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【野球選手からコンサルタントへの転身】 初めて企業に勤めてみて感じる人・仕事との関わり方

弊社パクテラ・コンサルティング・ジャパン(以下:PCJ)は「Ideas Worth Spreading(価値あるアイデアを広める)」というTEDの理念のもと運営をされているTED×HitotsubashiU様のCore Partnerを務めさせていただいております。本コンテンツは、TED×HitotsubashiU様が実施する「面」企画の一環として社員の人生・仕事経験をインタビューしお届けする企画。第1弾は、弊社の勝田のインタビューの様子をお届けいたします。

ーー本日はどうぞよろしくお願いいたします。まずは自己紹介として、勝田さんのご経歴の紹介をお願いします。

勝田 小中高時代を岡山県で過ごしまして、愛媛大学に進学しました。大学卒業後は、四国独立リーグの徳島インディゴソックスというプロ野球球団にて2年間プレイし、その後2022年2月に、徳島インディゴソックス球団とパートナーシップを組んでいるパクテラ・コンサルティング・ジャパンに入社しました。


ーーまず大学時代・独立リーグ時代を振り返っていただき、印象的な出来事や現在のコンサル業に与えた影響にはどんなものがありますでしょうか。

勝田 学業面、運動面の2つの側面で現在の自分に影響がもたらされているように思います。まず学業面についてですが、大学では「社会共創学部」という新設学部に入学しました。正確には「社会共創学部 地域資源マネジメント学科 スポーツ健康マネジメントコース」という非常に長い名前です(笑)。新設学部ということもあり、何を学ぶのだろうかと入学当時ワクワクしていたのを覚えています。この学部は、いわゆる「学問」というよりも、地域の抱える問題を洗い出して、それに対する対応策を自分たちで考え実行していくという実践的な学びの場でした。「地域に貢献できる人材を創る」というテーマがあったように思います。そんな中、私は「スポーツ」を通じた地域活性化に携わりたいという思いがあり、実際に2ヶ月間にわたる運動教室のイベントを一から企画し、やり遂げた経験があります。この経験を通じて培った発想力・分析力・行動力は、現在にも活きているのではないかと思います。

続いて運動面についてですが、大学時代と独立リーグ時代の2つの面があります。まず大学時代でいうと、全国大会(全日本大学野球選手権大会)出場の経験が大きいかなと思います。公式戦に1年の春から4年間連続して出場し、一定程度の成績を収めることができました。この経験の中で養ったのは継続力や、やり遂げたという自信だったと感じています。また、独立リーグ時代の話ですが、チームメイトには甲子園に何度も出場した経験のある人や、社会人野球経験者など非常に高レベルな人達がたくさん集まっているんですね。そのような環境の中で野球をプレイすることで、「この人達には敵わないな」というネガティブな感情が自分の中に湧いてくることも正直多かったです。それでも、どうやったらその人達に勝てるのか、自分の価値を見出してどうすればチームに貢献できるかを、常に考えるようにしていました。そして日々の練習の中で、その日の自分の姿や練習のあり方を省みて、何を翌日に活かすのか考える、いわゆる「PDCAサイクルを回す」ことが習慣化されていきました。この習慣は今でも、仕事に対してはもちろん、プライベートでも、自分が何をやりたいと考えていて実際には何ができたのか、という自己フィードバックのサイクルが自然に回るようになったという形で活かされています。


ーーありがとうございます。勝田さんは、「プロ野球選手からコンサルタント」という非常に異色の経歴をお持ちですが、コンサルタントを目指されたきっかけ・転機にはどんなものがあったのでしょうか。

勝田 もともとは、自分で「コンサルをやりたい」と思ったことはなくて、正直に言うと「東京行きたいな」というような気持ちが大きかったんです(笑)。ただ、独立リーグ引退後の1ヶ月間、様々な業種の人たちとお話する機会があったのですが、そのなかでパクテラの採用担当者の方から聞いた「3つのワード」がとても印象に残りました。

1つ目は、コンサル業は色々な業種・色々な人と巡り会えること。
2つ目は、向上心や野心を持つ人の多い業界であり、それに負けないよう自分自身も頑張れる環境があること。
3つ目は、他の業種に比べ考えること・分析することが多く、難しい業務であるということ。

これらの「3つのワード」を聞き、自分の幅広い好奇心やチャレンジ精神旺盛な性格にぴったりと合っているように感じ、コンサル業というものに対して非常に魅力を感じました。「東京に行きたいな」という気持ちと、この3つのワードとが、私をパクテラへと導いてくれました。


