【SELECK Live! vol.1】ECの売上を5倍にしたメガネスーパーのEC→デジタル・コマース戦略の全貌(株式会社メガネスーパー 川添様)



メガネスーパーの川添です。よろしくお願いします。



大学で建築を学んだ後、アパレル業界に就職し、その後、EC・デジタルマーケティングの領域に移りました。現職のメガネスーパーには約3年間います。



モノではなく、体感ビジネスとして差別化


メガネスーパーは約330店舗展開しており、メガネ・コンタクトレンズ・補聴器を販売しています。8年間赤字だったのですが、ようやく昨年黒字化し、再生フェーズから成長フェーズへ入っています。

その過程の中で、現在は「アイケアカンパニー」というポジションを明確にしています。単なるモノ売りではなく、お客様一人一人の「眼の健康寿命」を延ばすために、最適なアイケアサービスや商品をご提供しています。モノではなく、体感ビジネスとして差別化することを大切にしています。というのも、モノは世の中に溢れ、制作技術が発展している中で、特にメガネは差別化が難しく、真似しようと思えば似たメガネフレームを作ることが出来ます。弊社も、一時期は価格競争に陥り、競合が台頭してきた結果、赤字になっていったと捉えています。

何が体感かというと、メガネというのは見え方や顔の形まで考慮すると、1本1本がフルオーダーメイドのような商材で、ひとつとして同じものはできません。「眼の健康寿命を延ばす」「最適な見え方」を突き詰めると、生活環境のヒアリングや、多角的な眼の検査などを十分に行い、あらゆる角度からお客様の状況を把握する必要があります。

ですので、我々は検査やヒアリングに十分な時間をかけて、より揺れやゆがみの少ないレンズのご提案をします。それは、お客様一人一人の「眼のコンシェルジュ」として、良い見え方を体感していただくことが大切だと考えているからです。これにより、劇的に経営が改善していきました。

ECの売上については、私の入社前の約3年間横ばいだったのですが、入社後は改善を繰り返し、今では当時の月商の4〜5倍までになっています。


その話をSELECKさんでもさせていただきました。

EC売上が5倍に!「ちょっとしたキッカケを積み重ねる」メガネスーパー・EC戦略の全貌

社長自らポスティング

最近よくセミナーに出るので、「川添さんマーケターですね?」と言われるのですが、その呼ばれ方は好きじゃないです。どちらかというと、地道に積み上げていくことの方が好きです。

『キャラバン隊』という社長を隊長とし、店舗の売上アップの為に、役職・部署・地域を超越して活動・支援する有志の集団があります。社長自ら毎週末に大型車を運転し、社員40~50名、多い時は80名くらいで店舗を回って、「最新の店」に変えているんです。社員は店内、店外のそれぞれの役割に分かれます。その一つでポスティングがあるんですが、僕はその担当です。今日は3万3,000歩歩いてきました。約25km歩いて缶ビール飲むと、凄い吸収が早いので、酔っ払って話ができないのではと、さっきまでヒヤヒヤしていました(笑)

ポスティングは社長もやっています。自社の社員でポスティングをやることで、明らかに対象外の物件には配布しない等、クオリティのコントロールができるため、業者に頼むより精度が高いんです。

鯖江での取組(ポスティングIoT実証実験)

この活動を、よりデジタルを活用して出来ないかということで、オープンデータの活用に積極的な鯖江市で、ある取組を行いました。

具体的には、スマホを使って、ポスティング時の移動の軌跡をリアルタイムで地図上で表示させたり、ポスティングNGのマンションにマークを付けたり、メガネスーパーの購入圏にマークを表示させて、そこに集中的にポスティングを行うというような実証実験にも取り組んでいます。


本日は、前職含め、6年程ECに携わってきた中で編み出したメソッドをご紹介させていただきます。


ECを成長させるための要素ですが、まず、人・組織が非常に重要です。よく、「ECって人要らなんじゃないか?」と経営者は思いがちなのですが、そんなことはありません!

