スポーツマネジメントアプリ「TeamHub」は“アスリートのLinkedIn”になれるか?【CEO×CTOトーク】

2016年8月にリリースし、1年半で3,500チームに導入され、昨年11月には待望の野球に対応。2018年に入りアプリのデザインもリニューアルされ、さらなる成長が期待されるスポーツマネジメントアプリ「TeamHub(チームハブ)」。今回は運営するLink SportsのCEO×CTOトークとして、スポーツをする人のインフラを目指すアプリの今まで、そしてこれから描く未来についてお聞きしました。

◇登場人物

富士通及び富士通エフ・アイ・ピーを経て、2014年1月にLink Sportsを創業。スポーツ×ITの力で、スポーツをする人の負を解消し、スポーツを通じて日本の高齢化社会や子供の運動能力低下改善、世界の笑顔を増やすことを目指す。ミッションは「スポーツを生きている人全てが楽しく出来る環境を創る」こと。

アルバータ大学体育学部では身体教育学を専攻。その後ハードウェアメーカーに就職し、ngi group(現ユナイテッド株式会社)、 netprice.com, Netmile CTOを経て、Link Sportsを創業。技術責任者として「TeamHub」を統括。

◇聞き手

「TeamHub」のUIデザイン, グロースハックを担当。大学時代はスポーツ社会学を専攻。在学中からスポーツメディアで働き、在学後半から卒業時にかけてデザイン会社やスタートアップ企業でデザイン業務を行う。現在はLink Sportsのコーポレート・アイデンティティ戦略も担当。

“スポーツ版Quora”からピボット。実体験から生まれたスポーツマネジメントツール「TeamHub」

── 今日は改めてLink Sports、特に「TeamHub」の今までとこれからについて聞いていこうと思います。現在のサービスの状況はいかがですか?

小泉:会社は5期目を迎えています。「TeamHub」自体はリリースしておよそ一年半。やっぱ野球をリリースしたこともあり、ユーザー数も増えて定着度も上がってプロダクトの粘着率とかも上がってきています。

広告もようやく打ち始めたのですが、思ったより伸びているっているのもあってプロダクトの成長を感じています。「こういうサービスが求められてたんだな」っていうのがより目に見えてきてしっかり体制を整えてスピードをさらに上げないとと思っています。

── 軸となるサービスの「TeamHub」も、2016年8月に本リリース。Link Sportsとしての歴史の中では未だ半分程度なんですね。

小泉:初期はスポーツに関するQ&Aサービスを運営していて、人脈作りも兼ねてメジャー・マイナー問わずそういう選手とかトレーナーとかに話を聞きにいこうという形で始めていました。

事業的な目的としてはQuoraのような形で盛り上がる予定だったんです。専門家はスポーツ版弁護士ドットコムみたいな充実ぶりでした。しかし、結論としてはニーズがなかったっていう結論に至りました。アンサー側のニーズはあったんだけど、クエスチョン側のニーズがない。なぜなら違和感を持った時には、病院や整骨院に行くから、質問の回数が少ないんです。

マネタイズできていない時期はスポーツ系のみ受託を受けつつなんとか凌ぎながら経営をしていました。

── そんななか、どのようなきっかけで「TeamHub」は生まれたのでしょうか。

濱本:ブレストの形で、いろんなやれることリストアップしてって、みんなで「これだ」と思えたのが「TeamHub」でした。実は、そもそも僕自身が10年以上前からやりたいと思ってたサービスだったんです。

「TeamHub」の構想を考え始めると、サービス起点で「じゃあこんなこともできるね」といったアイデアがたくさん出てきたんです。サービスに終わりがない感じがしない、無限に広がりそうな領域だなと。

── 確かにスポーツのオンラインサービスはまだ当時だと皆無ですし、チームという根っこの部分を抑えるとインフラとなるサービスを作ることができるというところは強いですね。

というか、10年以上前から考えていたんですか?

濱本:自分がその当時はアイスホッケー、サッカーをやっていました。ちょうどSNSとかも出だしたときに、自分のチームの結果とか、自分が何ゴールで何アシストで... みたいなのを手打ちシェアしてたんです。その時に「これ、全部記録残せて、それワンタップでシェアできればいいのになぁ」と思ったんです。

あとは、出欠の管理っていうのもすごくめんどくさくて。チーム内でも、結局メーリングリストで「何月何日に何時からどこで試合があります」といった内容に対して「出欠をみなさん出してください」、みたいなのをメーリングリストに流して、その返答をメーリングリストに返して、集計して、誰が来るっていう特定の一人が管理してて... そんななんかレガシーな、この時代にやってるのかと思ってて。

「TeamHub」はスポーツに関するマネジメント・運営タスクを徹底的にスマート化する(画像:ウォークスルー画面)

満を持して「野球」に対応。世界のスポーツマネジメントのインフラへ。

── 完全に実体験として必要性を感じていたんですね。「TeamHub」のことについて、運用して1年半ですけど、手応えはありますか?

