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女性が働き続けるために必要な環境とマインドをつくる!正門律子さんによるセミナーを開催しました【3/8は #国際女性デー】

先日、講師として女性起業家である正門律子さんをお迎えし、「女性と働く環境について」をテーマとした社内研修を行いました。

SAKURUGには時短勤務のママさんが多く在籍していますが、ママさんたちの環境はそれぞれ違います。ママになったばかりのメンバー(育休中)・ママをしながら在宅勤務をするメンバー・子どもを保育園などに預けて時短勤務で出社するメンバーなど子どもの年齢(月齢)も違えば生活環境(仕事環境)も違います。そして女性メンバーはママさんだけではありません。これから結婚するかもしれないメンバー、結婚はしているけれど子どもは居ないメンバーなど様々なライフステージの女性メンバーが在籍しています。

「これから働きつづけていくための環境」は、そんな女性たちにとって共通の課題です。

この研修では実際に結婚・出産・育児を経験した経営者である正門さんから「女性が働きつづけるために大切なこと」についてお話を伺いました。


<講師プロフィール>

正門 律子(まさかど りつこ)

クレース・プランナーズ代表取締役、綿帽子(わたぼうし)代表取締役。

客室乗務員、外資系ホテルコンシェルジュの経験を活かし、2003年に総合マナー研修会社「クレース・プランナーズ」を設立。人間力向上に関する研修の開発/研修をするとともに、自らも官公庁・市町村・大学院・大学・専門学校・民間企業にて人材育成セミナーや講演を行う。執筆(連載)、取材多数。

南山大学大学院(ビジネス学科)客員教授、名古屋大学 非常勤講師、名古屋文化短期大学 非常勤講師も務める。


28歳での起業、結婚・出産、そして2社目の起業

正門さんは大手航空会社のCAとして働いている時に独立を考えました。理由は「大きな組織では意見が通りづらい」という実体験からでした。

何かアイデアが浮かんで上司に提案したところで、何段階もの決裁を得なければ実現しない事実に直面した時に、【自分のやりたいことができる=独立】というシンプルな発想に行きつきました。

その時の正門さんは根拠のない自信があったと言います。

退職後、経営の勉強をしようとアメリカに渡りましたが、諸々の事情で一旦日本に帰国。CA時代の英語力とホスピタリティを活かし、実家近くの外資系ホテルのエグゼクティブフロアで勤務を始めます。そこで様々な経営者の接客をしていて気付いたのは「経営者になるために学位(学歴)は必要ないんだ」ということでした。

ホテルに勤務しながら株式会社の作り方などを勉強し、28歳の時に1つ目の会社(研修会社)を立ち上げます。この時はワーク120%の生活をしていて、1社目が軌道に乗るまでは結婚はしないつもりでした。

しかし、会社の立ち上げと同時にお父さまのガンが見つかり余命1年の宣告を受けました。お父さまに花嫁姿を見せてあげたいという気持ちから、正門さんは考えを180度変えて結婚を決意します。結婚式を挙げた1か月後にお父さまは息を引き取られたそうです。

そこから36歳で出産を経験するのですが、出産するということは現場から退くということ。自分が出社しなくなり、女性がずっと第一線で働くのは物理的に無理だと実感しました。1人の女性でもライフステージに合わせていろんな働き方を選べる環境をつくりたい、と出産から半年後に2つ目の会社(美容院)を立ち上げます。

どんな立場の人も安心して働ける

女性が働きやすい職場にしようと、

・営業時間は9時から18時(残業なし)

・定休日は基本日曜日(保育園が休みのため)

という営業形態に変え「どんな立場の人も安心して働ける環境」を目指しました。

そんな思いで立ち上げた美容院「綿帽子(わたぼうし)」ですが、当初離職者が後を絶ちませんでした。理由は独身者と子育てママとの確執でした。ここでダイバーシティとは女性同士でも理解が必要だということを痛感します。正門さん自身も試行錯誤を重ねながら改善を重ねていきました。