ECを運用している側からすると、他のECを見た時に、「このサイトの担当者、凄いやりこんでんな〜」というのが何となくわかります。それ程、ECを運用する人・組織の色が出てきます。

そして「販売手法」「在庫MD」「集客」の3点が大切です。 販売手法については、僕らは小売なので、実店舗に近い売り方(サービス)に近づけることや、セール・キャンペーンといった販促、ユーザー目線に立ったサイトの表現、それに伴うシステム改修を指します。

また、在庫はECに相性の良い商材を揃えることや、「お店に在庫があってECにない」という状況を作らないことが重要です。

最後に、集客ですが、弊社の場合はお店があるので、既にお店を知っている人から取ってきた方が早いと考えています。逆に新規事業だと認知がないので、新しい集客が必要です。ただし、僕たちのように多店舗展開をしていると、ある程度のルールがあるので大それたことは出来ません。双方のバランスが大切だと思います。

集客の前に、まずは「売れるお店」をつくる

ECのコンサルの人は、よく集客(特にWEBマーケティング)の話をするのですが、僕はあまりしません。まず、売れるお店を作りましょうということを必ず言います。なぜなら、売れるお店ができて初めて、集客によって売上があがるからです。例えば、在庫のないお店に1万人来ても売れる訳がありませんよね。本日は中でも「販売方法」「集客」について、お話しいたします。

EC担当あるあるとして、

・「ネットで売る」となると思考が停止する

・「ネットだから・・・」と特別なことを考えたがる

・リアルとネットのお客様を別と考える

等があるのですが、ECはあくまで人を介した小売です。


ですので、他サイトとの差別化よりも、「ちょっとしたキッカケ」を積み重ねることが重要なのではないかと考えています。

売上のシェアは、全社ではメガネが約56%、コンタクトレンズが約37%、補聴器が約5%ですが、ECでは約95%がコンタクトレンズ・カラコンです。 コンタクトレンズはECで売れるでしょと思われがちなのですが、価格競争が激しい領域でそう簡単に売れないんです。僕らは、土俵を価格ではなく、店舗との連携や、なるべく買いやすくなるような独自のサービスで勝負をしています。

ツールも色々と使っているのですが、テクニカルな部分は後からでよく、まずは、お客様のことを考えてみることが大切です。

店舗との差別化ではなく、「いかにECを店舗に近づけることができるか」を考える

やはり、ショッピングとしての体験で見ると、リアルに比べるとWebは劣ります。お店で買った方が空間や接客、モノに触れる体験を通じた「満足感」が高いじゃないですか。単価が高い商材であればなおさらです。また、接客してほしいという人もいますし。ECを店舗と差別化するのではなく、いかに実店舗に近づけていくかを、常にテーマとして考えています。ECの独自性はその後でよいと思っています。

ECでのメガネの販売シェアは、コンタクトレンズと比べて低いのですが、以前と比べて購入単価は約3倍に上がっているので、売上自体は上がっています。

また、メガネフレームの店舗在庫も閲覧できるようにしています。メガネはネットで買うハードルが高いので、ネットでカタログ代わりに見てもらった上で、来店してもらうような導線も用意しています。

また、店頭とコンビニで商品を受け取ることのできるサービスをやっています。新規顧客の利用も多いので、このように利便性を高めることは大事だと思います。

店舗とECを併用するユーザーはまだまだ少ない。

メガネスーパーのECを使っている理由を、会員向けにWebのアンケートで聞くと、やはり「信頼感がある」からなんですね。ただし、店舗とECを併用している人が実は少ないんですが、併用されるお客様は、「商品が届くのが早い」「店頭で検査した度数で使える」「品揃えが多い」等が便利だと感じていただいているようです。

また、店舗利用がないECのみを利用されるお客様は、「決済手段」「アフターフォロー」の評価が高いです。ですので、新しいサービスの導入や、いかに即日配送するかなどのサービス拡充は間違っていないんだなと認識しています。

画像なしでも売れてしまうことも

次にメルマガについてですが、前職でマルキュー系のレディースアパレルでECをやっていた時、「メルマガを送付しない」「掲載した販売日の誤り」でしばしばクレームが来ました。それほど、新作の商品情報が求められているんだなと感じていました。

