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ROXX Cafe Report #ファクトを重要視する

こんにちは!ROXX人事の沼口です。
本日は、2023/9/20に実施したROXX Cafeの内容をお届けします!
※ROXX Cafeについてはこちらの記事をご覧ください
今回は、agent bank 人材紹介事業部 鍵さん、back check事業部 須藤さん、COOの植木さん、の三名にご登壇いただきました!
ファシリテーターはCHROの西村さんです。

              左から、須藤さん、植木さん、鍵さん

テーマは「ファクトを重要視する」

西村:今日は、人材業界でマネジメントをご経験後、農業ITで起業後、ベンチャー企業のCOOとしてご活躍されてきたagent bank 人材紹介事業部の鍵 悠平さん、2回目のご登壇となる、back check事業責任者の須藤さん、そして、COOの植木さんにお越しいただきました!本日のテーマは「ファクトを重要視する」です。よろしくお願いします!

ファクトを重要視しなければいけない理由について

西村:早速ですが、そもそもなんでファクトを重要視しなければいけないんだろう?という質問がきております。何が正解かわからない状態のなか正しい方向に導くものはファクトという前提のもと、改めて御三方の考え方をお聞かせください。須藤さんからお願いします!

須藤:ファクトを重要視する理由ですね。
会社経営なのか、個人なのか、プライベートなのか、いろんな前提条件があると思うんですけど、シンプルに事実を基にしないと何も考えられないし、決められないということですね。
例えば、暑い、寒いの感じ方は人によって違いますよね。でも、26度というのは、誰が見ても26度で、「暑くないですか?」「いや、暑くないよ」という会話ってオフィスでよくある会話ですよね。人によって、寒いから膝掛けを使ったり、暑いから設定温度を下げたいとかなったりすると思うんですけど、こういう暑いとか寒いとかという抽象的なものは、やっぱり人によって感じ方が違うので、共通の認識で議論するとか考えるためにも、やっぱり客観的なものが必要で、だからファクトが大事だと思います。

鍵:そうですね。
須藤さんの仰った内容と重なる部分もあると思いますが、ファクトがないと何も決められないというのが大きいです。
例えば、抽象度高く、これはこうだと思うんですよね、とか、架電しても繋がらないんですよね、って言われても、それって根拠は何なのって私は思っちゃうタイプなんです。何をもとに繋がらないといっているのがすごく重要で、それが具体的にこういうデータをもとに、こういう事実があるから架電しても繋がらないんですってことを言われたら、そこに対してどういう課題があるからどういう解決策を考えようかっていうふうになるので、ファクトがないと、どこに戦略を立てればいいか、施策を打てばいいかもわからないですし、そのためにはやっぱり事実の確認というのがあるべきだし、一番重要かなと思っています。

植木:やっぱり未来に向けて正しい意思決定をするにあたって、現在地を正しく知るためには一番ファクトが重要だと思っています。
皆さん個人からすると、ここで仕事をしている理由や、ここで成果を出したい理由って人それぞれあると思うんですけど、仕事をする上で物事を前に進めるときに一番強力な武器になるのがファクトだと思うんです。
おそらく、自分はこうしたいんですというより、お客様はこう言っているんですと伝えた方が絶対早いと思います。例えば営業において成約率を上げたいと思ったときに、成約率を上げたいからロープレやりますとなった際、何のためにやるのか、何の能力を上げるためにやるべきなのか、というファクトを抑えられていないと、あまり進化しなかったり成約率が上がらないと思うんですよね。
なので、皆さん個人で仕事をする目的があって、それを達成するためにファクトがすごく重要な武器になるんじゃないかなと思っています。
そのときにどういうファクトを取るべきかとか、あとはファクトって一次情報か二次情報かみたいなこととか、どういう切り口で情報を分析するのかという細かい技術的なものももちろんあると思うんですけど、まずは前提としては、皆さんにとってすごく重要な武器になり、価値観が違う人がたくさんいる中で物事を進める上で、一番共通認識とりやすいものがファクトかなと思います。

ファクトを読み間違えた失敗談について

西村:ありがとうございます!
そんなお三方でも、過去にはファクトを読み間違えた経験があると思います。
もしよければ、その失敗談ないしはそこから学んだことを教えていただけると嬉しいです!
鍵さん、いかがでしょうか。

