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エンジニア&社長対談#2 量子コンピュータの研究者がオプティマインドで目指す世界 | プロダクト開発部 最適化アルゴリズムエンジニア 望月

代表の松下がオプティマインドのエンジニアの実態を明らかにする連載です。2回目は最適化チームの望月さんが登場です。大学院を休学してオプティマインドに入社した経緯や最近興味があること、将来の話をしていきます。
(写真はOptimizationのOです)

連載はこちら

#1 子供の寝かしつけはプログラミング本

#2 量子コンピュータの研究者がオプティマインドで目指す世界

#3 お客様と遠いエンジニアだからこそ、徹底して現場を知る

#4 オプティマインドのインフラの魅力

#5 Watercooler chat with a Front End Engineer

#6 数学とコンピュータ科学の融合

#7 GPSデータを使うデータサイエンティストはどんなことしてるの?

オプティマインドに入社したきっかけは

松下:まずは入社前からたどっていければと思っています。研究室ではどんなことをしていましたか。
望月:量子コンピュータの研究をしていました。具体的には、量子コンピューターで解くことが難しいと考えられている問題について、何故難しいのかを計算量理論を使って研究していました。

松下:以前、社内向けに発表してくれていましたね。改めて量子コンピュータについてわかりやすく教えていただけますか。
望月:量子コンピュータに対して、私たちが普段使っている古典コンピュータというものがあります。量子コンピュータは量子力学を、古典コンピュータは古典力学を動作原理として計算を行います。量子力学というのは、ミクロな世界の物理現象を記述するための学問です。対して古典力学というものがありまして、こちらはマクロな世界の物理現象を記述しており、例えばニュートンが発見したようなりんごがおちるのような理論です。

なぜ、量子力学が必要かというと、技術の発展によってミクロな世界が観測できるようになりミクロな世界で起こる現象はどうやら今までの物理理論では説明出来ないことがわかったので、別の理論が必要となりました。

前提として、量子コンピュータも古典コンピュータもコンピュータであります。コンピュータは物理的なものですので動作原理は物理法則に支配されています。普段エンジニアリングをしている中でそこまで考えることはないですが、根本には物理現象があります。

話が長くなったのですが、量子コンピュータというのは、マクロな世界に生きている我々の直感からすると不思議な物理現象に基づいたコンピュータで、その原理に基づいたアルゴリズムの研究等が日々進められています。


松下:有難うございます。大変面白いですね、いつからその分野に興味持ったのですか?
望月:少し遡ってお話させていただくと、もともと私は学部の時の専攻は情報系ではなく理学部で計算物理の研究室にいました。

そこで、タンパク質の構造解析の研究をしていまして、計算機を使ってシミュレーションをしていました。その時に、この使っている計算機ってどのような動作原理で動いているのだろうかと根源的なところに興味を持ちました。根源を理解したいと思い勉強していく中で、ちょうど物理学科だったこともあり量子物理も勉強していたので、量子コンピュータに興味を持ちました。

松下:そもそもの原理原則に興味が湧いたんですね。子供の時は、仮面ライダーはなぜ戦っているか気になるタイプでしたか。
望月:それはないですね。(笑)

松下:失礼しました。(笑)修士で卒業するという選択肢もあったと思うのですが、なぜ博士に進まれたんですか。
望月:修士の段階で自分のオリジナルな結果が出たので、その研究を進めていきたいと思ったからです。また、研究者という生き方が自分の性にあっていると思いました。対象を完全に理解することに興味があるので、研究者であれば知的欲求が満たせると思い博士に進学しました。

松下:そうなんですね。元々、何か夢はあったんですか。
望月:中学くらいの時に、ガリレオというドラマに影響されて理論的な研究者になりたいと思っていました。

松下:実に面白いですね。めっちゃ黒板に数式書くみたいな感じですか。(笑)
望月:いえ、何かを解き明かしたいなという欲求です。(笑)

松下:一番最初のオプティマインドとの接点はどこだったんですか。
望月:研究室の先輩から郭さん(VPoE)やオプティマインドの話を聞いていました。あるとき郭さんからオプティマインドでインターンしませんかといわれたのが最初ですね。

松下:オプティマインドの第一印象はいかがでしたか。
望月:実は、その少し前に数理情報専攻で、数理ランチというイベントがありまして、その際に、高田さん(CTO兼最適化チームリーダー)と少し話したことがありました。その後、会社にお邪魔させてもらって高田さんや郭さんとアルゴリズムのお話をしてレベル高いなと正直思いました。知らないことをたくさん知れて面白かったです。

松下:そうなんですね、彼らすごいですよね。(笑)
もっちーはそのまま研究者になるのかなと思っていたのですが、どのタイミングで入社しようと思ったんですか。高田さんから誘われてですか。
望月:いえ、全然誘われてはいなくて。(笑)
最初の業務で、モジュールの深部まで掘らないとできないかなり重い開発タスクを割り当てられました。それまでは、簡単なツールを作るくらいしかプログラミングをしたことなかったので、コードをしっかりと読み込んでの開発はしたことなかったです。純粋に楽しかったですね。武内さん(最適化チーム)が見てくれて、どんな質問にでも親身に教えてくれて、感動しました。

