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【SELECK Live! vol.1】STORES.jpの80万店舗で起こる「買い手の変化」と「売り手の進化」とは(株式会社ブラケット 山崎様)

SELECK Live! vol.1の模様をお届けします!

広報の永田です。弊社が運営するWebメディアSELECKでは、ビジネスの現場における生産性向上の事例を、これまで350社以上に取材し、世に発信してきました。

そして、この度、SELECKで取材させていただいた企業様をお呼びさせていただき、リアルな場で事例やノウハウをシェアいただくイベント「SELECK Live!」を10/20(木)に開催いたしました。

第1回となった今回は、「EC」をテーマに『4社の先進ECが実現する、最先端「デジタル」戦略セミナー』と名付けて開催させていただきました。

ご登壇いただいた4社様の中から、今回はSTORES.jpを運営する株式会社ブラケット山崎様の発表の模様をシェアさせていただければと思います。

STORES.jpの80万店舗で起こる「買い手の変化」と「売り手の進化」とは

ブラケットの山崎です。今日お集まりいただいた皆様は、ECで商品を販売している方が多いと思うのですが、弊社はECを使うための仕組みを無料で提供するプラットフォーマーです。

2012年にオープンし、現在は約80万のアカウントがあります。本日は近年のオンラインストア上で、購入者側と販売者側がどう変化したかについて、お話しできればと思います。


私は新卒で個人事業主向けCMS開発会社に入社し、営業を担当した後、2013年にブラケットに入社しました。

最初はオペレーションチームで、「写真を上手く撮れないので撮影してほしい」「人に配るストアカードが欲しい」など、販売者側の要望に応えるサポートを担当していました。そして、1年半程前から、もう少い広い範囲をカバーすべく、マネージャーをやっています。

本日、お話しさせていただくのはこちらの4点です。

1点目はSTORES.jpのご紹介、2点目はECがSTORES.jpの登場前後でどう変わったかについて、3点目は流行る店舗、そうでない店舗の違いについて、4点目はソーシャルな時代で販売者側・購入者側がどう変わっているのかについて、ご説明させていただきます。


まず、STORES.jpの紹介ですが、最短2分で簡単にオンラインストアを作ることの出来るサービスです。アイテムを選んで値段を設定、デザインもテンプレをポチポチクリックするだけで、おしゃれなストアが完成します。

STORES.jp Introduction Movie

よく「STORESで売って欲しいのですが」「STORESから発送されてきません」などのお問い合わせをいただくのですが、私たちは何かモノを持っているのではなく、ストアを作る仕組みを作っている会社です。

こちらはユーザー数の推移です。13年にスタートトゥデイのグループ会社になったのですが、今年の10月に独立しました。当時、ZOZOTOWNと協業してZOZOマーケットというものを作りました。ZOZOTOWNだと有名なアパレルブランドしか出品出来ず、費用もかかってしまうので、個人のクリエイターが出店できるマーケットをつくりました。

運営会社であるBracketについてですが、2008年に設立し、5,6の事業開発で試行錯誤を繰り返した後、2012年にSTORES.jpをローンチし、成長させてきました。社員は20名で半分がエンジニア、それ以外にデザイナー・オペレーション・総務・広報等がいます。

平均年齢は28才程です。

参入障壁を下げ、誰もがオンラインストアを持てる世界を実現

次に、STORES.jpの登場前後でのEC業界の変化についてご説明します。

STORES.jp登場以前では、ECを使うためにWebサイト構築の技術や、決済導入のハードルがありました。

そのため、年商で数百万以上の規模でないとEC導入が難しく、利用できる人は限られていました。

その上でSTORES.jpが何をしたかというと、2分でストア開設を出来るようにしたり、決済手段を豊富にしたり、無料で利用出来たりと、フリマアプリ等がなかった当時では非常に革命的なサービスでした。

これによって、Web知識や予算はないが、商品力を持っているような、それまでECに手を出せなかった人々がECを始めるようになりました。運営側としては、小規模な店舗に加え、一般の主婦やクリエイターの方々にも使っていただきたいという想いで、月額の利用料は無料としています。

「ジャパネットたかた世代」をもユーザーに

実際に、どのように利用されているかについて、ご紹介させていただきます。この方は60代の主婦の方で、ひとりでSTORES.jpを利用いただいています。

ページ構築・画像作成・発送も全て自分でやっています。アクセス解析を見て、「全国から買われていることに感動した」とおっしゃっていました。

「EC」と言っても分からない、「ネット通販」でもギリギリ分からない、「ジャパネットたかた」だとようやく分かるという世代にも、オンラインで販売する側になってもらえるという変化を起こすことができたかと考えています。

次に流行るECと流行らないECの特徴について、簡単にご紹介します。

まず、販売されている商品の内訳なのですが、元々、スタートトゥデイのグループ会社だったということもあり、アパレルが半分です。次に自作のiPhoneケース・キャラクターグッズ・手芸用品など、雑貨が25%を占めています。

その他はSTORES.jpが新たに開拓出来た部分で、基本的にオンライン販売というと物販が多かったかと思うのですが、音声のダウンロード販売というものもございます。例えば、映画評論家の町山智浩さんによる「君の名は。」の評論などがとても人気でした。

また、チケットは他の販売サイトと比べて手数料が安価なので、劇団であったり、Mr.Childrenさんにもご利用いただいたことがあります。STORES.jpで販売し、発送は自分達でやったり、外注したりしています。

写真の美しさは重要でない!?