鍵:そうですね。私、前職では農業ITの会社をM&Aして、譲受企業の取締役を6年間ほどやってたんです。農業における人材事業と、道の駅の事業、会員制の貸し農園事業というのをやってまして、この貸し農園の事業というのが、もともと事業を作った段階で事業構造上そこまで大きくなるというのが見えてない中で、とにかく手探りでガーッと作りにいって大きくなっていったんです。その時に基幹システムを入れたのですが、どういうファクトが欲しくて、どういうふうに事業を繋げていくのか、どういう登場人物がいて、そのテーブルをどう繋げていくのか、といった、要は事業構造をきちんと定義できないまま7〜8年ぐらい走ってしまいました。農園を貸してそれを利用者の方に借りていただくという単純なビジネスなんですけど、農地の所有者がいて、借り受けした農地と、そこを利用する利用者のデータがあって、契約情報と、働いている方々の情報、という、要は5つのテーブルからデータを取ろうとしたときに、気づいたときにはいろんなところにそのデータが入っているが故に正しいデータが全く取れないということがあって、その後のBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を作り直すということになり、結果的に、とても大きな費用を投資しても、まだそれが回収できていないという失敗経験がございます。
地獄の2年間でした。

植木:agent bankの初期、事業を立ち上げて半年くらいのタイミングで、もうアポ取れませんって、私ともう一人の営業の方が音を上げるという事件があったんですよ。
見るべきファクトを見誤ったが故の失敗だなと振り返って思います。
当時SCOUTERという事業をやっていて、そこからBtoBのagent bankにピボットしたんですよね。SCOUTERは個人の副業の人が対象なので、ユーザーを無限に増やせるだろう、という状況でした。そこから人材紹介会社様に対象を切り替えたわけですよね。当時は、人材紹介会社が2万社くらいのタイミングでした。そのときに、もう営業先が2万社しかいない、絶対すぐ足りなくなる、みたいな恐怖がすごくあって、事業は立ち上がりそうだけど半年くらいで営業先がなくなるんじゃないかと思ったんですよね。実際に、前月比でアポ率がちょっと落ちたんです。
つまり、当時マクロのデータを見て、対象がまず狭くなった、これはファクトですよね。前月比でアポ率が悪くなった、これもファクトですよね。これを見て、今後アポや営業先が少ないから取れないかもしれないっていう判断をしそうになったんですよね。当時、中嶋さんから「そんな訳ないだろ!」って言われたんです。本当にそうなんですよ(笑)実際、そこから6年くらいやってますけど、営業先がないからアポ取れませんっていう状態になっているかというと、なってないんですよ。ずっと。
当時、つまりファクトを見てたけど適切にイシューを設定できていなくて、本当は、1つの営業先に対して何回架電したらアポ率は悪くなるの?っていう問いだったと思うんですよね。それを見て、本当に1から10回で明確にアポ率が下がっていってるのであれば、もしかしたら本当に同じリストに当たってもアポが取れないっていうことがあったかもしれないんですけど、当時はそこまでを考える余裕もなく、焦るわけです。そういう焦りによって適切にファクトを見れなくなって、そういうのってチームで伝播するので、そうなると面白いことに事業ってうまくいかなくなるんですよ。
多分皆さんも今、結構そういう新規アプローチされている中で、そういう空気感が組織内で伝播しそうになることってあると思うんですけど、何のファクトを見るべきなのとか、それって本当なのっていう問いをもとに、やっぱり正しく見るべきファクトを共通認識取るっていうことは、やっぱりすごく重要なんじゃないかなと振り返っています。

