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COOが伝えたい事業責任者に求められる5つの視点〜僕はこうして事業責任者になった〜

はじめに

これまで会社を経営してきて約5年弱。僕が一番成長できた瞬間というのは新規事業である「SARDINE」を立ち上げ、事業責任者として軌道に乗せた期間でした。今、COOとして自分の存在価値を出せているのも、まさしくこの経験があったからでしょう。事業責任者を経ずに今もCOOとして仕事をしていたのであれば、これから先の会社の成長に対して適切な価値を出せるようになっていたか疑わしい。それほど、僕にとって「SARDINE」を立ち上げるという経験は重要な経験となりました。そして、それと同時に事業責任者というものの難しさも感じた期間でした。事業責任者という立場はそれ以外のポジションと比べ非常に差分が大きいポジションになります。経営者と従業員という乖離が最も大きな差分であることは間違い無いですが、その次に大きな差分こそが事業責任者とそれ以外の事業従事者だと思います。事業責任者というポジションは必ず1つの事業に1つです。そのため、なかなか事業責任者というポジション固有の知見というのも世の中に多くないですし、事業責任者はマネージャーともまた違います。故に僕自身が事業責任者になったことによって、考えたことや意識したことをまとめてみました。事業責任者に初めてなった人、これから事業責任者になりたいと思っている方々の事業成功に少しでもお役に立てると嬉しいです。

事業責任者とそれ以外の違い

事業責任者というのはそれ以外のポジションと大きな差分があると書きました。それはなぜなのでしょうか。例えばマーケティング責任者になることや、営業マネージャーになること、PMになることと事業責任者になることとはなぜ、これほどまでに勝手が違い、異なる視点が求められるのか。そこには三つの要因があると思っております。

  1. PL責任
  2. 人事権
  3. 経営側とのコミュニケーション


上記の三つというのは、事業責任者が一手に持つ可能性が高いです。特に組織が大きくなり、権限構造等がちゃんとしていればしているほど。逆を言えば、事業責任者の配下に配置しているメンバーは上記三つが取り除かれた状態で仕事をしている可能性が高いです。それ自体どうなのと思う人もいるかもしれませんが、一般的な組織だと上記を複数人に持たせることはせず、メンバーレベルは自らが抱える目標を達成することに注力してもらうよう設計していきます。よって、これまで上記三つとの接点がない状態から事業責任者になるということは、相当大きな差分を認識しながら、それを早く埋められるように仕事をしないといけません。逆に言えば、上記三つを乗り越え、事業責任者として責任を全うできた場合、それは市場価値のとても高い人材になるということなので、是非とも多くの方々にチャレンジしてもらいたいとは思っております。

しかし、何の考えもなく事業責任者になると、非常に大きな壁にぶち当たるでしょう。そこで、今回は事業責任者になった人、なりたい人に是非とも持っておいた方が良い視点を5つまとめました。それが以下の5つです。


これらは事業責任者として欠かせない視点だと思いますし、相当意識的に持とうとしないと得られない視点だとも思います。それくらい、メンバーレベルの仕事と事業責任者としての仕事というは質が異なる(優劣があるとはあまり思いません)ということを理解しておくことが重要だと思います。

その1:「時間軸」の視点

一つ目は「時間軸」です。事業責任者というのは、過去・現在・未来全ての時間軸に対して考えを巡らせ、意思決定をしていかなければなりません。現在のことばかりに囚われ、未来を犠牲にしてもいけないし、過去を振り返らずに突っ走るのもダメ。未来のことばかりを考えて、現在を炎上させすぎても潰れる。このバランスを常に時間軸の視点でとっていかなければなりません。そして事業責任者であれば少なくとも3年先までは考えることが求められるでしょう。メンバーレベルの時には長くても1年程度のスパンで物事を考えることが多いと思います。クオーターの目標達成が一番の重要命題のため、クオータースパンでしか考えないということもあると思います。ただ、事業責任者はそれではダメです。いかに未来から逆算できるか。未来を描くことは事業責任者の責務です。今何をやるべきか、3ヶ月後に何をやるべきか、1年後に何をやるべきか。これら全てに理由がないといけません。そして、それが時間軸において整合性が取れていないといけない。この未来からの逆算による物事の順番付けを間違えると、事業全体が壊れます。

故に、事業責任者というのは時間軸の視点を持たなければならない。過去・現在・未来全てを捉えた上で、「今」正しい意思決定を常にしていくことが求められます。

その2:「シェア」の視点

二つ目は「シェア」の視点です。ビジネスというのはシェアという陣取り合戦です。しかし、特にスタートアップにいるとそれを忘れてしまうことがあります(おそらくイノベーティブで競合が少ない環境なのが要因なのかなと)。ただ、最初は競合が少ないとしても、もし市場が有望であれば当然競合は増えますし、最終的には市場のシェアをどれくらい取れたのかで、売上も利益も変わります。経営というのは、簡単に言えば市場を決めて、その市場のシェアをどれくらい取れるのかのゲームをしているとも言える。故に、経営者は常にその視点で物事を考えています。しかし、メンバー時代にはシェアの観点で物事を考える時間というのは、非常に少なかったと思います。意識するのは、よほど競争が熾烈なマーケティング部署くらいでしょうか。そのため、事業責任者になったばかりの時はこのシェアの視点がごっそり抜けます。周りがどうかを無視し、自分たちを全ての基準とする。成長するスピードはこれまでの成長率を基準に。全てのスピードが自分たちが出せる最大のスピードから考えてしまう。でも、それでは適切なシェアを取れるとは限りません。いつまでに、どれだけのシェアを取るか。そのためには、どのスピードで成長する必要があるのか。先に決まるのはこっちのはずです。そのスピードに合わせて、成長をさせることが事業責任者の仕事です。自分たちの市場はどれだけの大きさがあり、どれだけのシェアを取れば、どれだけの売上と利益が出るのか。ここに常に思考を巡らせる視点が事業責任者には求められます。