現在8年経ち、直営店6店・フランチャイズ店1店の計7店舗を展開しています。

「綿帽子」は出店場所にもこだわりがあって、それは都会から少し離れた住宅街に店を構えることなのだそうです。理由は「できるだけ家に職場が近いように」。

ママさんが通勤しやすく(何かあったらすぐ保育園まで迎えに行けて)、お客さんも来店しやすい場所は決して都会や都心だけではありません。働く人と来店する人がそれぞれマッチし、お互いに年齢を重ねていける、そんなお店を目指しています。キャリアを中断せずに仕事を続けられる環境って大切ですね。

ノーワークノーペイ、評価は時間ではなく生産性で

「どんな立場の人も安心して働ける」ということは、ひとりひとり働き方が違うとも言えます。正門さんはスタッフの評価を「どれだけの時間働いたか」ではなく「どれだけ生産性を上げられたか」という部分で判断しています。

1時間あたりの生産性は時として時短勤務の人の方が高い事が多いです。

SAKURUGも時短ママさんが多いのですが、ママさんたちはフルタイムのメンバーよりも優先順位の付け方が速いです。働く時間が短いので取捨選択やタスク管理に時間をかけている場合ではないのではと思いますが、これはフルタイムメンバーも見習わなければと思う部分でもあります。


経営者としてはマイノリティ

20代で独立した正門さんは、60代社長が多い中で、「経営者」としては性別でも年齢でもマイノリティでした。経営者の勉強会などに参加しても、100人を超える参加者でも自分と同じ属性は見つけられず、独りぼっちが普通でした。

男女平等や女性活躍推進が叫ばれる昨今ですが、管理職はもとより経営者も圧倒的に男性が多いとのこと。現在女性経営者は全体の8%と言われております。(帝国データバンク調べ)

けれど、風向きは変わってきていると感じていると正門さんは言います。現在中部圏を中心に講演のお仕事をされているのですが、女性管理職向けの研修に登壇すると、各企業よりものすごく人が集まって来るのだとか。企業間の垣根を取っ払ってそういうネットワークが欲しいと言う人が多い事に驚いていると言います。

集まる人が多いということは、今後女性経営者・役職者をはじめ、ビジネスで権限をもって活躍する女性が増えていき、役職者が声を上げることによって働きやすい環境になっていくことが期待できるのではないでしょうか。

しかし、男性経営者は女性が働きやすい環境を作れないのかといえば決してそうではありません。

正門さんの見解によると、特に男性起業家には期待しているのだそう。起業家はヒト・モノ・カネの資源が少なく時代の流れを素早くキャッチして適応していかなければ会社を存続させることができないため、女性活躍もお飾りではなく本気で考えているからだそう。

また生みの苦しみを知る人だからこそ、経営者として「実例がなくてもまずはトライする」「間違えてもすぐ修正する」事に敏感なのかもしれません。

既存のルールに画一的に押し込めるのではなく、柔軟に変化しながら(ルール自体も適宜見直して)、それぞれの良いところを生かしてより良い社会にしていけたら素晴らしいですね。



<質疑応答のコーナー>

Q.フルタイムで仕事をしながら不妊治療をしています。治療による体調の変化も著しく、在宅勤務を増やすなどして会社は柔軟に対応してくれているのですが、独身の女性や子育て中の時短ママさんなどに比べると『優遇されている』と勝手に感じてしまい気持ちの部分で仕事がしづらいです。社員全員が分け隔てなく平等なのだと思うにはどうしたらいいでしょうか?(30代女性)

A.こういうことは当事者から発信して変えてもらうのはとても難しいことなので、トップに言ってもらうというのが早いです。

人には色々な働き方があります。これは当たり前のことです。特に女性は1人の女性でも、集中して働いたり時短になったり休んだりと、一生のうちで年齢やライフイベントによってベストな働き方が変化するということをトップが理解し、それを男性社員も含めて全員に理解してもらうということがとても重要になります。そして、当事者のあなたが罪悪感を感じることは1ミリもありません。


