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「エンジニアにとってかけがえのないものは発明への好奇心」Engineering Lead Micharl Orr

Rohit : マイケル、おはようございます!グラスゴー出身のあなたが、東京に来た経緯から教えてもらえますか?

Michael : 私はスコットランドの人口400人ほどの小さな田舎町の出身です。初めて大学に入学したタイミングで行ったグラスゴーが60万人程度の人口規模だったので、故郷からグラスゴーのような大都市に行くことは、自分にとって大きな変化でしたね。卒業後、さらに多い3000万人以上がひしめく東京に来ることになるのですが、この事も私にとっては大きな変化でした。(笑)どちらかというとどこでも適応できるタイプですが、都市部、特に東京は好きですね。東京はとても住みやすい街だと思います。清潔で、整然としていて、設備も整っている。地元に住んでいたらもっとお金をかけずに暮らせていたとは思いますが、東京でも十分良い生活が送れています。

Rohit : なるほど。そもそもどういった経緯でロボティクスへの興味が湧いたのですか?

Michael : 多くの人が私のことを称してハッカーという言葉を使いますが、私自身はいつも発明家だと考えています。(笑)色々と実験したり、他の人がやらないことをやってみたりすることが好きなんです。主に自分自身の好奇心を満たすことと、物が動く仕組みを理解することが今までの学び方のメインですね。

そもそもの専攻分野としては電子・電気工学を学んできました。その中でも回路基板(サーキットボード)や、PCBなどのハードウェアに重点を置いてきました。その一環として、マイクロコントローラーにプログラムを組み込む作業をしてみたら、今まで自分があまり注視してこなかったソフトウエアの分野からかなり評価してもらえたんです。そこで、空き時間に自分で色々実験等を行うようになりました。特にロボティクスは機械工学、電子工学、ソフトウェア、コンピュータサイエンス、AIなど各分野の最先端部分をかけ合わせた内容だったので、そこからも興味を持ち始めました。

ソフトウェア開発の場合、直接見えないどこかのサーバーにあるコードの対応をすることになるわけです。ほとんどの場合はAndroidのアプリか、似たような感じですよね。ロボティクスの場合だと、物理的に機械を制御することになり、自分の書いたコードが目に見える形で実装されるところが気に入っています。自分が作り上げたものが目の前に現れることが好きで、その度に満足しています。自分の指示に従うロボットを作ることの楽しさもロボティクスにハマった一つの理由だったと思います。

Rohit : では、ラピュタロボティクスとはどの様に出会ったのですか?

Michael : 学生時代、最新の発明など世間でどういう開発がリアルタイムで行われているのか知りたくてニュースや学術論文を読み漁っていたんです。気に入った記事はスクラップでまとめていました。確か2015年頃だったと思うんですが、ある記事が目に入ったんです。スイスのウェブサイトの記事で、ラピュタロボティクスがシードラウンドでの資金調達を受けるという内容でした。卒業後、キャリアとしてロボティクスをやりたいと思っていた時に、この会社のことを思い出して、調べたところ、幸運なことに丁度採用をしていたんです。元は実家に近い、スイスオフィスに応募しようと思っていたんですが、そのタイミングで東京オフィスに統合されることになったんです。ですので、直接東京オフィスに入社することになりました。

Rohit: インタビューはいかがでしたか?どんなやり取りがされたのかもう少し知りたいのですが?

Michael : 今もそうですがインタビューは複数回行われましたね。応募したポジションの採用マネージャーは、当時のエンジニア責任者であるPraveenでした。ですので、元々はクラウドプラットフォームであるrapyuta.ioで実行されるアプリケーション開発に取り組む予定で、Praveenとのインタビューのプロセス自体は至って普通でした。これは入社後に分かったことですが、インタビューの時はとても真摯に対応してもらい、とても真面目な人だと思っていたPraveenですが、実際はユーモアに溢れる人でした。最初のステップは順調で、その次はテクニカル面でのインタビューでした。基本的なアルゴリズムと、データ構造であるC++プログラミングと、確率論に関する質疑を行いました。

当時のエンジニアリングマネージャーとは私の経歴や、過去に行っていたデジタル信号処理(DSP)やデジタルコミュニケーションに関する内容が主でした。まず初めに私自身のプロジェクトについて話し、そこから、主に電子工学のバックグラウンドに関して話しました。新卒でしたので学問的な質疑もありました。

