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お祝いテックカンパニーTAIAN/代表・村田磨理子が語る創業ストーリー

今回は代表取締役、村田の創業への思いについてインタビューをしていきたいと思います。

年末に、コーポレートサイトが一新され、その一部にもまりこさんの創業への思いや事業について書かれていましたが、今日はその背景について、これまであまり大きく公開されてこなかったような内容についても深掘っていきたいなと思います。

なぜ「今」ブライダルDXなのか。

TAIANはブライダルDX・お祝いDXを行っていますが、コロナ禍で様々な局面を迎えたブライダル業界。ブライダルDXに「今」取り組む理由はあるのでしょうか?

▼TAIANの提供するブライダルDX総合プラットフォームOiwaii(オイワイー)

コロナ禍を経て、今ブライダル業界は大きな転換点を迎えています。元々の婚礼予定時期にあたるカスタマーに加え、挙式日程を延期せざるを得なかったカップルへの対応もあり、挙式件数が2倍近くなっている上に、少人数婚が増えるなど利益率悪化をもたらす条件が重なり、DXの必要性が叫ばれています。

数年間採用ができなかった状況下で、人手不足が各社喫緊の課題となっています。

また、コロナ禍前も既に日々の業務で手一杯だった現場はZ世代のカスタマーに合わせた顧客接点の設計が後回しになっており、一般的にITが遅れている業界という認識を持たれてしまっています。

これは、もったいない。素晴らしい事業と文化をつくっている業界を守り、ともに日本の未来を創っていきたいと考えています。

そもそも、ブライダル業界出身でないまりこさんが、ブライダル業界に向き合うきっかけになったのは何だったんですか?

人と人がつながり合う機会は失われてはいけない、そう感じたのが事業を起こした背景でした。

縁遠いと思っていた、幸せな場。家族で集う夢がかなった結婚式。

始まりは「起業したい。」とかそういう志から始まった訳ではないんです。

家族全員が集まるシーンが、なかなかなかったんです。家族団欒とか「家族の幸せ」に対しての憧れが、ずっとありました。私の結婚式では10年ぶりに全員で集まって家族の集合写真を撮れたんです。関係性を見つめなおしたり、向き合ったりなど、大袈裟なことはせずとも、皆でその場に集って笑って写真が撮れたことが嬉しく、この瞬間にはこの上なく価値があるなと感じたんです。言葉にせずとも繋がっていると感じられる空気。人生にこの瞬間があるかないかで幸福度は大きく変わるなと感じた出来事でした。

▼村田の結婚式の写真

ただ、幸せを感じられた素敵な場であった一方で、自分で結婚式の準備を進める中で、自分の体験としてここはアプリやツールを使ってできたらいいのにな…と思う部分がありました。そこで、Web招待状を実装して作ってみることにしたのです。

夫がエンジニアで、私もエンジニア系のサービスをしていたので結婚式で2人らしさを表現するためにプロダクトでも作ろうか、という動機もありましたが。(笑)

結婚式ってある種、正式なフォーマットがあるので、勝手に招待状を自作で作るカップルはなかなかいないと思うのですが、担当のプランナーさんに、このサービスは画期的だと言っていただいたこともあり、サービスを拡販させようというきっかけにもなりました。

この経験が、ブライダル業界に向き合い、ブライダルDXを始める出だしの一歩だったのです。

素敵なエピソードですね。結婚式は「人と人とのつながりを再確認できる場」という定義や、その直感で動き出せるパワーが、さすがまりこさんらしいなと感じます。その考えに至った背景について、生い立ちや経験など教えてください。

幼少期に育まれた、人と人のつながりや、「違い」「差」についての疑問

思えば、人と人のつながり、に対して幼少期から自分のテーマとして考える機会が多かったように思います。私は専業主婦の母、研究者の父の元、3人きょうだいの末っ子として生まれました。父は様々な逸話がある、私の人生で会った中で最も変わった人間(笑)です。

7歳の頃、父の仕事の理由で「茨城のつくば」から「大阪の堺」に引っ越すことになります。これが一つのターニングポイントになりました。それまで、つくばの研究都市にいたので、同級生の親の学歴やキャリアはおおよそ同じという集団から、まったく違う世界に放り込まれたような衝撃がありました。大阪の転校先の友人から、家の裏にあるコンビニ近くには「ヤンキーがいるので気ぃつけや!」と言われたんですが、それまでヤンキーを見たことも聞いたこともなかったので何がコンビニに出没するんだ?と思った(笑)。それくらい、カルチャーショックというか、同質・均質の世界から、混沌の世界に言葉通り飛び込んだと気づいた、そんな経験でした。

