代表取締役からプレイヤー転向で示す、「本気で」やりたい仕事への答え。次なる情熱の矛先は
2020年07月31日に東証マザーズに新規上場したばかりの株式会社SunAsterisk(以下、Sun* )。
デジタル・テクノロジーとクリエイティブを活用し、あらゆる産業のデジタライゼーションをさらに加速させるため、次々に事業をアップデートさせている真っ只中です。
ビジネス・プロデュース部門の再構築を図る動きもそのひとつ。
その部門メンバーを募集するにあたり、部門再構築の狙いと背景について、電通マクロミルインサイトの元代表取締役で、現在ビジネスプロデューサーとして現場で活躍する中野 崇さんに話を伺いました。
<紹介>
中野 崇(なかの たかし)/ビジネス プロデューサー・ビジネス インキュベーター
早稲田大学教育学部教育心理学専修卒後、良品計画からキャリアをスタート。購買心理やストアマネジメントの基本を現場で学び、マーケティングリサーチの知見を深めるため、2005年にマクロミルへ入社。
セールスで実績を残し、チームマネジメント、研修講師を経て、マクロミル初の海外支社・上海支社の立ち上げに携わる。その後韓国へ渡り、取締役として韓国支社の経営再建を先導。帰国後は、事業戦略本部長、マーケティング・プロダクト開発部門の執行役員を経て、2018年、グループ会社である電通マクロミルインサイトの代表取締役に就任。2年で経営改革を実行し代表の座を退き、2020年7月にSun* へ参画。
ポストよりも大切なこと。それが「夢中になれる仕事」だった
代表取締役を退任して、Sun* に入社。しかもマネジメント層ではなく、ひとりのプレイヤーとして。「それは、なぜ…?」と聞かずにはいられない、とてもユニークなキャリアを歩んでいらっしゃいますね。
そう思われるかもしれませんが、自分自身としては、最終のキャリアがたまたま代表取締役だったというだけのことです。
正直、役職やポストに大きなこだわりはありません。
前職のマクロミル時代、上海支社の立ち上げに携わった以降は、韓国支社や事業部の立て直し、最終的には代表取締役として経営改革と、これまで組織・事業・経営の再建や変革マネジメントを任されることが多かったのは確かです。でも自分の本音としては、それよりも事業やプロダクトをどんどん立ち上げるのが好きだったんですよね(笑)
今回のビジネス・プロデュース部門再構築の話も、部門責任者に思われるかもしれませんが、ボクはあくまでもプレイヤーのひとり。この部門はプロフェッショナルのみが結集する集団にしたいので、マネジメントは必要ないと思っています。
代表取締役からプレイヤー転向というキャリアチェンジには、どのような背景や意思決定があったのでしょうか?
前職で代表取締役就任の話を受けた時には、2年間という期日を自ら設けていました。
というのも、それまでもずっとマネジメントに関わる仕事を任されながらも、自分は事業やプロダクトを「立ち上げる」ことが好きだし、やりたい事でもあるのが明確だったんです。もちろん、その会社の立て直しが経営としてやるべきことであると理解できましたから、2年間はその役割に徹しようと決心しました。
そして2年間という節目を迎えた時、やはり多くの事業やプロダクトの立ち上げに携わりたいという思いに変化はありませんでした。
そのままグループ内でやりたいことが実現できるポジションがあればよかったのですが、残念ながらそうもいかず、やりたいことができる会社を探すか、自分で会社をつくるかという二択になりましたね。
その後、Sun* とはどのように出会ったのですか?
Sun* のことはエージェントを通して知り、数多くいただく案内メールの中でたまたま開封して会ってみようと思ったのがSun* だったんです。本当にたまたまです(笑)
さまざまな会社から事業立ち上げポジションをご紹介いただいていたのですが、比較したときに、他の会社とSun* には決定的な違いがありました。
それは、「 “数多く”の事業やプロダクト立ち上げに関われること 」です。
普通、ひとつの会社の事業にコミットしてしまうと、その事業を大きくすることだけに縛られるじゃないですか。仮に、その事業やプロダクトに興味が持てなくなってしまった場合、苦しくなって、また新しい場所を探すことになります。
でもSun* であれば、ありとあらゆる会社にデジタライゼーションをもたらし事業共創することが事業そのものなので、極論、すべての会社や事業と仕事ができるんです。数多くの事業に関わり続けられる機会があるので、好奇心が刺激され続けます。
飽きずに仕事を楽しめそうだと思いましたし、Sun* という会社自体が、求めていた仕事そのものでした。
加えて代表の小林さんの人柄がすごく魅力的で、「この神輿をかついでみよう!」と思えたので、Sun* にジョインすることを決めました。
プロジェクトの歯車を狂わす、“欠損”をなくす
事業立ち上げに伴走し続けるビジネス・プロデュース部門は、具体的にどのような役割を担うのですか?
お客様が抱える課題の的確な把握からはじまり、その課題を解決するためのソリューションプランニング、そしてお客様と同じ立場・視点・感情になって、事業立ち上げ途上で発生し続けるあらゆる課題の相談相手になれる機能です。本当に信頼できる“街のかかりつけ医”のようなイメージですね。ボクはその機能を「ビジネスプロデューサー」と呼んでいます。
課題の的確な把握といっても簡単ではなくて、業界のビジネスモデル・顧客企業のポジショニング・部門や担当者のミッションや課題など、知るべきことは多岐に渡りますし、問題と課題の整理、そしてそれをSun* ならばどのように解決できるのかを導くソリューションプランニングするためには、多くの知識・見識が必要になります。
いま、すべての企業が新しいビジネスの可能性を模索しています。新規事業であろうが、既存プロダクトであろうが、新しい売り上げを作ることに日夜頭を悩ましているんです。
そんなときに、「この課題をこいつに相談したら、解決してもらえそうだな」と思ってもらえる存在になること。これがファーストステップです。
また、Sun* のビジネスプロデューサーが一般的なセールスと違うのは、多様な専門家のパフォーマンスを最大化させる、高いプロジェクトマネジメント・チームマネジメント力が求められる点です。
一体どういうことでしょう?