その後、会社に対してプレゼンテーションを行いました。与えられたテーマは、「クラウドロボティクス・プラットフォームをデザインできますか?」というものでした。情報として与えられたのはそれだけでしたので、適切だと思われるアーキテクチャを提案しました。5枚から10枚程度のスライドでそれぞれ違ったコンポーネントとそれらの役割に関して話しました。プレゼンには社内のほとんどのエンジニアが参加していたと思います。いくつかのデザインの選択や、なぜそのアーキテクチャを提案したのか、どの様にそれらについて発見したのかなどの質問を受けました。

最終面接はCEOのGajanさんとでした。面接というよりも、普段の会話という感じで、私がどういった会社に入社しようとしているか理解出来ているかを確認するための場でした。他に社風について、給料への期待値、会社へ対しての志望度などを話しました。数日後に内定をもらいました。この全体のプロセスはたった8日間ほどでしたので、とても早く感じましたし、良い会社だと思えました。



Rohit : 入社してからだいぶ経ちますが、ロボティクスが直面している問題点などが見えてきているのではないでしょうか。その内のいくつか教えて下さい。

Michael : そうですね。私にとっての一番の難題は、エンジニアリング単体の問題ではなく、ロボティクス技術の商用化や、より多くのマーケットやお客様へ自分たちの技術が届くようにしていくことですね。

既に工場や倉庫ではいくつかのアプリケーションでロボットが使われているところがあります。また、ドローンなどの一部の消費者向けアプリケーションや掃除機などのアシスタントロボットも見られますが、R&Dや研究室での研究成果を最大限活用した形にはなっていないのです。それら先端技術を商品化して、販売することは企業として必要なことです。テクノロジーの商用転換は、私含め多くの人にとって難しい課題ですし、それこそが今のロボティクス業界が抱える課題だと思います。

もう一つの問題は、ロボティクスは分野横断的なので、各専門分野からエキスパートを集める必要があります。これがとても大変なんです。博士号を持っていたり、有名な大学院で機械工学や電気工学を勉強してきているレベルの人たちを集めて課題に取り組まなければならないのですし、それぞれの分野でも最先端の技術が必要になります。例えば、機械工学の側面から見ると、ロボットは機械工学が現在出来ることの枠を文字通り押し広げています。システム制御やAIに関しても同じです。ただ、それぞれの専門家を一箇所に集めて共に働くことが難しいのです。

他に業界全体に言えることは、タレント不足だということですね。現在のマーケットはビジネスチャンスがたくさんあるので、若いエンジニアで興味がある人は一つのキャリアとして検討することをお勧めします。

Rohit : 今までで一番解決が難しかった問題と、その時の気持ちを教えて下さい。

Michael : 今までで一番難しかった課題は、個人的には、ドローン用のビデオストリーミングでした。

ユーザーが遠隔操作している飛行中のドローンのカメラから映像をストリーミングする仕組みがあります。この仕組みによって、離れた場所にいる人たちもリアルタイムでドローンからの映像を見られるのです。この仕組み自体は以前からあったもの、通常は5秒から10秒の遅延ラグが発生していました。この課題については特別な技術を購入しなくて良いように、既成の商用ドローンを使用しました。そして、遅延を1秒未満まで短縮することができ、ほぼリアルタイムでの配信ができるようになりました。遠隔地で、しかも空中を飛び回っているドローンから大容量データをストリーミングできるようになったんです。ドローンは通常探索や、救助、メンテナンスなどの用途で使われます。例えば、ダムのモニターやパイプの漏れなどが無いかの調査に使われますが、厳密に管理された環境での操作は稀です。

整った使用環境ではない中で、ビデオストリーミングをリアルタイムで行うのはエンジニアにとってかなり難しい課題でした。

Rohit : 今までのキャリアの中でエンジニアや技術者で刺激を受けている人はいますか?

Michael : 当然ですがエンジニアから生まれる発明にはいつも感動しています。ですので、物事に挑戦していたり、実験したり、発明したりしている人達から刺激を受けていますね。歴史上の話だと、テレビの発明に関する歴史はそこで行われた多くの研究が先進的であったことを踏まえると、非常に刺激的です。Philo FarnsworthやJohn Logie Bairdなどのテレビ開発の先駆者達は、研究室の中でひたすら実験を繰り返すことで発明に至ったのだと思います。それだけでなく、彼らは同時にそこから生まれた技術を商用化するという課題も解決しました。彼らは、自分たちの発明を売り出す会社を自ら立ち上げたんです。彼らは研究室の中で発明を生み出しただけでなく、最終的には、一般市場向けの商品開発まで成功させました。有能なエンジニアであっただけでなく、ビジネスマンとしても有能だったということです。彼らから学べることは、発明のための好奇心を持つことがエンジニアにとってかけがえのないものだということです。

