先週、弊社経営顧問の島田亨さんへのインタビューを掲載いたしましたが、今回は、同じく昨年経営顧問に就任いただいた、元DeNA会長・春田真さんへのインタビューをご紹介します。
昨年6月、遠隔医療事業を展開するMediplat社がメドピアの傘下に入ると同時に、同社創業者の1人である春田さんには、経営顧問としてメドピアグループ全体の経営に関与いただくこととなりました。
※Mediplat代表の林(元DeNA執行役員)も同時にメドピアの経営に参画し、昨年末には取締役COOに就任しました。
島田さんがきっかけとなった春田さんと石見の出会いの裏側や、今後一緒に目指していくことなどについて、石見との対談でお話いただきました。
春田 真 (はるた まこと)氏
1992年4月、株式会社住友銀行に入行。同行退職後、2000年2月に株式会社ディー・エヌ・エーに入社し、同年9月に取締役CFOに就任。2008年7月、常務取締役CFOに就任。2011年6月、取締役会長に就任。DeNAの上場を主導するとともに大手企業とのJV設立や横浜DeNAベイスターズの買収等M&Aを推進。2011年12月、横浜DeNAベイスターズのオーナーに就任。2015年4月、株式会社ベータカタリストを設立し、代表取締役就任。2015年11月、同社が設立した株式会社Mediplatの取締役に就任。2016年5月に当社経営顧問に就任。
Q. お2人の出会いのきっかけは?
「ある日の夜に島田さんから突然LINEが来て、3人で食事をすることになりました」(石見)
石見 昨年3月半ばくらいのある晩に、島田さん(元楽天副社長)から突然LINEでメッセージが来て、「春田さんのことは知ってるか?一度会って話をしてみないか?」と話がありました。
もちろん春田さんのことは、元DeNA会長でベイスターズのオーナーだった方として存じ上げていました。島田さんには、社外取締役を退任されてからもずっと経営の相談に乗っていただいていたので、そうした相談の背景もあって春田さんに会わせたいと言っていただいたことが分かり、「ぜひお願いします」とお答えして、すぐに3人で食事をしたのが最初でしたね。
「遠隔医療の事業を立ち上げる中で、ドクターネットワークが必要だった」(春田)
春田 DeNAの会長を退任してからは、同じDeNAで執行役員をしていた林と一緒に、株式会社ベータカタリストというベンチャー投資や育成を行う会社を立ち上げていました。そこで実際に自分たちでもベンチャーを立ち上げたいと話していて、やるなら医療、その中でも遠隔医療をやりたいと考えて、2016年の2月に株式会社Mediplat(メディプラット)を設立し、遠隔医療事業を始めました。私は7月までアメリカに住んでいたのですが、子供が体調を悪くしたときに日本にいる知人のドクターに色々お世話になったことがあり、遠隔診療や相談の可能性と必要性を感じたので、日本でもやりたいと思っていました。
そうしてMediplatを立ち上げた後、今後事業拡大させていくためには資金調達もしないといけないし、一気に成長させるためにはドクターネットワークが必要だよねと林と話していたところ、たまたま島田さんと食事をする機会がありました。
元々メドピアのことは上場したくらいのときに知っていましたが、島田さんにMediplatの話をしている中で、「そういえば島田さんメドピアの役員をされてましたよね?」と気づいて。それで「メドピアと一緒に遠隔医療をやったら面白いんじゃないか」という話になり、島田さんがその場で石見さんにメールをされました。でもすぐ返事が返ってこないから2人で文句を言いながらその日は終わって(笑)、後日すぐに3人での食事がセットされました。
石見 仕事してたんですって(苦笑)。
Q. 初めのお互いの印象は?
「私の話から瞬時に課題を把握されて、すごいと思った」(石見)
石見 そのとき春田さんには、今自分が抱えている経営の悩みや現状を全部ありのまま伝えたんですが、やっぱりかなり経験のある方なので瞬時で課題を把握されて、さすがすごいなと思いました。あとは、人間同士なので何か一緒にやるにはフィット感が大事だと思っているのですが、そこに関しては感覚ですけど春田さんは合いそうだという印象を受けました。
「学会で医師にチラシを配って回ったり、そんなことできる人なんだというのは意外だった」(春田)
春田 石見さんは医師ですが、私自身DeNA時代から医師とはたくさん接点があったので、そういう部分での違和感は初めから無かったです。でも意外だったのは、「MedPeer」の立ち上げ当初、ドクターのネットワークを作るために全国の学会を回ってチラシを自分で配っていたという話でした。「そういうことできるんだ、石見さん」といい驚きでした。
そういうのはかっこ悪いとか意味がない、とか言う人も多いですが、実はそういう地道な蓄積ってすごく大事ですし、それを体現されてきたというのは、世間のイメージにある「お医者さんって頭でっかちで」というのとは違うなと思いました。
Q.そこからお互い一緒にやることになった経緯は?