ECでも毎週の新作アップ日に売上が上がるのですが、その時は店頭とECの販売が1週間程違っていたんです。大体のアパレルメーカーは販売日にタイムラグがあります。ただ、これだけ新作が求められているんであれば、僕らはそれを一緒にしようとしました。 そう考えると、「サイズや商品説明が間に合わない。まずは商品を買える状況を作って、後から追加しよう」と全社の協力を仰いで実現をしました。一見簡単そうですが、色々な人の協力がないとできません。

そして、ある時、画像を掲載し忘れた時があったのですが、なんと、それでも売れてしまったことがありました。うっかりと色違いの画像を掲載するのを忘れてしまい…。なのに、売れたんです(笑)これは衝撃的で、企業側としてのECのセオリーがある意味チャラになりました(笑)

その時に分かったのは、このブランドのお客様は「手に取れる早さ」を求めているんだなということです。ですので、その後も、そこの改善に努め、最終的にはサイズ・商品説明も含めて店頭販売日にあわせて商品アップができるようになりました。企業側が考えていることは、お客様にとっては関係ないこともあるという、ひとつの事例です。

EC上ではメリットを分かりやすく伝えることが重要

メガネスーパー入社時は、ASPカートを使ってECサイトを運営していました。当時は、まだスマホ対応もしていませんでした。現在は、こういうサイトで、バナーがとにかく多いです(笑)。

▼現在の公式通販サイト


「何がメリットかを分かりやすく伝える」ことを意識していて、昔のサイトだと、何がこのサイトでお得なのか、メリットがあるのかが伝わってこないなと思いました。例えば、実際にやっている「5,000円以上送料無料」というのは、フッタのテキストを見ないと分かりません。

そういった状況の中で、7月に入社してサイト上部にメリット4つのバナーをつけたら、600万円の月商が、 800万円に増加しました。それ位、お客様はサイト見ているんだなと感じました。

購入率については、この3年間、流入が増える中で継続的に増えております。



複数のWeb接客ツールを組み合わせて活用

これらを担っている1つの要素が、今トレンドになっている、Web接客ツールの活用です。AIを搭載し、購入を迷っているユーザーにクーポンを配布するZen Clerk、「メガネを試着しませんか?」など、サイト内の接客に利用するFlipdesk、決済手段として、GMO後払いやAmazonペイメント、離脱時に商品レコメンドやサイトの特典をポップアップで表示するVe Panel、離脱後にリマインドメールを送ることができるVe Contactなどを利用しています。あと仕込み中なのですが、カート落ち防止広告を進める準備しています。

Flipdeskは接客やクーポン表示に使っています。これはPVへの課金なのですが、PVに対してのコンバージョンレートは非常に高いので、実際に払っているコストは少ないです。売上の比率でいくと7割程で、当初からECの1つの機能と捉えています。なので、このツール入れたからどれ位あがったんですというよりは、ECシステムの一部として考えるようにしています。

あとはVeのかご落ちメール、ポップアップは、新規ユーザーとの相性が良く、サイト全体の新規の比率が35%なんですが、Ve経由の売上は50~70%がが新規のユーザーとなっています。

また、後払いは懐疑的だったのですが、今はクレジットカードの次に決済シェアが高いですし、女性の方がよく使っています。やはり、代引きからスイッチしているなという印象があって、代引きだと受取拒否があるので返品率でいうと、2分の1になっています。

Amazonペイメントは自社サイトでの会員登録を必須にしていないので、ゲスト(非会員)で購入する人には使いやすいようです。購入する際に、会員登録も出来るのですが、登録を好まないお客様もいらっしゃいます。また、新規の比率が高いサイトには効くと聞いています。

各コミュニケーションチャネルを駆使し、集客をコントロールする

次に集客面についてです。各社スマホの比率が上がってきているかと思うのですが、13年11月時点では24%しかありませんでした。しかし、スマホ完全対応しただけで、1ヶ月で40%まで上がりました。 その後、LINE公式アカウントにECのお知らせを加えるようにしたことで、13年12月から翌年7月までで50.5%へ、その後は先程のWeb接客ツールなど、様々な改善をして16年6月時点で65.9%まで比率を上げることに成功しました。 また、チャネル別の売上シェアですと、コーポレートサイト、WEB広告、メルマガ、LINEの順番です。

