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品質保証部 部長 渡辺 茂 インタビュー


MEDITAは自社でウェアラブルデバイスを開発し、現在医療機器認証取得を目指しています。日本国内で医療機器を製造・販売するにはこの医療機器承認・認証の取得が義務付けられており、超えなければならないハードルのひとつでもあります。医療機器に興味がある方であれば必ず聞いたことがある「薬事三役」の設置義務。その三役のひとりとして、MEDITAにジョインしてくださったのが今回インタビューをさせていただいた渡辺茂さんです。

今回は渡辺さんのMEDITAでの役割だけでなく、医療機器の道に進むに至ったきっかけから、これまでの大手医療機器メーカーでのご経験などを振り返っていただきました。


プロフィール:

株式会社MEDITA 品質保証部 部長 国内品質業務運営責任者 渡辺茂(わたなべ しげる)
1986年武蔵工業大学(現東京都市大学)原子力工学専攻修士課程修了。1986年4月より㈱横河メディカルシステム(現㈱GE Healthcare Japan)に入社し、以降X線CTの検出器、及びシステムの開発に携わる。2000年以降品質改善に携わり、GEにおける品質改善プログラムシックスシグマのBlackbelt取得。その後技術部内にて品質管理システムの確立(ISO13485対応)を主導。2020年7月同社を定年退職後2020年9月より株式会社MEDITAにジョイン.。


コロナ禍でのジョイン、MEDITAの印象は?

ーMEDITAにジョインされて10ヵ月が経とうとしています。コロナ禍でジョインしていただいたということもあり、ZOOMなどを用いたコミュニケーションがメインとなっています。このような状況の中、メンバーも続々と増えておりますがその様子にどのような印象をお持ちですか?

いろんな意味でスタートアップだなと感じています。もちろんスタートアップということで、人数は増えたもののまだまだ少ないため階層も無く、とてもフラットですよね。横のつながりを感じます。

コミュニケーションの方法の部分ですが、前職の際にちょうど一度目の緊急事態宣言を受けたタイミングだったため、リモートワークということに抵抗は一切無かったんです。唯一カルチャーの違いというか、MEDITAではビデオをONにして皆さんMTGをするので、バーチャル背景など工夫して生活感を出さないようにしています(笑)。

―とてもよく分かります。バーチャル背景様様ですね(笑)。


MEDITAでの渡辺さんの具体的な役割を教えてください

ー渡辺さんはMEDITAに国内品質業務運営責任者としてジョインしていただきました。読者の皆様にその役割を分かりやすく教えていただけますでしょうか?

日本では、薬と医療機器は薬機法(昔は薬事法)という法律によって規制されています。医療機器を製造・販売するにあたって一般的に薬事三役と呼ばれるんですが、QMS省令で医療機器等総括製造販売責任者、国内品質業務運営責任者、GVP省令で医療機器等安全管理責任者という役割の三名を置いてくださいね、と定められているんです。去年の12月にMEDITAは医療機器製造販売業を取得しましたが、それを取得するにあたってもこの三役は必ず必要になるんですね。各々が責任者に就任するにあたり求められる要求事項に見合うバックグランドなどを有していなければならず、今回私はその中でも品質業務の責任者としてオファーを受けました。

ー国内品質業務運営責任者としてどのような条件が求められるのでしょうか?

色々とあるのですが、医療機器メーカーで品質に関連する業務に3年以上携わった経験が求められます。私は技術本部の中で品質に関する業務に就いていたので、求められる要求事項を満たすに至ったのかなと思っています。


医療機器開発の道に進んだきっかけ

―前職では技術本部に籍を置かれていたということですが、渡辺さんは大学で原子力工学を専攻後、現㈱GE Healthcare Japanにご入社されております。そもそも医療機器の道に進まれたきっかけを教えていただけますでしょうか?

学生時代は古文や漢文が壊滅的にダメで(笑)英語も苦手でした。その中でも数学はとても得意だったんです、そして物理はそこそこだったでしょうか(笑)。高校生、大学生くらいの時くらいですかね、X線CTのニュースで、頭が輪切りになった映像が流れていたんです。それを見た時にとてもびっくりしまして、ずっと心の中に残っていました。そしてそれは後々の大学の研究でも活かされました。

大学は電気工学科に入学し、理科系は大体大学四年生の時に研究室入るんですが、大変珍しいことに当時稼働している原子炉を持つ原子力研究室があったんです。実験用の原子炉自体日本に数える程しかなかったのでとても貴重な経験でした。

ー大学が実験用の原子炉を持っているということが初聞きでして、その規模の大きさにとても驚いています。そのまま大学院に進まれたんですか?