自分の中では、技術力の高さと働いている人を大事にしていて、難しいタスクに割り当てられたことで大変でしたが技術的に成長することができ、チームの人がいろんなこと教えてくれて良い環境だなと思いました。

また、研究では自分が興味を持った課題をとことん突き詰めて考えていました。オプティマインドに来て、他人の課題を解決するという経験をして、それはとても嬉しいことだと感じました。もちろん、どちらも素晴らしいことですが、自分の技術で他人の課題を解決する方に私は楽しさを感じました。


入社してから

松下:改めて、もっちーはどんな業務をしているか教えていただけますか。
望月:配送計画問題を解くアルゴリズムを作っています。直近の業務では、ライドタイムコスト(乗車時間)にかかるコストを考慮できるようにする開発をしました。

松下:その機能開発で、現場はどんな課題が解決できますか。
望月:荷物や人がずっと乗っているという状況を防ぐことができるようになります。例えば、乗合バスで最初に乗車した人が最後まで乗車しているという状況を防ぐことができたり、チルド品が車内で品質劣化しないよう、お客様に配送されるまでの時間を短くすることができるようになります。

松下:現場にとって重要ですね。それらの開発をしていく上で、難しさを感じることはありますか。
望月:アカデミアと違って、「これが最適解である」でお客さんが納得するとは限らないことですね。移動時間が短くなって「最適」になっていても「快適」とは限らないです。すごく難しいのですが、世界のラストワンマイルの最適化を目指す上で超えなければならない壁だと思っています。

最近興味あることは

松下:最近の興味関心事はありますか?
望月:最近興味あることは人間関係です。例えば同じことでも人によって感じ方が違うのは面白いと思います。その中でみんなが尊重しあえる多様性のある社会になったら良いなと思っています。

松下:固定観念を捨て、多様性を受け入れることによる新しいビジネスも生まれてきていますよね。今までマイノリティだった人が発信することで支持を得て、大きな力になる。それができるようになったのはITの大きな功績かなと思います。
望月:「〇〇であるから、××であるべきである」のような生きづらさをなくしていければと思います。言うのは簡単で行うのは難しいですけど、そのようなことに興味あります。

松下:まさに今、私自身が挑戦していることに近いです。組織を構成する人々には様々な境遇やバックグラウンドがある中で、従来の当たり前となっているルールの前提を疑い,特定の人が組織への所属しずらさを感じるなどのことを無くし、どんな人でも公平にメリットを享受できる組織制度を創っていきたいなと思って色々模索してます。みんなが自分らしくいられて、お互いに相手を受け入れられる組織って素敵ですよね。
望月:他者を否定しようとするから自分も否定されるのかなと思っています。私たちは人間なので、自分を上げるために他人を下げることもある、でも自分だけを肯定しないで他人を肯定できれば巡り巡って肯定しあえるのかなと。

オプティマインドで目指す世界

松下:最適化エンジニアの立場として2, 3年後、Loogiaをどのようなプロダクトにしたいですか。
望月:まずは、人がいいと思う最適解を出せるソルバーを追い求めたいと思っています。現場のドライバーさんが「わかってるな、お前」って思ってくれるものを作りたいです。

この前現場に伺って実感したのですが、例えば大きい家具の配送は都市圏に集中することが多く夕方はすごく道が混みます。その時間に、普段と同じ移動時間で計画されていると全然わかってないなってなる。そのような部分も考慮できる、現場の人たちにとって最適なものを作っていきたいです。

松下:理論的な最適というよりは、現場にとって最適なものということですね。
望月:オプティマインドの創業の根源にもあるアカデミックと実社会を繋げる、というところには私も強い思いがあって、現場で使えないってなったらその時点で終了になってしまうんですよね。

反対に、もし現場に適応できて組合せ最適化がすごいとなったら、アカデミックにも人が集まり、それによってさらに社会に活かせるようになると思います。アカデミック・社会で良い循環が回っている、そういう状態にしたいと思っています。

松下:めちゃくちゃ目指したい状態ですね。

今後は

松下:もっちー個人として何年後かにどんな状態でありたいですか。
望月:組合せ最適化をみんなが知っている社会になっていたら良いなと思います。さらに言えば、組合せ最適化といえばオプティマインドだよねって思えてもらえていると嬉しいですね。

松下:それはめちゃ嬉しいですし本気で目指しましょう。その中でもっちーとしてどういう役割を果たしていきたいですか。
望月:技術を深いところまで理解しつつも、それを伝える・広めていけるようになりたいです。そのために、まずは社内に最適化を分かりやすく伝えることに取り組んでいきたいです。また、顧問にはすごい先生がついてくださっているのでしっかり協業していきたいと思っています。

松下:是非、エヴァンジェリストのような動きしていただけると嬉しいです。4月から新しく最適化チームに入社された方も、数学好きだから合いそうですよね。
望月:そうですね、競プロ‬がすごく強いので一緒にやりたいと思っています。数学に関しては、ガチすぎてついていけなところがあります。(笑)
軽い気持ちで「〇〇理論はどう思いますか、難しいですよね」という会話をしたら、すごい量の情報が返ってきて驚きました。

松下:(笑)専門性が高い人が集まっていて良い環境ですね!本日はありがとうございました。

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