エンジニアが解決すべき課題は常に変わります。それらに立ち向かう上で色々なことに常に好奇心旺盛でいる事が必要なのです。それに加えて、単に研究室で開発するのではなく、もう少しハンズオンで実践的な開発に携わることでより利益を得られるだろうエンジニアは大勢いると思います。どのような環境にも対応できるロボットを開発することが、我々がこだわり続けている目標です。一度動けば良いという物ではありませんし、毎回正しく制御出来なければいけません。

最後に、多くのエンジニアはビジネスの事をあまり考慮していません。当たり前ですが彼らにとって一番の関心事は技術そのものです。ですが、エンジニアリングとビジネス両面での成功者から、どの様にしたら自分たちの技術を商用化できるか学ぶ事はできます。自ら実験、商品開発、市場展開まで成し遂げたJames Dysonも良い例でしょう。このように、最近でも成功している実例があるのです。

Rohit : テクノロジーと人文科学の間でよく行われる議論について聞かせてください。技術分野における発明のほとんどは、純粋な善意を基に生まれました。そこで議論になるのは、エンジニアは発明自体に責任は発生するが、それらの使われ方に責任は無いということです。このトピックについてどのように考えますか?また、今後数十年でエンジニアが果たすべき役割はなんだと思いますか?

Michael : はい。特に最近、多くの議論を引き起こしたトピックですね。一般的に考えれば、ほとんどの職業においてそれぞれの倫理的基準に準拠することが必要であり、エンジニアも例外ではないでしょう。歴史的な面から考えるとソフトウェアエンジニアは確かに、まだ新しい職業かもしれません。未熟なエリアとも捉えられます。従来の製造業ほど標準化されていませんし、歴史ある企業で見られるような倫理委員会のようなものもあまり見られません。

核心に迫ると、医者とエンジニアを比較した場合、医者は患者に害を及ばせないようヒポクラテスの誓いを遵守し、常に患者のために最善を尽くします。エンジニアにも似たようなことが言えると思います。彼らが開発したものが社会にどれだけ影響があるのかを考えれば良いのです。現在では、多くの人がこの事実を意識していると思います。ですので、例えば開発成果が軍事産業や戦争で使われるかもしれない業界を避けるエンジニアは多くいます。

具体的な例で言うと、宇宙開発におけるロケットはミサイルの相似形です。例えエンジニアが良心を持って良い物を作り上げたとしても、悪意のある目的に転用される懸念があるので、この業界を避けているエンジニアも多くいます。また、エンジニアとして、倫理的に良い目的のために使われる技術を開発し、それに対して優れたプロダクトを作り上げたと感じられるほうが、人生に対する達成感も生まれると思います。

ですので、エンジニアにも少し責任があり、自分の才能がどんな事に使われているのかを問い、知ることは大切だと思います。自分の仕事の成果がどの様に影響するのか気にかけることは人類全体にとってプラスだと思います。

特にロボティクスは、戦地での使用など近年議論が盛んに行われていますので、特別な立ち位置にあると思います。何年か前に、テロの状況下でロボットがテロリストへ爆弾を運び、殺害したということがアメリカであったことを覚えています。それが初めて警察によってロボットが使われ、間接的に人を殺害した例でした。それだけでなく、戦地でもドローンが爆弾のターゲットを自律的に決めるなどの事例が見られます。これらは人間であるエンジニアが開発した結果であることは明らかです。彼らは戦争に対する哲学的、道徳的異議やある程度の影響力を持っていたのかもしれませんが、一人ひとりが自らの開発に責任を持ち、再生可能エネルギーや、薬の開発など他の分野へ少しでも注力していたら、人類は今よりもっと良い道を進んでいたかもしれません。

Rohit : 次の質問です。今後ロボティクス業界で働こうかと考えているエンジニアも多いと思います。これから進みだそうとしているエンジニアに向けて伝えたいことはありますか?

Michael : 一番大事なことは、エンジニアリングの基礎、基本をしっかり学んで置くことです。

数学、線形代数の基礎をきちんと学んでいることが、ロボティクス開発の基盤を形成します。ロボティクスは学際的ですので、機械工学を学ぶことと、電気工学を学ぶことでは違った道筋が見えてきます。

ラピュタでは主にソフトウェアに焦点を当てているので、それに関して答えますね。ロボティクスに足を踏み入れたいと思っている意欲的なソフトウェアエンジニアであれば、特に何かに特化した技術よりも、コンピュータービジョンや、パーセプションなどの一般的な概念を調べたほうが価値があると思います。また、デジタル信号処理などのトピックもよく使用されます。さらに、AIの概念はロボティクスではよく試されることがあります。それに機械学習ですね。もちろん、何度も繰り返しになりますが、基本がしっかり出来ていて、幅広い一般的な知識があることが良いのではないでしょうか。なぜなら、違ったタイプの、違ったバックグラウンドを持つエンジニア達と共に一つの物を作り上げないといけないからです。業界の変化も速いので、何か特定の道具や技術で完結するのは難しいですね。今では一般的なことも5年前にはそうではなかったですから。ですので、これから工学部へ入る人たちや、業界へ入る人たちが、何か特定の物に焦点を当てて学ぼうとしていたら、数年後には全く違うものが主流になっているかもしれませんと伝えたいです。