西村:ありがとうございます。

須藤:15〜6年前の話なんですけど、人材紹介事業でゼネラルマネージャーとして、40人ぐらいの複数グループのマネージャーをしていました。当時のサービスのブランディングに人気の野球選手を起用して、登録者も求人もものすごい増えていっているのに、事業部全体で決定人数が伸び悩んでいるということに気づいたんですね。社員数も増えている、営業(以下、RA)の数もキャリアアドバイザー(以下、CA)の数も増えた、求人数も3倍に増えた、面談数も3倍に増えた、でも、決定人数が変わってないじゃんみたいなことが起きてたんですね。なんでなんだろうって考えました。
みんな自分の目標を達成したいので、そのためには昔からある超有名な求人だけではなく新しい会社の求人も次々に獲得してくるわけです。それで、その求人もしっかり決めなきゃいけないってなるので、RAの人が社内のCAのところに求人獲得の度に行って、本来CAは面談をやらなければいけないのに、どんどんRAがそのCAの業務の時間を奪っていくってことをやってたんですね。
そうすると何が起こるかというと、本来もっとお客様に向き合う時間とか、考える時間がないといけないのに、社内に自分の獲得してきた求人にどうやって推薦させるかみたいな行動をどんどんRAが、さらにご入社いただく新しいRAもやり始めて、そうなってるじゃないかって仮説だったんですよ。
ということは、マッチング専門でやる部門を作ればいいんだってことで、マッチング推進グループっていうのを立ち上げて、いろいろデータ分析して、やったんです。
結論、私の部門だけものすごく成果が伸びたんです。
その頃はもう事業全体で対前年比を割り始めていて、皆さんご存じかもしれませんが、リーマンショックが起きる1年前にパリバショックっていうのが起こったんですね。その頃から実は企業の採用が減退し始めていたんですけど、私の部門だけハイ達成っていう感じだったんですよ。
でもそれって、単純に会社の業績を取り合っているだけで、会社全体はどんどん右肩下がりだったわけです。
結論どうなったかというと、その年の9月に、私は関西支社に異動したのですが、テレビでリーマンブラザーズ証券が潰れましたっていうのを見た後に、会社の業績がその後三ヶ月で半分くらいになったんですね。あれはその社内のマッチングだけじゃなくて、実はマクロの影響を受けてたんだっていうのに、当時気づかなかったんですよ。毎週日経新聞を見ながら、新規求人数ってそんなに減ってなかったのになんで気づけなかったんだろう、と。
だから実は、社内の現象そのものだけを見るだけではなく、実は社外からのそういう影響を受けていれば、中途採用をもっと早めに手仕舞いしてた方がよかったんじゃないの?みたいな話を役員とするとか、新しいマッチングだとしたらもっとコストを下げるとかできたんじゃないかと思うんです。そして結果的に、リストラするしかない状況に陥ることになりました。
なので、社内だけのデータだけではその決断というか正しい数字が見れないという文脈で言うと、その経験が結構脳裏に焼き付いてる感じですね。

ファクト集めるときに意識していること

西村:ちなみに個人的な興味と事前にいただいた質問にもあったんですけど、そういう情報を集める、ファクトの集め方について、普段気をつけてることややってること、ルーティーンでも全然いいです、何かこういう事象が起こったときにこうしているよみたいなのがあれば、ぜひちょっと教えていただきたいです。

須藤:今日、絶対これを伝えたいなっていうのがいくつかあって、そのうちの1つの回答なんですけど。
まず前提として、ファクトは絶対に全部は集められないということです。
ファクトを全部集めようとするととんでもない時間がかかって、いつまで経っても意思決定ができないので、まず、大前提、全てのファクトは集められません。
そして、ファクトはファクトでしかなくて、しかもファクトの切り取り方によって変わるということです。
つまり、これがファクトです、と言って集め方を失敗すると間違った意思決定になるということなんです。例えばデータのボリュームが少ないとか、切り取っているデータにバイアスがありすぎて参考にならないとか、どう集めるというよりかは集めている量は適切かとか、集めているファクトは網羅的なのかとか、そういうものに頭を使いますね。
なので、仮説というのを作らなきゃいけないんです。
つまり、自分がやろうとしている意思決定をしようと思っているところに対して、絶対外しちゃいけないポイント、センターピンみたいなものがあって、そのセンターピンを構成する主要な要素はA、B、Cで、AとBとCを網羅的に表現するデータというのは大体こんな感じだよね、みたいなものを最初に定義する。
おおよそ目の前にあるものだけを見がちでこれで判断しようってなるんですけど、実は今、社内で取ってないんだけど、このデータも集めて来なきゃいけないんじゃないか、みたいなものが結構あるんで、そういう落とし穴に陥らないようにするっていうのが結構大事かもしれないですね。

植木:似てるんですけど、やっぱり仮説が一番重要だなって思っています。
もちろん仮説だけで意思決定するわけではないんですけど、ファクトを集める前に、やっぱりどういう仮説を自分の中に持っているかによって、集める情報って全く変わるんですよ。
集める情報も変わるし、集め方も多分変わるんです。
情報を集めるとき、多分皆さん何か問題が起きてて改善しなければいけないとか、何かの変数をより良くしたいって思って情報を集めてると思うので、つまり行動変化につながらないと意味ないですよね。ファクトを集めて、こういうこと“っぽい”ですよとか、一般的にこう“らしい”ですよじゃなくて、それを基に私たちが行動を変えて、その結果としてどういうアウトカムを得たいのかっていうところまで繋がるのかっていう観点も含めて、やっぱりまずはイシューから始める。その仮説を基に情報を集めて、それを基に行動が具体的に変わる。やっぱり何かをより良くしようとしてるんで、集める目的とそれによってどう行動が良くなっていくのっていうところまで考えなきゃいけないなっていうのは常に考えています。

