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医療体験を変えるユーザー視点のサービス創り【サービス担当者座談会】

人が一生のうちに医療と接する場面を、より良い体験にしたい──。

メドピアグループでは人々の医療体験を向上させるサービス開発にも邁進しています。今回は疾病期や介護/終末期の医療サービスに携わる、3名の担当者で座談会を行いました。サービスを通して目指す医療体験の未来像と、それを追求する現在の取り組みについて、お届けいたします。

座談会メンバー

小川拓哉(画像左):2021年10月入社。プライマリケアPF事業部所属。薬剤師としての経験を活かし、かかりつけ薬局化支援サービス「kakari」を担当。

岡本健次(画像中央):2020年8月入社。プライマリケアPF事業部所属。医療系コンサルティング企業での経験をもとに、かかりつけクリニック支援サービス「kakari for Clinic」を担当。

高尾知江(画像右):2020年12月入社。グループ戦略室所属。大手IT企業での事業企画経験をもとに、現在メドピアで退院調整支援サービス「YoriSoi Care」の立上げを担当。

疾病から終末期、生活者と医療を直接繋げるサービスたち

──みなさんは、患者さんが医療と接するときに利用されるサービスを作られていると伺っています。それぞれサービスの特徴を教えてください。

小川:私が担当する「kakari」は、患者さんと薬局を繋ぐアプリサービスです。kakariを利用する薬局は、患者さんが利用するkakariアプリから送信される処方せんとお薬手帳機能を通じて、事前に調剤準備ができるため、待ち時間を減らしたい、二次感染を防ぎたいといったニーズに応えることができます。

また、薬局に足を運べない患者さんに対しては、一対一での「双方向チャット機能」を通じて薬の相談ができたり、「オンライン服薬指導」機能により、オンライン服薬指導から決済まで一気通貫で行えます。従来は対面ですべてを行っていた薬局業務をDX化し「薬局と患者さんがつながり続ける」ための機能を充実させたサービスです。

岡本:私は、患者さんとクリニックを繋ぐアプリサービス「kakari for Clinic」を担当しています。「kakari for Clinic」は、診療予約を起点に、患者さんとクリニックが繋がることで「かかりつけ化」を支援しています。

疾病期では適切なタイミングで適切な医療を受けることが重要だと考えていますが、患者さんはかかりつけ医をもっておらず、待ち時間が長い、具合が悪くても様子をみる等で受診されないことがあります。そこに「kakari for Clinic」が利用されることで「予約による待ち時間の短縮」のほかに、「クリニックPR機能」「双方向チャット機能」「オンライン診療機能」の提供により患者さんの適切な再来促進や、治療離脱を防ぎます。結果として、医療機関にとっては再来患者さんが増え経営の安定化に繋がります。

高尾:私がサービス立上げから担当している「YoriSoi Care」は、退院予定の患者さんに最適な療養先のマッチングサポートを行うWebサービスです。

患者さんが入院治療を終えて院外治療に移る際、これまでは退院調整を担当する看護師やソーシャルワーカーの方が療養先を1件ずつ当たりながら探していました。YoriSoi Careでは患者さんの情報を登録するだけで、条件に合った空きのある療養先から、病院に直接オファーが送られます。これまで電話やFAXでのやり取りが中心だった療養先探しのコストを軽減できるだけでなく、患者さん視点で「より条件に合う施設」を提案することが可能になります。

サービスによる効率改善にとどまらず、医療現場の体験価値を変えていく

──2021年11月現在、YoriSoi Care はリリース2ヶ月目、kakari for Clinic は1年間、kakari は2年間経っているサービスです。それぞれのフェーズで、サービス推進において課題になっていることは何でしょう。

小川:サービスの提供開始から2年が経つkakariの課題は「kakariはただの効率化ツールではなく差別化できるツールである」と薬局の方に理解してもらうことです。これまで日本の薬局は、目の前の病院・クリニックから処方せんをいかに受け取り、迅速に調剤できるかが重視されてきました。かかりつけ薬局が提唱されるようになった今、調剤の効率を高めるにとどまらず、患者さんとの信頼関係の構築を図り選ばれるという差別化で、地域に根付いた薬局となっていく必要があります。

kakariは患者さんと薬局の信頼関係を紡ぎ「かかりつけ化」を支援するというコンセプトで機能開発ならびに導入薬局様への支援活動を続けています。この本質的なコンセプトが伝わらない利用方法では、kakariの価値が十分に発揮されません。加盟店舗数、アプリダウンロード数、処方せん送信数は順調に伸長していますが、この「かかりつけ化」に重要なコンセプト浸透については、まだまだ道半ばという状況です。

岡本: kakari for Clinicも、同じような課題を抱えています。患者さんへ提供する「医療体験の向上」の鍵となるのはもちろん、クリニックにとっては、予約による待ち時間削減・業務効率化だけでなく「予約をきっかけに、かかりつけに繋がる」コンセプトを、医療機関に浸透させつつ導入数を拡大させていくことが課題です。

高尾:なるほど、サービスを導入いただく薬局や医療機関が増えていくと、「このサービスで医療体験の何を変えるか」といった、企画段階で必ず議論するコンセプトが伝わりづらくなっていくこともあるのですね。

リリース2ヶ月目のYoriSoi Careはまだ検証期間中で、先行導入いただいている病院や介護施設からのフィードバックを基にサービスを磨きこみながら、半年後に目指すサービス提供エリア拡大に向けたPMF(プロダクトマーケットフィット)を見極めている最中です。導入いただく病院や登録患者数が増えていくと、同じ壁にぶつかる可能性を感じました。

