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ディスラプトとリプレイス -事業モデルの違いからくる抑えるべきポイント-

この記事は、弊社プロダクト「Poisy」において、中期継続率(30日以上継続率)を上げるための新しい機能の追加時に考えた内容である。

具体的には、ディスラプトとリプレイスという2つの事業モデルの違いから、課題に対しての取り組むべきソリューション(機能)を導き出した。

以下、その内容になるので、ご一読頂きたい。

ディスラプトとリプレイスという2つの事業モデル

ディスラプトとリプレイスには、2つの軸によって、違いを表すことができる。

まずは以下の図をみて頂きたい。

上図の通り、

Y軸:顕在課題↔潜在課題

X軸:市場に既に存在している↔市場に存在していない

という軸で成り立っている。


顕在課題は、実際にユーザーが気づいている課題で、

潜在課題は、ユーザーが気づいていない課題である。


新しい事業においては、この2つの事業モデルが存在し、自身のサービスがどちらかに当てはまるかをきちんと認識すべきである。

理由としては、リーンスタートアップにおける各フェーズのどこからその事業をスタートすべきかを知ることができるためである。

また、スタートアップには時間は重要な要素になるため、検証が済んでいるフェーズに取り組むより、早く事業をスケールさせていくことが必要なためでもある。

リプレイスモデルの場合は、Product Market Fitから一気に必要があるので、フェーズと事業モデルを照らし合わせるべきである。

Startup Science 2018

リプレイスモデル

説明

既に市場にその課題・ニーズ・ソリューションが存在しているケースで、なにかしらのきっかけにより、その産業を別の新しい事業が既存事業からリプレイスするモデルである。

例えば、メルカリ。メルカリは、既にヤフオク等のPCにおける中古品の取引市場が顕在する中で、そこの市場をとった。デバイス環境の変化からスマホシフトを行うことによって、既存のモデルとは同一であるが、一気に既存サービスをひっくり返した。


必要な要素

課題・ニーズは既にあるので、以下にWinnerになるかが勝負(“Winner takes all”)。

どれだけユーザーを取り込むか。コンテンツ量とユーザー数勝負。規模を拡大できる思い切りの良さが鍵。マーケティングも非常に大事になってくる。(もちろんプロダクトファーストであるが)

Insudtry Co-Creation/メルカリの「逆算思考の成長戦略」 – 先行サービス撃破の舞台裏【F17-5C #2】


また、リプレイスモデルにおいては、何かしらの変化が市場に起こったタイミングでないとリプレイスが難しい。そのタイミングをきちんと把握するために必要なのが、PEST分析である。


PEST分析

以下の4つがPEST分析のフレームワークである。

P:Politics 法改正・税制・政権交代(その政権の思想なども含まれる)・裁判

E:Economy 景気・経済成長・物価・為替・消費・金銭モデル(ビットコインへの移行など)

S:Society 流行・慣習・人口・世帯・少子高齢・教育・言語

T:Technology インフラ・IT活用・イノベーション・特許・新技術(デバイスなど、スマホ・AR・VR)





対象の市場において、上記4つを感度高く、アンテナを張っていき、市場に変化が適応されたタイミングを見ていく必要がある。

Pに関しては、法改正などをまとめたサイトがあるので、そこを定期的にチェックしたり、

Eに関しては、経済ニュース、為替など経済関連の情報を取得したり、

Sに関しては、SNSでリサーチかけまくることによって、人々の習慣を知ったり(フリルもコミュニティサイトからインサイトを得た)、

Tに関しては、論文や、技術系のメディアから情報を取得したりする。


例としては、Air Bnbのサブプライムローンであったり、Uberにおけるアメリカの法制度(日本で流行りきらないのも法制度の問題がでかい)などがある。


ディスラプトモデル

説明

市場において、その課題・ニーズが顕在しておらず(潜在課題)、またそのソリューションも市場に存在していない場合のモデル。新しく市場を作りにいく立場になる。今まだ市場に根付いていないものを新しく作るイメージである。

例えば、Paymo(オンライン個人間送金のサービス)。

Paymoだと、オンラインによって送金を行うことによる、支払いと集金の簡易化・決済フローの簡易化があるが、ユーザーにオンラインでお金を送り合うという習慣が浸透していないため、それはあくまで潜在的課題・ニーズにしかならない。

あったら、いいなとは思うが、ユーザーにとっては、熱烈にそれを必要としていない。つまり、顕在的に求めてはいない状態である。


必要な要素

このモデルの場合には、論理性と非論理性/サイエンスとアートが必要である。

論理性は、こういう課題があるから、こういうソリューションを提供してあげることによって、ユーザーは使うだろうという課題に対してのソリューションを導き出したものになる。

非論理性は、なんかかっこいい、なんか楽しい、なんか使ってみたいといったような感覚的なものになる。リプレイスモデルのように顕在的にその課題を認識していない場合は、習慣づくりからさせていく必要があるため、論理性だけでなく、人の中に存在している非論理性も駆り立てる必要がある。

Paymoの場合は、この非論理性をマーケティングやブランディングという部分で、うまくやっている。イメージ戦略は非常に秀逸である。

SELECK/真実は市場のみぞ知る。市場分析に基づいた、paymoの大胆なマーケティング投資の裏側


非論理性

非論理性にも色々な要素があるが、基本的に共通しているのは人間の欲求に沿ったものであるということである。

以下が非論理性の代表的な3大要素(キラーコンテンツ)である。

・めちゃくちゃ楽しい
・めちゃくちゃ便利
・めちゃくちゃ安い

人間はこの3つに弱く、論理的思考力が鈍くなる。「セール品なんだ!今月お金ないけど、買っちゃお!」と言った形で、論理的に考えれば、やめておくべきでも、ついついそこに乗っかってしまう。

Cashに関しても、今まで質屋に行かなかった人々も圧倒的な便利さと圧倒的な即時換金から、ユーザーがその新しい習慣を体験している。


おわりに

Poisyでも上記の分析から機能追加を実際に行った。サービス当初は、このモデルをきちんと理解しておらず、潜在課題にばかり目を向けてしまったが、潜在課題を習慣化させるために、「非論理性」が必要だということを発見したため、今まで考えていなかった機能につながった。

新しい事業を作る時や、継続率を改善したい時に、本当に必要な課題はなにか、きちんと見分けるために役立ててみよう。

あなたのサービスが抱えている課題は事業モデルからみてみると新しいことが見えてくるかもしれない。

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