ーー野球での経験があるからこそ、「3つのワード」がより魅力的に映ったのかもしれませんね。

勝田 そうですね。特に、困難に立ち向かう、向上心を忘れないということは、野球に打ち込んでいたからこそ生まれたものだと思います。また、幅広い好奇心の裏返しで、少し飽きっぽい性格も自分の本質的な部分にあると感じているのですが、様々な刺激があれば一つのことに継続して集中していけるということを教えてくれたのも、野球なのかなと思います。


ーーでは次に、パクテラでのお仕事についてお聞きしていきたいと思います。まずは、現在携わられているお仕事の概要を教えて下さい。

勝田 私はPCJのコンサルティング事業部Group 2に所属しており、ヘルステック事業とよばれる健康保険組合をサポートする仕事に従事しています。その中で現在は、来年度の予算・施策の提案や、これまでの実績の評価・振返りなどの検討を行っています。


ーーその業務の中で、どんな「やりがい」を感じていらっしゃいますか。

勝田 大きく2つあります。1つ目は、これまでの実績やデータから示唆を読み取り、クライアントに対して改善のためのアドバイスを行い、相手方から感謝などのポジティブな言葉をもらったとき、「やってよかったな」「また頑張ろうかな」という前向きな気持ちになります。この言葉をもらいたいからこそ、一生懸命に取り組めているという部分がありますね。2つ目は、かなり上の階級にいる先輩や「バケモノ」と思えるほどにすごい実力を持つ人たちと一緒に仕事をすることが多く、自分との実力差を大いに感じることも多いです。ですが、その人たちに絶対負けない、いつか勝ってやると、必死に食らいつきながら仕事をしているうちに、今までできなかったことができるようになっていたり、当初は難航していた作業が簡単にできていたりと、ふとした時に成長しているなと感じることがあります。自身の成長を肌で感じることができるからこそ、やりがいも感じられるのだと思います。


ーー野球とコンサル業を比較したときに、何か共通項のようなものはあるのでしょうか。

勝田 それは、私が今年2月に入社してからずっと考え続けてきたテーマでもあります。1つ確かに言えるのは、どちらにおいても「諦めず努力し続けることでしか向上は生まれない」ということです。これは、コンサルに限らず全般的に言えることだと思うのですが、トップで活躍している方は凄まじい向上力と成長意欲を強く持っています。野球の世界で成功するには、才能も大事ですけど、やはり努力を重ねて実力を付けていくことは不可欠なんですね。貪欲に自身の成長を求め続ける姿勢が最も大事なのかなと思います。これは野球においても仕事(コンサル)においてもかなり重要な要素だと感じています。


ーーコンサルティングという仕事に携わる中で、野球の経験がどのように活きてくるのかを改めてお話しいただけますか。

勝田 「対顧客」という側面で考えると、限られた時間の中で相手の思いや要望を正しく認識するためのコミュニケーション能力が要求されます。野球ではそのようなコミュニケーション能力は無関係と思われがちですが、そんなことはありません。私の所属していた徳島インディゴソックスには全国から40人近くの様々な選手が集まり、その選手たちが勝利に向かって1つにまとまることが求められました。キャンプインから2ヶ月でリーグは開幕するので、そのたった2ヶ月の間にチームづくりをしなければなりません。そのため、自身が苦手と感じる人とも適切にコミュニケーションをとり、協力体制を短時間で構築する必要がありました。この経験は、現在のコンサル業においても大きく影響を与えています。短期間で顧客の意図や要望を理解すること、自分から主体的に歩み寄ることを心掛け、興味を持ってもらい理解してもらうためのコミュニケーションが、野球での経験があるからこそ自然とできるようになっているように感じます。


ーー「コミュニケーション」に関するお話が出ましたが、Ted×HitotsubashiUさんのイベントテーマ「面」は、他者とのコミュニケーションの中で直面する難しさや分からなさにフォーカスするものです。勝田さんは、このような「他者とのコミュニケーションの中で感じる難しさ」と、どのように向き合ってこられたのでしょうか。

