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代表・石黒和己「できるか分からないけどやってみる」ことをしなければ、仮説は一生仮説のまま。

石黒和己(いしぐろわこ):NPO法人青春基地代表理事。1994年名古屋生まれ。慶應義塾大学SFC卒。東京大学教育研究科修士課程。

制服なし、テストなし、成績なし!?の中高校時代


出身は名古屋。中学生になったとき、シュタイナー学園へ入学するため、神奈川県の山奥にある藤野という町へ引っ越しました。「シュタイナー教育」とは、オルタナティブ教育の一つで、とても自由な学校でした。もちろん制服はなかったし、テストもなく、点数で評価されるいわゆる「成績」もありませんでした。



シュタイナー教育のなかで大切にされていたこと、それは「経験すること」だったんじゃないかと思っています。 たとえば、歴史の授業で大航海時代について学んだあとに、実際に帆船にのって東京湾を横断しました。酔いがほんとうにすごくて、マゼランとか当時の宣教師の旅の尋常じゃなさを体感しました。人がなす技じゃないなと。(笑)



福祉実習では、2週間「乳児院」に通いました。乳児院とは生後3ヶ月の赤ちゃんから、4歳くらいの子どもたちが暮らす児童養護施設です。一緒に遊んだり、オムツ変えたり、昼寝させたりしました。子どもの世界には危険がいっぱいあって、順調に進まないことばかり。朝8:30くらいに出勤して夕方帰宅すると、疲れてなにもできなかったですね。


そして乳児院は、親がいない子どものための施設ではなく一時的な預かり施設なので、職員さんを「○○さん」と呼ばせていたこと、時々お母さんに会い行ける子どももいること、一方で授乳を拒否する生後3ヶ月で預けられた赤ちゃんがいました。知らないことを突きつけられて、高校2年生当時ながら、様々な衝撃を受けました。


人は多様な環境のもと、さまざまな状況の中で生きていて、そこには想像しきれないほどの様々な感情や思いがある。そう実感しました。


この経験は、青春基地のメディアづくりにも繋がっていると思います。「インタビュー」って相手や自分の生き方を問うことだと思うんです。たった一瞬でも、その人がどんなことを日々考えているのか触れることができて、当人だけじゃなくて、聞いた人にとってもかけがえのない時間になりますよね。



「やりたい!」と思ったことに挑戦できる社会をつくる



自分を振り返ると、自分を受け入れてくれる周りの友人や大人がいてくれたこと、そしてやりたいと思ったことを実際にやれたことが、自分を形づくっていると思います。


例えば高校に卒業旅行がなくて、どうしても行きたかったから、新聞をつくってカンパを集めたときも、他学年の親御さんたちとか周りの人が応援してくれました。日々一つひとつの積み重ねの中で「できるかも」と思えたことはとても大きかったと思います。



「そんなことせずに勉強しなさい」とか「危ないからやめなさい」って言われていたら、きっと全く違う人生を歩んでいたはずです。私が周りの人に支えてもらっていたからこそ、次は自分が支える存在になりたい。


だから、「やりたい!」と思ったことに挑戦するチャンスをつくっていきたいし、「会いたい」と言われたら、じゃあ会ってみようよ、と後押ししたい。そんな時間や経験をつくること、これを青春基地でやっています。


「できるか分からないけどやってみる」ことをしなければ、仮説は一生仮説のまま


大学進学後は、カタリバという教育系NPOで2年間のインターンをしていました。100校弱の学校を回ったのですが、「やりたいことは何?」と聞かれることを嫌がる生徒、「私なんて無理です…」と口にする生徒があまりに多かった。


自信がないことが全部悪いことだと思わないし、私含めて誰でも不安はあります。でも、「できるか分からないけど、やってみるか。」と思える人が、もう少し増えても良いのではと思います。


根拠のない自信や自己肯定感は、前に進んで行く武器だと思います。「どうせ自分には無理…」「私なんて…」と自分を過小評価することは簡単。でも、それは自分の可能性を、自分の手で閉ざしてしまうことでもあると思うんです。


中高時代の失敗はだいたい何とかなると思うし、挑戦の証ですよね。中高時代って半分大人になり始めているけど、半分はまだ子ども。だからこそ自分で意思決定して、自分で自分を変えていくことができると信じています。


青春基地は、それを後押しする場所です。それぞれのやりたいこと、気になる疑問について、自分で一次情報を掴みに会いにいき仮説を検証していく。疑問や、仮説を問い続ける。

そうやって、それぞれが発信し、それぞれの未来へ発射していくから「基地」なんです。居場所としての「ホーム」だけじゃなくて、「ベース」が必要だな、と思って青春基地と名付けています。

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