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ライフプランナーのいる相続・事業承継 ―過去の整理と未来への準備―(某メーカー 代表取締役会長『A様』×ライフプランナー『石渡英敬』

先代からご自身の代への相続・事業承継において、実の弟、妹との間に軋轢が生じてしまったというA様
対応に苦慮される中でご相談相手に選んだのはプルデンシャル生命のライフプランナー、石渡英敬でした。
二人は、複雑に絡み合った相続・事業承継に関わる問題やご家族の確執に一緒に向き合い、次世代へのバトンパスも見据えながら、ともに解決までの道筋を歩んでいます。
これまでの苦労とこれからの展望について語ってもらいました。

ちょっと話を聞いてもらおうかな…
軽い気持ちで相続の悩みを相談

石渡:本日はお忙しい中、どうもありがとうございます。Aさんとは、ある経営者の集まりでお会いしてからのおつきあい。もう10年以上になるでしょうか。新型コロナウイルス感染症の影響でしばらく集えず、2020年、久しぶりにお会いしたときにお声がけいただきました。

A様:先代の父が95歳で亡くなって、当時いろいろと悩みがあったので、石渡さんにちょっと話を聞いてもらおうかな…と。最初はそんな軽い気持ちで「会社に遊びにおいで」と誘いました。

石渡:保険とはまったく関係がなく…(笑)。

A様:もちろん、石渡さんが生命保険のお仕事をされていることは知っていました。保険でお世話になることもあるだろうな、と。でも、あのときはグチをこぼしたかったんですね。内容が相続問題ですし、口外されては困る…ということで、話しやすいけれども信頼の置けそうな石渡さんに声をかけたのかもしれません。


先代からの「宿題」で浮き彫りになった弟妹との溝

石渡:実際にお話を聞いて、驚きました。会社の株式が、事業に携わっていない弟さん・妹さんにも生前に贈与されていて、分散してしまっている。そのことを問題視したAさんに対し、弟さん・妹さんが態度を硬化させ交渉に応じてくれない。また、前提に、十数年に及ぶ家族間の確執もあるとのこと…。非常に複雑な問題を抱えていらして、「私に一体何ができるんだろう」と思いました。Aさんはご長男で、30年ほど前に社長になられています。Aさんは、先代から「会社は長男に、個人財産は弟さん・妹さん含め3人で分けるように」と聞いていたんですよね。

A様:口頭で、ですね。父は最後まで遺言書を書こうとしなかった。どうして書いてくれなかったんだろうと思いました。今になってみると「これを自分の力でどうにかしろ」という、父からの宿題だったのかもしれません。それぐらい、頭を悩ませ、葛藤する日々が続きました。

石渡:そもそも先代と弟さん・妹さんの間にもめごとがあって、長い間疎遠になっていた。Aさんは地元を出て、長い間本社のある東京で暮らしている。物理的にも精神的にも距離があったのですね。

A様:当時の顧問弁護士が、前提にある家族間のわだかまりに配慮せず、いきなり遺産分割の話をしてしまい、話がさらにこじれてしまったんです。きょうだいの中で、経営者は私だけなので、相続に対する価値観も全く違うのです。会社を継ぐということは、リスクも一緒に継ぐということ。いい時はそのままばかりではありませんし、昨今は経営環境も非常に厳しい。会社の価値(株式)と現金とは違うということを何度話しても、理解してもらうことができませんでした。


問題解決のための「3つの段階」

石渡:会社の未来を考えると、株式をAさんの元に集めた方がいいのは自明のことでしたが、弟
さん・妹さんにはなかなか納得してもらえない。そこで私はAさんの課題を解決するためには、3
つの段階が必要だと整理しました。(下図参照)


❶は先代からの相続問題。❷と❸はご自身のこれからの相続についてです。時間軸に沿って設定した3つの段階を、並行して解決していくことを提案しました。❶への対応は大変で投げ出したくもなりますが、❷と❸があることで、今と未来のために前向きに一つのプロセスとして❶に取り組めるのではないかと考えたためです。Aさんはまだまだお若いですが、新型コロナウイルスによって将来は予測不能だと私たちは思い知らされました。遺言書の作成や、生命保険でみなし相続財産を準備することをお勧めしました。

