1
/
5

「データドリブンな組織を目指す」? データ基盤が整ってきたら、データを使うカルチャーができてきた

こんにちは、株式会社ROXXでagent bankのプロダクトマネージャーをしている粕谷です。
最近、社内のデータ基盤が整ってきて、組織内でデータ活用が進んだように感じているので、ここに至るまでのデータ活用の状況を振り返ってみました。

以前はデータを活用できる人が限られていた

agent bankは、人材紹介会社様と求人企業様をつなぐ人材紹介のプラットフォームです。このプラットフォームには、月間1万件を超える選考情報が蓄積されています。
私がROXXにジョインしたときにはすでに、BIツールが導入されていて、SQLが書ければプラットフォームの数字を分析できる環境がありました。ただ、データガバナンスの責任者がいたわけではなかったので、欲しいデータにたどり着くのが難しかったり、一度CSVで落としてからデータを加工する必要があったりと、手間がかかっていました。セールスやCSが日常的にデータを活用するには、少しハードルが高かったと思います。

当時の課題

  • 作成されたクエリが散在していて探すのが難しい
  • 重要な指標でもクエリを書いた人によってフィールド名や計算ロジックに表記揺れがある
  • ちょっと見てみたいだけという理由では、エンジニアにクエリの作成を依頼するのは難しい
  • CSVを出力してから、手元で加工することが多い(時間のかかるルーティン作業があったりする)

課題がある一方で、もっとデータを活かす余地があるという期待もありました。
当時、しばらく自分でデータ分析をしてみたことで実感したのが、データをいくら眺めても、それだけではお客様に何が起きているか想像できないということです。それがCSチームにデータの読み解きをお願いすると、お客様の現状を踏まえて、数値から推測される課題をリアルに説明してくれるのです。
定量データは、定性データやドメイン知識があってこそ、活かすことができる。だからデータに気軽にアクセスできるようになれば、CSやセールスはもっとデータからインサイトを得られるのではないかと思っていました。

最初は、手間を減らしたかっただけ

そうは言っても、最初から「データドリブンな組織を目指そう」みたいな明確な目標があったわけではありませんでした。前述の通り、データ分析のために、CSVを出力して加工する作業を行っていたので、自分のルーティンワークを無くす方法を考えていました。
そんな折、BigQueryの導入が進んで、分析用のデータを試しにGoogle Data Portal(現LookerStudio)に繋いでもらえることになりました。このとき作ってもらった仕組みが、いまではヘビーユースされているダッシュボードの基礎になっています。
プラットフォームの基本的な数字が可視化されて、いつでもLookerStudioでレポートとして見れるようになり、ついでに重要指標の名前と計算式を統一することができました。使えるデータは限られていましたが、CSVを加工する作業から解放されたので、個人的な最初の目標は達成です。

ツールがいきなり浸透するわけではない

LookerStudioはデータソースさえ揃っていれば、非エンジニアでもUIを自由に編集できて、目的に応じたレポートを作れるのでとても便利です。
とはいえ、せっかく環境が整ってきても、いきなり誰もが自由に使い始めるようにはならないのが現実でした。
データ分析の専任を置くのは人員リソース的に難しかったのと、誰でも自由に使ってほしいという思惑もあったので、まずは誰でも触れる状態を目指して、LookerStudioの操作方法と、利用可能なデータソースについて説明会を実施してみました。
認知は進んだかもしれませんが、正直なところ活用の促進にはそれほど効果はなかったと思っています。

行動変容につながるデータかどうか

データ基盤の拡充の一環で、提供できる分析レポートも増やしていったのですが、分析レポートを作る過程でひとつ気をつけていたのは、「レポートから得られるインサイトが、見た人の行動に影響するか」という点です。プロダクトのさまざまな数字が可視化されても、それだけではわざわざデータを見に行く理由になりません。
レポートを作れる環境が整ってからは、CSのキーパーソンに、どのようなデータが見れたらお客様の課題を理解するのに役立つか、ヒアリングをしながらレポートを作っていきました。
数値に基づいて現状を把握し、何が起きているか、何故それが起きているかをお客様と話し合い、改善策が決められたら、一定期間が経過してから結果を数値で確認する。作ったレポートを実際に使ってもらいつつ、フィードバックをもとにブラッシュアップして「使えるデータ」を整えていきました。
プラットフォームのレポートが充実してきたのは、示唆を与えてくれた方々のおかげです。

インパクトが実感されると、データの価値が認められる

必要に迫られないと、新しいツールを触るきっかけがないことも往々にしてあると思います。
おそらく一番早い段階でLookerStudioを使ってもらうことが多かったのはCSチームでした。例えば、お客様との会議の準備では、以前なら情報を集めて加工していたような時間が無くなって、分析に時間を使ってもらえるようになりました。そして、(データの有無は要因のひとつでしかありませんが)お客様の課題により深く具体的に切り込めるようになり、コンサルティングの質にも明らかな変化がありました。
その頃には、CSチーム内でデータの積極活用が呼びかけられるようになり、気がつけば日常的にデータを参照することがあたりまえになってきました。

誰にとっても使いやすい状態を維持するために、一定のガバナンスはあった方が良いと思っています。PMチームでは継続して、アクセシビリティをなるべく担保できるように整備したり、組織内で用やロジックを統一したり、データ利用に関するルールを定めたりしています。
しかし、データ基盤さえ整備されていけば、データ活用によって明らかな実績が認められたときに、データ活用が自然と組織レベルに広がっていくのではないかと感じました。

余談:開発チームにデータの価値をフィードバックする

これまでデータソースの作成は、すべて開発チームにお願いしています。
開発チームには、依頼の背景や目的を伝えたうえで、データテーブルの設計から参加してもらっています。
しかし、一度リリースされてしまえば、データを作る人と使う人の関係はそこで途切れがちで、どのように使われているか、どのようなインパクトをもたらしたか、詳細なフィードバックをする場はなかなかありません。いつもデータを作ってくれている開発チームに、感謝はお伝えしているつもりなのですが、作ってもらったデータの価値は全然伝えられていない気がしていました。
とにかくすごいんです!と主張するだけでは語彙力不足なので、事業部にお願いして、アンケート形式で実際にフィードバックを募ってみました。

アンケート回答の一部を要約

開発チームへのフィードバックを目的としたアンケートでしたが、全体として、データドリブンな意思決定が増えてきているように感じました。

振り返ってみると、もっと戦略的に「データドリブンな組織を目指す」道はあったような気がしますが、結果的にこの一年で大きくデータ活用に関する状況が変わってきました。
ここまで環境を整えてくれた開発チームと、データ活用に示唆を与えてくれた方々に感謝しつつ、今後の組織におけるデータ活用を考えていきたいと思います。

株式会社ROXXでは一緒に働く仲間を募集しています
同じタグの記事
今週のランキング
株式会社ROXXからお誘い
この話題に共感したら、メンバーと話してみませんか?