技術書も変わります。道具も変わります。技術も変わります。ですが、基本は変わりません。ですので、基本に強いことは良いことです。これはロボティクス業界だけに限らず、どんなキャリアを志望しても言えることだと思います。

Rohit : 役立つ情報ですね!Michaelさんを鼓舞するものはなんですか?特にロボティクスは独創的であり、他の業界と比べてはるかに忍耐力と度胸が必要であると感じています。

Michael : 私にとっての原動力は何かを作り出したいという欲望ですね。学んだこと、知識、そしてトレーニングしてきたことを物理的に作り上げて、成果物として実際に見られることです。より具体的に言うと、やっぱり、私はロボットやサーキットボードなど、実際に物に触れながら作業することが好きなのです。ですので、私の仕事は、何も無いところから実際に手を動かし、物事を設計し、全体的なアプローチを組んで、ロボットシステムのあらゆる面を考慮することもします。

大きなシステムの一部の小さな部品だけの仕事はしません。現在開発しているロボットシステムのあらゆる部分を自分で実際に確認しながら作業することができるのです。この点においてはかなり自由に作業出来ていますし、自由に作業できることはとても良いことだと思います。そして、Rapyuta Roboticsで私たちが開発したシステムは、社会全体にとっても有益であると確信しています。

特に、ロボットを倉庫に配置する倉庫自動化システム(Warehouse Automation Systems)に取り組んでいますが、これらのロボットが労働者の代わりになるわけではありません。ロボットは労働者の生産性を高め、それにより労働者はより価値の高い仕事に取り組む事が出来ます。ロボットが単調な作業を引き受けるのです。例えば、私のチームでは倉庫内で荷物を運ぶロボットを作成しています。他のチームでは、ロボットが荷物の仕分けをしたり、荷物を拾得し動かすという単純作業をするロボットを作っています。以前は人が行っていた作業ですが、人はより創造的な仕事をしたほうが良いと思います。そのためにも、単調作業はロボットによって自動化していく必要があります。倉庫業務で働く人たちにはもっとクリエイティブな仕事をするチャンスがあるのです。私が毎朝オフィスに来るもう一つの理由は、トンネルの出口には、私たちのプロダクトを使用する人々にとって本当に有益な物を開発していると信じているからです。

これはロボティクス全体に言えることだと思います。先ほど触れた消費者向け製品なども同様です。単純な作業を自動化しているのです。例えば、ロボット掃除機のルンバです。毎日20分、人間が掃除機をかける必要がなく、その時間を別のことに使えるのです。業界が成長するに従って、技術も進化するので、ロボットもより多くのことが出来るようになると思います。年配の方に配慮をしたり、物を運んだり、ロボットが代わりに物を運んだりする事は、社会全体にとって有益ですし、エンジニアの仕事とも倫理的に結びつきます。このような仕事を続けていれば、将来自分のキャリアを振り返ったときに有意義な時間を過ごせていると思います。

Rohit : 最後にいくつか質問させてください。好きな本、映画や飲み物はありますか?

Michael : 良い質問ですね。ウィスキーが好きです。スコットランド出身なので、ウィスキーはスコットランドが産んだ罪ですよね。(笑)

好きな映画は、毎週変わりますので、一つ決めるのは難しいですね。

でも、ここ5年ほどで一番面白かった映画は『エクス・マキナ』です。会社のCEOがロボットを作成し、社員の一人を招待してチューリングテストをするのです。良い映画でした。ロボット工学の可能性については多くの懸念がありますし、同じ世界で働くエンジニアとして考えさせられるものでした。

本も映画と同じ感じですね。ノンフィクションが好みなので哲学や歴史の本をよく読みます。最近は日本に住んでいるので、日本文学の本を読んでいます。文学史上では1920年代の大正デモクラシー周辺の本が面白いですね。当時は西洋文学と日本文学が初めて出会った頃の良本が多く出版されていたのでその年代が好きです。1冊決めるとしたら、英訳されている、『痴人の愛』です。最近読んだのでこれを選びますが、7日後に同じ質問をされたら他の本になっているかもしれません。(笑)

Rohit: ありがとうございました!

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