リード獲得数を平常時の50倍にした広報施策の舞台裏

one visa は、2018年12月10日に会社として初めてメディア発表会(記者会見)を実施し、PR施策として非常に大きな成果をあげることが出来ました。

本記事では専属広報不在のスタートアップが取り組んだ一連のPR施策の舞台裏を公開します。

攻めの事業準備期間

2018年12月、日本にとって非常に重要な法案が可決されました。

「改正入管法」

深刻な少子高齢化が進む日本では、これまで以上に女性が活躍し、シニアが定年後も働き、機械による自動化が進んでも埋めることが出来ないほどに人材不足が加速しています。

その中で、特に人材不足が深刻な業界に絞って取得要件を緩和した、「特定技能」という新しい在留資格が制定されることになりました。

one visa はこの「特定技能」が新設されるようだ、という情報を2018年の夏前にキャッチ。当時はまだ詳しい情報は何も出ていないどころか、議論も始まっていない状況でしたが、

入管で働いていた経験のある岡村の読みと、技能実習がたどってきた変遷、現行の在留資格の構造、そして課題を基に、今のままでは超えられない部分がどこにあるかなどに仮設を立て、「特定技能」の要件を数パターン想定しました。

そして、どのパターンに落ち着いても必須となる「人材教育」に絞って、新規事業を進めることを決定し、2018年の9月から先行してカンボジアに学校を作り、日本語教育を行うという事業を開始しました。

PRが果たす”業界啓蒙”という役割


関西大学池田研究室のみなさんがカンボジアのone visa EducationCenterを訪問した際の集合写真(若干ピンぼけなのはお愛嬌)

初めての海外事業展開ということもあり、たくさんの障壁にもぶつかりましたが、産学連携のパートナーシップを結んでいる関西大学池田研究室を中心とした皆様の多大なるサポートもあり、なんとか事業は形になりつつありました。

代表の岡村は事業開始前から

「特定技能を活用した理想的な仕組みを作って世の中に知ってもらうことで、市場全体が健全化するはずだ」

と睨んでいました。

というのも、我々が取り組んでいる事業はすでに存在している市場をアップデートする形で出現した新たな市場であり、且つ従来存在していた課題を解決することが望まれているものです。

もう少し詳しく説明します。

外国籍労働者に関しては、良くない噂を聞かれている方も多いと思います。

「虐待があるのではないか」

「借金を背負わされているらしい」

「低賃金から抜け出せず失踪しているようだ」

メディアの影響により、実体以上に大きく認識されている部分はありますが、どれも実際に存在している問題です。

現行の技能実習は本来国際貢献の位置づけであるため、人材紹介として企業からフィーをとる座組ができず、現地で人材のトレーニングを担当する送り出し機関は、住み込みで研修する4〜5ヶ月の間の経費を人材から徴収せざるを得ません。(詳しくはこちらの記事で解説しています)

その費用は現地の人材からすると非常に高額なため、「日本で稼ぐことを夢見て」親族から借金をして来日します。これは、どれだけ誠実に制度を運営していても避けようがない構造になっています。

借金をして日本に来ているため、来日後に法外な低賃金で雇用されてしまったとしても逃げ場がなく、失踪してしまうというのが実体に近いと考えています。

(一部、悪意のある運営により更にひどい実体があるのも事実です。問題が非常に複雑なため、一面だけを切り取って解説できない点ご容赦ください。)

しかし、技能実習が抱える問題は「特定技能」という新しい在留資格を”善意を持った事業者が運用すれば”乗り越えられると私たちは信じています。そして臨時国会の閉会と同時に開催した記者会見で発表したのが以下のスキームです。

この仕組では、受け入れをする企業が人材紹介フィーを支払うことで、人材本人には一切のしわ寄せなく日本語の教育を行い、仕事を紹介することが出来ます。

従来の制度で問題になっていた、来日前に借金をしなくてはいけないほどの高額な経済負担をしなくても、来日できるような仕組みとして実現を目指します。

まだ「特定技能」は新しい制度なので、今後多くの民間企業がこの在留資格を利用してサービスを展開してくるでしょう。

しかし、法律や在留資格はあくまで枠組みであり、その上でビジネスをする手法如何ではどうしても立場の弱い外国籍人材の方にしわ寄せがいってしまう。

それでは短期的に海外から夢を見て来日する人たちが不幸になりますし、長期的に見て日本は海外人材からみた時に不人気国となり、国の信用は地に落ち、最終的には政府が望んだ人材不足の解消としての「海外人材の活用」は絵に描いた餅になってしまう。