Q.現在結婚よりも仕事を頑張りたいと思っている時期なのですが、正門さんが結婚よりも仕事をと思われていた時期の原動力はどのようなものだったのですか?(30代女性)

A.大きな組織に入っていた時に「正当に評価されていない」という不条理感を感じていました。接客業は営業のようにわかりやすく数字が出ないので評価は上司のさじ加減ひとつという部分が否めませんでした。ですので、実力が市場で評価されるような環境で働きたいというのがモチベーションになっていました。責任は伴いますが正当に評価されたい、という気持ちが非常に大きかったです。

ただひとつ40歳を過ぎて反省していることは、組織内で働くならば、どんなに正当な事を言っていても上司に嫌われてはあまり良いことがないということでした。お客様にどれだけ評価いただいても上司に意見することで「この人協調性ありません」という評価をもらってしまった事があります。

組織で上にいきたいと思う場合は評価者(上司)に報連相をこまめにしたり、周りを巻き込んだりすると上手くいくと思います。

ただ、上司は選べないことが多いので、どうしても相性が合わなければじっとこらえてやるべきことで結果をだしつつ上司の転勤を待つ、もしくは私のように独立してもいいとおもいます(笑)


Q.産休育休を経て今年度から仕事復帰しました。妊娠中も体調と相談しながら仕事をしていたのですが、自身が体調良くてもう少し仕事をしたいと思っても周りが「帰ってください」と気を遣ってくれることが多く、仕事と体調の折り合いをつける難しさを感じたことがありました。そしていざ復帰したところで、今度は育児と仕事の両立で毎日いっぱいいっぱいです。今後のためにキャリアアップしたいなと考えた時に、自分のことや子どものことを削ってまで勉強した方がいいのかなど皆さんどうしているのか気になります。ネットなどではどうしてもキラキラした人の成功例ばかりに目がいってしまいます。(20代女性)

A.子どもって3歳まではめちゃくちゃ大変です。毎日ヨレヨレになります。テレビの取材などで『キラキラママ』の設定をお願いされたこともありますが、ハッキリ言って無理です(笑)。その頃の記憶といったら(いつになったら喋ってくれるんだろう)(いつになったら手が離れるんだろう、はーゆっくり寝たい)という愚痴ばかりでした。なので、今あなたは人生で大変な時期のピークです。これ以上大変になることはないので、今は勉強なんて考えずにとにかく周りの力を借りながら自分の時間を確保して、心身ともに健康でいることを最優先してください。子どもが6歳ぐらいになればかなり楽になります。



Q.正門さんの現在の環境は子育てしている女性が多数派(マジョリティ)になると思うのですが、独身女性などの少数派(マイノリティ)の方たちへの配慮ややっていることなどはありますか?(20代男性)

A.子育て中の人も独身の人も平等に評価するようにしています。ノーワーク・ノーペイの考えで、長時間働くから高評価ではないし、短いから低評価でもありません。自分以外の理由で突発的な業務からの離脱(親や子の急病など)は前提として考えていますが、それ以外の中身はしっかり見て評価するようにしています。

以前失敗したなと思うことは、子育て中のスタッフを終業時間前に帰らせたり仕事で結果を出さないのに指導をきちんとしなかったりと、私が間違った所で権利を使ってしまい、独身スタッフの反感を買ったことです。そこからはしっかり区別するように気を付けました。



1時間あった研修はあっという間に終了となりました。

女性同士でも理解が必要な働き方は、男性や組織ではより一層能動的に理解することが必要なのだと改めて認識できた時間でした。

これからも「当たり前」を知り、同じ女性同士でも思いやりを持って社会に貢献していきたいです。正門さん、ありがとうございました!


日時:  2/7(月)13:00~14:00

講師:  正門律子さん(クレースプランナーズ 代表取締役、綿帽子(わたぼうし) 代表取締役)

テーマ: 「女性と働く環境について」

・女性の社会参画についての課題

・仕事にまつわるジェンダーギャップ

・ジェンダーとマネジメント etc…

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