三井物産が「オワハラ相談ホットライン」を設置、採用トップが語ったオワハラの現状【オワハラ調査2020】|就活サイト【ONE CAREER】
企業が学生に対して、他社の内々定を辞退するよう強要したり、選考を受けられないように妨害したりする「オワハラ(就活終われハラスメント)」。最近では、就活生の間や世間でもこの言葉が浸透してきたように思います。 ...
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「池田さん、転職して後悔してないですか?」
ワンキャリアに転職してから3カ月ほど経ったころ、ふと、同僚からそう聞かれた自分は少しびっくりしつつも、「そんなことないですよ」と答えた記憶があります。
「ああ、北野さんがいるところですよね。知ってますよ」「仕事が楽しそうだったので、辞めると思ってませんでした。意外です」「なんか面白そうな会社ですね」
自分がITmediaを辞めるとき、こんなふうにいろいろな人に声をかけられました。ITmediaという著名な商業メディアから、ある種オウンドメディアのような存在であるワンキャリア編集部に移るというのは、やや珍しい選択なのかもしれません。
編集者や記者が描くキャリアパスというのは、スキルが特殊であるためか、他の職種と比べて少し変わっています。今回はITmediaを辞め、ワンキャリア編集部の編集長に移って分かったことを少しお話ししようと思います。
僕が転職をしようとぼんやりながらも決意したのは2018年の4月くらい。新卒でITmediaに入り、丸7年が過ぎたころです。PC媒体、ビジネス媒体、そしてエンタープライズITとさまざまな経験をしてきて、社内で表彰されるくらいには、結果もついてくるようになっていました。
自分が記事を書くモチベーションは「より多くの人にITの面白さ、そしてその先にある未来の面白さ」を伝えることにありました。旅館を取材してみたり、囲碁のプロ棋士を取材してみたり、少女誌の編集長を取材してみたり。自分がやりたいことはできていましたし、仕事が楽しかったというのも事実です。
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とはいえ、悩みがなかったわけではありません。平社員という立場の中で、新しいチャレンジをする機会が目に分かるほど減ってきていたこと、そして、商業Webメディアにおけるマネタイズの難しさという2つの問題が重くのしかかっていました。
特に後者の問題は深刻でした。登場してから10年以上が過ぎているWebメディアの広告市場は成熟しており、差別化が難しくなっていたこともあり、タイアップ記事の低価格化や顧客の要求の高度化に悩まされています。これはITmediaだけではなく、ほとんどのWebメディアに当てはまるでしょう。
その1つのソリューションとして、最近では、大手新聞媒体のWeb版を中心に「会員化」のトレンドが顕著です。読者のロイアリティを高め、媒体価値を高めていく──それ自体は間違ったロジックではありません。ただ、「より多くの人に記事を届けたい」と考えていた自分にとっては避けられない問題だった、というわけです。
読者を絞る「クローズ化」か、はたまた顧客の言いなりになる「編プロ化」か。その両者に自分が求める答えはありませんでした。
商業メディアの記者(編集者)が転職を考える場合、2つの大きな決断をしなくてはなりません。1つは「フリーランスになるかどうか」、もう1つは「記者を続けるかどうか」です。
ITmediaの社員は優秀なこともあり、卒業後もさまざまな場所で活躍しています。フリーランスとなり、自身でメディアを立ち上げる人や同業他社に移って編集長になる人、いわゆるGAFAに行く人もいました。
生まれたばかりの子供がいたこともあり、フリーランスになるという選択肢はなかったものの、記者以外の職種に転身するかどうかは、相当悩みました。広報やマーケティングなど、記者の知見を生かせる職種はもちろん存在します。
「記者というのはあくまで傍観者。ビジネスに携わる事業会社を経験した方がいい」と先輩の記者に言われて納得したところもあり、当初は記者を離れようとも考えていました(コンサルとかも検討していたほどです)。
