―十勝野ポーク 専務取締役 渡邉 泰章
十勝・中札内村。
広大な大地と、澄んだ空気の中で育つ豚たち。
その現場の最前線に立ちながら、今、十勝野ポークという会社の“未来のかたち”を静かに作り続けている人物がいます。
専務取締役の 渡邉 泰章。彼の言葉には、派手さはありません。
けれど、その一つひとつには「この会社を良くしたい」「ここで働く人たちを大切にしたい」という、強くてまっすぐな想いがにじんでいます。
今回は、専務のこれまでの歩みと、十勝野ポークへの想い、そして未来へのビジョンを伺いました。
(左)渡邉 泰章
地元・帯広から、社会へ。
帯広北高校を卒業後、北星学園大学へ進学。
大学卒業後は、地元を離れ、横浜の「磯子」にある米の会社に就職しました。
営業として、そして工場の現場として。羽田空港をメインに、おにぎり専門店を展開し、空弁用のおにぎりを実際に“握る”仕事にも携わっていました。
「横浜駅から徒歩10分くらいの場所でしたね。都会のど真ん中で、ものづくりと販売の両方を経験しました」
食を支える現場。
大量生産ではなく、“人の手”が関わる仕事。
この経験が、後の十勝野ポークでの仕事にも、確かにつながっています。
転機は、結婚でした。
「いずれ十勝野ポークに戻るだろうとは、正直思っていました」
そう語る渡邉は、山梨県の養豚場へ転職。
奥様は大学の先輩で、人生の節目を迎えたタイミングでした。
山梨の養豚場では、約2年間の修行。
現場で豚と向き合い、命と向き合い、養豚という仕事の厳しさと奥深さを、改めて身体で学びました。
現在は中学1年生の男の子の父でもあります。
「現場」と「数字」、その両方を見る仕事。
専務は農場全般を管理
現在は、CM農場をメインに、日々の運営を見ています。
仕事はデスクワークだけではありません。現場作業、 成績のチェック、数値の改善、上長・現場リーダーの育成。
「作業もしますし、成績も見ます。今は“成績改善”が一番のテーマですね」これまでGP農場をメインに担当し、一定の成果が見えたことで、現在はCM農場へ。
目指しているのは、『自分がいなくても回る現場』です。
「今の上長が、自走できる状態を作りたい。そのために、何を整えるべきかを常に考えています」
評価制度づくりは、「危機感」から始まった渡邉専務が特に力を入れてきたのが、評価制度の構築です。「このままだと、正直きついなと思ったんです。何か一つ変えなきゃいけない。その答えが評価制度でした」
評価制度を作る過程で向き合ったのは、自分自身の考え方・社長の理念・これまで、どんな人が評価されてきたのか。
それらを一つひとつ言語化していく作業でした。
「結果として、自分自身の“会社理解”がものすごく深まりました。個人的には、かなり手ごたえを感じています」
一方で、課題もあります。
社歴の長い社員への配慮、 新しい制度をどう受け取ってもらうか。
「若い社員にとっては、一つの“指標”になる。でも、長く働いてくれている人たちと、どう向き合うかは、これからも考え続けないといけません」
「この会社が、自慢だと言われる存在でありたい」
最後に、これからの目標を伺いました。返ってきた言葉は、とてもシンプルで、温かいものでした。「これから残る人たちが、幸せそうに仕事をしてほしい。それが一番ですね」
専務の息子さんは、芽室の小学校に通っています。ある日、こんな言葉をかけられたそうです。「十勝野ポークって、中札内の自慢だよね」その一言が、胸に深く残っています。
「嬉しかったですね。だからこそ、“良い会社にしていかないと”って、改めて噛みしめました」
会社は、数字だけではありません。地域にとって、働く人にとって、そして、その子どもたちにとって。
誇れる存在であるかどうか。
「きっと、いい会社にしていくことを、考え続けなきゃいけないんだと思います」その言葉通り、渡邉専務は今日も現場に立ち、静かに、でも確実に、十勝野ポークの未来を形づくっています。
十勝野ポークは、人の想いと、現場の積み重ねでできている会社です。その中心にあるのは、「ここで働く人たちの幸せ」を本気で考える姿勢です。