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部下を、自分を、業務の本質から逸らさないための最適な目標のハナシ

こんにちは、scoutyの伊藤哲弥です。私は2017年8月に4人目の社員としてscoutyに入社しました。

現在は、広報・営業・CSなどなど、多岐に渡る業務を担当しています。今回の記事では、前職で培った、また、どんな仕事にも活用できる、マネージメントにおける“目標設定”の極意について紹介します。

私は7月までは、とある上場企業で副事業部長としてマネージメントをしていました。事業部は約40人からなるツリー状の組織で、私の下には部長が、その下には副部長、チームリーダー、そのチームのメンバーが働いていました。

2015年にはIPOをして、メンバーがどんどん増えていき、事業部の平均年齢がどんどん若くなると、マネージャーのマネージメント能力が重要になっていきます。自分1人で1,000万円の利益を出すよりも、40人がそれぞれ100万円の利益を出すことの方がインパクトが大きいから、そして、若いメンバーこそ、正しい(会社の向く)方向に導いてあげないと脇道に逸れがちだからです。

私も決して熟練のマネージャーではありませんが、部下がいる、誰かに業務をお願いする立場であるならぜひ読んでみてください。


陥りがちな罠!下位目標へのフォーカス

組織が拡大していくと、チームによって目標が設定されます。営業チームは新規受注額、マーケティングチームはリード数、CSチームはクレーム件数など、が設定されますね。

さらに、営業チームの中でも、商談の件数獲得を目標にするテレアポスタッフ、受注率を目標にするフィールドセールススタッフなど、目標はブレイクダウンしてより具体的になっていきます。

前職でも、「受注額」という目標を追うチームがありました。

ある日大型の案件を取ってきて、チームメンバーは喜んでいましたが、その案件はほぼ仲介するだけのような仕事のわりに工数がかかり、下請け企業への支払いや経費を差し引くと利益は微々たるもので、むしろミニマムサイズの案件の方が利益額が高いくらいでした。チームの目標達成だけを見ると正しいアクションなのですが、彼らのことを手放しで評価できない自分がいました。

目標をブレイクダウンして行く時に起こるのが、局所的な目標だけにフォーカスしてしまう問題です。

例えば、商談数の目標を達成しようとするばかりに、あまり見込みのない顧客とのアポをとってしまうことなどがこれに当たります。テレアポスタッフの個人目標は達成したとしても、フィールドセールススタッフからすると効率が悪くなり、営業チーム全体の目標達成に悪影響を与えます。

やっている本人からすると「与えられた目標に対して忠実に働いている」のですが、一方で上司は「あいつは自分のことばっかり考えていて、全体が見えていない」と言い、評価をしません。部下は自身の頑張りが認められないことを不満に思い、辞めてしまうかもしれません。

まずは大前提である、目標のルールを理解することが必要です(もちろん、理解させていない上司に責任があります)

目標のルール

上位の目標は下位の目標に対して優先される

ということは、当たり前ですが意外に言語化できていないことが多いです。

例えば、「商談件数の目標」は「売上額の目標」の下位にあります。商談の件数は売上額の目標の構成要素の一部でしかありません。アポの数が少なくとも、成約件数が多ければ良く、成約件数が少なくとも顧客単価が高ければ良いのです。

商談の件数は、売上額を構成する要素の一部であり、企業が本当に達成したい目標は商談件数でなく売上額です。これをきちんと相互理解しているかどうかで、前述のような上司と部下のすれ違いも軽減されるでしょう。

もしも上司が「キミの目標はテレアポ●●件だ」という指示の出し方をすれば、部下は死に物狂いでテレアポの目標に挑むでしょう。テレアポ件数は唯一絶対の目標です。一方で、近視眼的になり上位目標の売上額を達成するための他の施策については考えを巡らせないかもしれません。