鍵:私もそうです。
仮説は必ず複数持つっていうのと、お二人が今仰ったことでだいたい網羅されてるんですけど、私が気を付けてることっていうのが、アナロジーをするっていうのは気を付けています。
アナロジーっていうのは類推っていう言葉なんですが、その一つの実証がファクトとしてあったときに、それと同じようなことが業界や事業をまたいで、時間軸属性、角度、この辺りから同じようなことが起きてる業界ってどこなのか?みたいな形でファクトのデータをまた集めにいくっていうようなことをやるのを意識してますね。

ファクトが不十分な際の判断について

西村:ありがとうございます!今の回答を受けて、さらに質問です。
皆さんは事業責任者や役員をやられてきた方々ですので、ファクトがない状態のときに意思決定しろと言われるときって多分あると思うんですよね。ファクトが集めづらいとか、全部揃ってないとか、意思決定するために揃いづらいときってあると思うんです。
でも、そのときもジャッジしろだったり、行動しろと言われることがおありになったんじゃないかと思います。
その想定をしたときに、何を考えて次のアクションをジャッジするか。そのときに気をつけていることを、ぜひ教えていただければと思います。
具体的なシーンもあると嬉しいです!

植木:はい、では私から。
今ファクトが少なかったとしても、今あるそのファクトからどういう仮説を立てられるんだっけっていうのはまず考えるべきだなって思ってます。
正直、そのタイミングではそこから大きな意思決定をする必要はないと思っていて、それが不可逆な意思決定なのであれば、より意思決定まではすべきではないなっていうのがありつつ、基本的にはそこから行動すればファクトって得られるのかなと。
その仮説があって、行動してファクトを得た上で、次にちゃんと判断するっていうことをやればいいんじゃないかなと思っています。
なので、全くファクトがない状態で全部決めて、1年間これでいくぞって決める必要は全くなくって、仮説が何で、その仮説を検証するためにどの情報をいつの時点までに得て、そのタイミングでどんな判断ができるのかっていうのを決めることかなって思います。
その中でよくあるのは、それをやった結果、Aという結果が出たらどうするの、Bという結果が出たらどうするのっていうことまで決めておくっていうことですかね。
そういう状況だったらそうします。

鍵:私は、さっき言ったように農業という分野で事業を立ち上げたんですが、別に私は農家出身でもなければ事業をやるまで畑にも入ったことがなかったので、その中で自分でやろうと決めてやったんですが、実は農業ってマクロ的なデータは結構あるんですよ、農水とかのデータとか。ただ、更新が全然されていなくて、5年前のデータとか10年前のデータとかが最新だったりして、一旦そこのデータをもとに仮説を自分でいろんなところに置きまくるっていうのと、さっき冒頭、須藤さんが仰ってたんですけど、ファクトを集めようと頑張りすぎたりすると、情報を集めている最中に誰か他の人に先行されちゃうこともあります。私は、整備しながら進めていくことも大事にしてきたことですね。
だから、見えないところがあるのであれば、まずやらないことには新しい発見は生まれないですし、新しいことを生みだそうとすると、そこにはまだ答えがなかったりとかファクトがないっていうのも当たり前に起こるんで、その中で仮説をもとに未来と現在を行ったり来たりしながら、これ正しかったよね、これ違ったよねって変化しながら進んでいくっていう、それが重要じゃないかなと思っています。

須藤:プライベートの仕事もそうなんですけど、まず正解はないというか、前提として正解は作るものであったり、正解にするぐらいにしてやっていけばいいと思っています。
例えば、ROXXに入ってよかったって思えるかどうかは、ROXXに入るという決断というよりかはその後の行動で未来は変わるので、前提として正解はないです。
リスクも期待値も同じなので、結局インパクトを生み出す確率なんですよ。極論、死なないんだったら意思決定すればいいみたいなこともあるじゃないですか。
別に全部分からなくてもやってみるか、みたいな。これだったらちょっと死ぬかもなっていうのはあると思うので、リスクの度合いによってコントロールできるとか、これは別に割り切ればいいやっていう、ものによっても多分変わってくると思うので、そこが観点としてはありますね。
その上で、私が外資企業に入って学んだことの一つをお話しします。
外資は基本的に能力で見られるもの、そのDealing with Ambiguityという能力があって、曖昧さに対応できるかっていうのを見るんですよ。人間は白黒ついたほうが楽なんです。
曖昧な状況に置かれて決められないっていう状況でも対処して進めるという、胆力をすごく求められるんですよ。敢えて決めないっていうこともよくやるんです。分からないことも多いので。
決めることによって、良い結果でも悪い結果でもインパクトが出るかどうか分からないから、曖昧な状態で進めるっていう判断をよくするんです。
これって非合理的に見えるけど、政治も同じようなことをやっていて、左もいれば右もいて、政治って複雑すぎて、なんで国はこんなことやってくれないんだよ、って思うことがあるじゃないですか。こういうのっていろんな利害関係者があったりとか、簡単に決められないことばかりで、そういうものを一気にバーッとやると、突然ブワッと成果が出たりすることってあるじゃないですか。だから決めないってことなんですよね。
決められるようになるまで潮目を待つみたいなこともあるかもしれないし、決めないこともあるじゃないかと植木さん仰ってましたけど、決めないっていう選択肢もあってもいいと思います。物によるのかなと。
それを本当に今すぐ決めなきゃいけない、もうAかBか選ばなきゃいけなくて直感で選ぶみたいなこともあるとは思います。でも実際、仕事してきてこういう場面に私自身はほぼ遭遇したことがなくて、選んで失敗してもしょうがなかったよねっていう感じのもののが多いのかなと思うので、大事な決断はファクトをもとにちゃんとやった上で、分からなかったんだけどこれは最後勢いでいくしかないっていう決めはあると思います。