新規事業やDXプロジェクトにおいて、戦略立案はコンサルティングファームによるリード、デザインはデザインに強い会社、そして開発はシステム開発会社という役割分担でプロジェクトが進みます。しかし、複数企業が関与し、関係者が多くなりすぎる事によって、プロジェクト推進難易度が劇的に高まり、戦略・デザイン・開発がつながらずバラバラになる。結果として、プロジェクトがスタックしたり、良い事業・プロダクトに仕上がらない…という事態は少なくありません。
当たり前ですが関係者が多ければ多いほど、伝言ゲームになりやすく、情報の欠如や認識の齟齬が起き、すり合わせに膨大な時間を要します。そこに発生するコスト、スピードや情報のロスという欠損は、プロジェクトの歯車を大きく狂わせてしまうんです。
一方で、Sun* にはビジネスコンサルタント・デザイナー・エンジニアという専門機能がすべて揃っています。したがって1社で1つの事業・プロダクト立ち上げに向けたワンチームを構築できるので、その欠損が起きにくい構造になっています。
とはいえ、誰かが事業やプロダクトの立ち上げ、もっと言うと顧客への価値提供というゴールに向かって、プロジェクト全体をリードせねばなりません。コンサルタント・プランナー・デザイナー・エンジニアなど、多様な専門家のパフォーマンスを最大化させ、統合する必要があるのです。これがビジネスプロデューサーの役割です。
Sun* にしかできない、ビジネス立ち上げスペシャリスト集団へ
実はこの役割、Sun* にしかできないんですよ。
それはなぜですか?
先にお話したように、Sun* には事業を作る上で必要なあらゆる機能が揃っています。
ビジネスプランニング、コンサルティング、デザイン、開発、さらにはビジネスグロースのための顧客・パートナー開発やマーケティング支援…と、すべてワンストップで提供できるという会社は、他にありません。
そこに加えて、採用エージェントチームもいるので、お客様のプロジェクト内で人手が必要となれば、人材支援という点でもお手伝いできるんですよね。
なにか新しいことをやりたい、ビジネスを立ち上げたいという時に、支援できるポイントがSun* には必ずあります。そんな広いバリューチェーンで価値を提供してるユニークネスが、今までもお客様に喜ばれてきましたし、今後さらに必要とされていく部分です。
創業からこれまではお客様からのご紹介を数多くいただき、顕在化したニーズを中心にサポートしてきましたが、今後はもう一歩踏み込んで潜在的ニーズを掘り起こし、ビジネス創出から成功までお手伝いしていきます。
その最前線を、ビジネス・プロデュース部門が担います。
確かに、ワンストップでサポートしているSun* にしかできないことかもしれませんね。
ワンストップであることがSun* 最大のユニークネスであり魅力ですが、ワンストップが本質的な価値だとは思っていません。ワンストップでサポートできるからこそ、いいプロダクトができ、ビジネスの成功確率を高められる。これが本当の価値です。
我々が、事業共創する姿勢を大事にしている理由はここにあります。
ですから、お客様とベンダーという関係ではなく、「パートナー」として並走するのが理想とする姿です。
逆に、中野さんから見てSun* にはどんな課題があると思いますか?
良くも悪くも、ルールや型がほとんどといっていいほどありません。それが良さでもあり、時には弱さにもなると思っています。
特にSun* は現在、非常にアグレッシブな成長を目標に掲げています。その目標を達成するためには、型をつくって再現性を高める動きも必要です。
変幻自在の柔軟性がある良さを残しながらも、型化して勝ちパターンをつくっていくこと。その勝ちパターンの出発点は顧客ニーズなので、ビジネス・プロデュース部門が顧客ニーズを社内にフィードバックし、勝ちパターンやソリューション開発もリードしていきたい。そんな風にも思っています。
中野さん自身の今後の展望を聞かせてください。
ビジネスアイデアが生まれ、ソリューションを研磨し、開発プロジェクトが立ち上がり、ビジネスをグロースさせていくという、事業やプロダクトの立ち上げサイクルをすべて体感できる、これほど面白い場所はないんじゃないかと思っています。
加えて、提供価値が広いことで、一緒に働くメンバーの多様性もある。普通の会社だと人材は偏るはずなのに、それがないんです。どこを切り取っても、魅力的な環境です。
ボク自身、お客様や社内の多彩な専門家と一緒に、事業創出のために「あーでもない、こーでもない」と知恵を絞り、提案し、形にしていくという仕事に没頭できていて、本当に楽しいんですよ。ビジネスを創りたいと思っている人には、これほど好奇心が満たされる環境はありません。
ボクたちがそういう姿勢で楽しそうに仕事していたら、きっとお客様も楽しくなる。
誰だって、いつも楽しい仕事をしていたいですよね。だからまずはボクたちが仕事を楽しみ続ける。そして関わったお客様やパートナーさんにも楽しさが伝播して、そんなチームがつくった良い事業や良いプロダクトによってユーザーの課題も解決されればもっと楽しくなるし、嬉しい。そんな世の中をつくるキッカケとなる場所にしていきたいと思います。