僕は前職から「集客をコントロールしよう」ということをよく言っています。例えば、「今週はこのキャンペーンをやろう」と決めてページを作り、流れ作業のようにメルマガでお知らせをするだけではダメです。今どこの情報がお客様にとって響いているかを把握すれば、それぞれでの伝え方やリソースは変えるべきですよね。コーポレートサイトのこの場所にFlipdeskを使ってこれをのせようとか、Web広告を変えよう、メルマガをこうしよう、LINEはこれを打ち出しましょうなど、具体的にテキストの内容にまで決めていくことができます。

さっき小高さん(Tokyo Otaku Mode)がメルマガ経由で売れていますとおっしゃっていましたけど、ネット担当者フォーラムのアンケートによると、メルマガを読んでいる人は多いそうです。

どのECサイトの担当者に聞いても、今、メルマガ経由の売上が一番高いと皆さんおっしゃいます。僕らは週14回、送っているのですが、売上は伸びてます。

「本当に14回送っているんですか?」と聞かれるのですが、本当に14回全配信しています。「そんなにやったら受信者が減るのでは?」とも聞かれるのですが、一定の水準で安定します。しかも、この3年間、本当にこれでよいのかということを慎重に議論しながら今のスタイルに至っています。

また、全て一斉送信しています。あくまでも商材やお客様との距離感、ブランディングによるので、配信頻度・対象は自社で慎重に試して下さいという言い方しか出来ないのですが、僕らの規模感で細分化して送信しても、それほど効果は変わらない代わりに運営コストはあがります。実際に、例えば購入・未購入で内容を変えた場合と、全配信した場合を比較しても効果は変わりませんでした。徐々に減らしてはいきたいのですが、今はこの方法で運用しています。

次にLINEについてです。公式アカウント700万人に対して、通販のLINE@が1万人。それでも経由のEC売上は通販アカウントの方が勝ってるんですね。おそらくリピーターのお客様が登録されているからかと思います。

なので、EC単独でLINE@をやるといいと思います。更に、全店舗で店舗ごとのLINE@をやっています。

配信数に対するクーポン使用率は各店舗LINE@が公式アカウントの93倍あります。公式アカウントは、スタンプなどで色々なお客様が登録されているため、使用率は低めですが、店頭でフェイストゥフェイスで登録されているお客様に送ると、非常に反応が良いです。よく考えれば当たり前ですが。

また、前職では複数のブログを運用していたのですが、10万PV以上のスタッフが20人以上くらいいました。その中で1位で約200万PVのブログを持っているスタッフをEC部門にスカウトして、Webのコミュニケーション担当になってもらいました。

するとEC売上にも貢献しましたし、そのこのブログにECの問合せがくるようになりました。企業のECサイトは誰が運営しているか見えないですよね。その役割を誰がするかというのは大事な時代なので、ソーシャル含めブログの活用は非常に大事だと思います。

ASP等、少額なコストで始められる施策が多いので、数年前と比べると、遥かに想いを形に出来る時代になってきたなと感じています。

ECからデジタル・コマースへ


最後にですが、EC・Webグループという部署名を、2016年8月にデジタル・コマースグループに変えました。

これまで日本では、ECといえば、インターネットブラウザ経由の通販サイトを指していたと考えています。しかし、現状、一般消費者はあらゆるデバイスやコミュニケーションツールで情報をとり、複数のチャネルをまたいでショッピングをするのが当たり前になっています。そんな中で、実店舗を展開する企業でデジタルチャネルを展開している身としては、ECという言葉が古い概念じゃないかと思うようになりました。

すでに、LINEの中で注文を完結させることも出来ます。アプリで注文したり、SNSだけのやり取りで商品購入も可能、さらにはAmazon Dash Buttonで注文できます。これは、「ECなんでしょうか?」ということに対する答えはどうでもいいですが、少なくとも「さあ、ブラウザを開いて下さい」という時代ではないでしょう。メガネスーパーは今後、リアル店舗も含めてデジタルなチャネルで購入できる環境をつくっていきたいという意志をこめて部署名の変更をしました。それをデジタルコマースと位置付けてやっています。

個人ブログ:http://tkzoe.com/

ECzine連載:http://eczine.jp/author/49

と、ここまで色々と話してきましたが、自分のブログやECzineで話しているので、もしよかったら見て下さい。ご清聴ありがとうございました。

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