誰も不幸にならないような未来を創れるかどうかは、先行者として市場に飛び込み、業界啓蒙が出来るかどうかにかかっている。私たちはそう信じています。

かくして、先行者としての業界啓蒙を狙ったPR施策を展開することが決まりました。

”PRのヤマ”をどこに作るか

業界啓蒙を兼ねたPR戦略をとっていくにあたって、考えなくてはいけないのは「PRのヤマをどこに作るか」という問いでした。つまり、どのタイミングで世の中に発信をするのが最も効果的かという問題です。

前述のように、私たちのPR戦略は業界啓蒙を目的としており、業界啓蒙をするためには先行者である必要がありました。

ただし、何の実績もなく「こんなことやったらいいと思うんです!」と訴えかけるだけでは、世の中の関心を引くことは出来ません。

従って、

(1)公表できるだけの実績を作ることが可能な最短

(2)世の中の関心が最も高まっているタイミング

でリリースを出すことが求められます。

(1)に関して、私たちがカンボジアで先行開始していた教育事業は、「3ヶ月でN4*」を取得することを目標にスタートしていました。

そして、目標としていた日本語能力検定試験が12月2日であったため、それより後のタイミングであれば実績として「3ヶ月で○人をN4水準まで教育した」という成果を公表可能だと結論づけました。

*日本語能力検定試験(JLPT)の4級。JLPTには1級から5級があり、1級に行くほど難しい。


(2)に関して、改正入管法が可決された直後のタイミングが、世の中的には最も注目が集まるのでは、と考えていました。「特定技能」に関する報道や検索が最も多くなるタイミングだろうと思ったのです。

しかし、国会の期間には幅があり、その中でいつ改正入管法が可決されるかが読みづらい点が難点でした。

結局、プレスリリースを記者発表会ですると決定していたこともあり、法案可決直後は難しいと判断。(記者会見は事前に記者への案内が必要なため)

法案が無事成立すると仮定した場合に、確実に法案が成立しているだろうタイミングとして”国会の閉会直後”を選択し、12月10日に記者会見を実施することが決定しました。

「記者会見を実施する」という手段の選択

順番が前後しましたが、プレスリリースの形として、記者会見を選択したのにも理由があります。

「記者会見」はPR施策の中で必ずしも万能な手法ではありません。PR TIMESなどで単純にプレスリリースを出すのに比べてコストも人的リソースもかかりますし、面白みの無いネタではせっかく頑張って準備をしても記者は来てくれません。

一方で記者会見の最も大きな利点は「TV番組に取り上げられやすいこと」です。なぜならテレビでの報道には必ず”画”が必要で、記者会見ではその画を作ることが容易なためです。

そして、今回のリリースは、”社会課題に向き合うサービスである”という性質上、報道番組との相性が非常に良いと考えました。

実際、one visa の記者会見はテレビ東京のワールド・ビジネス・サテライトとNHKの朝のニュースで取り上げていただき、多くの方に今回のリリースを届けることができています。

結果から見ても、私たちが考える「誰も不幸にならない仕組み」を世の中に知ってもらうという意味で、記者会見を選択したのは間違いではなかったと思っています。

メディアリレーションの構築から会見実施まで~優秀なPR会社と共に~

実はone visa の社内に記者会見を実施したことがある人間はいなかったため、記者の集客が難しいという問題や、当日の段取りなどは会見を開く上で大きな懸念でした。

特にスタートアップ企業で専属の広報をおいていないような場合では、メディアリレーションがしっかりと構築できておらず、知り合いの記者さんの数も多くない企業がほとんどなのではないでしょうか。

この問題に関して、one visa は Shipood(シプード、以下シプード)というPR会社を頼ることにしました。

(完全に余談ですが、シプードは舩木 芳雄さん・真由美さんのご夫婦が共同代表をやられていて、SHIP(舩)WOOD(木)でシプードだそうです。)