A様:この3段階の提案はとてもいいですよね。父からの相続問題で疲労困憊した分、同じ経験を自分の子どもたちにさせたくないと思っていました。また、このまま弟妹が株式を所有すると、次世代ではさらに分散して集約するのがより難しくなるでしょう。私の代で❶をきちんと解決することが大事だと思いました。私の年齢的な区切りもよく、後継者も育った状況だったので、❶と❷を解決して事業を承継し、じっくりと❸に取り組んでいこうというライフプランも描けるようになりました。


相続・事業承継にチームで取り組む
そこでライフプランナーが果たす役割とは

A様:❶については石渡さんの提案で、弟妹たちに手紙を送ることにしたんですよね。自分の率直な気持ちを伝えるとともに、事実関係を明確にするために、推敲を重ねた手紙を先方の税理士さん宛に送り、弟妹に渡してもらった。私は仕事柄、交渉事が多いので、きちんと形に残すことは必要だと思っています。でもいきなり法的文書を送ったら事を荒立てるようなものです。直筆の手紙というアイディアは本当によかった。

石渡:手紙の内容を決めるために、Aさんのご家族や税理士さん、弁護士さんとも相談しました。
相続税の支払いリミットなどもあって短時間でまとめる必要があり、チームで濃密な議論を交わし
て作成したんですよね。

A様:そうでした。チームといえば、❷について、次世代に向けての新たなチームでの取り組みもスタートしました。税理士さん、弁護士さん、コンサルタント。石渡さんが紹介してくれた方から面接して選び、最終的に石渡さんと私、新社長も入れた6名でチームを編成しました。

石渡:私が、いわばプロジェクトマネージャーとして、議事進行役を務めています。会議を開催する時期やその議題、それに合わせてふさわしい出席者の調整もさせていただきます。それぞれの専門家が、その能力を最大限に発揮できるようコーディネートさせていただくのが私、ライフプランナーの役割だと思っています。

A様:おかげでスムーズに話が進んでいます。父は苦労をして個人商店から一代で会社を築いた人。創業者はこだわりが強く、会社も財産も手放したくないと思いがちです。でも私は3代目には、自由にやってほしい。若い人の発想で事業を成長させてほしいと思っています。


「感情」のもつれが複雑化の原因に

石渡:Aさんに限らず、相続や事業承継を控えている方、悩まれている方は増えています。家族間でお金の話をするのは不得手な方が多く、ついつい対策を先延ばしにしてしまうようです。

A様:でも、早く取り組んだ方がいいと思います。不得手であればあるほど早い方がいいでしょうね。今回、「公平」と「平等」について深く考えました。人数で割ることは簡単ですが、それが本当に公平かどうか…。また、人は全容を知ると考えが変わることもあります。お金の問題だけでなく、権利を奪われた、ないがしろにされたと受け取り傷つくこともあるのです。そこから感情的なもつれが生じるとさらに複雑になっていきます。もしも時間を戻すことができるなら、私は社長に就任したときに戻りたい。父は頑なな人だから相続について気軽に相談できる人もいなかったのかもしれません。息子から相続の話を切り出すのは難しいですが、あのとき勇気を出して「私がどのように引き継げば、お父さんは幸せですか?一緒にやっていきましょう」と心を開いて、メッセージを伝えるべきだったと思います。

石渡:不慣れなことと受け止め、腹をくくって取り組むしかないようです。経験や知見があり、当事者一人一人の心情まで理解して、永く寄り添ってくれる「第三者の存在」が必要なのではないかと感じています。

A様:私ももっと早く石渡さんに相談していればよかったと思います。相続問題は、最初にだれがどんな話をするかで印象が大幅に変わります。最初に弁護士が話をすると、相手方は必要以上に身構えて、話がこじれてしまうこともあるでしょう。石渡さんのおかげでその流れを変えることができたのは本当によかったです。

石渡:先代からの宿題は、ほぼクリアできたようですね。

A様:これから時間をかけて、弟妹たちといい距離感でつきあえるようにしていきたいです。そこまでが私の宿題のような気がします。石渡さんの提案で、会社を継がない子どもたちにも手紙を送りました。「三代目だけでなく、君たちのことも考えているよ」と伝えたくて。「お父さん、終活してるの?」とビックリしていましたが(笑)、少しずつ次世代の相続についても話をしていこうと思っています。

石渡:20年後、30年後に、それまでやってきた対策が間違っていなかったと思っていただけるよう、引き続きサポートさせていただきます。


A様

某メーカー/代表取締役会長 現在70歳


石渡 英敬

東京第五支社 エグゼクティブ・ライフプランナー

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