社員がまだ4人だった頃にインターンとして加わり、新卒で入社した坂本さん。
今はミツモアプロダクト部の部長として、エンジニアのチームをまとめています。
面接を受ける学生の方に向けて、今だから話せる創業期のカオスな出来事から、面接で見ていることまで聞きました。
目次
部長になって、見る範囲が「部全体」に
── 今はどんな仕事をしていますか?
ミツモアプロダクト・基盤本部のミツモアプロダクト部で部長をしています。2024年頃はプロワン(現場の事業者向けのVertical SaaS)にいて、そこから新規事業に移り、今はミツモアの開発を担当しています。事業者向けのサービスから一般のお客さん向けのサービスに変わったので、仕事の中身もがらっと変わりました。
2025年9月にマネージャーから部長になって、グループ単位ではなく部全体を見るようになりました。メンバーのマネジメントがかなり増えましたし、部全体の最適化や組織のことを考える機会もすごく増えましたね。自分で開発する量は減りましたが、今もコードは書いていますし、誰にも頼まれていない翻訳アプリを勝手に作ったりもしています。
── 部の中にはどんなチームがあるんですか?
「キツネ」と「タヌキ」がエンジニアの開発チーム、「シカ」がPdM(プロダクトマネージャー)とQAのチームです。この3つでミツモアの一般のお客さん向けの領域を担当しています。さらに事業者向けの領域を担当する「未来創造グループ」があって、僕はそこのマネージャーも兼ねています。
チーム名の由来は、ミツモアのマスコットのシカちゃんです。
シカに決まったときはキツネやタヌキなどもキャラクター案にあって、
チーム名は、そのときに上がっていた候補たちの名前です。ちなみにシカちゃんは4〜5年前からいますが、まだちゃんとした名前はありません。
名もなきシカちゃん
エレベーターなしのビルの6階から始まった
── ミツモアとはどう出会ったんですか?
大学・大学院では情報工学、つまりコンピュータサイエンスを学んでいました。本当は航空宇宙をやりたくて大学に入ったんですけど、1年生のプログラミングの授業がきっかけで、気づいたら今に至っています。
大学院1年生の夏、そろそろインターン先を探さなきゃと思っていた頃に、研究室のOB・OGの方が来る行事がありました。現役生は強制参加の、ありがたいお言葉を聞く会です(笑)。その懇親会で「Hackers Bar」というバーの黒くてかっこいい名刺を配っているおじさんがいて、「インターンしない? 未経験でもいいよ」と誘われたんです。
開発をやりたいと思っていたし、これでインターン先を探さなくて済むなと思って、ほいほいついて行きました。その先がミツモアでした。
僕が入ったときの社員は、創業者の2人とその方、それに僕の4人だけ。正社員を雇うお金もないから、とりあえず学生のインターンを連れてこようという時期だったんです。
── 当時のオフィスはどんな感じでしたか?
赤坂にある築50年くらいの古いビルの、エレベーターがない6階でした。
古い団地のような金属のドアに、無機質なプレートで「株式会社ミツモア」と貼ってあるだけ。初めて行ったときは「大丈夫かな?」と若干不安になりながらピンポンを押しました。押すと「ピン」、離すと「ポン」と鳴る、本物のピンポンです。
赤坂オフィス
その次は日比谷のビルに移りました。
取り壊しが決まっていたので家賃が安くて、退去費用もいらないから入ったんです。そのビルはもうありません。東銀座の今のオフィスに来たのは2022年頃です。
日比谷オフィス
── 大手企業の内定もあった中で、なぜミツモアに入社したんですか?
有名な某大手企業の内定をもらっていました。良い会社だと分かっていましたが、当時のミツモアのエンジニアは僕を入れて5人で、僕以外の4人は30代の中堅で、みんなすごく優秀だったんです。
大きい会社に入って、あのレベルの4人と同じチームで働ける確率はあまりない。4人同時にガチャで引くのはたぶん無理だと思って、エンジニアとして早く伸びるのはこっちだと考えました。
それに入社を決めた頃に資金調達が決まっていたので、2年くらいは潰れないなと。潰れても俺1人くらいならどうにかしてくれるやろ、とも思っていました笑
あと、ぶっちゃけると理由の半分以上はこれなんですけど、上場したときにSNSで「いいね」する側じゃなくて、される側になりたかったんです。4人の頃からいたのに、いいねする側じゃつまらないなと。上場はゴールではないですが、僕の中では大きなマイルストーンです。
今だから話せる、創業期のカオス
── 当時のカオスなエピソードを教えてください。
2019年、当時のミツモアではカメラマンが人気のサービスだったので、七五三のためのかわいいページとプロダクトを作りました。1カ月で作って3カ月運用して、うまくいかなかったので閉じました。
その後、確定申告のシーズンに向けて税理士さん向けの「自動応募」の機能を作りました。これも1カ月くらいで、12月のシーズン開始に間に合うようにずっと作っていましたね。そして年が明けた3月頃、コロナが来ました。カメラマンへの依頼は本当にゼロに近いくらいなくなったんです。
一方で自動応募はうまくいったので、エアコンクリーニングなどにも広げていて、そっちで売上が立つようになっていました。振り返ると、七五三がうまくいってカメラマンが中心の会社のままだったら、潰れていたかもしれません。ちょっと運が良かったところもあると思います。
── 当時はどんな気持ちで仕事をしていたんですか?
