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NEWPEACE × monopo それぞれの会社が考える、クリエイティブエンジニアとは?vol.3


制作会社の領域を超えて、さまざまな事業にチャンレンジしているクリエイティブカンパニーのNEWPEACEとmonopoのエンジニアによる連載企画。

NEWPEACE x monopo それぞれの会社が考える、クリエイティブエンジニアとは? vol.1(monopo 高橋健太)

NEWPEACE x monopo それぞれの会社が考える、クリエイティブエンジニアとは? vol.2(NEWPEACE 小川楓太)

monopo 高橋とNEWPEACE 小川のお互いの執筆した記事を読み合い、対談を行いました。
記事の感想や、手がけたプロジェクト、そしてこれからのエンジニアのあり方についてなど、興味深いテーマの議論が展開。

クリエイティブカンパニーで働くエンジニアとは。
クリエイティブカンパニーにはどんなエンジニアリングの挑戦があるのか。

新たなチャレンジをしたいエンジニアの皆さん、必見です!

プロフィール

高橋健太(monopo)
monopo Inc. プロデューサー/エンジニア
1991年、群馬県生まれ。
2014年、早稲田大学在学時に宿泊サービスを扱う会社を共同創業、COOとして営業、マーケティング、PRを中心に活動。2015年、コーヒーの修行に明け暮れる。テクノロジーの可能性、世界を巻き込む力に惹かれ、自身で技術を身につけるため、2016年monopo入社。プロデューサー、エンジニアとして、多様なプロジェクトにワンストップで関わっている。

小川楓太(NEWPEACE)
NEWPEACE Inc. テクニカルディレクター
株式会社DMM.comラボ ユニークポジション(エンジニアリング)

1995年東京生まれ。
高校時代より政治系NPOの立ち上げに関わるなど様々な活動を行う。
2014年よりKAI-YOU(株式会社カイユウ)にて編集・執筆を中心に仕事を始め、2015年04月にNEWPEACE Inc.を共同創業。2016年04月よりテクニカルディレクター。
2017年06月より、株式会社DMM.comラボにて、DMM初の人付け採用(情報システム部長直属)として生産性向上に関係する研究・開発。直近ではSlackのメッセージのビッグデータ解析などを行なっている。
Twitter: @ogawa0071

どうやってエンジニアになったのか、異なる二人のバックグラウンド

お二人は今回初めてお会いしたそうですが、どういった経緯でエンジニアになったんですか?

高橋:
自分は早稲田大学を中退しているのですが、在学中にmonopoにインターンとして入社しました。それまでは、コーヒーの修行をしたり、起業をしたりと色々と取り組んでいました。でも、本格的にプログラミングを学んだのはmonopoに入社してからでした。

小川:
ぼくは最初、Webメディアをやりたかったので、大学に行かず、KAI-YOUというメディア企業で仕事を始めました。Webメディアを最初から最後まで一人で作れるようになりたかったので、デザインやコーディングから編集や執筆まで、色々やりました。



高橋さんはどういう経緯でmonopoにジョインしたのですか?

高橋:2013年ごろに、monopo代表の佐々木と、早稲田大学の近くにあるバーでたまたま出会ったんです。佐々木とは大学の先輩・後輩で。当時、「起業したい」「飲食店を経営したい」と語る自分に、既にmonopoを創業していた佐々木が相談に乗ってくれたり、アドバイスをくれて。「早稲田のキャンパスで、わせ弁(早稲田大学近くの有名な弁当屋さんの弁当)を30個売れ、など……。
弁当は5個しか売れませんでしたけど(笑)

その後、AirbnbやUberなどシェアリングエコノミーが盛り上がり始めた頃に、宿泊系のWebサービスの起業に携わる機会があって。そこでいわゆるテクノロジーと接点を持ちました。膨大なリサーチや、実戦の中で、エンジニアリングは世界に大きな影響を与えうることを実感したんです。この時の経験から、エンジニアを目指そうと思って。
会社自体は、価値観の変化や資金繰りなどが原因で、2015年に辞めてしまいましたが。

技術力を身につける必要を感じて、そのための環境を探していく中で、2016年に4年ぶりに佐々木と再会し、monopoと改めて出会って。インターンを経てmonopoに入社しました。

小川さんはどういう経緯でNEWPEACEにジョインしたのですか?