しかし、知人のエージェントに相談したところ、「一度、記者界隈を離れるとキャリアが途切れてしまい、もったいない」とも指摘され、正直道を決めかねていました。そんなときに出会ったのが「ワンキャリア」でした。
「ワンキャリアが編集長を募集している」
そんな話をFacebookで見かけたのが昨年末。事業会社のオウンドメディアという立ち位置、そしてマネージャーというポジションに興味を持ち、北野さんに話を聞きに行きました。
メディアビジネスの新しい形に挑戦できるかもしれない、ITを離れ、自分のコンフォートゾーンを離れる不安がなかったわけではありません。しかし、それ以上に就活という新しいテーマに挑戦することに対して、自分は前向きでした。
経団連が通年採用への移行を掲げているなど、今、就職活動というイベントは大きな変革期にあります。さらに、クチコミを始めとしたさまざまなサービスの力で、雇用者と被雇用者のパワーバランスが是正されつつある。情報の格差が激しい業界なので、メディアが果たせる役割も大きいでしょう。
自分の30代を賭けるにはいいフィールドだ……直感的にそう感じました。道は険しいかもしれないが、BuzzFeedやスマートニュース、NewsPicksといった新興のメディアやプラットフォーマーでは成し得ない価値がある。そして、メディア人たるもの、コンテンツの力で世界を変えられると信じること──回り道はしましたが、前職で自分が果たせなかった課題に向き合い、メディアの人間としてもう一度戦う覚悟ができたのです。
ワンキャリアに入ってからは、編集長として記事の執筆や編集、特集の企画やメンバーのマネジメントをしています。仕事の全体像については、入社前に予想していたものと大きくは変わらないのですが、いくつか自分の予想を裏切るポイントもありました。
特に大きかったのは、企業のタイアップ記事がある(そしてなかなか多い)ということ。こうなると前職と変わらないじゃないか、というイメージを抱く人もいるかもしれませんが、利益を得ることそのものが目的である「商業メディア」と必ずしもそうではない「オウンドメディア」では、その意味合いは少し異なります。
始めてから数年という若いメディアに対して、出稿しようというクライアントが多いことは大きな価値であり、意外でもありました。こういうと誤解を招くかもしれませんが、この点においては、正直ワンキャリアをナメていたと言っても過言ではありません。
社会全体から見れば、まだまだ知名度が低いオウンドメディアではあるものの、商業メディア並みのクオリティやスタンスが求められる。これがワンキャリアでメディアをやることの難しさ、そして面白さだと今は感じています。商業メディアで培った経験が生きる場面は多いです。
小さな会社ということもあり、責任範囲が広めで忙しい日々を過ごしていますが、「就活が変わる」という自分が伝えたいテーマで記事を書くこともできています。
・三井物産が「オワハラ相談ホットライン」を設置、採用トップが語ったオワハラの現状【オワハラ調査2020】
・もはや、インターンは「時代遅れ」のコンテンツなのかもしれない
就活に関わっていれば、働き方やキャリアという点までテーマを広げて記事を出せるのも、ワンキャリアならではの魅力と言えるでしょう。ITmediaで働き続けていたら、決して出会えなかったような人に取材ができるのもいい刺激になっています。
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新卒採用を取り巻く状況が変わる中、今、採用に関するメディアも変化が求められています。
これまでは、就活生に向き合うことが求められてきましたが、それだけでは新卒採用市場を変える力としては不十分です。採用する側の人事や社会全体にもアプローチできるようなコンテンツを出していく必要があるでしょう。しかし、それを成し遂げるには、より多くの仲間が必要です。
メディアというものが厳しい状況にある中、敢えてメディアビジネスの課題にチャレンジするのは平坦な道ではありません。しかし、それでもそれに立ち向かいたいというくらいメディアが好きな人。そして青臭い話かもしれませんが、メディアの力で「就活」、そして社会を変えたいと思ったなら連絡してください。ぜひ一緒に戦えればと思っています。