘れてしまい、遅く帰った時も、“最終的に帰ってくればいいさ”と」

認知症当事者に寄り添う活動を続けながら、自身の自立した生活を守り続ける丹野さんの強さは、家族の理解に支えられたものなのかもしれません。認知症の症状への理解や適切な家族の対応方法などが浸透することが重要でしょう。

Me-MAMORIOに期待する進化―高齢者や認知症当事者のニーズ


丹野さんはMe-MAMORIOが認知症当事者の方の自立につながることを示唆する一方、そのためには更なる改善に期待する点もあると考えていました。

丹野 「スマートフォンが基軸となる点については、改善の余地があるかもしれません。本当に色々な物を忘れてしまう中で、スマートフォンがどこにあるのかわからなくなる時もあるんです。更に、高齢者の方でスマートフォンを扱いづらい人もいますので、時計など身につけるものが中心になると良いかもしれませんね」

IoT商品として注目を集めるMAMORIOですが、MAMORIOの機能を必要とするユーザーの使い勝手に寄り添うことが今後の課題なのかもしれません。その点で、Me-MAMORIOの形状について丹野さんは高齢者のニーズに近いものであると指摘します。

丹野 「こうした丸いフォルムにお孫さんからのメッセージや写真などを付加できると、高齢者の方も持ち歩きやすいでしょうね」

更に、身につける衣服や靴などに取り付けることを意識して作られた形状は、MAMORIOとは違ったニーズに十分に応えることでしょう。

丹野 「こうした場所を特定するアイテムについて、“監視されている”感覚があると身につけることに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。Me-MAMORIOは家族からの贈り物などのニーズに応じ、本人のお守りのように優しく寄り添う存在になることを期待します」

利用することで便利になるとわかっていても、なかなか手を出せない方や、使うことに抵抗を感じる理由がある。感情に根差した課題を、丹野さんはご自身の経験や活動から伝えてくださいました。

高齢者や認知症当事者に自立した生活を―MAMORIOの将来

最後に、丹野さんは全国の高齢者や認知症当事者の方にメッセージをくださいました。

丹野 「自分のことは自分でやろう。まだあなたが自分でできることがある。そう伝え続けていきたいです。認知症当事者の方がうつ病を併発するケースが多くありますが、その多くは自分の思うように生きられないことへのストレスが原因だと思います。
そうならないために……1人で外出できるように、財布やカバンを持ち歩くために、Me-MAMORIOは活用できるアイテムです。新しい物に抵抗のある人もいるかもしれませんが、まずは1回使ってみてほしい。その1歩が、あなたの自立した生活を守るかもしれないですから」

MAMORIOは「なくすを、なくす。」をミッションとし、プロダクト開発やなくし物を見つけるためのスポットの拡大を続けています。なくし物をすることによる人々の悲しみや損害を減らしたい、というMAMORIO代表の増木大己の想いがそうした企業の道を創り上げてきましたが、全く別の視点からの需要を丹野さんは教えてくださいました。

なくし物がなくなることは、なくし物や忘れることと戦う人々の自立した生活を守ることにつながる。そして、共に生きる家族や周囲の人々の安心や信頼を形づくる。

新しい発見と、“認知症当事者の方々へ自立した生活を”という切なる丹野さんの想いを受け止め、MAMORIOはこれからも進化を続けていきます。

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