小川:
2014年11月頃、NEWPEACEが始まる少し前のタイミングで、代表の高木新平に出会い会社を一緒にやらないか、と誘われました。当時、動画の自動生成に興味があった自分は、自社プロダクトとしてデジタルサイネージをやりたいという展望に共感したことが、やろうと決めたきっかけです。

NEWPEACEを立ち上げてからは、クライアントワークのディレクターとして企画を考えたり、Web CMの絵コンテを描いたり、動画の撮影・編集なども手がけました。

高橋:
全部、小川くんがやりたくてやってたんですか?

小川:
もちろんです。リクルートライフスタイルの採用コンサルティング、DeNAの自動運転事業の法律改正キャンペーン、参議院議員選挙のクリエイティブ……と幅広い案件に携わるうちにあっという間に一年経っていましたね。その時期に共同創業者の一人だったコーダーが退職して、コードを書ける人間がぼくしかいないという状況になりました。

それから、2015年当時は電通の過労死問題をきっかけに、広告業界の働き方も見直されはじめてきたタイミングで。広告の価値って、ひとつひとつのクライアントに個別最適していくことだったと思うんですけど、それだといつまで経っても永久に忙しいし、「次」に注力する時間も生まれないですよね。なので仕組み化して、全体最適するような仕事の仕方をしなければいけないと切実に感じました。

そんな会社の事情と社会的な背景が重なって、プロフェッショナルなエンジニアになろうと思って「エンジニアリング以外の仕事はやらなことにします!」と宣言して、専業になりました。

高橋:
小川くんは、技術の理解とか知識の量がすごいイメージがあるんだけど、経歴だとエンジニアリングに専念したのが結構最近でびっくりしました。どうしてそういう考え方になったのか、どうやって知識を得てきたのか、エンジニアとしてのバックグラウンドに興味があります。



小川:
「ちゃんとやりたい」というのが根本にありますね。基本的に「いまはこれしか思いついていないけれど、もっと最善手があるのかもしれない」ということを常に考えちゃう。他にいい方法があるのかないのか、みたいなことを深掘りしていくうちに詳しくなっていった感じです。ブログやドキュメントをとにかく沢山読んでいると思います。

はてなブックマークを主に見ていますが、RSSもいまだに使っていて、一日にタイトルだけなら何百って単位で読んでいると思います。NEWPEACEは、エンジニアがぼくしかいないので、社内で質問し合ったりできないからこそ勉強のモチベーションは高いですね。

いま、monopoさんは何人かエンジニアがいらっしゃいますけれど、社内で情報交換とかしてますか?

高橋:
4人〜5人ぐらいエンジニアがいますが、積極的に情報交換していると思います。ぼくらは基本的にWeb制作をすることが多いのですが、ツールや技術も専門性が高いものや特殊なものを使うことはそれほど多くありません。それでも細かいこだわり部分を共有している感じです。

疑問があるとSlackに質問して解決することも多いですが、誰もわからない時は、なんだかんだ検索ですね!(笑)

小川:
エンジニアにとって検索能力は大切ですよね。

欲しい情報がヒットするキーワードを直感的に思いつけるようにならないと一人前とは言えないと思っています。例えば、英語で検索するとか、スペースを入れる位置とか、GoogleじゃなくてGitHubで検索するとか、細かいテクニックは経験によって培われていくものかと。

高橋:
そうですよね。あとは、エンジニア同士で呑むときとかは、ホットな技術について意見交換することも多いですね。最近だとブロックチェーンの話とか。

制作会社にとって高い技術力は必要なのか?

小川:勉強や新しい技術にアンテナを張ることが大事な一方で、じつはクライアントワークでは高い技術力は求められていないかもしれない、と感じるときがあります。ウォントではあるけれどマストではないというか。

Webサイトを作るとき、ニュースを更新できてフォームがあって、とかそのぐらいのことしか一般的には求められていなくて。それ以上は、オーバーエンジニアリングに見えているんだろうなと。保守性のために綺麗なコードを書くとかセキュリティーのためにテストをするとか、表面だけしか見えないと大切さがわからないじゃないですか。クライアントワークってスポットで携わる場合もあるので益々そう思われてしまいがちですよね。クライアント側からオーバーエンジニアリングに見えるのは何故なのか、どうやって必要性を伝えればいいか、求められる水準と、ぼくが必要だと思う水準の、バランスが難しいなって思っているところです。