その3:「投資」の視点

三つ目は「投資」の視点です。経営活動というのは常に投資活動です。何かに資金を投入することにより、それ以上のリターンを生むことが経営の基本です。しかし、メンバーレベルにはこの投資の権限が限りなく制限されています。投資を行うよりも、自分の身体を動かせというのが、メンバーレベルに求められていることなんでしょう(これも決して良いことではないですが)。故に、メンバーレベルで大きな投資判断をする機会というのはそう多くありません。ただし、事業責任者になったらこの投資判断ができなければ成功へと導くことは不可能でしょう。正しい対象に正しいタイミングで投資をすることにより、事業の成長スピードを高めていく。その投資はもしかしたら、当月の成果にならないとしても、将来に繋がるのであればそこに投資をする。この「資金」をどう効果的に活用して、将来に対してコミットしていくかが事業責任者に求められる視点です。「現在」に対して、今所有しているリソースの範囲内で対策を考えることに留まってしまったら、事業の成長スピードは高まっていかないでしょう。

その4:「城主」の視点

これまでの三つは意思決定をしていくプロセスにおいての視点でした。しかし、四つ目は意思決定そのものに関する視点です。それは「城主」の視点です。事業責任者というのは城主なんです。その事業というのは、あなたの城であり、あなたが最高責任者なのです。メンバーが見ているのはあなたであり、社長ではありません。そして、社長よりもあなたは自らの城について詳しいはずです。それならば、自分の城の事に関しては城主である、あなたが最終決定すべきです。僕が「SARDINE」の事業責任者になった時、初めて社長に意思決定を介入させない状態を意図的に作りました。これまでは当然最後は社長がという意識がありましたが、「SARDINE」の事に関してだけは手出しをさせない。全て自分が決めるという強烈な覚悟を持ち、実際に立ち上げから半年間は何一つ口出しをさせませんでした。事業責任者になるということは、それだけの覚悟と強い意志が求められます。時間軸・シェア・投資の視点を持ち、自分が限界まで考え抜けば社長よりも適切な意思決定ができるようになるはずです。そして、そうなれないのであれば、あなたが事業責任者になる必要がありません。全ての視点を持っていようが、この城主であるという自覚がないのであれば、全ては無駄になるでしょう。これは決して経営層の意見を無視しろという意味ではありません。経営層の意見も聞いた上で、それでも最後決めるべきは事業責任者であるべきということです。その覚悟と努力ができないのであれば、できる限り速やかに事業責任者を降りた方がいいでしょう。

その5:「存在理由」の視点

最後の視点は「存在理由」の視点です。事業というのは必ず存在理由があるはずです。そこに理由がないのであれば、メンバーが行う活動では仕事ではなく、ただの作業になるでしょう。そして、存在理由を見出し、伝えることは事業責任者の責務です。メンバーの時には意味を与えられていたかもしれません。しかし、もう意味を与えてくれる人はいません。あなたが自分で顧客と向き合い、この事業の意味を見出し、それを伝えていかないといけないのです。あなたの心から出てくる言葉で、直接メンバーに伝えていく必要があります。事業の存在理由は事業責任者の言葉でなければいけない。これは僕自身が自分で事業責任者として事業を立ち上げ感じた、最も大きな学びです。もし、事業の途中で事業責任者に就任した人がいたら、既存の事業のミッションや、存在理由の言葉をアップデートした方が良いと思います。どんなに元々の言葉が良い言葉だとしても、そこにはあなたの想いがありません。あなたは他人の言葉で人を動かせるのでしょうか?メンバーを希望のある未来へと連れていくことができるのでしょうか?必ず自分の言葉で紡ぎ、自分の嘘偽りのない想いを伝えてください。それは事業成功の大きな一助になります。

結論:社長と戦う覚悟はありますか?

事業責任者に就くということはある意味、社長と戦うということなんだと思ってます。僕自身も初めて、社長を無視した期間でした。社長に何を言われても、自分の考えを曲げず、SARDINEという自分が責任を持っている事業にとって最も最善の意思決定をしようと振る舞い続けた期間でした。社長というのは大きすぎる権力を持っています。あなたの脳裏にはその権力がちらつくでしょう。でも、それでも社長と戦い、事業のためになることをやり続ける。その恐怖と戦い続け、事業を成功へと導く。それが事業責任者です。社長の言いなりになってる事業責任者なら、いない方がましです。それはメンバーを混乱へと導くだけです。何が一番大事かをブラさないでください。事業責任者のミッションは事業を成功に導くことであり、事業に価値を付与することであり、顧客に価値を届けることです。そのためには、社長とも戦い続けてください。どんなに辛い時でも逃げないでください。事業責任者として事業を成功に導けた時、その時に見える光景というのは素晴らしいものが待っていると思います。

*社長の皆様のことを悪いように書いてしまって申し訳ありません。あくまでも抽象的な比喩として書いておりますので、どうかお見過ごしいただけますと幸いです

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