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オープン速報:ライフスタイルMDストアの最新ベンチマーク施設『東急プラザ銀座』視察レポート:樋口 進

施設全体がライフスタイルMDストア
去る3月31日。銀座の数寄屋橋交差点に『東急プラザ銀座』がオープンした。店舗面積2万2000平米。全13フロア、125店舗のテナント数、売上高目標は330億円の巨艦商業施設である。東急プラザ業態としては首都圏で7店舗目(渋谷店はクローズしたので現6店舗)、同業態としては最大の店舗でフラッグシップストアに位置づけられる。建物外観は日本の「江戸切子」をモチーフとしたデザインで“和”の感性をコンセプトとしている。
「バリー」「キートン」「クルチアーニ」などの海外ハイブランド6店舗を構え、6-7Fにメイドインジャパンの和の雑貨を集積したFind Japan Market、8-9Fは約4400平米のロッテ免税店など、インバウンド外国人を意識したMD構成になっている。とは言え、日本人向けでないかというとさにあらず。実はこの建物全体が、今、小売業の大きなトレンドとなっている日本型ライフスタイルMDストアの巨大版と言えるのだ。


衝動買いを誘う祝祭空間とMade In Japan雑貨をフィーチャーした高度なアイテムミックスMD
東急プラザ銀座は1Fはキートンやバリーなどのハイブランド、左横のエスカレーターから誘導される3Fがエントランスフロアという変則的な構成である。この構成は既に東急プラザ表参道で実験済みの方法論である。オフィスビルやホテル等ではエントランスフロアが2Fや3Fにあることは珍しくなくなったが、その手法を商業施設に持ち込んだ形態と言えよう。ただし通常であれば、誘導通路を施設正面のセンターに配置するところだが、敷地が奥行の深い縦長形状のために苦肉の策として左横に設置した形態になっている。この辺は来館者にとって「勝手口からはいるような」わかりにくさは否めない。しかし、エスカレーターを登り切り、3Fフロアに足を踏み入れると、非常に天井高が高く、百貨店クラスの格を感じさせる非日常空間が迎え入れてくれる。

目玉は和を中心とした雑貨MD、インバウンド対応の免税店
フロア分類は、B2~B1がフードショップ:”Marche”、1~2Fがフラグシップストア、3~5Fがファッション+服飾雑貨+生活雑貨のMix、6~7Fが和の雑貨:”Find Japan Market”、8~9Fがロッテ免税店、10~11Fがレストランゾーンという構成からなっている。そしてこのフロア間を縦につなぐ形で東急の新業態:”Hinkka Rinka”、6F以上の吹き抜けで”Kiriko Lounge”が繋いでいる。前述したとおり、メインエントランスは3Fになっているが、みゆき通り側からや、地下の駅コンコースから入館するという「裏ワザ」もある。この場合は目的のフロアまでエレベーターで上がれば、館内回遊が非常にスムースである。

ここで、巨艦ファッションビル:東急プラザ銀座の特徴を以下にまとめてみた。

これを総称的に言えば、“カジュアルかつ差別性・デザイン性の高いクラフト雑貨・銘品ブランドを集積した大人のテーマパーク”という出で立ちである。
確かに、今、日本国内の市場をささえるインバウンド外国人は意識しているが、むしろ、それ以上に日本人が楽しくなるMDを作り上げている。
この商業施設に来館して「日本の良さ」「クリエイティビティ」を再確認する顧客も多いはずである。かつては、百貨店が持っていたはずの面白さであろうが
大型ブランドに頼りすぎる現在の日本の百貨店にはもはや期待できないものである。




株式会社シンクエージェント
代表取締役 社長
樋口 進

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