例えば、ファイルの名前を変えるとして、10個変えるなら手作業で変えた方が速いけれど、10万個変えるなら一時間かけてでもプログラムを書いた方が速い。
いまこの瞬間、変えるファイルが少ないとしても継続的に手作業するコストと仕組み化するコストを比較して、その分岐点を見通す力が、常に求められていますよね。
目の前のプロジェクトサイズに捉われないことが大切だと思っています。

また、今オーバーエンジニアリングなことも、5年後10年後になったら当たり前にやっていないといけないものになると思うんです。
現在だと、ひとつのWebページが5MBぐらい転送量があることも一般的ですが、10年前なら500KBぐらいだったでしょうし。今では当たり前になっているAjaxに代表される非同期通信も、10年前だとGoogle Mapsなどが先進的に活用していただけでした。
今必要なことだけやっていると、時代の流れと共にいつの間にか遅れた会社になっちゃうんですよね。

つまり、先ほどの分岐点の話に加えて、中長期的な視点も持つ必要がある。

高橋:
ぼくも、感じている課題が割と似ています。この話って「制作会社とは」という話にもつながるんじゃないかと思っていて。ぼくは、これからはクライアントワークだけやる制作会社はちょっと厳しいという意識がある。

そのひとつのオプションとして自社事業という選択肢は有力だろうと思っています。さっきの、中長期的な展望を見据えての最先端技術が活きる場所でもありますし。

クライアントと制作会社の理想の関係

小川さんの回で書いていた、SRE(Site Reliability Engineering)という考え方ともリンクしそうです。

小川:
そうですね。SREは、オライリーから同名の本も出版されている、エンジニアリングに対する取り組み方のひとつです。本の日本語版はそこそこ高額なのですが、英語版ならGoogleが無料公開しています。

詳しくはぼくの書いた記事を読んでもらうとして、GoogleはSREのサービスをGCP(Google Cloud Platform)の大口クライアント向けにも無料で提供しているそうなんですね。その考え方が、本質にフォーカスしているなと思っていて。

なぜなら、クライアントからしたら「GCPに移行した」ことが重要なのではなく「GCPに移行したことによってどんな効果があったか」が重要じゃないですか。だから効果が最大化するように、その筋道を一緒に探ることまでサービスの一貫なんです。

ぼくはこの話を一年ぐらい前に聞いて、これは究極のクライアントワークというか、クリエイティブ企業とクライアントの、あるべき付き合い方なんじゃないかと思いました。

高橋:
信頼関係が大事、ということですか?

小川:
信頼関係は前提としてあって。その上で、効果を最大化するためなら垣根を超えて意見できるということです。

例えば、NEWPEACEの仕事でリブランディングの一貫として、ECが付随するWebサイトを作ることもあるわけですが、ECみたいな運用と計測が重要なサイトでは、大きなリニューアルだけでなく、小さく継続的な改善が非常に重要です。

そのとき、エンジニアやデザイナーなどのクリエイティブをする人と、Webマーケターやアナリストのような数字を見る人がいないとどうにもならない訳ですが、そういう人の採用や外注するのにオススメの会社を提案して、一緒に仕事することになったらリブランディングの効果を最大化できると思うんです。

高橋:
とはいえクライアントワークだと、作って終わり、というパターンも少なくないですよね。

小川:
例えば、サービスのBIを作る仕事で、UIコンポーネントを実装しても、その使い方——Reactで実装するときにはこう活用して欲しいというような——にまで入り込めないことが多い。でもそれって、こちら側の技術的な見識の問題もあるんだけど、なんとなく範疇の外という線引きが一番大きな原因じゃないかと思います。Web制作と言ったら、とりあえず制作期間があって、デザインして、実装して、納品して、終わりという感じ。

ただ現実には、納品し終わった後でも、問題が起こって修正したり、使い方がわからないと言われてサポートしたり、納品とか納期とかってあるのかないのかよくわからない感じになっている。

それだったら、長期的な関係を前提に、サポートまで込みの「サービスとしてのクリエイティブ」を提供して、クライアントと一緒に小さいPDCAを回していくことを、日本の制作会社やクリエイティブ企業は、やるべきなんじゃないかと思っています。

高橋:
そのやり方でもし発注に至らなかったとしても、「こういうやり方もあります!」という認識を広げて、日本全体の常識が変わっていくといいですよね。

次回は、二人がそれぞれの会社で共通して取り組んだコーポレートサイト制作秘話を皮切りにスタート。
お互いの書いた記事について意見をぶつけます。

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