シプードは”広報・PRのビジネス家庭教師”と銘打ち、ただPR業務を外注するのではなく、シプードの持つ記者リストやPRノウハウといったアセットを惜しげなく活用し、私たちに”再現性のある形で”プロのPR手法を教えてくれるPR会社です。

そして、メディアリレーションの構築に関しても、

・招待状の書き方

・記者クラブへの投げ込み

・持参資料の作り方

などのノウハウ部分も教えてくれながら、シプードがすでに深く関係を構築している記者たちへの直接の集客、私たちへの繋ぎ込みをやってくれるため、集客に関しては全く困ることがありませんでした。

加えて、集客の仕方を再現性がある形で知ることができ、今回の記者会見に参加してくださった記者とのつながりも出来たため、次回以降の集客は内製できます。

もちろん会見当日のオペレーションも、全部やってくれるのではなくやり方を見せて教えてくれるスタンスで終始不慣れな我々をリードしてくださったため、次回以降は自分たちだけで会見が開けるようになった点は非常に大きな収穫でした。

つまり言い換えると、one visa が今後採用する予定の広報・PR人材に対して、今回の一連の大規模なPR施策で培ったノウハウをそのままインプット出来る体制が整ったのです。

結果として、事前準備から当日のオペレーションまで滞りなく進み、無事に記者会見を成功させることが出来ました。

メディア露出後を見込んだコンテンツの仕込み

記者会見でPRのヤマを作った後は、集めた注目を最大限活用するためのコンテンツを用意しました。それが以下の記事と資料です。

「新在留資格「特定技能」とその影響を元入管の岡村が解説します」

https://journal.onevisa.jp/explaination_about_new_visa_tokuteiginou

ダウンロード資料

http://journal.onevisa.jp/one-visa-service-form-12-2018-0?hsCtaTracking=f52f557a-8c03-4ba8-b2b3-4a32fc90eac4%7Ca14ed6d2-8f6e-4e6a-a0af-5a5da3658b72

改正入管法が可決されたタイミングで「特定技能」、記者会見の後に「one visa」というキーワードでの検索が増えると予想されたため、

「特定技能」で検索された際にone visa が運営するオウンドメディア「one visa journal」の記事が上位表示されるようにし、また「one visa」で検索された際にたどり着くサービスページから上記資料がダウンロード出来るようにしました。

実際にオウンドメディアの記事は、「特定技能 とは」や「特定技能 影響」といった主要なキーワードで検索上位を獲得できており、問い合わせ数増加に大きく貢献しています。

反響は大きく、リード獲得数はそれ以前の50倍に

ありがたいことに、記者会見後にはテレビ、新聞、雑誌、Webメディアと多くの媒体に取り上げていただきました。

テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」

NHK おはBiz

週間東洋経済2019年1月12日号

日経新聞(紙面、オンライン)

TechCrunch

上記は報道された中の一部ですが、こうした露出の効果もあり、one visa への問い合わせ、資料ダウンロードによる見込み顧客獲得数は平常時の50倍にもなりました。(平常時が少ないのもありますが)

また、受け入れ企業やパートナー開拓で訪れる営業先でも one visa の取り組みを知っていただいているケースが増え、非常にやりやすくなったと実感しています。

取り上げていただきましたメディアの方たちには本当に感謝です。

世界から国境をなくすスタートアップで、PRが果たす使命

最後までお読みいただきありがとうございました!

one visa は現在世界から国境をなくすために不可欠な広報・PR人材を募集しています! one visa の広報は戦略性を持ち、世の中へのインパクトを最大化することがミッションです。

社内に広報経験者がいないため、しばらくは一人広報となりますが、前述のシプードによる力添えもあり、体系化したナレッジが社内にあるうえ、シプードによる”広報・PRのビジネス家庭教師”を受けられる体制です。

また、今後広報戦略に力を入れていく方針であるため、かなりダイナミックな攻めの広報を実行していっていただけます。

まだまだ小さなスタートアップですが、向こう数年間成長が期待されるワクワクする市場で、世界から国境をなくすために働いてみませんか?

以下の記事も御覧ください。代表の岡村アルベルトが one visa 起業に込めた創業ヒストリーです。

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