はい、とにかく研究が楽しくて楽しくて。4年生の時に就職か、いや、このまま研究かと悩んだんですが、研究を続けたいと親に伝えた際には腰を抜かしていました(笑)。

そこで先ほどの頭が輪切りになった衝撃映像が登場するのですが、研究室に原子炉があるので、X線ではなく中性子をつかって写真を撮影する実験をしていたんです。写真撮影が出来るんだからCT画像も出来るだろうということで、中性子によるCT画像の研究をしていました。

そこで、医療でもこういうことができたら面白いし、役に立つことができるなあということで、日本国内で医療機器、特にX線CTを開発している現㈱GE Healthcare Japanに入りました。


医療機器メーカー入社後の怒涛の日々

ー希望どおりX線CTの開発に力を注ぐ医療機器メーカーに入られて、印象的なエピソードはありましたでしょうか?

エピソードは二つあり、一つ目は入社2年目でCTの検出器の設計を任されたことですね。

ー2年目というのは異例のスピードではないのでしょうか?

当時はまだまだ日本の会社という感じだったのですが、抜擢だったのでしょうか(笑)。ゴールは既存の設計をサイズダウンしたものだったのですが、そもそも私は機械工学を専攻していないのでかなり機械設計には苦労しました。当時CADが入ったばかりで、事情を説明・交渉して使わせてもらうことになったんです。その後設計もうまくいって、当時自分が関わったCTが病院などで使われているということがとても嬉しかったですね。その後もシステム開発などを任され、何かしらトラブルが起こった際はそのシステムがしっかりと出荷できる状態になるまで、通称BAY(ベイ=港)と呼ばれる場所にこもって1か月以上トラブルシューティングの対応をしたりと、周囲から住んでいるんじゃないか?(笑)と言われるくらい当時は没頭していました。

ーなんだかスタートアップの話を聞いているようですね(笑)

そうですね。その後はどんどん社風も外資という感じになっていき、私もグローバルな対応をさせていただくことが多くなったことが2つ目の印象的なエピソードです。

ー二つ目のグローバルなエピソード、ぜひお聞かせください。

中国へのシステム移管、そしてアメリカのFDAの査察対応が感慨深い経験でしたね。

ちょうど2000年くらいでしょうか、開発していたシステムが中国に移管することになり、元々そういう計画だったものの、中国から日本に来たエンジニアを育て、北京の病院にシステムを設置するまで何度も現地に足を運んでいました。当時、中国がめざましく変わっていく時期でもあったので、訪れるたびに変わっていく街はそのスピード感と共にとても印象的でしたね。そして今やその移管先である中国がCTの世界No.1の開発拠点になっていますから。

ー渡辺さんが関わったシステムが中国でも人々の役に立っているということですね

そうですね。これが医療機器に関わることの素晴らしさと言いますか、ボーダーライン関係なく色々な国で、場所で、色々な人の役に立っているということですね。

ーFDAの査察はどういったものだったのでしょうか?

アメリカだけなのですが、本国のFDAから直接医療機器メーカーに査察に入るんです。アメリカからなので他国のように数日前に連絡が来て急に、という感じではないものの、やはり大変なやりとりが続きますね。しかも当時、先ほどお話しましたように私は中国のプロジェクトにも関わっていたので、日本の査察が終わると次は中国なんです(笑)。

―なんと、緊張感のあるやりとりの連続ですね。

はい、しかしながら最終的には上手くいきました。あの学生時代英語が苦手だった私がグローバルの対応チームで事を進め、プロジェクトの後に楽しく祝杯をあげるまでになりましたので。きっとこの経験はMEDITAのグローバル展開にも役に立つかもしれません。


MEDITAへジョインしてみて

ー前職から間を空けることなくMEDITAにジョインしていただきました。MEDITAを知ったきっかけを教えていただけますか?