大阪のどストレートなコミュニケーションに転校当初は傷つくこともありましたが、逆に勝手にラベルで判断せずにオープンマインドで自己開示した上で表立って確認してくれてるのかも?プライドよりも本質を覗きに行く文化なのかも?など色々ないい側面が見えてくる。きちんと知ればどちらもいい文化なんだと、楽しくなってくる。東京vs大阪のやりとりなんてよく見かけますが、どっちにも寄り添った見方をしないと本当の良さは分からないものだなと、毎度思います。

幼い頃から、人と人との考え方の違いや偏見で起きる様々な物事を観察していました。

10歳頃のそういった経験は、性格形成の大きな礎になりますよね、それにしてもヤンキーの話は何度聞いても面白いです…!

(笑)鉄板ですね!

しかし、そこで思春期を過ごすわけですが、物事は一つの側面ではなく、角度を変えれば差異は差異ではなくなるのかもしれない、と気づいていきます。

こういった好奇心から神戸大学の「国際文化学部」に進学しました。文化に優劣がない、という根本の考え方は今も大切にしています。

人と人の間にある壁や生まれる溝について観察していた幼少期を経て、違いを乗り越えた先に見えてくる融合は、新しい化学反応を生むのはないか、というまりこさんなりの問いが確信に変わっていったんですね。その後、社会人になり、TAIAN創業まで2社を経験されていますが、その問いはどのように繋がっていくのですか。

大学を卒業して、株式会社リクルートスタッフィングに新卒入社をしてITエンジニア派遣領域に関わることになりました。これまで「IT」や「エンジニア」という領域に触れたこともなかったので、またしても「異世界」と出会うことになります。

▼新卒1年目の部署同期。所属部署が最優秀賞をとった時の思い出の一枚。TAIANのCOO米倉も同じ部署だった。


リクルートでは営業、採用、新規事業、マーケティングなど様々な経験をしました。色々な仕事に対する価値観や仕事のやり方の基礎はここでつきました。迷惑をかけながらでしたが、苦手なことを徹底的に潰せた修行のようなこの期間は、今のビジネススキルの礎になっています。人やチームを信じる力も教えてもらいました。

その後、自分の力を発揮できるフィールドとしてフットワーク軽くアイディアを生かして仕事をしたいと考えた私はベンチャー企業へ転職をすることを決めました。詳しくは割愛しますが、自分のモチベーションの一つが「日本を盛り上げたい」にあることに気づいたのもこの頃でした。

そんな時に出会ったのが前職。日本をテック強国にすることで再度盛り上げようと、エンジニアの適正評価を掲げるエンジニアのスキルチェックツールの事業をしている会社です。元々、スキルを磨き続け市場価値と戦い、スキルを社会に還元するエンジニアの世界観に強く惹かれていたこともあり、これだ!と思いました。ここでは、カスタマーサクセスのチーム立ち上げをしました。

ここでは、「優秀なエンジニアのポテンシャルを解放する」という角度から仕事を見ていました。

ハッカソンの運営などもしていました。最新の技術の話題が社内外で飛び交って、課題解決能力の高い集団で働くのは刺激的でとても面白かったです。

ここで見つけたのは、市場から引っ張りだこなエンジニアも「自分のスキルの使い先として、社会課題を探している」ということでした。そして、そんなエンジニア達に活躍の場を提供でき、そのスキルをしっかり借りられるのはすでにそれなりにテックの享受があるところばかり。エンジニア側の気持ちに立つと、仕方ないことですが、これはテックの恩恵を受けられる業界・会社とそうでないところの差がどんどん広がるんだという実感にも繋がりました。

この発見は、今の事業に繋がっています。

好奇心にブレーキをかけずに突き進んでいたら、見えてきた、私が幸せにしたい人々の姿

▼創業から半年ほど経った頃。

TAIANのバリューに「エネルギーは好奇心」という言葉がありますが、まさにまりこさんを体現した言葉だなと感じます。知らない世界だからと遠ざけるのではなく、好奇心を持って一歩踏み込んでみることで、その先の融合点やまりこさんだからこそ見える世界を楽しんでいるように、私には見えています。

初めは自身の結婚式のためにWeb招待状を作るという、まさに「やってみた」プロダクトでしたが、その姿勢が業界にとっては「新しい風」だったのかもしれませんね。その後、具体的にどのような反応をいただくことが多かったですか。