勝田 これまでの自分を振り返ると、特に大学生くらいまでは、自己中心的な面が多かったと感じます。自分が話せればいいやと、相手のことを考えずに発言することも多かったです。ただ、独立リーグ以降社会人となってからは、それではダメだと気付くことができました。自分ばかりが話していると、自分は相手のことが分からないし、相手も自分のことを正しく理解してくれない、結果的に互いに理解し合えないという状況に陥ってしまいます。自分を正しく知ってもらえず、自分の良さだと思っていた部分さえも否定的な評価をされてしまうこともあり、これらが原因で、独立リーグの1年目はチームメイトとすれ違いを起こすこともありました。そして、これではダメだなと気付いたのです。野球はチームスポーツで、仲間との信頼・協力関係がなければチームの勝利はありませんし、自分の成績も残せません。どうしたら変えられるだろうと考えに考えました。その結果、最終的に次の答えに行き着くことができました。まず、自分を知ってもらうということ、そして自分から歩み寄るということ。相手に理解してもらう前に自分が相手を理解する・相手に興味を持つ・歩み寄る。そうすることで、自然と相手のことが理解できてくるし、相手も本質的な部分で自分を理解してくれることに気が付くことができました。


ーーなるほど。ただ、相手に歩み寄るという行為はなかなかハードルが高いことだとも思います。それを難しいと感じる人も多いかと思いますが、どのようにしたら自分をさらけ出し、相手を知るという事ができるのでしょうか。

勝田 まず1つ思うのは、もともと本質的に「悪い」人っていないということなんですよね。恐らく、人って話しかけられて話を聞いてもらうとやっぱり嬉しいものなので、やっぱりそこは勇気を出して行くべきなのだと思います。あとは、相手のことをよく観察して、「この人にはこんな面があるんだ」という発見をする。そして自分との共通点を、どんな些細なことでもいいので見出していく。共通点があれば話しかけやすいですからね。これらを実践すれば、そんなに難しいことでもないんじゃないかと思いますね。


ーー働く中で、たくさんの人との出会いがあると思うのですが、その人達とどのように関わるか、「関わり方」で意識している部分はありますか。

勝田 先程もお話したように、「自分から動く」ということですね。先手を取ることが大事だと思うので、なるべく受け身にならないように意識しています。


ーーやはり、どうしても受け身になってしまいがちの人は多いように思います。それを打破するためには相応の準備や、PDCAサイクルといったものが重要になってくるのでしょうか。

勝田 いや、そこは「キャラクター」かなと思っています。自分自身は負けず嫌いなので、相手よりも先に、という気持ちが強いというだけなのですが、そうでない人もいるというのは当然ですよね。受け身になることが必ずしも悪いわけではなく、受け身になりながらも自分の意見を話せるようになればいいという話です。まあそれはそれで難しいところがあるのだとは思いますが(笑)。つまるところ、自分のキャラクターに合った他者との関わり方ができれば、それでいいのではないかなと思います。


ーー相手の心を開こうとしてこちらから働きかけるものの、自分の熱量が必ずしも相手に伝わって同じだけ返ってくるとは限らない。長い時間をかけていけば心は開いていけるのでしょうが、そんなにのんびりとするわけにもいかない。そういったときのコミュニケーションでは、どんなことを意識していけばよいのでしょうか。

実はつい最近、提案に対してあるクライアントから痛烈な指摘をいただくことがありました。そして結局、その後もあまりお話しすることができずに終わってしまったのですが、そのときに思ったのは、最終的に持っていきたい提案について、十分なステップを踏まなかったこと、ここに失敗の要因があるのではないかと思いました。様々なコンテンツを用意し、それらを使って筋道を立てて丁寧に説明していけば、相手の方にも理解していただけるし、「(自分の思いなどを)分かってもらえなかった…」ということは減っていくように思います。筋道立ても、1通りだけでなく複数の代替の道も考えておくことが重要です。


ーーそういった面での「戦略」を建てるということが重要になってくるのですね。

勝田 そうですね。そうやって考えることって意外と楽しいんですよ。


ーー話はイベントテーマ「面」に戻りますが、ご自身を振り返って、「相手のことが分からない、自分のことを分かってもらえない、自分で自分が分からない」という悩みをもたれたご経験はありますか。

勝田 ありますね。今のプロジェクトに入った当初、相手のことも分からないし、自分が周りからどのような評価を受けているのかも、分かりませんでした。そういったときに思ったのは、分からないからといって悩んで立ち止まっていてはしょうがないな、ということです。人間生きていれば沢山の悩みに直面しますが、寝れば明日は来るし、そうであればもう進んでいくしかないな、と。その日の失敗や悩みは一回リセットして、次の日は必ずいいことが起こるというポジティブな気持ちでいるようにしました。そうすると不思議と好転していくんですよね。自分のコンサルタントとしてのキャラクターも次第に分かってきましたし、周りから評価されることも増えていきました。「今日は今日。明日は明日。」とメリハリをつけていくことが、それらの悩みに対抗する一つの道なのではないかなと思います。