上位目標を意識させる

もしも上司が「僕らの目標は同年前月比で売上1.5倍だ。そのための手段として、新規顧客数を増やそうと思う。キミがテレアポ●●件を達成することで、新規顧客数が●●になる計算だ」というように、上位目標から説明すると、テレアポ件数はただの手段になります。テレアポの獲得率にこだわってみたり、もしかすると、テレアポ以外で新規顧客を獲得するアイデアを提案してくれるかもしれません。

上位目標を示すことで、部下の行動も変わっていくのです。

以前に、ある商品の販売件数を目標にしていたチームがいましたが、上位目標である「商品の売上」を意識すると、商品の単価に目を向けてより上位の商品を売ろうとするアップセルの動きや、別の商品も抱き合わせで営業するクロスセルを行うようになりました。

結果として販売件数は変わらないながらも、売上は増えていきました。

この成果に対して、私は手放しで喜ぶことができました。それは、彼らの行動がより本質(上位目標)に近かったからです。

最適な目標を示そう

「上位目標を示すことでアイデアの幅が広がるのならば、会社の最も上位の目標を示したら良い」かというとそうではありません。

試しに、個人目標からだんだんと上位に遡ってみましょう。

「テレアポ件数」→「獲得商談数」→「新規顧客数」→「単月の事業部売上」→「今季の事業部売上」→「今季の事業部利益」→「今季の全社利益」→「中期の全社利益」→「長期的な安定した事業成長」……と突き詰めていくとキリが無くなりますので、このあたりにしておきましょう。

それでは、商談件数を目標にしているスタッフに、上記の目標を示してみましょう。

当社の長期的な安定した事業成長のために、今月はテレアポ●●件を達成してほしい

→ 目標が抽象的過ぎて、自分の業務との繋がりがイメージできず、テレアポの他に何をすれば良いのかわかりません。

当社の今季の事業部利益達成のために、今月はテレアポ●●件を達成してほしい

→ まだ抽象的ですね。

新規顧客数を増やしたい、そのために今月はテレアポ●●件を達成してほしい

→ ようやくイメージできるようになりました。

目標には意識させるべき最適がある

示すべき上位目標には、最適な目標があります。「新規顧客数を…」と示せば新規顧客獲得のアイデアを、「獲得商談数を……」と示せばテレアポ件数ではなく商談の獲得件数を増やすためのアイデを考えるようになります。一方で、「今季の事業部利益……」のように抽象的過ぎる目標を与えても、アイデアは出てきません。

・(目下の作業ではなく)本当に部下にコミットしてもらいたい目標はなんなのか?

・出してほしいアイデアはどの範囲の領域なのか?

・目標は抽象的過ぎないか?

上記を考えてから、最適目標から下位目標へと落とし込んで指示を出してあげることで、部下の業務範囲が広がっていきます。

今日からやってほしいこと

もしも「部下が個人目標だけにこだわってしまう」「部下から業務改善のアイデアが出てこない」と悩んでいたら、まずはあなたの会社の上位目標から、部下に与えている目標までを書き出してみてください。そして、部下に現在の目標と、その上位目標、さらに上位と遡って訊いていってください。期待している上位目標まできちんと説明できないなら、上位目標の示し方が誤っているかもしれません。

この考え方は、部下だけでなく自分自身に対しても活用できるセルフマネージメントの手法でもあります。自分が普段どの目標に対して業務を行っているかを意識して、それをより上位に高めていくことで視座が高くなっていきます。

自分のタスクなのか、サービスの業績なのか、事業部の業績、会社の業績なのか、見つめ直してみることで現在の自分の視座がわかります。

実は私も、scoutyで働きながら自分がどの目標を意識しているか、日々考えながら行動しています。「Wantedlyでブログを定期的に書くというのは、どういう上位目標のためだろう」「閲覧数を増やすことを目的にしているけれど、それは本当に上位目標に合っているのだろうか」と考えていくことで、自分の視座が低くなっていたり、目先の目標で頭が埋め尽くされたいたりする状況に気づき、軌道修正しています。

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