結婚式を挙げる方々が準備をより一層楽しくできるようにと、カップル向けサービスを想定してスタートしました。しかし、その後すぐに、新型コロナウィルスによって結婚式実施の是非が問われる事態に。その渦中で、やむを得ず日程変更やゲスト人数が変動することに対するカップルを支援する手法として、会場側から問い合わせをいただくことが増えてきたんです。「非対面・非接触」という安心材料としての観点と、Webなので変更があっても印刷刷り直し実費がかからず対応できるというコスト観点で喜ばれました。

さらに課題を抽出するためにヒアリングに伺うと、結婚式をつくるプロセスは想像していた以上に「手作業」が多く、さらにはコロナ禍でそれこそ日程変更や出欠席に変動が生じやすい状況が相まって、事業者側に皺寄せ、業務逼迫度が高くなっている現状が見えてきました。

結婚式をつくる人たちは、本当にお客様のことを思って仕事とお客様が大好きな方ばかり。お客様のために真摯に取り組むこの業界の業務過多の課題を解決したいと思うようになり、Web招待状・席次表サービスの領域にとどまらず、もともとの得意領域である業務支援ツールの開発に踏み出すことにしました。

業務支援ツールによって、業務過多の問題を解決したいという想いが、現在のブライダルDX総合プラットフォームにつながっていくんですね。

家族が一つになるというとても貴重な体験ができた結婚式。そのお祝いの場を支える人たちは、業務過多と戦っている…。実際に相談をしてくださった式場の実態や想いを知れば知るほどに、私が解決したいという気持ちは増していきました。業務改善や効率化のためのシステム構築や導入を進めていくと、お客さんが表情を変えて喜んでくれるんです。式場の方々から「その先にいるカップルへより良い価値提供ができた!」という言葉をもらうと、このサービスへの確信が高まり、おこがましいのですが、この業界をもっと幸せにしたいと思います。

一見異質に見える事柄も、私に見えている線をつなげることで円滑にし、軽やかに化学反応を楽しみたい

結婚式は歴史ある慣習が大事な行事ですし一生に一度という特性上、なかなか従来のやり方を変えることハードルの高い分野だと思います。ある意味、「IT」という言葉とは縁遠い領域というか。にも拘らず、まりこさんはお客様や業界パートナーの皆様とフラットな関係性のように見えます。大切にしていることや、今後の展望を教えてください。

確かに、「結婚式」と「テック」は共存しないと言われることも多いですが、だからこそ肩肘はらずに同じ目線で語れる存在でありたいなと思っています。先ほど話したように、違う、とこちらから線を引かず、異なる二つのことの連結部分や融合点が見えたら、それをつなげていくことが、私の個人ミッションのようにも思っています。そしてその先の、予想もしていなかったような景色を一緒に楽しみながら、作っていきたいですね。

お祝いはなくならないし、なくならせてはならない。ブライダル業界を盛り上げること、お祝い事業を盛り上げることは必ず日本を盛り上げることに繋がると確信しています。盛り上げるためには、カスタマーへの価値向上が必須。今まで縁遠いからと対策できていなかったテックとの融合がその解決策だと思っています。

▼TAIANのキックオフでも業界の未来に対してメンバーと熱く語り合いました


ブライダル出身じゃないのに何故ブライダルDXに取り組むのか?とよく聞かれますが、業界は違えどITに疎かった私がテックの道を歩むことになったこの変遷だからこそ、現場の方々の「IT苦手なんです」というお声に共感できる上で、DXの必要性をお知らせできるのではないかと思っています。

今はPCスキルは割と自信がある私ですが、実は足で稼ぐ営業でキャリアをスタートしており当時はExcelのSUM関数も怪しかったんです。お恥ずかしい話ですけどね。(笑)しかしその後、部署異動や転職を経てOAスキルだけでなく、様々なITツールの恩恵を受けるようになると、当然業務生産性はあがりましたし、自分のキャリアの視座が変わりました。お客様に対して解決できることも大幅に変わりました。

私に幸せを実感させてくれた、結婚・結婚式という素晴らしい場をつくられている方々にもITの便利さを味わってもらいたいんです。

業界の方々は、間違えてはいけない発注・入力などの準備業務で時間を追われていますが、本来他の人にはない「共感スキル」を持っている。このスキルを生かしたプランニング業務に時間を割いてもらいたい。そして、結婚出産で辞めてしまう人が多いブライダルというキャリアを、続けられるぞ!と思ってもらえるきっかけを作れたら…そう考え、この事業を推進しています。

まさにまりこさんの生き方そのものが、今の事業にもつながっているんですね。その姿勢が、TAIANが、今やすべての結婚式のプロセスに対応できるプロダクトにまで成長してきた創業の歩みにも現れていますね。お祝いはなくならない、なくしてはならない。お祝いによって日本を盛り上げていきましょう!

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