ファクトと意見の違いの捉え方について

西村:ちょっと趣向を変えて質問します!
メンバーやお客様とかと会話するシーンが多いと思うんですが、その時に事実と意見、ないしは推測の違いをどう分けて理解していますか?という質問が来ています。これは一次情報だから、これは二次情報だからみたいな時に、マネジメントされている方は感覚でわかるのか、型みたいなのあるのか、という質問です。

須藤:私から答えちゃってもいいでしょうか。
ROXXのTuningを見た時に、多分これにあること足せばもっとうまくいくよねっていう点があって、それが何かっていうと解釈なんです。
事実は事実なのでそれはそれなんですけど、大体うまくいかないとか間違うとか意見が異なる理由って、同じものを見てるんだけど、解釈が全然違うんです。
例えばコップにこれだけしか水が入ってないっていう人もいれば、こんなにあると思う人もいるし、アフリカに行って誰も靴を履いていない事実を見て、ビジネスチャンスだと解釈するのか、全然市場がないと判断するのか、というのも解釈なんですね。
ファクトをもとに考えるっていうことはみんな頑張ってやるんだけど、賢かろうがなんだろうが解釈って全く異なるんです。なので、まず、自分の中のどういうフィルターを通して事実を解釈するのか、というところが一番間違えるポイントなので、解釈の仕方をどう気を付けるかみたいなところが大事ですね。
同じものを見ていても、同じ解釈をしていないってことはよくあるので、偉い人になればなるほど、「私は間違ってませんか?」「 Let’s on the same page(まず同じページにいる状態にしましょう)」と言うんです。自分で周りの人に聞いてみて、 同じものが見えていますか?とか、解釈あってますか?みたいなことを確認することは、注意深くやる必要があります。こう解釈した上で 自分はここに行きたい、こうしたいという意思とか、そういうものを揃えた上で、私はこう思います、 っていう意見が出てくるので、意見の手前の、その解釈のところは結構、 うまくいかない原因の一つとして起きるんじゃないかな、と思います。

植木:では、私からも。
このご質問いただいた方のシーンを想像してたんですけど、営業の方かなと想定して、 例えば、お客様がこう言ってますっていう事象をどう捉えるか、みたいな質問と解釈しました。
例えば、お客様は事実として、 ごめんなさい今回は発注できないんです、とか、その求人はこういう理由で受けないんですって言ってくれることってあると思うんですよね。それを言ってたってこと自体はファクトなんですよ。
ただ、お客様の言っている理由が本当かどうかはわからなかったりするのかなと。
ここは、BtoBでもBtoCでも、対人でビジネスすることが多いと思うので、お客様が言ってることって本当なの?っていう問いは、本当に一生切り離せないなって思ってます。
これは極論、意思決定を間違えないようにするには、一次情報をそのために取りにいくしかないかなと思っています。そして、より正しい改善を回すためには、やっぱりお客様が何でそうしてくれなかったのかという情報を引き出せるだけの信頼関係や、そもそも聞いてくれる関係性を築けてるんだっけっていうところは結構見過ごしがちだなと思います。
例えば、お客様から「求人が合わない」って言われたとして、そのために求人のバリエーションをもっと増やさなければいけないと思ってその求人の知識をインプットするっていう対策をしてたとします。でも実際はお客様は、この人の言ってることはあまり信用できなさそうだな、と感じているから求人が合わなかった、という理由を言ってるかもしれないじゃないですか。そういうのも意識した上で、自分は本当に信頼関係を築けている状態なのか、お客様からこういう声が出たら、それって信頼関係を築けているよねっていうファクトとして捉えた上で、その情報をもとに改善していくアクションはできると思います。
一次情報は、意思決定する人が取りに行った方が間違えることは少ないかなっていう話と、対人でやってる以上、お客様が本当のことを言ってるかって判断は、お客様が嘘言ってるって話ではなく、難易度が高いと思います。
それに加えてお客様ご自身ですら本当の理由を言語化できていないことも多いと思うので、そういうところも加味した上で、自分の改善をどうやっていくべきかっていう問いは、今日持って帰っていただいて考えていただけると、明日から活かせることがあるかもなと思いました。