ーーありがとうございます。さて、勝田さんが今後の展望として描く理想像はありますでしょうか。

勝田 実は、今まさに一つ壁にぶち当たっているところなんです。これまでは単に成果物を提示するということだけでなく、同時に直接お話をして自分の人柄を見せることで、お客さんに納得してもらう事が多かったです。コンサル業界でいわゆる「寝技」と呼ばれる進め方ですが、一方で、今後もこのやり方に頼っていくことには正直限界を感じるところがありまして、成果物のクオリティとコミュニケーションとの両輪をもってクライアントを納得させていけるコンサルタントを目指していきたいと感じている今日このごろです。そのためには高い論理的思考力を持つ「スマートなコンサルタント」になる必要があります。それが現時点で目指す理想像ですね。


ーー弊団体イベントには就活をひかえる学生が多く参加し、コンサルを目指す人も多いことと思います。コンサルで大事になってくる「論理的思考力」をどのように養っていけばよいのか、彼らへのアドバイスをいただけますか。

勝田 私自身も身に付けようと今取り組んでいる段階ではありますが、やはり「論理的思考力」のある人の近くに行って、見て、真似て、自分のものにする、ということではないでしょうか。また「論理的思考」というものはある程度パッケージ化されて確立されたものなので、関連の書籍を読むなどして知識をインプットしていくこと。この2つが自分の考える論理的思考を育てるための方法です。


ーー再び、テーマ「面」に関してお伺いします。このテーマを決定するなかで我々が出会った重要な観点の一つに、「普通」という概念に無理やり押し込まれてしまうことからの生き辛さ、というものがあります。この悩みへの向き合い方についてご意見伺いたいです。

勝田 これを、「自分の個性を分かってもらえない」という悩みと読み替えると、2つほど対応策があるのではないかと思います。1つは「自分を周りから求められた人物像に合わせていく」ということ。もう1つは「反発し続ける」ということ。私は後者に近い考えです。自分が分かってもらえないなら、自分が大きくなって、強くなって分からせてやる!という精神です。やっぱり、自分を押し殺し続けるといつか限界が訪れますからね。


ーー皆、知らず知らずのうちに自分を押し殺してしまっているのかもしれません。

勝田 そうですね。我慢も時には必要ですけど、そのなかで出せる部分では出していくということが必要だと思います。これは仕事に限った話ではないですが。


ーー今回のインタビューの総括として、最後に一言お願いできますでしょうか。

勝田 先ほどもお話した通り、今自分は壁にぶち当たっています。そしてこれまでも何度もこういった壁には、ぶち当たってきました。そのたびに思っていたのは「これはチャンスだな」ということ。そこで諦めてしまっては、もう仕事も来なくなってしまうし、会社における自分の役割も小さくなっていってしまうと思うんです。ただ、そこで壁を乗り越えられれば周りにより良い印象を与えることができますし、これは自分を変え、成長させるチャンスだと思うようにしています。壁や課題というのは、成長できる人間にしか降ってこないと思うんですよね。これを超えればより良い自分に出会えるかもしれない、と希望を持って生きるようにしています。皆さんも、立ちはだかる壁や課題に挫けてしまうのではなく、自分を成長させるチャンスなのだと考えて、壁を乗り越えた先にいる自分を想像して、ポジティブに生きていけば人生楽しめるのではないかと思っています。

ーー稀有なご経験をお持ちであるからこそ紡がれるお言葉は新鮮さに満ち、非常に刺激的なものでありました。本日は貴重なお話、誠にありがとうございました。


終わりに

最後まで本記事を読んでいただきありがとうございます。
Vol.1【野球選手からコンサルタントへの転身】初めて企業に勤めてみて感じる人・仕事との関わり方 は以上となります!次回のVol.2では、ビジネスデザイン事業部 マネージャー 鈴木のインタビュー記事をお届けいたします。

TEDxHitotsubashiUは、アメリカのNPO団体TED(Technology, Entertainment, Design) の理念に基づき、価値あるアイデアを学内や世の中に広めることを目的として活動する団体で、一橋大学を拠点に活動しています。本部であるTED Conferenceとは独立して、学生が主体となって運営されており、講演会の参加者と講演者との間に深い結びつきを生み出すことを目指しています。
※「TEDxHitotsubashiU」に関する詳細:公式ページ

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