「春田さん達が持つ事業執行能力をメドピアに融合したかった」(石見)
石見 当事私が感じていた課題は、メドピアは会社のポジションは良くてここまで来れたものの、今後について業務執行の面で不足感があるということでした。その中でDeNAは、ゲーム事業なども含めて色々な辛い局面にも出くわしながら戦って成長してこられて、戦略はもちろんですが、業務執行が圧倒的に強い会社としてイメージを持っていました。
Mediplatがメドピアの傘下に入って、春田さんや林さんにはMediplatだけでなくメドピア本体の経営も見ていただく、というのは元々島田さんがアイデアを出してくださった形ですが、私としてはDeNAで春田さんたちが培ってきた強い事業執行能力をメドピアに融合したい思いで、ぜひ来て欲しいと思いました。
「メドピアと一緒になった方が、圧倒的に早くやりたいことをやれる」(春田)
春田 私と林は、ヘルスケア全体でやりたいことが沢山あったので、Mediplatがメドピア傘下になったらメドピアの中でやりたいこと早くやれるじゃん、という思いでした。ベンチャー経営者には自分たちだけでやることに拘る人も多いけど、僕らは事業を拡大したいという思いが強いので、自分たちでやるよりドクターネットワークを持ってるメドピアと一緒にやる方が早いんだからそっちの方が圧倒的にいいよね、という感じです。
それに島田さんとも話してたんですよ。医師というのはある種特殊な世界だから、その世界に入るのはそんな簡単じゃないし、そのネットワークを10万人も既に持っていて、しかもそれを医者がやってる、というのはすごくポテンシャルがある。だから「メドピアは今のままじゃもったいないよね、もっと大きくできるよね」と。
Q.これから一緒に、どうしていきたいですか?
「春田さんにはメドピアの“お母さん役”になっていただきたい」(石見)
石見 春田さんには週次で経営会議と月次で取締役会に出ていただいていますが、私が春田さんにお願いをしているのは、メドピアの「お母さん役」をやって欲しいということです。これからいろんな局面で経営での主張がぶつかることも出てくるはずですが、そういうときに上手くいい方向にもっていけるように間に入って欲しいですと。
実際に入ってきていただいてから数ヶ月、意外と春田さん気が短いんだと気づくこともありましたけど(笑)、まずスタートとしてすごくいい流れを作ってくださっていると感じています。ここからが勝負です。
「医療の世界は、中の人だからこそやれることがまだまだたくさんある」(春田)
春田 まず、メドピアがいるポジションはかなり参入障壁が高いし、今既にもっているドクターネットワークや医師の専門知識(集合知)は、メディカルの分野で事業をやる上ですごく優位性が高い。医療は専門領域だから外から見ると入りにくいし、なんだか伸びそうだからと同じことやろうとしても、想像が出来ない世界。MedPeerは医師限定だから盗もうにも自分でサービスを使ってみることもできないし。だから、そこに参入しようとする人を圧倒的に減らします。石見さんみたいに医師でやろうとする人は稀ですから。
最近では、同じように医師でビジネスをやりたいという若い人が出てきてますけど、せっかくメディカルの「中」にいる人間なのに、「外」の一般世界に出てきてビジネスをしようとする人たちが多いんですよね。そうじゃなくて、その専門領域にはドクターしかできないビジネスが絶対にあって、そこに一般の人は入れないし、そこにはまだビジネス化されていない変えられるものがいっぱいあるから価値が高い。
石見 そのとおりですね。私のところにも最近、若い医師や医学生がよく話を聞きに来ますし、医療の「中」にいるからこそできることがたくさんあると伝えています。逆に医師以外の人には、私やメドピアを上手く使って、メディカルの世界でチャレンジをして欲しい。
春田 教育の世界なども同じかもしれませんが、医療では金儲けとかビジネスということに嫌悪感を抱かれることはやっぱりあります。でも、やっぱりお金がないと回らないし、お金があるから動くこともある。大事なのはその稼いだお金をどう使うかで、メドピアでもみんながちゃんとそこに向き合って仕事をすれば、もっと色んないいサービスが生まれるはず。
私と林は、元々メディカルで事業をやろうと決めたときに、ゼロからやろうとしてたのでかなり時間がかかって大変だなぁと思ってましたが、今はメドピアに入ったからやりたいことやれるチャンスがいっぱいあります。
※こちらの対談は、当社コーポレートサイトにも掲載しています。
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