鍵:そうですね。私は相手によっても全然違うと思っています。
例えば、上司部下の関係で、今回部下の話であれば、掘り下げて質問をするっていうところかなと思います。
あとはその語尾がどうなのかという見方もあります。例えば、「求職者と面談をしました。この求職者はこうだと思うんですよね。」という発言があったら、その時点で絶対主観が入っているので、その情報は信用できません。なので、その求職者が言っていたことなのかどうかというところを確認しにいくことをやります。このような形で、必ず部下が気づいていないところ、主観なのかどうか気づいていないところを掘り下げて、それと違うよねっていうところまで誘導していくことをやってきました。
お客様の場合は、なかなか本音や本心がどこにあるのというのは分からないので、できるだけ外掘りを埋めながら、自分で仮説を立ててそこのファクトを取りにいって、それが正しいのかどうかというのを確かめにいきますが、限界があるかなとも思っています。
あとは外部の方とやりとりしている中で、その方が話していることが本当にファクトなのかどうか、一次、二次、三次、どの情報のラインなのかとかというのも、その方との対話の中で質問しながら掘り下げるます。やっぱり質問して掘り下げていくというのが重要かなと思います。

信憑性のあるファクトとは?

西村:ありがとうございます!時間も時間なので、皆さんからもご質問をいただきたいと思います!

開田:勇気を持って質問します!
ファクトって聞いてパッと思いつくのが最終的に数字の形になっていると見やすいなと思うんですけど、数字以外に信憑性のあるファクトと言えるものはどんなものがあるかお伺いしたいです。

須藤:あくまで事実で、数字である必要はないですね。
誰々が会社を辞めました、どこの企業が解約しましたとか、これは真実ではなく事実です。
問題は、その事実をどう解釈するかがすごく難しいんです。
皆さんの場合、お客様が入社意思決定しましたとか、面談にいらっしゃいましたとか、 これも事実です。つまり、真実ではないということですね。

開田:ありがとうございます!

植木:数字にこだわる必要はそんなにないかな、 と思っています。あくまでも事実なので。
ただ、数字にした方が間違えることが少なくなると思います。
先ほどの私の話もまさにそうなんで、目の前の起きている事実やマクロの情報を基に意思決定するんですけど、例えば確率論とかって結構嘘つかないなと思っていて、100人に架電して99人に断られましたっていうは事実であり、個人からしたら全然アポとれないって思うかもしれないですけど、テレアポの確率なんて1%くらいじゃないですか、それが続くんだったらいいじゃんっていう風にも捉えられますし、あくまでもファクトって良い意思決定とか、良い意思決定をするための材料なので、ただ、数字にしたほうが間違える確率は減るかなという感じですかね。
差し込んだのに全くいいこと言えなかった。。。(笑)

須藤:ご質問の背景を教えてもらっても良いでしょうか?

開田:数字で自分の成績を振り返るときに、人の気持ちも絡んでくるので他に何を集めたらいいのかなというところです。

須藤:いい質問ですね、確かに。
インプットとアウトプットってのがあって、例えば、面談数っていうのがアウトプットの指標、自分たちの行動だとしたら、その手前で面談予約とかあるじゃないですか。そこに、もう一つ、二つ、お客様の感情とか意欲を表す指標というのが、もしかしたらあるかもしれなくて、それを追いかけると上手くいくかもしれないですね。
例えば、面談を設定したんだけど、雨だと明確にキャンセルが増えたりして、そういうのが指標だったりします。あと土曜日も落ちる、みたいな。だからこの手前で、金曜日の夜に、ちょっと一言電話すると、キャンセル率が減るみたいなのがあったりとかして、そういう数字を見ているだけなんですけど、他にそこにインパクトする要素がないのか、みたいなことを自分で考えて、それをウォッチしていくと解像度が上がるかもしれないですね。

