「みんなが楽しんでくれている姿を見るとうれしかったです。」
十勝野ポークで働いていてよかったと思う瞬間を尋ねると、渡邉泰章専務は、社員と焼肉を囲んだときのことを挙げました。
農場の雪害や停電、経営の危機。家業を支えるため十勝に戻り、現場と経営の両方に向き合ってきた渡邉専務に、これまでの歩みと、働く仲間への思いを聞きました。
渡邉 泰章|専務取締役
家業である養豚業を支えるため十勝に戻り、十勝野ポークの経営と農場運営に携わる。山梨の農場で働いた経験も持ち、現在は農場での豚の健康管理から、社長との経営方針の相談、社員とのコミュニケーションまで幅広く担う。現場を大切にしながら、社員が安心して働ける環境づくりと、会社のさらなる成長を目指している。
現場で一緒に働くことを大切に
――普段、専務としてどのような仕事をされていますか。
現場を見に行くこともあれば、農場に入ってみんなと一緒に仕事をすることもあります。社長と経営について話をすることもあって、仕事はさまざまですね。
農場では、豚の健康状態を確認しています。下痢や咳をしていないか、餌をきちんと食べているか。毛並みなども見ながら、いつもと違う様子がないかを確認します。
全体で約2万頭の豚を飼育しているので、スタッフで手分けをして、情報を共有しながら進めています。調子が悪そうな豚がいれば、どう対応するかを話し合うこともあります。
現場を知らないと分からないこともあるので、実際に入って、みんなと一緒に仕事をすることは大切だと思っています。
家業を支えるために戻った十勝
――十勝野ポークで働くようになった経緯を教えてください。
もともと家業が養豚業でした。以前は山梨の農場で働いていましたが、家業の経営が大変になったこともあり、十勝へ戻ってくることになりました。
戻ってからも、いろいろなことがありました。家業なので、簡単に投げ出すわけにはいかない。ここで何とかしなければ、という思いはありましたね。
――山梨の農場での経験で、今も覚えていることはありますか。
ある夜、深夜まで仕事をしていたときに、たい肥を処理する設備でトラブルが起きたんです。もう帰ろうかと思うほど大変な状況でしたが、ふと空を見上げると、星がものすごくきれいで。涙が出てきました。
星がきれいだったからというだけではなく、いろいろな思いが重なっていたんだと思います。
結局、そのときは一人でスコップを使って作業を進めました。もちろん、何でも一人で頑張ればいいという話ではないと思います。ただ、そのときの経験は、今も自分のなかに残っていますね。
厳しい時期にも、一緒に働いてくれた仲間
――十勝に戻ってからは、どのような困難があったのでしょうか。
経営を改善するために取り組みを進めていたとき、売上の大きな割合を占めていた農場が雪の被害を受けました。その後には、停電による被害もありました。
絶望的な状況になりましたね。
これから会社を良くしていこうというタイミングだったので、計画が変わってしまうのはつらかったです。社長が投資をしてくれていたことも分かっていたので、何とか売上をつくって、少しでも早く経営を立て直したいと思っていました。
資金繰りが厳しくなった時期もあり、社長や役員も含めて、どうすれば会社を続けられるか、必死に考えていましたね。
――その時期を一緒に過ごした社員の皆さんに、どのような思いがありますか。
当時は、ゆっくり話をしたり、コミュニケーションを取ったりする余裕があまりありませんでした。目の前の仕事をどう終わらせるか、どう会社を立て直すか。そればかり考えていました。
それでも、一緒に何とかしようと残ってくれた人たちがいました。今振り返ると、よく辞めずにいてくれたなと思います。
当時から働いているメンバーのなかには、今、幹部として会社を支えてくれている人もいます。大変な経験を一緒にしてきたからこそ、分かり合えることもあるのかもしれませんね。
昔のような状況を繰り返さないために
――現在の働き方について、どのように考えていますか。
以前は、事務の仕事でも徹夜で資料を作ることがありました。今では、社長から「残業しないで帰って」と言われることもあります。
農場の仕事なので、いつでも思いどおりにいくわけではありません。それでも、昔と同じような大変な状況には戻りたくないですし、繰り返さないために会社をもっと良くしていきたいと思っています。
――社員とのコミュニケーションで、大切にしていることはありますか。
自分自身、コミュニケーションが特別得意というわけではないんです。ただ、何か問題が起きそうなときには、伝え方も含めて考えながら、きちんと話ができるようにしたいと思っています。
まだ改善していかなければいけないことはありますが、みんなで仕事をするうえで、職場の雰囲気やコミュニケーションは大切にしていきたいです。
仲間と一緒に、結果を喜べること
――十勝野ポークで働いていてよかったと思うのは、どのようなときですか。
会社の成績が出て、みんなで焼肉をしたときですね。それまで大変なことがたくさんあったので、みんなが楽しんでくれている姿を見るとうれしかったです。「ああ、よかったな」と思いました。
自分たちが頑張ってきたことが、少しずつ結果につながっていると感じられました。
数字は、良いときも悪いときも結果がはっきり出ます。だからこそ、経営が良くなっていることが見えるのは、やりがいの一つだと思います。
みんなで頑張って、その結果を一緒に喜べる。それは、やっぱりうれしいことですね。
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