作っている最中はまだコロナも来ていないので、「やべえ、間に合わない」と思いながら作っていました。
自動応募の設定をしてもらうために、僕も税理士さんに電話していましたね。システムががらっと変わるので仕組みやメリットを説明したり、「こういうものを作ろうと思うんですが、どう思いますか」とユーザーヒアリングをしたり。学生時代にコールセンターでずっとバイトしていたので電話は得意で、ちょっと楽しかったです。
車のサービスに力を入れていたときは、板金修理の工場を訪問してヒアリングもしました。代表の石川と2人で行った先で、彼女が人生初のサイゼリヤを体験して感動していたのも覚えています。
若手は「本物のタスク」で育つ
── 研修も先輩の新卒もいない中で、どう成長してきましたか?
インターンの頃から、優秀なエンジニアの横でマンツーマンに近い形で一緒にやらせてもらっていたので、すぐ聞けました。逆に言うと、その人たちがやらないタスクは僕がやるしかない。だから本当に、やってやってやって、以上です。OJTと言うには雑すぎますがこのような実務を通して成長していくことができました。
新卒入社当時の写真
左から、柄澤CAIO、坂本、吉村CSO、石川CEO
今の若手も同じです。今年新卒で入ったメンバーは内定者インターンの頃から本物のタスクをやってくれていて、今は普通に戦力の1人としてタスクを割り振っています。ぐんぐん伸びていると思います。
── 若手にはどんな言葉をかけていますか?
僕は「ええんちゃう? 知らんけど」をよく言います。関西人ではないんですけど、あの言葉が大好きで。「責任は私が取るから、気にせずやったらいいよ」というメッセージはよく伝えています。
新卒の視点も大事にしていて、僕らが慣れて当たり前だと思っていたことに「これってなんでこうなんですか?」と無邪気に聞いてくれて、「確かに、なんでだろうね」となることがちょいちょいあります。新卒に限らず、新しく入った人の外からのフレッシュな意見は大切にしています。
面接で見ていること
── 面接では学生のどこを見ていますか?
1つはコンピュータサイエンスの知識です。ハードウェアの仕組みやプログラミング、電気回路まで、コンピューターに関わる幅広い分野のことですね。全部身についている必要はなくて、調べれば分かるので、「聞いたことある」と引っかかるくらいの知識があるとすごくいいです。うちはやれることからどんどんタスクを渡していくので、その基礎か実務経験のどちらかがないと、最初はスピードを出しにくいと思います。
もう1つは、プログラミングではなく、プロダクト作りが好きかどうかです。開発そのものではなく、その結果お客さんが喜ぶとか売上が上がるとか、そういうところに喜びを感じる人かは気にしています。
あとはマインドセットですね。なんでも「きっとなんとかなるだろう」と思えるポジティブな人。そうでなければ不採用にするわけではないのですが、僕はそういう人がすごく好きです。
── ミツモアの開発組織に合う人はどんな人ですか?
サポートしてほしいという姿勢だと、たぶんあまり得られないです。振られたタスクをやって吸収していくサイクルを自分で回せる人や、開発がどんどん楽しいと思える人は向いていると思います。
迷っている学生へ
── 大手かスタートアップかで迷っている学生もいるかと思います。
一番大事なのは、最後の決断を自分のやりたいことで決めることです。みんなが大手に行くからとか、強く勧められたからとか、外からの理由をメインにしない。
5年後、10年後にどっちのほうが良い未来になっていそうかを考えて、自分で決める。
自分で決めたら、それを正解にしようと思って動くはずなんです。 それができない人は、スタートアップはやめたほうがいいと思います。
── ちなみに、ミツモアはまだスタートアップと言っていいですか?
大きくなっていますけど、アイドルの「永遠の17歳」みたいな感じでいいんじゃないですか笑
── 1つの会社に長くいて、どんな面白さがありましたか?
社員は当時の3〜4人から300人くらいになりました。人数が100倍になる過程を見るには9年が必要で、転職していたら分からなかったことです。エンジニアとしても、作るだけでなく、過去の負債と戦いながら運用して改善していくサイクルを経験できるのは良いことだと思います。
プロワンのような新しいプロダクトを作ることも、AIの登場も、まったく想像していませんでした。ほとんど想像しなかった未来ですが、正解の選択だったと思っています。
まとめ
坂本さんは社員4人の時代から、ミツモアの成長と、運にも左右されたカオスな時期を間近で見てきました。
今は部長として、若手に本物のタスクを任せながら「ええんちゃう? 知らんけど」の精神で背中を押しています。面接で見ているのは、コンピュータサイエンスの基礎と、プロダクト作りを楽しめるかどうか。面接では、そんな坂本さんと気負わずに話してみてください。
坂本さん、取材へのご協力ありがとうございました。
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