開田:ありがとうございます。

仮説の精度のあげ方について

中嶋:仮説力、いわゆる精度ってどうやって上げるんでしょうか?大半の人はこっちで悩むのかなと思って。経験数が大事なのかなとも思うんですが。

植木:1つあるとすると、自分で意思決定して失敗したり、うまくいったり、この場数かなと思っています。
結構組織でやってると、誰々がこう言ったからとかっていうのは簡単だと思っていて、でも自分が本当はこう思ってるんだって思うのであればそれを頑張って説得してやればいいじゃないですか。それをやっていない中で、チームとしてこうなったからっていう他責って、仮説構築力がなかなか上がらない一つの事象だなって思ってます。
もう一つは解像度かなと思います。粗い解像度の仮説ってあんまり何も得られないんですよね。応募承諾率が低いことが課題だとして、暗いから面談からの応募承諾率が低いんじゃないかとかって仮説立てちゃうと、もはや検証のしようが無いと思うんです。
でも、さっきの振り返りの話と一緒で、応募承諾取れてない人って、お客様は何で承諾取れてないんだろうねっていうファクトを追加で収集して、今回どうでしたかっていうのを週で振り返って、7割の人が実はこういう要因でしたってなったら、自分が次面談するときにその要因が起きないようにするためのトークに具体的にファクトとして何を追加していくのかっていう改善をしていけば良くなっていくイメージ持てるじゃないですか。この粒度って話ですね。
粒度が粗いとアクションも変わらないし、振り返りも浅くなるんですよ。
でも粒度がちゃんと細かくできていると得られるものも増えるし、それを基に次のものって変わりやすくなるのかなって思っています。経験と粒度の2つかなと思います。

鍵:今の植木さんのもすごく重要で、私はそれに加えてもう1つ思うのが、さっきアナロジーって言葉も出したんですけど、点で見ないことかなと思っています。やっぱり目の前の事象を1個の点で見てしまうとそこしか見えなくなっちゃうので、やっぱり一歩引いて、いかに横との繋がりとか、前後や長さを考えて、線で繋げてみるっていうことをすると、いろんなところで仮説が立てれるようになるんで、それはやった方がいいんじゃないかなと思います。
でも実は前後に因果関係が絶対にあるんで、前後まで必ず網羅してみた上で仮説を立てると、きれいな仮説が立てられるんじゃないかなと思います。

須藤:あえて植木さんと真逆の観点で言うと、例えば経営コンサルタントの方々って別に会社経営や意識決定をしたことないんですけど、仮説構築力がものすごく高いんです。
なので別に自分で決断しなくても仮説力は絶対上げられると思います。
では何が違うのか、その経験とフィードバックというところが重要なんですが、まず一つは知識ですよね。
私たちも仕事において仮説を立てるときがどんな時か考えた時、例えば決定率が落ちているぞとか、うまくなっていないぞっていうことに対して、なぜなんだろう、というのが仮説という話ですね。そこのレベルをどう上げるかって話なんですけど、まずそもそものその状況、私たちの仕事の中身や業界、その知識がないとおかしな話になるので、まず知識をインプットとすることですね。
2は当たり前なんですけど、論理的な思考能力。つまりA+B=Cですってなったときに、Cというのが仮説だったとしたら、Cを構成するものってなんだろうというものを逆算して、AとBというのを考えられるとどうなるか。つまり、WHYとSO-WHATというのがロジカルシンキングですよね。事実を積み上げていってSO-WHATが結論。これは論理的思考能力で、仮説を立てた後に、この仮説を構築する大きなファクターは何なんだろうと考えるのが、WHYです。なので、この上下に行ったり来たりする力をつけられると、いきなりこの仮説がでたときに、この仮説を構成する4つとか3つの主軸って何なんだろうというのが、頭の中にボヤーっと浮かんでくるんですよ。
それはもう経験するしかないです。という感じですかね。

ファクトをどう人に持ってきてもらうかについて

武居:お三方が上司と仮定してお伺いしたいんですけど、部下に期待したい、こうしてほしいというファクトの使い方とか、ファクトの持ってき方とかがあれば教えてください。

鍵:部下に持ってきて欲しいファクトですか。パスで(笑)

西村:じゃあ植木さん。

植木:うわあ、めちゃくちゃ難しいですね。。。パスで(笑)

西村:ためてパスでって言われるとは思いませんでした!(笑)

植木:後3秒考えて思いつかなかったらパスでってオチで(笑)

西村:はい、3秒経ちましたのでお願いします!