前職時代の同僚に忘年会で会った際に「MEDITAっていうスタートアップが品責をさがしているんだけどどう?」と。話を聞いてみると事業内容もおもしろそうで、また大企業とは違う働き方もありと思い、お引き受けしました。

その忘年会で再会した方とお会いした一週間後には、田中代表を含め3名でお会いしましたね。

ートントン拍子でお話が進んだんですね

そうですね、ちょっとびっくりしましたが、製造販売業を取得するタイミングで国内品質業務運営責任者が必要であること、そして私のタイミングが合ったというのも大きいですね。


大企業でのキャリアを経て、医療機器スタートアップの印象

ー実際にMEDITAの事業のどの部分に魅力を感じていただけたのでしょうか?具体的に教えてください

ご紹介頂いた後、まずHPを見させていただいたんですね。そこで大体MEDITAがやっていきたいことが理解できました。事業のアプローチ自体がまずおもしろくてユニークだなと感じましたし、各メンバーも若いので柔軟に動けそうだなと思いました。

ー渡辺さんが思うスタートアップのメリットとは何でしょうか?

やはりスタートアップは少人数で動いているのでコミュニケーションが取りやすいというのがありますし、意思決定のスピードも早いなと感じます。私自身が外資にいたということもあり、あまりこの環境に戸惑いが無いというのが大きいかもしれませんが、純粋な日本の大企業で働いていらっしゃったバックグラウンドをお持ちの方だと、スタートアップでは多少戸惑いを感じられるかもしれませんね。

また、医療機器業界というのはとても特殊な場所なので、スタートアップは若い分蓄積した経験も乏しく、人脈、ネットワークなどが無いところから始まるので、その点に関してはデメリットかなと感じます。医療機器を開発する各大企業がグローバルで活躍していたとしても、国内でこの業界に関わっている人たちは意外と皆顔見知りだったりするので、薬機法など規制の厳しい障壁を超えていく点では、そのノウハウを知っている経験者が必要かなと思います。


ヘルスケア業界で働く後輩たちに向けたメッセージ

ーMEDITAでも後輩たちを指導していく立場となられますが、彼らに向けて、またスタートアップで働くことやヘルスケア業界を目指す方にアドバイス頂けますでしょうか

ヘルスケア業界に限ったことではないのですが、「自分で考えて、自分の意見を持っている」ということが大切かなと常々思っています。

前職で大変尊敬している上司がいらっしゃったのですが、問題が起こった時にその上司に報告をしたんです。私の中では「では、〇〇して下さい」というような指示が来るのかなと思っていたのですが、上司は一言「で、どうするの?」という返答が返ってきたんです。私は一瞬「えっ」となり、その場では「どうしようも出来ないしなあ・・・」と思ったものの、色々な打開策やアプローチを考え提案させて頂いたんです。それ以降は自分自身の答えも無しに報告をしに行くことは無くなりましたね。私自身も学び、後輩とそのようなコミュニケーションをするようになりましたので、この「常に自分の考えを持つ」という点を参考にされると良いと思います。

スタートアップやMEDITAで働きたいと思っていらっしゃる方は、新しいことにチャレンジしていくことが好きな方が多いと思います。新しいことにチャレンジすることを常に楽しんでもらいたいと思います。チャレンジすることでもちろん苦しいこともありますが、どちらにせよ、チャレンジするときは「楽しむ」意識を持ち続けてもらいたいですね。そういう方々とご一緒できるのはとても新鮮ですし楽しいですよね。私にとってもMEDITAで働くということはひとつのチャレンジだったので、ぜひそういった方との出会いを楽しみにしています。


これからのMEDITAに期待を込めて

ーこれからのMEDITAに対して渡辺さんが期待されることは何でしょうか?

せっかくヘルスケアに関わるわけですから、まだ世の中に無いもの、機器をはじめ、それを使ったソリューションも含めて本当に新しいものを出しながら世の中に貢献していく会社であって欲しいなと思います。MEDITAに限らず、全てのスタートアップ企業にそうあって欲しいですね。

ただ機器を出せば良いという時代ではなくなっているので、お客様の課題を解決でき、このエリアのソリューションなら任せてと言えるような、そんなスペシャリティを持った会社であって欲しいです。

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