小泉:私たちは世界のインフラになるサービスをつくっていると思っていますので、全然まだまだです。

ただ、綿密にサッカー、フットサル、ラクロスやっての野球っていうのは戦略的に決めてるストーリーは計画通りに来ています。

── その順番にした理由はなんですか?

小泉:
日本市場においては、野球の存在が大きくさらにデータ量も莫大なんですね。なので、「野球」をしっかり作りあげることはマストと考えていました。その上で、スコアがしっかり必要なもの。コミュニケーションが非常に重要なもの。人数が多いもの。熱度が高いもの。それぞれしっかり作ることで何がコアバリューになるかをしっかり検討したかったのです。

── 野球の機能、半端じゃないですよね。改めて、今までリリースしていた種目を踏まえて工夫した点とか、この部分がコアバリューになるんじゃないかっていう部分を教えてください。

小泉:野球においてはスコアですね。一球一球入れていくスコアの入力がほかの競技と全く違うところ。それがスマートフォンでの入力を極限まで簡単にしたつもりです。

── 野球のルールの複雑さの中でわかりやすさを保ちつつ細部まで仕様を固めていく...気の遠くなるような作業ですね。ユーザーの反応はいかがでしょうか。

小泉:数字を見ても、かなりいいと思います。ユーザーの方も、やっぱりよくわかっている人だと指摘をしてくれるんですよ。「ここはこうじゃないでしょうか」とか「ここができません」とか。そういう面ではプロダクトへの愛を感じますし、ありがたいと感じています。

元高校球児。CEOの小泉真也は新しくリリースされた野球ver.について語る時、自然と熱がこもる。

「TeamHub」は“スポーツ版LinkedIn”になれるか?

── 今後どのようなサービスの未来像を描いているのでしょうか?

濱本:チーム単位でも個人単位でもデータが蓄積されていくので、そこからその人の過去のスポーツレジュメができる。そして、スポーツの軸で見た時の人物像みたいなのがこう出来ていく。“スポーツ版のLinkedIn”のような、すべてのプレイヤーがオンライン上で可視化される世界を実現できると考えています。

── これはチーム管理のインフラ的なポジションにいる「TeamHub」でしかできない世界ですね。

サービスを通して、スポーツをする人がどのように変化してくれると嬉しいですか?

小泉:スポーツをしたい人がもっと増えること。スポーツをしてない時間でもスポーツに触れる時間が増えて笑顔が増えることですね。

── 「TeamHub」があることで、実際に試合や練習の時以外にもチームに触れる機会が増えますよね。

小泉:スポーツってしていいことしかないと思っている。スポーツする方が楽しいし、仲間も作れるしコミュニケーションもとれるようになるし。だから、「スポーツしようぜ」と思えるような手段を色々と提供していきたいと考えています。

── 今後力を入れていきたいポイントや、課題を教えてください。

濱本:継続率としては高いですし、あとはどれだけ認知してもらえるか、というところだと思います。もちろん、プロダクトとしてやるべきことはたくさんありますけど。

── あとはみんなに勧めたくなる仕掛けづくりが重要そうですね。

濱本:そうですね。あとは競技数を増やしていくために、「汎用的なスコアシステム」を作りたいと考えています。いわゆるサッカーみたいなスポーツって前半があって後半があって、延長もありますけど、区切られているピリオド。何対何で合計されて最終的な何対何で勝った負けたっていうのが決まりますよね。そういうスポーツってすごく多いんです。

── 野球のように一球一球詳細ではなくても、より共通で入力できる仕組みがあると一気に裾野が広がりそうですね。

濱本:そうです。そうすると、どの競技がニーズあるのかいうデータが取れますよね。そしたらそこをもうちょっと汎用的なスコアではなく、その競技に特化した種目に変えていけるんです。

── いま「TeamHub」というプロダクトに関わっていくおもしろさみたいなのはどんなところでしょうか?

濱本:1つのサービスが全然大きくなる前の準備段階。急成長する直前のフェイズです。サービス自体がどんどんみんなが当たり前に使うようになる段階は、作り手として体験できるはずです。

そこに実際にエンジニアであれば携われて、作れて...「TeamHub」に興味を持ってくれる方は、自分自身もユーザーになることが多いと思います。自分が使うサービスをつくって、なおかつそれが、圧倒的に成長するっていう経験はなかなかできないのではないかと思います。

CTOの濱本は「今後は機械学習を用いて、対戦相手のマッチング機能などについても模索していきたい」と語る。スポーツとテクノロジーの両方に精通するプロダクトマネージャーは紛れもなくこのプロダクトのキーマンだ。

[編集・構成] 富樫

現在は大人を中心としたアマチュアスポーツ選手に多く利用されている「TeamHub」ですが、より裾野が広がり子どもや教育現場でも使われるようになれば、“スポーツ版のLinkedIn”という世界は現実味を帯びてきます。

例えば、エンジニアが日常的に使うGitHubやSlackのように、スポーツをする人が当たり前に使うようになり、存在しなかった時代が思い出せなくなる──そんなマネジメントツールになる日も近いかもしれません。

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