医療体験のポジティブな未来に向けて、ユーザーと共に走りたい

──3つのサービスともに、医療機関や患者さんが「現場で直接利用する」サービスだからこそ共通する課題もあるようですね。課題解決のために医療機関の方々とコミュニケーションをする際にはどんなことを意識していらっしゃいますか。

高尾:YoriSoi Careはリリースしたばかりなので、企画開発する私たちと医療現場の方との「顔の見える関係性づくり」を意識しています。

私が関わることの多い看護師やソーシャルワーカーの方々は、患者さんの療養先を探す仕事も担っており、患者さんの人生を左右する大きな決断に関わっています。その仕事を通じて「医療体験の向上」を実現するには、まず、サービスを提供する私たちそのものを信頼していただくことが必要です。サービス案内時には病院や施設に足を運んで、メドピアという会社が何をしている会社で、なぜ退院支援のサービスのYoriSoi Careを立ち上げるのか、そしてYoriSoi Careが何を目指しているかを十分にお伝えしたうえで、YoriSoi Careを使って一緒に「医療体験の向上」を目指していきたいということをお話ししています。信頼関係がベースにあれば、サービスへの意見をいただくなど、よりよいサービスづくりにご協力いただけると感じています。

小川:kakariでは薬局の方に「薬局の在り方を一緒に変えていくパートナーであること」を伝えるよう意識しています。高尾さんの仰っていることとかなり似ているかもしれませんね。薬剤師の方々に、これからの薬局は「かかりつけ化」に向かい、効率化だけを重視する働き方から脱却していく必要があることに気付いていただく。そのためにkakariというアプリの使い方だけではなく、kakariを使って薬局が「地域でどんな存在を目指すのか」といったビジョンの共有を必ず行っています。そうすることで、われわれが薬局のパートナーとして共に歩む関係性を構築できます。

岡本:kakari for Clinicもkakariと同じようなクライアントコミュニケーションを意識しています。「クリニックでの医療体験を向上するパートナー」と思っていただけるよう、クリニックに往訪した際に伺った課題感などをサービス開発に反映しています。

一方で、kakari for Clinicを導入したきりでは「医療体験の向上」に繋がりません。そのため「クリニックの方がすぐ利用できる」ところまで導入サポートを行う体制を敷いています。アプリの運用方法はもちろん、患者さんへのアプリの活用を促す方法についても丁寧にレクチャーします。運用できる状態になってしまえば、kakari for Clinicを通じたクリニックからの「健康情報の配信」等で患者さんを増やすなど、「集患・かかりつけ化」についてもポジティブなサイクルが構築されていきます。このクリニックと患者さん双方にポジティブな状況を創り出す「最初の一歩」のコミュニケーションを最も大事にしています。

サービスの創り手が持つユーザー視点、叶えたい「医療体験の未来」とは

──ビジョンの共有や、サービスを通じた医療体験の変革など、創り手となるチームづくりで工夫していることを教えてください。

岡本:私は、クリニックが抱える「課題の背景」をチームのメンバーに伝えて共通認識を持つよう意識しています。

ユーザーであるクリニックや患者さんと直接話を聞く機会が少ないエンジニアの方に対しては、医療現場でヒアリングした内容をまとめた上で、要件定義の根幹ともいえるバックグラウンドを説明し、課題や解決の方向性を一緒に議論して開発しています。

高尾:私もエンジニアの方と密に会話をするよう心がけています。YoriSoi Careのプロジェクトが始まった当初、エンジニアと外部パートナーを含めた業界勉強会を開催したこともありました。社内では通常の定例とは別に、今も月1回ランチをしながら事業の現状や課題を話したりしています。チーム内に「介護/終末期の患者さんや家族」の当事者となる経験を持ったメンバーがいないこともあり、ユーザーへのヒアリングで分析した志向性や課題感の共有は、最も大切にしていることの一つです。

小川:ユーザーを適切にイメージすることや、課題の背景に共通認識を持つことは大事ですよね。私はもう一つ、担当者としてのプロフェッショナルな意識を持つためのコミュニケーションを大切にしています。

メドピアにはいろんなバックグラウンドを持つ人が集まっているので、創り手として携わる方の業界経験が豊富とは限りません。私は薬局薬剤師としての勤務経験から、薬局サイドのユーザー視点はありますが、「薬局を利用する患者さん」としての視点を素直に持てる自信はあまりありません。医療現場での経験がないメンバーの方が、「利用者」としてのユーザー視点に迫れるのではないかと考えています。

加えて、私はICTツールによるDX推進という業務の経験も豊富とは言えません。それでも「担当領域でプロフェッショナルになることを目指して自分をアップデートしていきましょう」とメンバーの皆さんにお伝えし、自分にも言い聞かせています(笑)。

等身大の自分を理解した上で、ストレッチしながらプロとしての成果を出す。ここに拘るマインドで仕事をした方が、担当業務を「自分事」として語ることが出来るので、新鮮な意見や気づきが多く生まれ、良いサービス創りに繋がると信じています。

岡本:プロフェッショナルな意識、これは良い言葉ですね!小川さんと同じ事業部で仕事をしていても、業務を「自分事」として語れるようになることでチームの推進力が高まっている様子が伝わってきます。私も、小川さんのようにメンバーと対話できるリーダーを目指そうと思います!

今回は「医療体験が変わる未来」を描きつつ、日々のサービス創りに邁進するサービス担当者の座談会でした。メドピアでは各サービスに対する「想い」を明確にしたサービスを立ち上げ、展開をしています。これからも現場の「想い」をご紹介していきますので、よろしくお願いします!


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