植木:はい(笑)
みんなが良い意思決定をするために、どういうファクトをどういう粒度で集めるかという話なので、部下に求めるという観点はそんなにないですね。
でも、意思決定したけどこれでいいですかって上司に報告するときって、伝わりやすいように正確さを削ってシンプルにすると思うんですよ。
それが抽象化っていうことだと思うんですけど、それをやって、やったほうが伝わりやすいし判断仰ぎやすいんですけど、それってどういうデータから持ってきたのかを参照できるようにはしておいてほしいなと思います。
その意思決定の背景としてどういうファクトがあって、それからどういう解釈してそういう意見なのっていうのを見たいときもあるので。

鍵:ちょっと思いついたんで、話しても良いでしょうか!
私はどういうファクトがあるかどうかより、どうやって集めてきたのかっていうプロセスを見にいきたいかなっていうふうには思いました。
さほど良い答えでもないんですけど。
ただ、ファクトっていうファクトも重要なんですけれども、ファクトを集めるまでにどういう思考で、どういうロジックを考えて、で、どこからデータをどういう風に集めてきたのかっていうところに 成長があるのかなと思うので、そこを見にいきたいなというふうに思いました。

須藤:どうファクトを持ってきて欲しいかですね。
例えば、数字を見てても有効商談の定義が今年の6月から変わりましたとなると、同じ有効商談というラインで出てる数字だけど、 全然違うじゃんってなるので、まずは定義をちゃんと明瞭にすることが大事だと思います。あとよくあるのは、整理されている状態であることも大事ですね。この言葉の意味は何かとか、ちゃんと整理されててローデータも見えてるとか、ごちゃごちゃしてなくて小学生が見ても分かるような分かりやすい状態にすることです。社内の誰が見ても、これはこういうことを表してるデータなんだなとか、ファクトなんだなとか分かるようにしておくといいんじゃないかなと思います。
回答になってないかもしれません。

武居:ありがとうございます!

西村:時間も時間なので、最後にお三方から一言ずつもらう感じにしようと思います!
なぜファクトを重要視しなきゃいけないのか、大事にしてほしいという思いを込めて、 一言ずつメッセージいただけると嬉しいです。

植木:私が最初に言ったのが、今日一番伝えたいメッセージでした。
ファクトは、いろんな人と仕事をする上で、 絶対皆さんにとって武器になります。
仕事って生産性って言われてますけど、 少ない能力で高い成果をあげられた方が絶対良いじゃないですか。それをやる上でファクトって超強力な武器になると思うんです。
それをちゃんと集め続けるというか、どうしても人間って今ある情報で判断しようとしちゃったりするので、今向き合っている課題に対して、今の行動すらも覆すような仮説って何で、その情報を集めるためにはどういうアクションが必要かということを、 トライすることを諦めないということがすごく重要なんじゃないかなと思っています。
なので皆さん、ファクトを集めた方が仕事を楽に進められますよというのをお伝えしたいという感じです。以上です!

鍵:私はさっき言った、点を線で繋ぐというところと少し似てるんですが、ファクトだけをずっと追い求めても仕方ないというか、ファクトがあるということは仮説があって、仮説があるからファクトが生まれて、そのファクトをもとに現在地と未来というのを行ったり来たりしたり検証したりということが起こって、そこにプロセスが生まれてくるということだと思うので、ファクトって本当に重要なテーマだと思いますし、ただそれ一つではただのファクトにしか過ぎないのでそこを繋げながら考えてもらうというのが大事じゃないかなと思います。以上です!

須藤:大体言われてしまったので重複していないところで言うと、繰り返しになりますけど、やっぱりファクトの解釈の仕方がすごく大事なのでそこに気をつけるというのと、解釈したとして、それをどう理解していくかみたいなところでまた誤るので、世界中の仕事をしている人たちがファクトが大事だと理解はしているんですけど結局そこで悩むので、そこのファクトで考えるという、Tuningで表現されていない部分のところについてもレベルを上げていくというところに意識していくと、すごく良い仕事ができるんじゃないかなと思うので、そこも合わせてやっていただけるといいんじゃないかなと思っております。

西村:ありがとうございました!では最後に皆さん、拍手で!

参加者の声をご紹介!


最後に、参加者した方からの感想を一部ご紹介します!

                                      社内アンケートより

アンケート内容からも「ファクト」に対しての理解がグッと深まっている様子が伺え、少しでも学びになっていれば嬉しいです!
これからも毎月開催予定ですので、少しでも興味が湧いた方は、ぜひ参加してみてくださいね。
以上、ROXX Cafe「ファクトを重要視する」回のレポートをお届けしました!
ROXX Cafeいいね!と思った方はぜひスキをお願いします!
次回もお楽しみに〜!

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