次にどのような商品が売れているのかということなのですが、実は「売れている商品は商品写真が綺麗」という訳ではありません。

これらはよく売れている商品なのですが、写真はスマホで撮影されています。

ソーシャルを使いこなせ!ユーザーは世界観に共感して購入する

では、何がそこまで人を惹きつけているのかというと、ストアのストーリーや世界観で売れているということが、ひとつの共通項としてあります。

ある日、急に売上を上げたyouthfulsurfさんという販売者さんがいるのですが、こちらのストアでは、インスタのプロフィール欄にストアURLを貼った上で、投稿によってプロモーションをしています。

ストア自体は比較的シンプルです。月額980円のプランで、そこまでお金はかけずにたくさん販売しています。

もうひとつ紹介させていただきたいのが、横浜にあるハワイ発祥のLeonard'sさんというドーナツ屋さんです。元々、ECをやりたかったがお金はかけられない…という中でSTORES.jpを使い始めました。

コスト面でのハードルが低いため、ECに勝算はあるのか?ということを検証するために使い始めるユーザーさんもいらっしゃいます。

こちらはLeonard’sさんが、「ハワイ」「おいしいマラサダ」というキーワードで、キュレーションサイトのMERYに取り上げられた記事です。これによって一気に売上が上がりました。

ピンク×ロゴがキュート♡ハワイ発マラサダ店『レナーズ』のグッズをチェックして!

こちらはチケット販売の事例です。

このランディングページから「チケットのお申込みはこちら」を押すと、STORES.jpに飛ぶという仕組みになっています。

こちらが購入ページです。このナビゲーションはアパレルを想定していて、サイズ・色違いを示すために使っていただこうと思っていたのですが、これを公演日時別にチケットを表示するために利用いただいています。

簡単にいうと、物販に囚われず、売りたいモノを、その世界観に共感してもらう事で販売することがトレンドなのかなと思います。

後ほど紹介するのですが、ホームページは持っていなくても、インスタなどのソーシャルとSTORES.jpを使って、コストを掛けずに販売している人が多いという印象です。

最後に「ソーシャル時代におけるユーザーの変化とこれから」について、ご説明させていただきます。

先程からご説明させていただいているように、インスタやYouTubeを上手く活用しているストアが増えているという印象です。

そのようなストアが増えているということは、インスタやYouTubeを利用している買い手側のユーザーも増えているということが言えます。

例えば、このYouTuberの方は100万人程のチャンネル登録者を持っているのですが、このキーホルダーを648円で販売しています。

ぽきまるラバーストラップを販売します!!【グッズ・チャリティ】

この動画は自撮りで、特別凝っている訳でもないのですが、動画を活用した方法で学生を中心にとても人気があります。コメント欄をみると、「111円にしてくだせぇ」みたいな書き込みがあったり、こういうコミュニティがあるんだなと感じました。

「商品写真が綺麗か?」ではなく、いかに世界観を作り、ファンを囲いこめるかが重要です。

問い合わせは、コミュニティ内のユーザー同士で解消されることも

コメント欄には、他にも「コンビニ決済したいんですが、やり方がわかりません…誰か教えてください!」と書き込まれていたことがありました。「書いてあるじゃん!調べたらわかるじゃん!」と思うのですが、この方はおそらく初めてネットで商品を買う人です。

「コンビニで料金を払ったのに店員さんが商品をくれなかったんですけど!」という問い合わせもありました。そのような人でもユーザーになっており、ソーシャルの普及も伴って、これまでECと結びつかなかったユーザー層にリーチし始めているということが言えます。

また、分からないことがあれば運営者であるSTORES.jpに聞くというのが今までの傾向だったのですが、最近では、ファン同士のコミュニティで解決されることも多いです。

このように販売者側としては、ユーザー囲い込んでコミュニティを形成さえすれば、自分が返信しなくても、ユーザー間で問題が解決される傾向にあります。

最後にこちらの事例をご紹介します。この方は主婦なのですが、インスタのフォロワーは853人と特別多いわけではありません。

ただ、「レビューを書いていただいたら、プレゼントします」のような細かな気配りをして、うまくコミュニティを作り上げています。

一人ひとりがオンラインストアを持つ世界を作りたい

今となっては、一人ひとりがSNSのアカウントを1つ持っていることが当たり前の時代かと思うのですが、同様に全ての人々がオンラインストアをもっているような世界を作りたいと考えています。

名刺にメルアドやTwitterアカウントが掲載されているように、ストアのURLも載っているような文化を作りたいと思います。

質疑応答

Q.メルカリとSTORES.jpの違いについて教えていただけますでしょうか。

要らなくなったものや、仕入れたものなど、商品単位でモノを出品して売るフリマアプリに対して、私たちはストアを出すという部分をコンセプトにしています。この点が違いかと思います。

また、STORES.jpはアプリを提供していないというのが特徴で、全てWebからストアへ飛ばすという形をとっています。最近はアプリ内で全て完結するというサービスも多いですが、STORES.jpの場合は、LPから決済ページへ飛ばすというように、どこかから顧客を連れてくるのには向いているサービスです。

加えて補足すると、実はSTORES.jpにある約80万の店舗を全てまとめたページは存在しません。楽天さんやアマゾンさんは店舗を一覧で見ることのできる「モール型」と呼ばれる形態ですが、私たちの場合は販売者側に、オンライン販売の仕組みだけを提供しています。

Q.個人ECは既存のEC市場と競合するのでしょうか?既存ECが個人ECに顧客をとられないためには、どのようにすればよろしいでしょうか。

購入者側は競合するかもしれませんが、販売者側はバッティングしないかと考えています。というのも、STORES.jpの場合、無料か月額980円で提供しているため、機能的にかゆい所に手がとどかないという声をいただく事があります。

月数千万の規模で売上があがるストアだと、使いづらい部分もあるので、その場合は、月3~5万で運用するような、より高機能なECを私たちから勧めることもあります。

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